平和主義と安全保障 参考人名
公述人名
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4 集団的な安全保障と日米安全保障条約

日米安全保障条約
  • 米国の力が圧倒的になった中での日米同盟の在り方は非常に重要であり、軍事と再建など役割分担を重視すること、行動をともにしつつ内側から影響力を持つことが大事である
五百旗頭真 156 7 - 16
  • 米国にとり本土防衛の強化が最優先かつ喫緊の課題となった中で、同盟関係をどう調整していくかという新しい戦略的発想が必要
畠山圭一* 156 I - 24
  • 日米安保条約には、(1) 日本の安全保障と(2) 地域の安全のための貢献という二つの目的があり、今後は後者の比重が高まると思うが、この部分における日本の役割は高まっている
畠山圭一* 156 I - 33
  • 冷戦後の1996年4月の日米安全保障共同宣言は、日米安保はアジア太平洋の安定に寄与するものであり、自衛隊はその日米安保のためにあるというメッセージを発しようとしたと理解できる
植村秀樹 156 8 - 2
  • 21世紀において日米同盟は、それぞれできることできないこと等を勘案しつつ、物と人との協力に人と人との協力をバランスよく組み合わせる形で発展させていくべき
坂元一哉 159 1 - 2
  • 米国人による片務性の主張は、日本が一方的に基地を貸す義務を負い、様々な経費を出していることを知らない自己中心的な議論
田岡俊次 159 1 - 7
  • 日本人が米国の意を迎えるのは、守ってもらっているとの劣等感によるが、現実には在日米軍で日本を守る部隊はない
田岡俊次 159 1 - 7
  • 極東条項は国連決議に基づかずに在日基地を使って活動できるための枠組みが必要として出てきたものであり、当時のペンタゴンの考えではニュージーランドからソ連まであらゆる地域が極東に入っており、今の状態は当時考えていたとおりの展開と言える
豊下楢彦 159 2 - 14
  • (1) 在日基地から出動する米軍の軍事行動が国連憲章など国際法に違反した場合又はその疑義を生じた場合、その行動にどのような制約ができるか、(2) 違憲の疑いを生ずる措置を米国が軍事協力として日本に求めてきた場合に拒否できるかというのは、重大な問題
本間 浩 159 2 - 4
  • アジア諸国が日米安保条約の維持に期待する真意は、日本の軍事力増大化に対する警戒感にある
本間 浩 159 2 - 4
  • 日本の安全保障上、米軍の日本駐留を認めることがやむを得ない選択であるとしても、住民・国民の負担を少しでも軽減していくべきであり、また、現行の地位協定の改定に国会はもっと関心を寄せてほしい
本間 浩 159 2 - 5
  • 地位協定は米軍・米軍関係者の法的地位に関する協定と基地協定の両方の側面があり、緻密な対応が必要であり、また可能である。具体的には、基地の整理縮小、米軍の基地使用に日本の国内法が適用されると解釈すべきこと、刑事手続(特に米軍人の被疑者引渡)、ルーズな経費負担などの問題がある
本間 浩 159 2 - 5
  • 日米安保条約は純法理的には憲法違反の可能性がないではないが、そのような議論をしている間にも武力攻撃があり得る状況では、一種の自衛行為として、限られた意味で日米安保条約の存在を暫定的に認めていくという現実的な選択を採らざるを得ないと考える
本間 浩 159 2 - 8
  • 現在の国際環境の中で、殊に朝鮮半島の情勢を踏まえると、今の段階で安全保障条約を廃止又は改変することは、国民全体に大変な不安を与えるので、もう少し時間を掛けた段階で考えることが必要
功刀達朗 159 3 - 13
  • 日本周辺には様々な脅威が存在しており、国連の集団安全保障にすべてをゆだねて日本の平和と安全が保たれるかは非常に疑問。万が一の事態が生じたときに頼れるのは、国連ではなく米国と考える
高見康裕* 162 I - 30
  • 今後本格化する米軍のトランスフォーメーションを考えれば、日本は自前の防衛努力を強化し、さらに、米国のコミットメントを維持する努力が必要。憲法でそうした協力体制の担保ができるようにすべき
永久寿夫* 162 I - 21
<対米姿勢>
  • 国連を無視する米国の単独行動主義に心中的に付いていくことは、国連中心主義的な外交とアジアの一員というこれまでの外交の立場に矛盾するなど多くの犠牲を伴う
大井赤亥* 156 I - 1
  • 米国の国防政策は、地域ごとに脅威の形態が異なるとの認識に立ち、グローバルな問題はグローバルな組織で、リージョナルな紛争はリージョナルな論理で対応しつつ、世界の大国とも協力し、地域の特殊性を配慮しながらも世界全体として平和を構築できるようなシステムを目指す方向にある
畠山圭一* 156 I - 25
  • 米国の同盟国は皆この巨大な軍事大国との同盟関係をどう維持していくかという問題で悩んでおり、日米同盟とどう向き合っていくかは、今後ますます難しく重要な問題となる
村田晃嗣 156 9 - 8
  • 米国が安保理常任理事国である以上、米国の意向に全く反した安保理決議は通らず、そもそも国連か米国かという選択肢はあり得ない
村田晃嗣 156 9 - 8
  • 米国に対して対等になれる国はなく、対等というのは現実的でないが、できるだけ自立した姿勢を保つために、もっと国民的な努力が必要
大沼保昭 159 3 - 13
  • 米国は元々世界のリーダーシップの資質を持つ国であり、更なるリーダーシップの発揮へ国際的な期待があるにもかかわらず、最近は非常に悪い影響を世界に及ぼしている。日本や英国が一国行動主義に同調・追従することは、米国が真のリーダーシップを発揮することを阻害している
功刀達朗 159 3 - 13
  • 安保条約の廃棄は考えられないが、日米関係において日本が主体的に国益、国際的な公益を考えた上で決定できるか若干の危惧がある。日米関係がもたないとか危うくなるといった発想のみですべてを片付ける外交、政策決定は変えていく必要がある
浅田正彦 159 3 - 13
地域安全保障
  • 9条を具体的に実現するための構想の柱は、(1) 経済大国でありながら非軍事的な日本が、大国中心の国連を改革し、平和保障の機構として再建するイニシアチブをとる、(2) アジアの地域的な安全保障構想を9条の理念に沿って構想していく、(3) 世界の経済格差をそのままにして9条の実現はできないので、グローバリズムに反対する経済発展、東アジアの地域的経済圏などとタイアップした平和構想を考えることである
渡辺 治 156 6 - 12
  • アジアの地域的な安全保障構想を考える場合、日本の経済的なグローバリゼーションに対する脅威に配慮し、アジアの共存する経済構想を持った上での地域的な安全保障であることが重要
渡辺 治 156 6 - 15
  • 世界の平和保障は、経済問題を抜きには成り立たず、経済的格差やグローバリゼーションの横暴な展開を規制し、地域的経済として再建することが必要であり、そのためには、地域的経済圏、経済的共同圏をつくっていくことが必要
渡辺 治 156 6 - 18
  • アジア諸国との協力を日米安保条約と二者択一と考えず、例えば、地域の安全、平和に関することならば軍事的協力も臆せずにやっていくならば、日本人が血走った軍国主義者などとの誤解は解ける。一緒にポジティブな協力関係を具体的にやっていくことが重要
五百旗頭真 156 7 - 14
  • 東アジアにおける米軍のプレゼンスは、アジアの国同士で各国の安全保障について考えたり、地域的に連携して考える等の外交的努力を結果的に遅らせている側面があるのではないか
大井赤亥* 156 I - 2
  • ASEANのように、必ずしも共通の価値観や人権意識がなくとも、友好善隣の地域機構をつくることは不可能ではなく、何より、主体的に平和機構をつくる過程自体が、相互の信頼や共通認識を生む。長期的には、東アジアの平和機構をつくることが一番現実的な日本の安全保障の在り方ではないか
大井赤亥* 156 I - 2
  • 日本は、東アジア地域で、非核地域構想や集団安全保障構想等を実現することが急務。その場合、アジアに戦前の記憶が残っている現時点では、平和的な形で関与し、リーダーシップを取ることが必要かつ有効ではないか
北川善英* 156 I - 11
  • 極東アジア地域安全保障機構のようなものを創設し、地域の安全保障についてアジアの国々で定期的に協議する場を設け、日本の安全保障が米国一国に左右されないようにしながら、独自外交を持つようにすべき
藤井富美子* 156 I - 7
  • アジア地域にどのようにOSCE的なものをつくるかが中期的な相当大きな課題になり、それができる手前までに、少なくとも韓国、中国、日本の地域的な枠組みをつくり、その中で日本の果たす役割を明確にしていくことが日本の安全保障の道である
水島朝穂 156 9 - 19
  • 中国が影響力を持つようになると、中国と韓国・ASEAN・インドにより安全保障的なものが形成され、日本は、米国との軍事協力だけで進むと埋没のおそれがある。前記の国とどのような安全保障体制をつくっていくかという外交戦略が今ほど必要なときはない
豊下楢彦 159 2 - 15
  • 学者の間では、既に、セカンドトラックという形で、北東アジア環境協力機構、日本・ASEAN包括的経済連携協定、日本・ASEAN安全保障協定、あるいは貿易、投資、援助、環境、文化その他を含めた包括的な安全保障を基本とした東アジア共同体の構築の模索を行っている
廣野良吉 159 4 - 7
  • EUの存在理由は、戦争の火種を共同管理に移すことと、加盟国を増やすことで国境を可能な限り消し、戦争をさせないことと聞いた。今日的な平和の抑止力は、国境をなくしていくことである。将来的にはアジア憲法なども構想に入れていくべき
五十嵐敬喜* 162 I - 15
  • 可能な限り国家を相対化し、北東アジア地域で、まずは非核地帯構想から国家間の連帯をつくるべき。その場合、国民レベルの連帯と並行して国家の連帯をつくることが重要
澤藤統一郎* 162 I - 15
北朝鮮問題
  • もし北朝鮮と米国の間で戦争になった場合、日本の安全そのものが問題になるため、日本が何をすべきかは大変難しい事態になる。自衛隊派遣の要請は蓋然性が少ないとしても、邦人、外国人、被災者の救出活動はしなくてはならないのではないか
五百旗頭真 156 7 - 6
  • 平和時に罪のない一般の国民を他国が拉致することは正に侵略であり、9条にかかわる問題であるとともに、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利の尊重を定めた13条にももとり、国家の在り方として根本的に考えるべき問題を含む
畠山圭一* 156 I - 27
  • 朝鮮半島問題への対応は、米国を中心とした多国間協議の中に中国を取り込む形でいくべき
渡辺昭夫 156 8 - 13
  • 北朝鮮問題を抱えているからイラク問題で米国をサポートせざるを得ないという議論があるが、北朝鮮問題とのバーゲニングは日本の基地提供である
豊下楢彦 159 2 - 3

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