平和主義と安全保障 参考人名
公述人名
回次 -

2 自衛権の有無(集団的自衛権を含む)と自衛隊の位置付け

集団的自衛権
<認めることの是非>
  • 集団的自衛権にかかわるような解釈の多義性を招くあいまいな部分は、1年以内にでも変えるべき
西尾幹二 147 4 - 8
  • 日本と米国がタイアップしていくには、米国とともに日本が軍事行動できることにより初めて米国から十分に保障される国家にもなる
西尾幹二 147 4 - 10
  • 米軍への攻撃が日本とその周辺で行われた場合、集団的自衛権の行使は不可避であり、日本としてはできないということであれば、安保条約そのものを損なうことになる
五百旗頭真 156 7 - 6
  • 集団的自衛権の発動については、慎重な考慮をもって適用することが重要であるが、必要な場合には行使するということは同時に確保されていなければならない
五百旗頭真 156 7 - 6
  • 集団的自衛権は最終的には高度な政策判断の問題であり、法制的に縛るのではなく、国際的な共感を維持し共同で国際的なチャレンジに対応する姿勢を取りつつ、軍事の発動に最も慎重な国でありながら必要な場合には判断するという、自ら実態を見詰める中で判断する能力が非常に重要
五百旗頭真 156 7 - 12
  • 日本が集団的自衛権を行使できるとの前提に立てば、日米同盟が強化されるし、米国に協力できる幅が広がれば米国への発言権も増す
坂元一哉 159 1 - 2
  • 日本では従来、集団的自衛権の行使は海外派兵と同一視されてきたが、両者は分けて考えるべきで、日米同盟の維持と発展のため、海外派兵を伴わない集団的自衛権の行使は積極的に認めるべき
坂元一哉 159 1 - 3
  • 集団的自衛権の限定的行使を認めるべきであり、ポイントは、(1) 憲法は集団的自衛権の行使を禁じていないという憲法解釈、(2) 日本の領域、公海及びその上空で集団的自衛権の行使を可能にする法律、(3) 実際の武力行使は法律の範囲内で極めて慎重に行うという政策の3点
坂元一哉 159 1 - 3
  • 高度に政治性を有する事柄の憲法判断はまず国会が行うべきであり、集団的自衛権の行使を前提にした法律を議員立法で制定してほしい
坂元一哉 159 1 - 4
  • 集団的自衛権の行使に関する法律は、武力行使の在り方と限界について総合的に考えてつくられた安全保障基本法のようなものの一環がよいが、広く深い議論があれば周辺事態法等既存法の改正でもよい
坂元一哉 159 1 - 4
  • アフガニスタンの問題は集団的自衛権で説明する方がすっきりするのではないか
坂元一哉 159 1 - 17
  • 憲法上、集団的自衛権を保有し、その行使は可能とするのが望ましいが、現行解釈に問題があることを明確にするため、改憲ではなく、解釈是正が正道
佐瀬昌盛 159 1 - 6
  • 集団的自衛権に関する憲法解釈が是正された上でさらに改憲するとしても、個別的自衛権と集団的自衛権は一体のものであるので、集団的自衛権の保有・行使可能をうたうのではなく、国連憲章51条の認める自衛の固有の権利とだけうたえばよい
佐瀬昌盛 159 1 - 6
  • 日本は集団的自衛権に関する解釈を是正することなく個別法制で活動の範囲を広げてきたが、このようなやり方は他国に誤解を生む可能性がある
佐瀬昌盛 159 1 - 6
  • 放置すると日本の安全に重大な影響が及ぶ事態に米国が行動する場合、米軍に対して武器弾薬を除き何でも提供できる、しかし、武器弾薬については、ピストルの弾一発でも提供すれば集団的自衛権の行使に該当するから提供できないというのは奇妙な論理
佐瀬昌盛 159 1 - 17
  • 集団的自衛権を認め、米国が自衛権の発動と主張する行動に参加を求められることは、日本にとって不利
田岡俊次 159 1 - 7
  • 集団的自衛権は行使できないとの説が有効な防波堤になり、日本は例えばベトナム戦争に引きずり込まれないですんだ
田岡俊次 159 1 - 7
  • 集団的自衛権は国家間の戦争を前提とするが、米国に武力攻撃を掛ける国家がない今、集団的自衛権を論じる今日的意味はない
豊下楢彦 159 2 2 - - 9 13
  • 日本は集団的自衛権の行使という考え方を採るべきではない。対米協力は、個別的自衛権の一つの戦術技術的な面の問題として対応できる
本間 浩 159 2 - 5
  • 集団的自衛権については、国連憲章自体が矛盾を抱えており、これを日本の対外政策の基本に据えて様々な問題を考えることには、慎重な態度が必要
本間 浩 159 2 - 13
  • 憲法は、国家の自然権としての自衛権を禁止するものではなく、個別的及び集団的自衛の権利を有し、これを行使できることは当然であるが、条文を疑義なく解釈できるよう明確かつ正確な表現に変えることが必要
森本 敏 159 2 - 5
  • 憲法の表現は、自衛権の解釈について議論を引き起こしてきたが、憲法とは国の在り方を表現する基本的な法規である以上、国内で解釈が分かれたり、諸外国に誤解を与えるものであってはならない
森本 敏 159 2 - 5
  • (1) 領域外における武力行使の禁止という解釈と(2) 集団的自衛権は行使できないという解釈が、日本の領域外における活動を阻害しており、解釈をすっきりとした形にする必要がある
森本 敏 159 2 - 6
  • 集団的自衛権が行使できないとの解釈のままでは、日本は同盟国である米国に十分な協力ができない。日米同盟が、日本、さらには東アジアの平和と安定に果たしている役割を考れば、このような事態は絶対に避けるべき
高見康裕* 162 I - 18
  • 集団的自衛権は国連憲章51条に定められ、国家の当然の権利であるから明記の必要はないとの意見もあるが、その当然の権利を行使できないと解釈してきた経緯があるので、明記することが望ましい
高見康裕* 162 I - 19
自衛隊
  • 自衛隊は、9条との関係から、他国にとり脅威になってはならないとして、一つの領土に上陸するような部隊編成を持たないが、もし島嶼部が占領された場合、上陸部隊を持たない自衛隊が国民を解放できるのかとの危機感を持つ
畠山圭一* 156 I - 25
  • 警察予備隊は、当初は軍ではなく、警察力を補完する部隊として創設されたが、情勢の変化等によって米国が政策を変更し、軍事的組織へと転換、発展していった
植村秀樹 156 8 - 1
  • 冷戦後の1996年4月の日米安全保障共同宣言は、日米安保はアジア太平洋の安定に寄与するものであり、自衛隊はその日米安保のためにあるというメッセージを発しようとしたと理解できる
植村秀樹 156 8 - 2
  • 軍事力を持たないという憲法を捨てるのか否かという観点で憲法を改正すべきではない。むしろ自衛隊などを災害的な救助隊など軍隊でない方向に純化していくべき
水島朝穂 156 9 - 15
<憲法との関係>
  • 自衛隊が憲法違反になっているような構造がそのままになっていることはおかしく、1年以内にでも変えるべき
西尾幹二 147 4 - 8
  • すべての国家が自己防衛のための権利を持つとの理由から、9条の解釈を通じて自衛隊を認知したことは正しと考える
ミルトン・J・エスマン 147 7 - 7
  • 自衛隊は、現在、解釈として合憲ではあるが、立法論としては、少なくとも9条2項を改正して明記すべき
百地 章 154 7 - 17
  • (1) 国際平和の希求、(2) 国連憲章に基づく国際社会における戦争違法化の確認、(3) 国際紛争を解決する手段として、武力による威嚇又は武力の行使の否認、(4) 自衛のための組織保持の明記、(5) 自衛のための組織におけるシビリアン・コントロールの貫徹、(6) 自衛のための組織の国際平和維持活動への参加と国際法規の遵守について、憲法に入れるべき
西 修 156 6 - 3
  • 自衛のための最小限度の防衛力を持てるとの解釈があるが、筋の通らない解釈であり、9条を客観的に論理的に解釈すれば、自衛隊は憲法違反である
上田勝美 156 6 - 5
  • 自衛隊を国防軍として保持することを憲法に明記すべき。自衛隊の武器使用の可否がよく問題となるが、自衛隊員の人権を守るためにも、武器を適切に使えるようにする必要がある
田中 夢優美* 156 I - 22
  • 今日では、国家には自衛権があり、それを実行する部隊として自衛隊を認め、自衛隊は憲法違反ではないという声が多数派であることに議論の余地はない
植村秀樹 156 8 - 1
  • 自衛隊を合憲と考える場合、憲法に緊急事態に関する条項がないことから、どのような手続を経て、どこまでを限度として自衛隊を用いるかが全くの白紙になるという問題がある
植村秀樹 156 8 - 1
  • 憲法に自衛隊の文言がないのは、自衛隊より先にできているから当然としても、後から入れればよく、それを入れなかったのは怠慢
志方俊之 156 8 - 8
  • 芦田修正により自衛隊は合憲との解釈は可能かもしれないが、疑義を残さないため、個別的自衛権のために軍隊を持つという修正はあってもよい。ただし、前提条件として、侵略戦争をしない、核を含めた大量破壊兵器を持たないなど、明確な歯止めを持つ憲法を定める必要がある
豊下楢彦 159 2 - 9
  • 将来は自衛隊の在り方を変えていかねばならないが、現実的選択として、自衛隊の存在は、暫定的には合憲と認めざるを得ない。この場合、自衛隊が内的に増殖していこうとする力にいかに歯止めを掛けるかについて、もっと真剣に考えざるを得ない
本間 浩 159 2 - 9
  • 戦力不保持規定と現実の自衛隊とのギャップは否定できないが、改憲は今の段階でも必要でない。時代とともに軍縮が進めば、自衛隊の軍備をいずれは減らす可能性もある
功刀達朗 159 3 - 6
  • 自衛のために必要な最小限度の武力は持つべきであり、現在の自衛隊がその範囲内のものであることは大方の国民が理解している。その自衛隊を憲法上認知する憲法改正は必要である
竹花光範 159 7 - 15
  • 今日的な平和の抑止力として、国境をなくしていこうという中で、わざわざ一国の主権の発動としての軍隊を憲法に入れる根拠が何なのか、少なくとも国民にはほとんど理解できない
五十嵐敬喜* 162 I - 15
  • 自衛隊の位置付けが憲法上明確でないのは問題。自衛隊は9条違反との考え方があるが、このような重要な問題について国民の間に合意がないのは異常な状態
高見康裕* 162 I - 18
  • 9条2項は削除し、自衛のための軍隊である自衛隊の保持を明記すべき
高見康裕* 162 I - 19
  • 自衛隊を当たり前の軍隊にしてはどうか。自分たちの試案では、侵略戦争は認めないが、独立と主権を守るためには国軍を保持するということを明記している
永久寿夫* 162 I - 20
<自衛隊と法の支配>
  • 自衛隊法の武器使用の最大の問題点は、警察予備隊として発足したために、警察官職務執行法の規定を準用したことである。警察とは明らかに任務が異なるので、武力の行使と区別した武器の使用の基準をきちんとつくることが重要
佐々淳行 156 9 - 9
  • 自衛隊は国内法と国際法の二元的支配を受けているが、一般論では、軍隊は国際法に違反しなければ何をしてもよいというのが原則。二元的支配により生ずる問題は、政治の側で処理すべき
西岡 朗 161 3 - 17
<海外派遣・国際貢献>
  • (1) 国際平和の希求、(2) 国連憲章に基づく国際社会における戦争違法化の確認、(3) 国際紛争を解決する手段として、武力による威嚇又は武力の行使の否認、(4) 自衛のための組織保持の明記、(5) 自衛のための組織におけるシビリアン・コントロールの貫徹、(6) 自衛のための組織の国際平和維持活動への参加と国際法規の遵守について、憲法に入れるべき
西 修 156 6 - 3
  • 自衛隊は本来戦闘集団であり、PKOなどでしている仕事は本質的に目的が異なるから、国際貢献のためには別組織が必要
坂本義和 156 7 - 11
  • 元来、憲法に基づいて、専守防衛を目的として組織・運用されている自衛隊を、頻繁、大規模に海外に派遣することには大きな矛盾がある
植村秀樹 156 8 - 10
  • 自衛隊の海外派遣問題に関する議論は、政策論より事実が先行し、憲法が一番後れているという本末転倒した事態を生み出しかねない危険がある
植村秀樹 156 8 - 10
  • (1) 領域外における武力行使の禁止という解釈と(2) 集団的自衛権は行使できないという解釈が、日本の領域外における活動を阻害しており、解釈をすっきりとした形にする必要がある
森本 敏 159 2 - 6
  • 平和維持活動等のための自衛隊派遣について、中国政府や韓国政府による強い反対は比較的着実に低下しており、中国の場合は、民主的な使命のためでかつ国連の枠組みの中であれば容認するようになりつつある
猪口 孝 159 4 - 16
  • 海外に自衛隊を出す場合の議会の関与は統一的でないが、軍事の問題は縛るのは良くないと基本的に考えており、政府がそのときの情勢により判断すべき問題と考える
西岡 朗 161 3 - 19
  • 自衛隊が国際平和活動に積極的に協力することを憲法に盛り込むべき。これにより、武器使用基準の緩和が憲法上疑義のない形で実現可能になり、さらに、世界の平和と繁栄のために主要国としての責任を果たす決意を内外に強く示すことができる
高見康裕* 162 I - 19
  • 国際協力に関する条項を憲法に設けることにより、国際平和活動への自衛隊の協力が日本の軍国主義復活につながるとの近隣諸国の誤解に基づく懸念・批判に対して説明責任を果たせるようになる
高見康裕* 162 I - 19
(武器の使用)
  • 国連の警察活動に伴う武器使用に関する受皿となる条文が自衛隊法にないため、PKO法、周辺事態法など、問題が起こるたびに特別法をつくってきたが、このようなやり方はそろそろ限界である
佐々淳行 156 9 - 3
  • 自衛隊の海外活動の基準に関する法体系を整備する必要があり、その際、他国と同様の武器使用基準を適用できるよう配慮すべき
森本 敏 159 2 - 7
  • 比較的治安状態が悪い場所における国際平和維持活動が増えており、日本が責任ある国家として積極的に国際協力に取り組む上で、武器使用基準を緩和することが必要
高見康裕* 162 I - 19

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