委員派遣 神奈川県(横浜地方公聴会)(平成19年5月10日)

委員派遣実施要領

1.派遣目的
 日本国憲法の改正手続に関する法律案(第164回国会衆第30号、第164回国会衆第31号)及び日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(参第5号)の審査に資するため、現地において意見を聴取する。
2.派遣委員
 団長 理事  舛添 要一 (自民)
    同   中川 雅治 (自民)
    同   簗瀬  進 (民主)
    委員  岩城 光英 (自民)
    同   野村 哲郎 (自民)
    同   藤末 健三 (民主)
    同   水岡 俊一 (民主)
    同   鰐淵 洋子 (公明)
    同   仁比 聡平 (共産)
3.派遣地
 神奈川県
4.派遣期間
 平成19年5月10日(木)の1日間
5.公述人
 神奈川県立高等学校教諭           久留島  学
 かながわ創造研究所幹事           佐々木 宣彰
 前衆議院議員・JPU総合研究所特別研究員  山花  郁夫
 憲法改悪阻止神奈川県連絡会議幹事長・弁護士 森   卓爾

派遣報告(平成19年5月11日 簗瀬 進 君(民主))

 第二班につきまして御報告いたします。

 派遣委員は団長の舛添要一理事、中川雅治理事、岩城光英委員、野村哲郎委員、藤末健三委員、水岡俊一委員、鰐淵洋子委員、仁比聡平委員及び私、簗瀬進の九名であり、昨十日、横浜市において地方公聴会を開催し、四名の公述人から意見を聴取した後、各委員から質疑が行われました。

 まず、公述の要旨を御報告申し上げます。

 最初に、神奈川県立高等学校教諭久留島学君からは、国民投票法は国民主権のために重要な法律であり早期に制定すべきであると考える、また、公務員と教育者による地位利用を禁止することは当然であるが、罰則がないのは問題である、さらに、投票権年齢については、高校を卒業して実際の社会を見る目を養う期間が必要であり、二十歳以上とすべきである、憲法改正手続法の施行期日については、法律が憲法施行後六十年間も整備されなかったこと、公布後三年間に不測の事態が生ずる危険もあることから、公布と同時に施行する必要があるなどの意見が述べられました。

 次に、かながわ創造研究所幹事佐々木宣彰君からは、憲法九十六条に国民投票が明記されていること及び憲法施行後六十年間で社会も変化していることから、国民投票法は早期に制定すべきであると考える、また、憲法の国民主権と基本的人権については改正する必要はないが、世界平和に貢献するという積極的な平和主義の観点からは、憲法を改正する必要があるなどの意見が述べられました。

 次に、前衆議院議員、JPU総合研究所特別研究員山花郁夫君からは、国民投票法は手続法なので護憲派、改憲派の双方にとっても中立的であるべきと考える、諮問的な重要問題国民投票については、憲法が代表民主制を絶対のものとまではしていないことから、憲法上の疑義がクリアできること、及び、判例と同様に事実上の拘束力を有するにすぎないことから、真剣に検討してもらいたい、さらに、最低投票率については、法律で定めても憲法に抵触しないと考えるが、投票総数の過半数の意思を無視することになるのであれば、憲法に定める必要があるなどの意見が述べられました。

 最後に、憲法改悪阻止神奈川県連絡会議幹事長、弁護士森卓爾君からは、神奈川県では沖縄県に次いで米軍基地が多いので憲法九条に対する思いが強い、また、憲法改正原案は関連する事項ごとに発議されることになっているが、関連する事項という区分の意味があいまいであり、国民が正確かつ個別的な意思表示ができるようにする必要がある、さらに、憲法改正は最終的には国民の多数の意思に委ねられることから、最低投票率を設定すべきである、テレビ・コマーシャルは資金力のある個人や団体ほど大量に流せるので、全面的に禁止すべきであるなどの意見が述べられました。

 公述人の意見に対し、各委員からは、投票権年齢を十八歳以上とすることについての見解、憲法に明記されていない最低投票率と憲法改正手続に係る両院協議会の憲法上の位置付けとの関係、一事不再議と無効訴訟についての考え方、憲法教育と運動規制の関係、最低投票率とボイコット運動との関係、公務員と教育者による地位利用の禁止の是非、報道機関に対する規制の在り方、憲法改正手続法公布後三年間の憲法改正原案の審査・提出の凍結に対する見解、参議院における憲法改正手続法案審議についての感想など多岐にわたる質疑が行われました。

 会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。

 以上で第二班の御報告を終わります。

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