平和主義と安全保障 参考人名
公述人名
回次 -

2 自衛権の有無(集団的自衛権を含む)と自衛隊の位置付け

第9条
<今後の在り方>
  • 9条2項については、自衛隊という名の下に軍隊を持つ今日の現実に照らし合わせ、そして国際問題で責任を果たす必要があることを考えれば、現在のあいまいさに終止符を打つべきであり、憲法改正をしても良いのではないか
リチャード・A・プール 147 7 - 6
  • 9条を変えると軍備の歯止めがとれることになるが、現在の状態ではその条件が整っていない
加藤周一 150 2 - 12
  • 国際貢献をするために9条を改正するのは論理が逆であり、軍隊以外の国際貢献の方法は多くある
加藤周一 150 2 - 13
  • 戦力の不保持の規定は世界に例を見ない憲法規定であり、個人的には9条2項は改正せず、日本の平和国家の象徴としてとどめるべき
戸波江二 155 3 - 13
  • 9条に関し、自衛のためであれば戦力保持が可能との解釈から、自衛のためといえども戦力保持は不可能との解釈まで様々な解釈が存在し、神学論争が展開されるが、このようなことは、国家として異常であり、国民にとり不幸なこと
西 修 156 6 - 3
  • (1) 国際平和の希求、(2) 国連憲章に基づく国際社会における戦争違法化の確認、(3) 国際紛争を解決する手段として、武力による威嚇又は武力の行使の否認、(4) 自衛のための組織保持の明記、(5) 自衛のための組織におけるシビリアン・コントロールの貫徹、(6) 自衛のための組織の国際平和維持活動への参加と国際法規の遵守について、憲法に入れるべき
西 修 156 6 - 3
  • 世界の安全保障・日本の安全保障をめぐっては、(1) 冷戦終えん後唯一の覇権国になった米国と同盟し、軍事力によりグローバル秩序の障害物を排除し平和秩序を維持していく、武力による平和、大国中心の平和という構想と、(2) 9条の武力によらない平和、大国が自己規制をする平和という二つの構想が台頭しているが、後者の9条の構想はかなり具体的な現実的武器として活用できる
渡辺 治 156 6 - 8
  • 9条2項は「前項の目的を達するため、」の戦力不保持を言っており、厳密な防衛目的の自衛力の保持や行使を禁じていないので、この点で改憲の必要はない
坂本義和 156 7 - 2
  • 戦力保持を可能にするために9条2項を削除するとの改憲論があるが、2項を削除するだけでは戦力の性格が無限定になるため、もし改めるのであれば、保持する戦力は厳密に専守防衛の目的と能力に限られることを明文で規定すべき
坂本義和 156 7 - 2
  • 9条2項は論理的には削除した方がよいが、中国や韓国を含む近隣諸国との信頼関係を損なわないよう配慮しながら、誤解がないような形で削除すべき
明石 康 156 7 - 4
  • 9条1項に侵略戦争の否定と自衛戦争の肯定は含意されているので、1項を残して2項を削除し、代わりに、国際安全保障に日本が参画すること、日本は平和的手段の極みまで求める国柄であるが、必要な場合には国際的な安全、平和秩序のために諸国と協力して貢献することを2項に入れるべき
五百旗頭真 156 7 - 7
  • 敗戦時に自衛権まで疑われるようなものをつくり、冷戦期に日米安保条約下での経済国家としての平和的発展を基調においた日本の選択は間違っていなかったが、冷戦終結後の今は過去の9条の解釈に縛られず自ら主体的にすっきりした憲法につくり変えるべきとの意見には同意する
五百旗頭真 156 7 - 10
  • 日本にとって縛りとなるべきは、侵略戦争はしないという9条1項。日本はダイナミックな動きに対して自閉症になる衝動がないわけではなく、日本の安全と国益を国際的な共同利益と結びつけるという観点を失わず、それに沿ったダイナミックな構想力があれば、9条を廃しても第1項が残っていれば心配ない
五百旗頭真 156 7 - 12
  • 9条の改正は必要ないと思っているが、もし2項を削除して自衛戦争を認めるとするならば、相手国領土に反撃しない範囲の自衛に限定することを憲法に明記すべき
藤井富美子* 156 I - 6
  • 文理解釈で9条を考えることは限界に達している。最高裁も統治行為論により判断回避をしており、結局は主権者である国民の判断を待つよりない
植村秀樹 156 8 - 1
  • 憲法調査会は広範かつ総合的に調査を行うために設置されているのであり、9条と憲法現実との矛盾を安易な規範変更により解決するのでなく、長期的な視野に立ち、違憲の憲法現実を違憲でない方向に近づける地道な努力をしてこそ、真の現実主義である
水島朝穂 156 9 - 4
  • 9条1項は否定の必要はないが、2項は占領政策から出ているものであり、削除すべき
佐瀬昌盛 159 1 - 9
  • 日米安保条約は現実的選択として認めざるを得ないが、9条についての政府の伝統的解釈は、同条約をどの範囲で認めるかという基準を確定する上で効用を持っており、その意味で9条改正は必要なく、政府解釈も問題はあっても、原則的には維持すべき
本間 浩 159 2 - 8
  • 9条1項は不戦条約の趣旨に従って書かれたものであり、この点について改正の必要はないと考えるが、2項については改正の必要がある
森本 敏 159 2 - 5
  • 2項に、国家として自衛権を有していること、自衛権行使のため国家の防衛軍を保有すること、防衛軍は主として日本の防衛に任じ、必要に応じて国際社会の平和と安定のために国際貢献その他の活動に参加・協力できること、国家の緊急事態に際して、首相が法の定めるところにより内閣を代表し国家及び国民を統括できることなどを明記する必要がある
森本 敏 159 2 - 5
  • 国際紛争を解決する手段としての武力行使は禁止しながら、一方において自衛権を認めるという、バランスの取れた自然権を憲法上明文で認めることが必要であり、9条2項の改正以外に方法はない
森本 敏 159 2 - 16
  • 2項については、陸海空軍その他の戦力を持たないと言っているのをそのとおりと思う人はほとんどおらず、改正の必要は考えるべきではないか
浅田正彦 159 3 - 15
  • 自衛隊が国連のPKOや集団的軍事措置に参加できないとしてきた政府解釈を解釈の変更で変えることは、国家の根本法を解釈で180度変えることを意味し、国民に今以上のシニシズムを生じさせる危険性があり、変えるとすれば、憲法改正の形とすべき
大沼保昭 159 3 - 8
  • 狭義の国益の追求に執着してきた日本の対外戦略を根本的に見直し、貿易・投資・援助・環境・文化・政治・安全保障を有機的に結び付けた包括的安全保障を目指した新しい長期ビジョンの対外戦略と、それを行うための原則、ロードマップを早くつくらなければならず、そのためには、9条2項を改正しなければならない
廣野良吉 159 4 - 7
  • 国連平和維持・構築活動や安保理決議に基づく国際平和活動を国連憲章に基づいて推進することは9条2項違反となるので、憲法を改正すべきであり、国連憲章に基づいて憲法改正を考えることが、現代のグローバル社会において重要である
廣野良吉 159 4 - 8
  • 9条2項は、制定当時の日本の状況においてはよかったが、今は現実と離れており、現在の状況が国際環境の変化に対応した格好でできているのであれば、制定後五十数年たってなお何もしないというのはおかしい
廣野良吉 159 4 - 14
  • 9条1項は、世界に誇れるものであり、変えるべきではない
廣野良吉 159 4 - 14
  • 新しい9条2項は、国連憲章のその言葉をそのまま使い、世界の平和を維持するために積極的に貢献する、その際は国連憲章及び安保理決議に基づく、単に経済的な貢献だけではなく、文化的、政治的、軍事的な貢献も含む、というものにすべき
廣野良吉 159 4 - 14
  • 9条を変更して、自衛戦争や武力行使、戦力保持を認めるようなことは、憲法の基本原理の大きな変更となるだけでなく、憲法の構造にも大きな変更を加えざるを得ないものであり、改正の限界を超える
浦部法穂 159 7 7 - - 3 12
  • 憲法の平和原理は、前文、9条1項及び2項が一体となって歴史的及び比較憲法的に有意なものとなっており、9条2項のみの改正であっても平和原理の重大な変更となり、改正の限界を超える
浦部法穂 159 7 7 - - 3 12
  • 9条の改正では、1項及び2項を維持し、3項に自衛のための最低限度の武力は2項の陸海空軍その他の戦力に当たらないとの解釈条項を置くという考え方もある
竹花光範 159 7 - 15
  • 安全保障に対する具体的処方せんとして、自衛の在り方を含めて時代の変化の中で問題となる点が生じていることは否定できず、9条改正について議論すること自体には理由がある。一方で、国際協調や国際平和を真摯に受け止めて考えるべきとの問題設定自体も誤りではない。冷静な現実認識を踏まえた上で基本原理に立ち返り、将来を見据えて冷静に見極めることが必要
土井真一 159 7 - 7
  • (1) 国家主権を発動して武力で守るべき相手は米国と中国しかなく、両国とは戦争をすべきでないこと、(2) 今の日本では、守るべき大義名分が対外的にも対内的にも薄れていることを考えると、今9条を改正すべきとは思わない
五十嵐敬喜* 162 I - 14
  • 9条あればこそ、集団的自衛権は否定され、海外での武力行使は禁止されている。自衛隊員が戦闘で人を殺したり殺されたりしたこともなく、日本が紛争の火種となる時代もないのは、9条2項の理念がまだ現実を批判しリードする機能を持っている証拠と考える
澤藤統一郎* 162 I - 6
  • 国際公約として、侵略戦争はしない、その保障として軍隊を持たないとの宣言をした日本が公的に軍隊を持つと宣言することのアジア近隣諸国に対する影響を考えるべき。侵略をした者と受けた者の心理的なギャップをよく考えるべき
澤藤統一郎* 162 I - 13
  • 戦争放棄については、日本が相対的・現実的意味の平和を具体的に追求でき、明確に侵略戦争のみを放棄する形となり、さらに軍備は侵略には用いない抑止力として保持できるものとなればよいと考える
森哲也* 162 I - 6
  • 9条は現実に合わせ全面的に改正し、文民優位の原則、軍の統帥・編成、非常事態の宣言、軍法会議、国会との関係を正面から規定し、国家の超法規的軍事行動や旧軍の過ちの繰り返しが防止できるようにすべき
森哲也* 162 I - 6
  • 前文で恒久平和と侵害戦争の放棄を宣言し、裁判規範性を持つ9条で、現実の平和の概念に立脚して国防のための軍備のみは保持することを規定すれば、近隣諸国に脅威を及ぼすことはないと考える
森哲也* 162 I - 13
  • 1項は、不戦条約に由来し、国連憲章にも合致するものであり、そのまま残すことが望ましいが、2項は削除し、自衛のための軍隊である自衛隊の保持を明記すべき
高見康裕* 162 I - 19
  • 2項は日本に特殊なもので、安全保障に対する考え方が不十分であることを示している。日本は、自ら侵略をしなければ侵略されないという誤った教訓を導き出しがちであるが、そのような考え方は採るべきでない
高見康裕* 162 I - 31

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