基本的人権 会派 委員名 回次 -

8 社会権(生存権と社会保障、雇用と労働基本権など)

社会権
  • 社会保障制度は皆で支え合うものであり、社会権規定において、社会連帯、共助の観点から、社会保障制度を支える義務、責務のような規定を置くべき
自民 河合常則 161 4 - 8
  • 社会権は単なるプログラム規定ではなく、給付行政によって維持する最低限度の生活水準が余りにも低すぎる場合は、人権保障規定に反するとして個人に請求権を認め得ると考えるべき
民主 江田五月 156 5 - 12
  • 社会権の実現のためには、富の集中と相続による富の承継はある程度コントロールすべきであり、所得税と相続税の累進課税が所得の再分配を実現するかぎとなる
民主 富岡由紀夫 161 4 - 19
  • 過度の富の集中により、結果として機会の平等を損なわないよう、憲法にうたうべき
民主 富岡由紀夫 161 4 - 19
  • 現憲法は、市民的、政治的権利だけではなく、社会的権利、経済的権利も詳細にうたっている点が特徴である
共産 小泉親司 147 3 - 3
  • 社会権の分野でもそれぞれの権利性を明確にし、その権利にこたえる民主的な政治過程における立法や政策こそが求められている
共産 仁比聡平 161 4 - 22
  • 日本国憲法は、古典的自由権と資本主義の弊害から人々を守るために積極的に国家の行為を請求する権利である社会権が規定されているという優れた特徴を持つ
共産 吉川春子 156 5 - 9
  • 25条以下の生存権など社会権は、社会的共同性、社会連帯の思想を組み入れていると考えられ、国家による配慮義務は、社会保障や労働法制等、積極的な制度設計と法整備に及ぶべき
社民 大脇雅子 156 5 - 6
生存権
  • 地震等の災害時の生活再建補償問題について、生存権の保障を実現する観点から、個人財産の補償も含めるべき
民主 富岡由紀夫 161 4 - 20
  • 生存権はプログラム規定と言われてきたが、今振り返ると、プログラム規定であっても全く無意味ではなかった
公明 魚住裕一郎 161 4 - 21
  • 25条は先進的であるが、行政が生存権の自由権的側面までを侵害しているという重大な政治問題が、学資保険の積立てを収入認定した生活保護行政などに現れている
共産 仁比聡平 161 4 - 6
  • すべての国民に健康で文化的な最低限度の生活を保障した25条は、9条と相まって戦後の日本の発展を支え、積極的役割を果たしてきた
共産 吉川春子 155 3 - 11
  • 25条は、プログラム規定である、具体的請求権は発生しないと言われているが、生存権を保障するために、立法作為義務が国会にあるのではないか
共産 吉川春子 155 3 - 11
  • 25条の具体化である最低賃金法は余りに低く、高い水準に変えていくことが求められている
共産 吉川春子 156 5 - 10
  • 不安定雇用労働者の激増、裁量労働制・変形労働時間制の導入、残業手当なしの長時間労働の横行などが働く人々を苦しめており、2001年の社会権規約委員会最終意見は、日本の生存権に関し懸念を表明している
共産 吉川春子 161 4 - 9
  • 国会と政府は、憲法の生存権の規定を、立法指針として、政治家の義務と受け止めるべき
社民 大脇雅子 155 3 - 16
<社会保障制度との関係>
  • 現在政府が強行する医療・福祉・年金の大後退は、正に憲法違反の問題が起こり得ると言うべきもの
共産 吉岡吉典 156 5 - 5
  • 生活保護始め福祉の切下げにより、25条以下の生存権規定についても、健康で文化的な最低限度の生活の保障が守られておらず、憲法と実態の乖離を埋めることこそが政治の責任である
共産 吉川春子 161 6 - 14
  • 社会保障制度自体の維持が不安定となっており、憲法が本当に守られているのか、いかされているのかを検証していく必要がある
社民 大脇雅子 155 5 - 6
  • 25条については、抽象的な規定ではなく、国民の生命や生活の維持発展に必要な仕組み、特に基礎的な社会保障については国の責任で行うことを憲法に明記すべき
国連 平野貞夫 154 II - 29
  • 国家が基礎的社会保障を行うことにより初めて公正で自由な資本主義社会の競争が実現するのであり、25条では不十分。2項は、もう少し具体的に、基礎的社会保障は国家の義務で整備しなければならないというような踏み込んだ規定にすべき
国連 平野貞夫 155 3 - 14
  • 基礎的社会保障を国の責任で整備することを憲法に明記することにより、初めて自由で自立した規律ある成熟した市場経済原理社会ができる(自由党の見解)
国連 平野貞夫 155 5 - 5
勤労の権利
  • 27条1項の勤労の権利に関し、雇用の維持、創出は基本的には民間企業経営者の役割だが、政府には、新事業等の育成、参入規制や障壁の撤廃、税制の改革などにより、企業が国際競争に耐え、雇用の維持、創出をより実現しやすい環境条件を整える責任がある
自保 近藤 剛 156 1 - 8
  • 党の憲法調査会報告(平成14年)は、勤労の場で勤労者が適正で均衡ある処遇を受ける権利を憲法に具体的に規定するなど新しい労働権の在り方の検討が必要であるとしている
民主 江田五月 155 5 - 3
  • 労働者の人権保障法制、例えば解雇規制法のようなものが必要
共産 小泉親司 154 5 - 11
  • 勤労の権利について、憲法制定議会の速記録では働く能力があり、働きたいという意欲のある者に対して勤労の機会を与える趣旨と答弁されている。憲法制定当時の労働法学者が書いた本では、限定された意味においては、労働能力を有する者が私企業の下で就業し得ない場合に、国又は公共団体に対して労働の機会を要求し、それが不可能な場合には、相当の生活費を要求し得る権利とある
共産 吉岡吉典 156 1 - 14
  • 労働基準法改悪など一連の労働法制改定は労働基本権に対する新たなじゅうりん
共産 吉岡吉典 156 5 - 5
  • 解雇規制法の制定は、立法義務に限りなく近いものではないか
共産 吉川春子 155 3 - 12
  • パート労働法を改正して均等待遇を企業に義務付ける必要がある
共産 吉川春子 156 5 - 10
  • 労働法の分野における規制緩和は、問題ごとに具体的に検討すべきであり、労働権保護の視点が重要
社民 大脇雅子 156 5 - 6
  • 勤労者の諸権利の拡大と経済的な充実抜きには、資本主義は健全なものとはならない。勤労者の諸条件の整備が健全な資本主義、健全なデモクラシーに結び付くとの発想の条文が将来憲法の中にあってよい
国連 平野貞夫 155 3 - 14
  • 国家権力・経営者に対立する意味ではない勤労者の社会的、政治的、経済的な権利の拡大は、市場経済の発展とデモクラシーの健全化に欠かせない原点であり、憲法原理の一つに入れたい
国連 平野貞夫 156 1 - 16
<勤労実態>
  • 日本の職場の実態は、国際的に見ても大変立ち遅れており、職場に憲法をいかしていくという点が重要
共産 小泉親司 156 5 - 14
  • 規制緩和や構造改革と言って、現実には若い世代が正社員として働く場を奪い、パートやアルバイト、派遣や請負など不安定雇用に置き換えてきた結果が今日の深刻な就職難ではないか
共産 仁比聡平 161 4 - 6
  • 職場に憲法なしと言われるように、思想信条を理由とした賃金その他の差別、労働者に対する人権じゅうりんが今なお存在する。サービス残業も重大な憲法違反
共産 吉岡吉典 156 5 - 5
  • ゼロコミュニスト計画のような形の労働者差別は、憲法制定やそれを受けた労働法制定当時の論議に照らしても許せない
共産 吉岡吉典 156 5 - 5
  • リストラの横行、失業者の増加、過労死等の深刻な事態は、生存権の具体的保障である27条・28条の労働権の保障からの著しい乖離
共産 吉川春子 147 2 - 10
  • 過労死が過去最多のペースで増加しており、憲法の働く権利の理念と現実が果たして妥当しているのかという観点から、調査・是正が必要
社民 大脇雅子 155 5 - 6
  • 憲法の平等規定にかかわらず、パートタイム労働者、派遣社員、契約社員に対する様々な差別が存在しており、憲法で保障された権利が現実に具体的な権利として確保されているかどうか、個別法の検証と改正が必要
社民 大脇雅子 155 5 - 6
<労働における男女平等>→5 法の下の平等 男女平等
労働基本権
  • 労働基本権には、社会の変化に伴って時代の役目を終えつつある部分と、権利がないがしろにされている部分と両面あり、これからの社会における役割を見直す必要がある
公明 山口那津男 161 4 - 5
  • 度重なるILO勧告にもかかわらず、政府は、JRの不採用事件をめぐる国家的不当労働行為の解決や、性別や思想、信条による差別の是正に消極的な態度を取り続けてきた
共産 仁比聡平 161 4 - 6
  • 労働基本権は、社会権の中で、中核的な権利であるということを強調したい
社民 大脇雅子 155 5 - 5
<労働組合>
  • 組合未加入者は有給休暇も取りにくい、雇用保険の加入率も低いなど総体として無権利に置かれている
共産 吉川春子 156 4 - 14
<公務員>
  • 度重なるILO勧告にもかかわらず、政府は、公務員の労働基本権を著しく制約してきた
共産 仁比聡平 161 4 - 6
  • 2001年の社会権規約委員会最終意見は、日本が不可欠な政府の業務に従事していない公務員についてまでストライキを全面禁止していることは、同規約8条2項やILO87号条約に違反するとし、ストライキ権の保障を勧告している
共産 吉川春子 161 4 - 9
  • スト権は強制労働からの自由という自己決定の権利だが、憲法は工場、企業の外で立ち止まると言われる。とりわけILOから勧告を受けた国家公務員法・地方公務員法には国際法上の理念から見た法改正、憲法理念の貫徹が必要
社民 大脇雅子 155 5 - 6
<ILO>
  • 日本のILOに関する条約の批准数が多くないが、国際的に取り決められた問題について、批准するなり、国内法に早く定着させるような努力が欠けているのではないか
民主 峰崎直樹 156 1 - 10
  • 国連、ILOなどの外国人のセーフティーネットのための国際規約の批准を急ぎ、同時に国内法の整備を進めるべき
民主 峰崎直樹 156 5 - 3
  • 諸参考人から、ILO条約を批准し、国内法を整備することの必要性が指摘されたことは重要
共産 小泉親司 156 5 - 14
  • 憲法は、国連憲章の精神、とりわけ労働関係法規についてはILO憲章、あるいは1944年に第二次世界大戦後の新しい世界に対応するために採択されたフィラデルフィア宣言の精神を受けたもの
共産 吉岡吉典 156 1 - 14

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