平和主義と安全保障 参考人名
公述人名
回次 -

4 集団的な安全保障と日米安全保障条約

安全保障
  • 9条、前文を前提として導かれる安全保障方式は、永世中立である
上田勝美 156 6 - 5
  • 世界の安全保障・日本の安全保障をめぐっては、(1) 冷戦終えん後唯一の覇権国になった米国と同盟し、軍事力によりグローバル秩序の障害物を排除し平和秩序を維持していく、武力による平和、大国中心の平和という構想と、(2) 9条の武力によらない平和、大国が自己規制をする平和という二つの構想が台頭しているが、後者の9条の構想はかなり具体的な現実的武器として活用できる
渡辺 治 156 6 - 8
  • 安全保障、軍事活動には、自衛権にかかわるものと国際安全保障への参画にかかわるものという大きく二つのカテゴリーがある
五百旗頭真 156 7 - 6
  • 日本外交は国連尊重を踏まえるべきだが、一つの基準にゆだねることは良くなく、幾つもの外交原則や基本方針を重層的に組み合わせてこそ安定した展開ができる
五百旗頭真 156 7 - 16
  • 核大国がせめぎ合うP5とは別に、カナダやオーストラリアなど核を持とうとしない先進民主主義国との連携を日本外交のもう一つの軸として、補助線として形成すべき
五百旗頭真 156 7 - 16
  • 近隣諸国が暴発したときに殺されようとも軍事力は行使しないという選択は、国民の生存に対する不誠実であり、軍事的なオプションについては残しているが、政策としてはそれに最も慎重であるというアプローチを取るべき
五百旗頭真 156 7 - 18
  • 国連憲章が、戦争に反対しながらも最終的には武力による正義、すなわち軍事的安全保障という考え方を採るのに対し、日本国憲法は、非軍事的安全保障をうたっている。この違いは、広島、長崎を経験した上での基本ルールか否かの違いにほかならない
加藤正之* 156 I - 20
  • 安全保障を考えるときの大前提となる脅威について、冷戦後は、仮想敵国という国家存在に加え、不特定の主体による攻撃や新しい種類の攻撃を考えなくてはならなくなり、安全保障戦略の策定においても、根本的な発想の転換が必要になっている
畠山圭一* 156 I - 23
  • 従来、外交戦略では抑止戦略と強制外交が重要な柱であったが、ならず者国家、宗教紛争、テロなどには、これらは通用せず、いかなる安全保障戦略が考えられるかという新しい戦略的発想が必要
畠山圭一* 156 i - 23
  • 弾道ミサイル攻撃、国際テロ、大量破壊兵器使用の可能性が増大していく中でいかにして国土の安全を確保するかという新しい戦略的発想が必要
畠山圭一* 156 I - 24
  • 世界で相互依存体制が高度に進んだ結果、日本の安全保障として、国土防衛だけを想定していたのでは日本の生存を達成できないという事態がこの50年の間に進み、他国の問題に無関心ではいられなくなった
畠山圭一* 156 I - 25
  • (1) 非核三原則、(2) 専守防衛、(3) 非化学・非生物兵器・非対人地雷、(4) 武器輸出禁止という日本の安全保障の基本四原則の下では、日本は、飛車角金銀抜きで相手と対峙するということであり、それだけに情報依存大国であってはならない
志方俊之 156 8 - 4
  • 20世紀は国家が主人公であったが、21世紀はテロやNGOなどの非国家的なアクターが登場し、その中においては、軍事力的な手段から、次第に非軍事的な手段が主流になってくる
水島朝穂 156 9 - 10
  • 今日のように相互依存の発達した複雑な国際社会の中で、ほとんどの資源を海外に頼り、国際的な交流の中で生きている日本ほど、国際社会とつながった国益を考えるべき国はない。日本一国の国益があるかのように考えるのは幻想である
村田晃嗣 156 9 - 15
  • 非武装論は、(1) 現実の安全保障をどうするかについて具体的な答えを用意できなかった、(2) 実は米軍の沖縄駐留をを前提にしていたという矛盾を抱えていた
本間 浩 159 2 - 4
  • 現状ではある程度の自己防衛能力を持たざるを得ないし、他国による防衛協力への依存も認めざるを得ない
本間 浩 159 2 - 4
  • 自衛隊の自己増殖しようとする内的な力にどのような歯止めを掛けるか、米国の増殖化する軍事協力要請をどのように制約するかが問題
本間 浩 159 2 - 4
  • 前文の文言は日本の安全保障を国連軍にゆだねるとの発想であるが、国連軍は存在しないし、将来結成されたとしても日本の安全保障に効果的な措置が採れるかについては、現状では疑義があると言わざるを得ない
本間 浩 159 2 - 5
  • 日本が当面対応すべき点は、(1) 国会・政党で憲法論議を進め、憲法・国の在るべき姿・国益などについての議論を起こすこと、(2) 憲法改正手続法の審議と手続法を実施するための体制の整備、(3) 日米同盟のあるべき姿の模索、(4) 改正手続が完了するまでの間、国家緊急事態対処法を整備し、自衛隊の海外活動の基準に関する法体系を整備すること、(5) 党派を超えて国益とは何かを個別具体的に考え、優先順位をつけること
森本 敏 159 2 - 6
  • 米国には超党派で国益委員会があり、具体的な国益が幾つかのカテゴリーで具体的に規定されていることにかんがみれば、日本において国益とリスク、あるいは防衛の在り方とを併せて今後の法整備の基礎として検討する必要がある
森本 敏 159 2 - 7
  • 憲法制定時に比べて人の交流が圧倒的に増えているが、歴史的にみれば移動に伴う支配や紛争という事例は多々あり、このような人の移動により生じる紛争は、戦争になる前にまず外交や政治によって回避する努力が必要であり、移動が増えるほど外交の重要性が高まっている
酒井啓子 159 4 - 18
  • 1951~70年の日本は、安全を日米安保体制に依存して経済発展だけに専念してきたが、日本の安全をもっとしっかり考えるべきではなかったか
廣野良吉 159 4 - 6
  • 安全保障の議論は、その行動が日本の平和と繁栄の維持増進に資するか否かという点からなされるべきであり、9条に書いてあることはすべてよく、書いてないことはすべてよくないとはならない
高見康裕* 162 I - 29
<安全保障基本法(仮称)>
  • 安全保障基本法をつくり、日本がどのような場合に防衛力を行使するかを明示することが重要
志方俊之 156 8 - 5
  • 安全保障基本法をつくり、防衛力行使の要件を明示することが、近隣諸国の日本への信頼、抑止力になる
志方俊之 156 8 - 15
  • 民族の生存権を守るための防衛と、国民の身体、生命、財産の保護という治安を最上の社会福祉とする考え方をドッキングした包括的な法律を基本法としてつくるべき
佐々淳行 156 9 - 17
  • 冷戦終えん以来十年以上たった今、日本は自らの安全保障の戦略的枠組みを明示すべき。個別の立法でその都度対応するのでなく、憲法と個別立法をつなぐ安全保障基本法のような日本の安全保障政策の全体像を示す立法を考案することが必要
村田晃嗣 156 9 - 8
  • 例えば安全保障基本法のような法律をつくって、そこで国会自身が集団的自衛権の行使の問題についての見解を示すことが可能であれば、今後の安全保障に関する立法がよりスムーズに、あるいは整合的にできるのではないか
村田晃嗣 156 9 - 8
  • 安全保障基本法を制定する機会があるならば、PKOの問題などを含めて日本の安全保障政策の大きな枠組みの法律をつくるべきであり、自衛隊の海外派遣云々に限定された立法であってはならない
村田晃嗣 156 9 - 17
集団安全保障
  • 国連憲章は、平和に対する脅威に対し、加盟国が、有効な集団的措置をとるとし、同時に、武力の威嚇又は行使を慎むとしている。これは個々の国家の自衛権行使をできるだけ少なくし、国際社会が協力して対処していくことを意味する
渡辺昭夫 156 8 - 5
  • 平和に対する脅威に対して有効な集団的措置をとる仕組みがなければならず、この仕組みが効果的でなければないほど自衛権に訴えなければならない場面が増える
渡辺昭夫 156 8 - 6

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