平和主義と安全保障 参考人名
公述人名
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3 シビリアン・コントロール

シビリアン・コントロール
  • 吉田茂は、旧軍の再現にならない再軍備という路線を貫き、背広組による制服組の管理を許し、これが戦後のシビリアン・コントロールの中核を担ってきた
植村秀樹 156 8 - 2
  • シビリアン・コントロールにおける軍のイメージは、机の上に置かれてある手入れの行き届いたピストルである。常に発動できる体制が整えられているが、引き金を引く者なしには動かない。引き金を引く唯一の者はシビリアンで、先進的な民主主義国家では、議会の信任を受けた政府の首長たる首相以外にいない
西岡 朗 161 3 - 14
  • コントロールの本質は一般には金、処遇、暴力であるが、政治と軍事の関係では暴力は軍隊が持つ。暴力に代わる力は政府に対する国民の支持であり、軍隊が政府に反抗してもそれを維持することはできないという点にある
西岡 朗 161 3 - 15
  • 暴力を持つものが強いのは当然であり、シビリアン・コントロールは、軍隊の側にその原理を受け入れる姿勢がない限り有効に機能しない
西岡 朗 161 3 - 15
  • ハンチントンは、軍隊に民主主義政治に対する不信感があるとシビリアン・コントロールは成立しないとするが、今の日本では、その不信感の要因として、憲法の理念に対して国民間にコンセンサスがないこと、政府の決断と能力に対して不信感が増大しているということがあり得る
西岡 朗 161 3 - 15
  • 日本のシビリアン・コントロールの特色は、内局制度と自衛隊の行動の法制化であるが、これはシビリアン・コントロールの必須の要件ではない。内局制度は日本の行政カルチャーから出たものであり、行動の法制化は、法律の裏付けがなければ行動できない警察の原則を警察予備隊から受け継いだもの
西岡 朗 161 3 - 16
  • 軍隊は無法の状況の中で実力を行使するものであり、逐一枠がはめられていては自由な行動ができず、不効率な運用しかできない。自衛隊の行動を限定列記するのは警察的発想である
西岡 朗 161 3 - 16
  • 自衛隊は、現状では当然のこととしてシビリアン・コントロールを受け入れていると思うが、統治勢力と政治観、憲法観、歴史観が一致している、あるいは危機感を共有していることも大きな心理的要素になっていると考える
西岡 朗 161 3 - 16
  • シビリアン・コントロールは、その国の政治的伝統により維持されるものであり、ある程度の基本原則を踏まえた上で、我々自身が確保していくもの
西岡 朗 161 3 - 16
  • 軍隊の行動についての法規範を考える際、武器の使用を法により縛ろうとするのは軍の本質と抵触するものではないか
西岡 朗 161 3 - 17
  • 戦争の後、警察が活動できるよう地ならしをするのが治安行動であるが、その中には警察のように逐一法で縛ってしまうとできない活動もある。軍隊については法の縛りをかけないことが前提であり、そこでシビリアン・コントロールの重要性が出て来る
西岡 朗 161 3 - 18
  • シビリアンの意味は、最初、王侯貴族に反抗する者、特権階級でない者、制服を着ていない者であったが、ヒットラーのような専制主義による政治コントロールと区別する意味で、シビリアン・コントロールとは、近代民主主義的立憲政治による軍隊の統制と考える
西岡 朗 161 3 - 19
  • 海外に自衛隊を出す場合の議会の関与は統一的でないが、軍事の問題は縛るのは良くないと基本的に考えており、政府がそのときの情勢により判断すべき問題と考える
西岡 朗 161 3 - 19
  • 内局制度により、何ら責任を負う必要のない官僚が軍隊をコントロールしているが、なぜ文官官僚の下にユニホームの官僚が置かれなければならないのかについて、説明はなされていない
西岡 朗 161 3 - 20
  • 政治が命令して官僚が実行するのが正常な形であるが、政治がそれをしないがために、内局制度によってシビリアン・コントロールが有効に機能しているというのは、実はおかしい
西岡 朗 161 3 - 20
<憲法との関係>
  • (1) 国際平和の希求、(2) 国連憲章に基づく国際社会における戦争違法化の確認、(3) 国際紛争を解決する手段として、武力による威嚇又は武力の行使の否認、(4) 自衛のための組織保持の明記、(5) 自衛のための組織におけるシビリアン・コントロールの貫徹、(6) 自衛のための組織の国際平和維持活動への参加と国際法規の遵守について、憲法に入れるべき
西 修 156 6 - 3
  • 自衛隊という武力集団のコントロールに関しては、文民統制が最も重要なことであり、最高法規たる憲法に明示することが望ましい
志方俊之 156 8 - 8
  • シビリアン・コントロールが明記された憲法をつくるのか、現在のように、条項はなくとも現実にシビリアン・コントロールが貫徹していればよいとするのかは、選択の問題であり、どちらが正しいという問題ではない
西岡 朗 161 3 - 18
  • 憲法に規定する場合、議会における戦争の宣言と予算の権限、行政府の長の指揮権、軍が国民の自由を不法に侵害した場合の裁判所の権限は、落としてはならない
西岡 朗 161 3 - 18
  • 9条は現実に合わせ全面的に改正し、文民優位の原則、軍の統帥・編成、非常事態の宣言、軍法会議、国会との関係を正面から規定し、国家の超法規的軍事行動や旧軍の過ちの繰り返しが防止できるようにすべき
森 哲也* 162 I - 6
  • シビリアン・コントロールを明確にするため、自衛隊の指揮監督権が首相に属すること、また自衛隊の派遣には国会の承認を必要とすることを明記すべき
高見康裕* 162 I - 19
  • 自分たちの案では、シビリアン・コントロールを担保するために国軍の最高指揮権は首相にあること、国軍に関する国会承認についても書いている
永久寿夫* 162 I - 20
文民条項
  • 極東委員会は、芦田修正により自衛のための軍隊の保持が可能になったとの解釈に立ち、文民条項の導入を迫ったが、政府は、極東委員会での議事の内容を知らず、帝国議会で文民条項について的外れの説明をしている
西 修 156 6 - 2
  • 66条の文民条項は、敗戦時に軍人の復活を恐れて、かつてユニホームを着た者を排除しようとしただけの条項と理解する
西岡 朗 161 3 - 20
軍事裁判所・軍法会議→司法 1 司法権の意義とその独立 特別裁判所

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