平和主義と安全保障 参考人名
公述人名
回次 -

5 国際平和とそのルール(国際法、国際連合)

国連改革
  • 9条を具体的に実現するための構想の柱は、(1) 経済大国でありながら非軍事的な日本が、大国中心の国連を改革し、平和保障の機構として再建するイニシアチブをとる、(2) アジアの地域的な安全保障構想を9条の理念に沿って構想していく、(3) 世界の経済格差をそのままにして9条の実現はできないので、グローバリズムに反対する経済発展、東アジアの地域的経済圏などとタイアップした平和構想を考えることである
渡辺 治 156 6 - 12
  • 国連には大国中心の構想と同時に百数十か国の国々を中心とした活動があり、今の国連の無力性は、大国中心主義的な制度の限界が出てきているのであり、国連改革としては、百数十か国の力を国連に反映させていくシステムが必要
渡辺 治 156 6 - 18
  • 国連は政府代表で構成されるが、民主主義でない国では政府がだれを代表しているのかという問題があり、民主主義国でも政権に代表されない意見があり、国連と世界の民衆、市民の意見との食い違いが出る。今後の国連強化では国連と市民を結び付けるチャネルが重要であり、直接選挙の欧州議会のような方向で考えないと国際組織と民主主義がずれるという課題が残る
坂本義和 156 7 - 15
  • 事務局の改革や信託統治理事会の改革など日本の利害と直接つながらない改革についても、日本が積極的に具体的提案を国際社会に対して行っていくという努力は、引き続きなされるべき
村田晃嗣 156 9 - 15
  • 各国憲法の主権在民の基本原理とは性質が元々違う部分もあるが、国連におけるプロセスに主権在民の精神をいかし、民主化する必要がある
功刀達朗 159 3 - 6
  • 国連を管理運営していく上で、多くの行動主体の協働とパートナーシップによるグローバルガバナンスというアイデアが中枢的役割を果たすと期待されているが、それには第二国連総会が設立されることが重要
功刀達朗 159 3 - 6
  • 第二国連総会は、政府代表ではなく、市民社会、企業、労働組合、研究機関、マスメディア、国会議員等、市民社会全体の代表により構成され、政府代表の国連総会とパラレルに活動することが重要
功刀達朗 159 3 - 12
<安保理改革・日本の常任理事国入り>
  • 国連が改革すべき時期に来ていることは各国から言われるが、各国の思惑が異なり、案の一本化は容易でない。日本の常任理事国入りについても、実績を積むことにより、国連自体の活性化に必要という声が上がるように仕向けるべき
明石 康 156 7 - 8
  • 日本の常任理事国入りには、ODAの利用、多面的な人権外交、軍縮外交、開発政策、環境問題等への積極的な取組による多数派工作が必要である
明石 康 156 7 - 9
  • 常任理事国に日本やドイツを入れるべきとの議論は当然で、大国志向の利己的欲求ではなく、国際社会を効率的に、フェアに運営していくために必要であると、他国に対して堂々と主張すべき
大沼保昭 159 3 - 10
  • 日本は常任理事国に胸を張ってなるべきだが、常任理事国になってもこれまでのような外交を続けるのであれば、米国が二票持つのと同じとの批判があり、これは一定程度当たっている
大沼保昭 159 3 - 13
  • 権力が集中しがちな現在の安保理に更なる権力の集中を行い、強化していくことには、疑問がある
功刀達朗 159 3 - 6
  • 安全保障には、国家レベル(国家間及び国内の秩序)、人間レベル(個人の権利と責務、福利と生存の基盤)、地球レベル(資源、環境、世代間公平)の三本の柱があり、いずれは安保理のように拘束力を持つ決定のできる委員会が少なくとも三つ成立することが必要
功刀達朗 159 3 - 6
  • 日本、ドイツ等の常任理事国入りは、望ましい方向であるが、根拠として分担金の問題を出すのは余り意味がなく、平和への貢献、その理念と実践を示した上で国際社会から歓迎されて常任理事国になることが望ましい
功刀達朗 159 3 - 10
  • 安保理の役割が冷戦後更に重要になったとの認識の一方で、余りにも権力が集中し過ぎており、人道法に関するものやテロコントロールのための権限など従来は考えられなかった権限まで持つようになった
功刀達朗 159 3 - 12
  • 必ずしも安保理の強化に重点を置く必要はなく、中小国の支持及び市民社会全体の支持をもって初めて国連はより重要な役割を果たす。安保理に集中する日本の国連政策は異常固着的な現象
功刀達朗 159 3 - 12
  • 日本が常任理事国になりたいのであれば、国連憲章が言っていることをやるということを内外にきちんと言うべきであるが、それをあいまいにしてつまみ食いしているのが日本の現状
廣野良吉 159 4 - 14
国際法
  • 近年、国際法は、慣習法上も条約法上も多くの変化が見られ、急速に発展している。ただ、平和と安全保障に関する問題について、最近の米国の単独行動主義が非常な混乱を国際法秩序に及ぼしていることは否めない
功刀達朗 159 3 - 6
  • 領域制限的な国家主権に基づく法秩序たる国際法と、現実の相互依存、多元的共生のバランスを考えると、国際法は、更に機能的な面から発展する必要があり、世界の現実から国際法を見直すことが重要
功刀達朗 159 3 - 6
<国連憲章>→国際連合
<国際刑事裁判所・国際刑事裁判所規程>
  • 日本は国際刑事裁判所規程に入るべき
申 惠ボン 156 2 - 14
<国際人道法>
  • 国際人道法、かつての戦時国際法と、平時国際法の一部と言われる国際人権法の補完性が重要であり、これは過去十数年の間に長蛇の進歩が見られている
功刀達朗 159 3 - 6
  • はっきりと平時国際法と戦時国際法を分けることができないこともあり、正に緊急事態においてこそ人権が無視されることを考えると、人道法は更なる発展が必要
功刀達朗 159 3 - 6
<ジュネ-ブ4条約>
  • 日本は、1949年ジュネーブ4条約に従い、重大違反行為処罰のための立法措置をとるべき
戸塚悦朗 154 8 - 4
<国家責任条文>
  • 国家責任条文16条では、他国の国際違法行為の実行を支援し又は援助する国は、「支援又は援助につき」国際責任を負うと規定されており、被支援国の武力行使に一体化して支援国も武力行使を行ったことになるとの法的構成は取られていない
浅田正彦 159 3 - 2
  • 他国が侵略行為を行うことについて自国の領域を使用させた場合は、使用の許容が侵略行為になるとされるが、これは、侵略行為の援助が極めて重大な違法行為に対する援助であるため、使用の許容にすぎないものが侵略行為とみなされるという例外的なもの
浅田正彦 159 3 - 2
  • 国際法では、通常の支援行為が被支援国の行為と一体化するとの理論は妥当しないが、違法行為に対する支援は、支援自体が違法行為となるので、他国の武力行使に対して援助を行う場合には、他国の武力行使の合法性について慎重かつ主体的に判断する必要がある
浅田正彦 159 3 - 2
  • 国際違法行為を行った場合に負うべき責任としては、損害賠償、原状回復などいろいろな形がある
浅田正彦 159 3 - 14
核軍縮・核廃絶
  • 核軍縮ではなく、核廃絶に向けて、日本が先頭に立つべき
上田勝美 156 6 - 15
  • 核不拡散体制は、体制外で核保有国になった国の存在、北朝鮮の問題、かなりの核兵器を持つと思われるイスラエルの現出、米国の包括的核実験禁止条約への不参加発言、国連軍縮委員会の機能不全により、大きな危機に当面している
明石 康 156 7 - 17
  • 核不拡散体制は大きな危機に当面しているが、問題意識を共有し現状を憂慮する国が一緒になり、政府間協議と並行し又はその前に民間の有識者、研究者、学者等の知恵を糾合できれば、国連の再活性化にもつながる
明石 康 156 7 - 17
  • 日本国民全体が共有した唯一の被爆体験国としての英知が、核と人類は共存できないという理念を憲法の根底に埋め込んだ
加藤正之* 156 I - 20
  • 日本はいかなる国に対しても非核・中立の立場をとるべきであり、米国の戦術核開発の動きに対しても中止を助言すべき。日本の安全は米国の核の傘により守られているとの理論があるが、核の傘に対する依存から離れ、非核の立場を世界に明らかにする時期にきているのではないか
加藤正之* 156 I
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  • 北朝鮮の核兵器保有宣言で脅威論が高まっているが、長期的な見通しの下では、朝鮮半島、日本など北東アジア地域を非核化する北東アジア非核地帯構想は検討に値する構想である
赤石千衣子* 162 I - 18
テロリズム
  • 9・11以来、テロリズムの出現に関連して、テロという見えない敵に対しては相手から攻撃を受けるまで待てないということで先制攻撃の権利が語られるようになった
明石 康 156 7 - 4
  • 米国はテロも現代的戦争と考えるが、テロに脅かされてきたヨーロッパでは、市民生活を直接脅かす治安の問題として、市民が積極的に何らかの姿勢を取るようになっており、軍事的・国家的対応は、実は市民の主体的な取組を低下させる危険があるのではないか
北川善英* 156 I - 12
  • 今後、考えられる安全保障上の脅威は、ミサイル、あるいは国家によって支援されたテロリストの活動である
畠山圭一* 156 I - 25
  • 国際テロリズム集団あるいは、いわゆる冒険主義を多用する北朝鮮のような国家の台頭に対し、部隊を整えて周辺に押し寄せてくることを前提とした憲法の国防規定では枠にはまらない部分が出てくる
畠山圭一* 156 I - 25
湾岸戦争
  • 湾岸戦争は、グローバルな経済大国となった日本に、ある国が侵略戦争を行った場合、国際安全保障問題についてどのように考え、どのような役割を引き受けるか問う意味を持った
五百旗頭真 156 7 - 5
イラク戦争
  • 日本はイラク戦争への対応によりイスラムやアラブ諸国との関係で外交資産である中立性が減ったことは間違いない
坂本義和 156 7 - 11
  • 国際社会において、国連決議又は国連の承認のない武力行使は違法との共通認識が生まれたことは、イラク戦争の一つの到達点
大井赤亥* 156 I - 2
  • 米国の攻撃は、先制的自衛権行使の点でも、一国単独行動主義の点でも、人類が膨大な犠牲の下で築き上げてきた20世紀までの平和主義の流れにさお差すものであり、むしろ19世紀の無差別戦争観への先祖返りと言わざるを得ない
北川善英* 156 I - 3
  • 米国同時多発テロとイラクを結びつける証拠はなく、大量破壊兵器に関しても、文書の捏造や情報の歪曲等があり、実際に発見もされていない。そのため、イラク戦争に大義はないと考える
植村秀樹 156 8 - 11
  • 日本は、米国の暴走を止められなかった責任の一端を負うというつもりで、イラクの復興に参加すべき
植村秀樹 156 8 - 12
  • 米国が国連憲章に基づかずにイラクに武力攻撃をしたことの違法性の問題は、きちんと国際的に処理していくべき問題
本間 浩 159 2 - 12
  • 1990年の安保理決議678にイラク戦争の法的根拠を求める米国の説明には無理があり、イラク戦争の国際法上の大義は確定されていない
森本 敏 159 2 - 11
  • 今回のイラク攻撃を小泉政権が支持した際に、英国政府と同様、水面下ではブッシュ政権に対して、国連を尊重し、国連決議後に攻撃すべきとの働き掛けは必死に行ったと理解しており、日本政府が米国追随だけとは言い過ぎであろう
大沼保昭 159 3 - 13
  • 国際信義を10年以上守らず、武力行使しなければ何も動かないような国があちこちにはびこるのは、武力が使えない日本にとり利益ではなく、何とかしなければならないが、非軍事的方法には限界があり、米英軍の武力行使の「支持」ということでよかったのではないか
猪口 孝 159 4 - 15
  • イラクや中東では、米国に依存せざるを得ないような経済状況にありつつも、政治的には米国に全面的に依存し切れない状況の中で、米国の代替としての日本という認識が高まっており、米ソ冷戦構造の崩壊以降こうした志向は強くなっている
酒井啓子 159 4 - 6
  • 自由と政治参加を求め、不正と搾取、独裁を嫌うという人類普遍の価値基準をイラク人も求めているに過ぎず、その意味では日本の民主憲法は、イラク人の今後の憲法制定や民主政権の設立に対して十分モデルになり得る。特に軍事独裁体制に対するアレルギーというイラク人の今の心情から考えれば、日本の戦後の経験は十分共感を得る内容ではないか
酒井啓子 159 4 - 10

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