第180回国会(常会)

平成24年5月30日(水)第6回

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(東日本大震災と憲法)
【事務当局の報告骨子】
○大震災と人権保障(4月11日)について
<視点・ポイント>
  • 被災地に対する支援活動を通じて実感した人権状況等(西條参考人)
  • 行政法の視点から大震災における憲法的な状況(櫻井参考人)
  • 震災やその後の出来事が憲法を考える上で示唆しているもの(棟居参考人)
<各参考人の説明骨子>
○大震災と統治機構(4月25日)について
<視点・ポイント>
  • 福島第一原子力発電所が立地する町の町長の立場(井戸川参考人)
  • 学生の安全確保、大学の復旧に取り組んだ経験(牧原参考人)
  • 憲法学者としての統治機構の総論的課題(大石参考人)
<各参考人の説明骨子>
○大震災と国家緊急権(5月16日)について
<視点・ポイント>
  • 国家緊急権を大震災との関連に限定して取り上げ、それを憲法上明記することに消極的な立場(高見参考人)
  • 国家緊急権を憲法上明記することに積極的な立場(西参考人)
<各参考人の説明骨子>
【発言者】
江田 五月 君(民主)、礒崎 陽輔 君(自民)、白浜 一良 君(公明)、江口 克彦 君(みん)、井上 哲士 君(共産)、福島 みずほ 君(社民)、舛添 要一 君(改革)、今野 東 君(民主)、藤井 孝男 君(自民)、西田 昌司 君(自民)、西田 実仁 君(公明)、佐藤 正久 君(自民)、川口 順子 君(自民)、足立 信也 君(民主)、片山 さつき 君(自民)、藤末 健三 君(民主)、丸山 和也 君(自民)、前川 清成 君(民主)、松田 公太 君(みん)
【主な発言項目】
  • 東日本大震災において緊急事態条項の欠如に起因する問題はなかったとの参考人発言の重要性
  • 東日本大震災関連で指摘された問題点は、憲法に基づき法律で解決できることを再認識する必要性
  • 東日本大震災への対応のまずさは多数の被災者が長期間避難することを想定していなかったことに起因し、国家緊急権の憲法規定の有無とは無関係
  • 災害対策基本法について法律の不備はあったが憲法の問題ではなかった
  • 憲法には既に災害時の緊急事態規定が織り込まれていることの確認
  • 震災対策の特別立法に費やした時間を踏まえ、政令による速やかな対応を可能とする緊急事態規定を憲法に明記する必要性
  • 原子力発電所の事故やテロ等の発生も見据え、憲法に緊急事態条項を設けることの必要性
  • 震災時の個人情報の利用の在り方、個人情報保護法の再検討の必要性

  • 緊急事態の対応について個別法ですべてを網羅することは不可能であり、憲法に国家緊急権の規定を置くことが必要
  • 緊急事態条項を憲法に明記するとともに緊急事態基本法を制定する必要性
  • 憲法に国家緊急権規定を置くことの意義は、法律の規定外の事態への迅速な対応の後押し
  • 東日本大震災を踏まえ、人権を保護すべく緊急事態に憲法レベルで対応する必要性
  • 緊急事態への対応には参議院の緊急集会では不十分
  • 国家緊急権規定を持たない国がほぼ皆無である現状を踏まえ、世界の常識に立ち返り国家緊急権を導入する必要性
  • 緊急事態に対応するために法律を整備する必要性
  • 法の不備の問題と憲法問題とを峻別し、緊急事態については憲法でなく法律の整備で対応する必要性
  • 立法権能を剥奪し政府に強い剣を渡すこととなる国家緊急権を憲法に規定することへの反対
  • 国民の意識を高めるため憲法に緊急事態規定を設けることが必要との参考人の見解への疑問

  • 非常事態における国会議員の任期延長等を憲法に規定する必要性
  • 憲法に国家緊急権を規定する際には法律の留保を明記するため、戒厳令の再来との懸念は不要
  • 国家緊急権をめぐり、戒厳司令官の在り方、緊急命令の違憲立法審査の在り方等につき更に検討する必要性
  • 国家ではなく国民を守ることを主眼とし、広範な人権制限のおそれを踏まえて国家緊急権を議論する必要性
  • 国家緊急権発動時にはすべての人権保障と三権分立が停止するとの理解を踏まえ、改めて議論する必要性
  • 国家緊急権導入時には人権侵害への事後検証機関として憲法裁判所も必要となることの認識
  • 国家緊急権発動の際に事後的に国会が行政監視機能を発揮する必要性

  • 自由民主党の憲法改正草案における国家緊急権の規定の考え方
  • 東日本大震災に関する憲法審査会での議論は一区切りとし、憲法が現実に生かされていないという問題点に目を向ける必要性
  • 東日本大震災に起因する人権侵害の解決を図る必要性
  • 東日本大震災後の復興に憲法の精神が生かされないことの問題
  • 統治機構の制度疲労が明確な現状を踏まえ内閣機能の強化、道州制等を議論する必要性
  • 憲法調査会が指摘した問題を改めて検討する必要性
  • 憲法改正に必要な3分の2の賛成を得られる共通点を見いだすことの必要性

平成24年5月16日(水)第5回

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(「東日本大震災と憲法」のうち、大震災と国家緊急権について)
【参考人の意見骨子】
上智大学法科大学院教授
 高見 勝利 君
  • 国家緊急権の憲法的意味
  • 参議院の緊急集会、政令による罰則規定の制定経緯から見れば憲法において「災害緊急事態」は織り込み済み
  • 治安の問題ではない東日本大震災に際して安全保障会議が開催されなかったのは妥当
  • 自由民主党の日本国憲法改正草案における「緊急事態条項」の評価
  • 緊急事態基本法の意図と同法律の位置付け

駒澤大学名誉教授
 西 修 君
  • 東日本大震災の被害規模から災害緊急事態の布告と安全保障会議の開催が必要
  • 参議院の緊急集会の規定は、緊急時ではなく平常時に対応する規定
  • 憲法の真価は有事においてこそ発揮されるべきであり、国家緊急権規定の導入が必要
  • 憲法、緊急事態基本法、個別法の三層構造で緊急事態に対応することの必要性
  • 世界の憲法における平和主義条項と国家緊急事態対処規定の状況
【発言者】
江田 五月 君(民主)、魚住 裕一郎 君(公明)、西田 昌司 君(自民)、井上 哲士 君(共産)、福島 みずほ 君(社民)、舛添 要一 君(改革)、松田 公太 君(みん)、今野 東 君(民主)、礒崎 陽輔 君(自民)、大島 九州男 君(民主)、丸山 和也 君(自民)、那谷屋 正義 君(民主)、谷合 正明 君(公明)、片山 さつき 君(自民)
【主な発言項目】
  • 東日本大震災の際に安全保障会議を開催しなかったことの妥当性
  • 自衛隊の従たる任務を理由に安全保障会議を開催することの妥当性
  • 東日本大震災の際に緊急事態規定が憲法に規定されていないことにより生じた具体的な問題
  • 東日本大震災に便乗し憲法への国家緊急権の導入が議論されることに対する懸念
  • 日本国憲法制定時の災害緊急事態への対応に関する議論の経緯
  • 日本国憲法は平和主義を採用し戦争時の対応を想定していないことの確認
  • 法律による緊急事態への対処の限界
  • 自然災害とそれ以外の事態における国家緊急権の枠組みの異同
  • 有事対応法制と災害対応法制との区別
  • 憲法に緊急事態規定を置くことにより人権制約の危険を招くことへの危惧
  • 憲法に緊急事態条項を設けることのメリット及びデメリット
  • 参議院の緊急集会制度の意義と限界
  • ドイツ基本法の緊急事態規定を踏まえた参議院の緊急集会制度の評価
  • 緊急事態宣言下の司法手続、憲法に国家緊急権を導入した場合の違憲審査制の課題
  • 長きにわたり憲法改正が行われなかった国家が憲法改正に踏み切った背景事情
  • 自由民主党の日本国憲法改正草案の緊急事態規定への評価

平成24年4月25日(水)第4回

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(「東日本大震災と憲法」のうち、大震災と統治機構について)
【参考人の意見骨子】
双葉町長
 井戸川 克隆 君
  • 双葉町における憲法第13条の幸福追求権、第25条の生存権が妨げられている現状
  • 原子力発電所の事故において加害者が国か東京電力か明確でないことによる責任の不明確性
  • 政府から情報開示がなされず被害拡大したことによる双葉町民の政府から棄民されたとの意識

東北大学大学院法学研究科教授
 牧原 出 君
  • 被災の全体像が分からず、変化する状況の中で情報発信を行い、連携を行うというメディアの役割の重要性
  • 復興が進んだ地域が遅れた地域を牽引することができる復興力の還流のシステムの必要性
  • 震災についてグローバルな関心を持たれている中で、地域と世界を繋ぐことができる人材の重要性

京都大学法科大学院教授
 大石 眞 君
  • 日本国憲法の統治機構は平常時を想定した権力分散化であり、そもそも緊急時の対応システムが欠如
  • 緊急時に対応することができる仕組み及び効果的な統制の手段が必要
  • 平常時を基本とし、両院間の権限配分を含め、緊急時の準則を設けることの必要性
【発言者】
佐藤 正久 君(自民)、福山 哲郎 君(民主)、中川 雅治 君(自民)、魚住 裕一郎 君(公明)、増子 輝彦 君(民主)、井上 哲士 君(共産)、西田 実仁 君(公明)、福島 みずほ 君(社民)、舛添 要一 君(改革)、姫井 由美子 君(民主)、松井 孝治 君(民主)、宇都 隆史 君(自民)、山谷 えり子 君(自民)
【主な発言項目】
  • 我が国憲法における緊急事態対処の取扱い
  • 憲法に非常事態規定を置く際の留意点
  • 欧州諸国の憲法上の緊急事態条項における期間と権限等
  • 東日本大震災への対応において憲法に非常事態規定がないことによる問題は生じていないとの認識
  • 東日本大震災の憲法第13条、25条の解釈への影響
  • 緊急事態における内閣総理大臣の指揮監督権、分担管理原則、閣議等の在り方
  • 地震・津波と原子力発電所事故という複合災害に際し、対策法令が二系統あったことによる問題点
  • 危機管理における情報公開の重要性
  • 国・県・市町村の縦割り行政と情報伝達の弊害
  • 災害復興における地方自治体と国の役割分担
  • いわゆる地域主権の推進により大災害時に国家が責任を果たせなくなることへの懸念
  • 震災対策における地域間協力、地域間連携
  • 多様な地域間連携における地方議会の役割
  • 市町村合併が震災復興に与えた影響
  • 県外移動による双葉町の住民意識の変化

平成24年4月11日(水)第3回

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(「東日本大震災と憲法」のうち、大震災と人権保障について)
【参考人の意見骨子】
「ふんばろう東日本支援プロジェクト」代表
早稲田大学大学院商学研究科
専門職学位課程(MBA)専任講師
 西條 剛央 君
  • 東日本大震災後からの復旧・復興において生存権及び幸福追求権を具体化していくことの重要性
  • 被災者の支援において個人情報保護法が障壁となっている現状に鑑み、柔軟な運用を行うことの必要性
  • 崩壊したコミュニティーを再形成するための措置を講ずることの必要性

学習院大学法学部教授
 櫻井 敬子 君
  • 人間的生存がおびやかされる極限状況におけるニーズに対応するために、危機管理ないし緊急事態に関する規定を設けることの必要性
  • 憲法価値が個別法の立法指針として活かされるような仕掛けを設けることの重要性
  • 人権保障システムとして、裁判所を含む統治機構による事後救済のための仕組みを立て直すことの必要性

大阪大学大学院高等司法研究科教授
 棟居 快行 君
  • 自然災害防止・災害復興における国家の義務と国民の権利の制約との調整
  • 危機管理について検討を行うに際して、立憲主義、法治主義のそもそもの原理の有り様から考えることの必要性
  • 自然災害防止・復興のために人権制約が行われる場合には、「生命」、「自由」、「幸福追求」の順で価値の序列を厳守することの必要性
【発言者】
鈴木 寛 君(民主)、今野 東 君(民主)、魚住 裕一郎 君(公明)、福島 みずほ 君(社民)、古川 俊治 君(自民)、井上 哲士 君(共産)、那谷屋 正義 君(民主)、谷合 正明 君(公明)、福山 哲郎 君(民主)、中村 哲治 君(民主)
【主な発言項目】
  • 個別の法律に憲法の精神を活かす方策
  • 憲法価値を実現するため構造構成主義を立法過程に取り入れる必要性
  • 情報管理における優先順位を人権保障との関わりで判断する際の指標
  • 被災地における憲法第13条の生命、自由、幸福追求権の実現
  • 生命、自由、幸福追求権の価値序列を念頭に置いて救済策を発想する必要性
  • 被災者の尊厳確保の観点からの人権規定の在り方
  • 緊急事態において人権制限が容認される限界
  • 公務員に生命を賭した業務を命令することが可能な範囲
  • 被災者を国内避難民と位置付け、事後救済を機能させる仕組み
  • 行政訴訟における立証責任の分配の公平性
  • 国家と個人との間におけるボランティアの位置付け

平成24年2月29日(水)第2回

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(憲法改正手続法附則における検討条項について)
【発言者】
福島 みずほ 君(社民)、井上 哲士 君(共産)、中川 雅治 君(自民)、姫井 由美子 君(民主)、前川 清成 君(民主)、舛添 要一 君(改革)、江口 克彦 君(みん)、今野 東 君(民主)、谷合 正明 君(公明)、魚住 裕一郎 君(公明)、亀井 亜紀子 君(国民)、増子 輝彦 君(民主)、川口 順子 君(自民)、中村 哲治 君(民主)、那谷屋 正義 君(民主)
【主な発言項目】
  • 成年年齢と選挙権年齢を一致させることの論理的必然性
  • 成年年齢引下げのための環境整備に要する期間とその実効性の確保
  • 選挙権年齢を18歳に引き下げるためのスケジュール及び議論整理のポイント
  • 成年年齢と選挙権年齢との引下げ時期の先後関係
  • 選挙権年齢・成年年齢を検討する際の視点
  • 公務員の政治的行為等に対する規制の妥当性
  • 諸外国の公務員の政治的行為の制限
  • 諸外国の成年年齢及び投票権年齢の状況

平成24年2月15日(水)第1回

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(衆議院憲法調査会報告書及び憲法改正手続法附則における検討条項について)
【参考人の意見骨子】
前衆議院憲法調査会会長
 中山 太郎 君
  • 衆議院憲法調査会における調査及び報告書の概要
  • 報告書の「多く述べられた意見」(新しい人権の明記、首相公選制の否定、二院制の維持、憲法裁判所の導入、非常事態に関する何らかの規定の創設等)の概要

前衆議院日本国憲法に関する調査特別委員会理事
 船田 元 君
  • 衆議院日本国憲法に関する調査特別委員会における法案審査の状況
  • 憲法改正手続法附則の「三つの宿題」(18歳選挙権実現等のための法整備、公務員の政治的行為の制限に係る法整備、国民投票の対象拡大についての検討)の背景と概要
【発言者】
井上 哲士 君(共産)、福島 みずほ 君(社民)、魚住 裕一郎 君(公明)、今野 東 君(民主)、片山 さつき 君(自民)、西田 昌司 君(自民)、山谷 えり子 君(自民)、佐藤 正久 君(自民)、松野 信夫 君(民主)、鈴木 寛 君(民主)、舛添 要一 君(改革)、森田 高 君(国民)
【主な発言項目】
  • 衆議院の憲法議論を参議院憲法審査会が取り上げることの妥当性
  • 衆議院日本国憲法に関する調査特別委員会における憲法改正手続法案採決の状況
  • 現時点において国民投票権を行使できる者の年齢
  • 「三つの宿題」の存在が改正原案発議に与える影響
  • 憲法改正手続法成立が憲法改正論議に与えてきた影響
  • 憲法審査会の始動までの期間における憲法状況に対する評価
  • 今日における憲法議論の在り方
  • 憲法制定過程に関する議論の意義
  • 集団的自衛権の規定の在り方
  • 憲法と国家緊急権、非常事態についての考え方
  • 緊急事態規定の欠如が震災対応に与えた影響
  • 地域格差を踏まえた選挙制度の在り方を憲法レベルで検討する必要性
  • 一院制下の緊急事態への対応
  • 首相公選制に関する海外調査と衆議院調査会における議論
  • ドイツ基本法の改正禁止条項を踏まえて議論を行うことの必要性

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