基本的人権 参考人名
公述人名
回次 -

12 新しい人権(知る権利、プライバシーの権利、環境権、生命倫理、犯罪被害者の権利など)

プライバシー権
  • プライバシー権は、13条から読み取ることができると解されており、それで十分ではないか。むしろ、立法による具体化、制度化が重要ではないか
戸松秀典 154 5 - 3
  • 個人情報保護法制の整備が問題とされるにつれて、自己に関する情報の開示を請求するという積極的な権利としての側面も認められるのではないかという議論がある
初宿正典 154 6 - 4
  • 十分に13条で読み込み得るから、改めて明文で取り入れる必要はない
初宿正典 154 6 - 6
  • 個人的な性の事柄について、これを批判して中傷するのは人権侵害であることを分かってほしい
柳原良江* 154 II - 30
  • プライバシーは国際人権規約17条に規定され、これを受けた国内法が今必要なのであり、まだ必ずしも煮詰まっていないことを憲法に抽象的な規定として書くことが当面の課題ではない
日弁連
村越 進
154 9 - 7
  • 名誉毀損については、民法上のものと刑法上のものが区別され、民法上の損害賠償には懲罰的要素は入れないというのが基本的考え方であり、今の法律の枠内では、懲罰的損害賠償を認める議論は難しい
濱田純一 155 4 - 10
  • 知る権利、プライバシーの権利は憲法に言葉としては登場しないが、重要な人権として認めていこうというのが社会的すう勢
田島泰彦 155 4 - 4
  • プライバシーの権利について、学説は一般に13条の幸福追求権に含まれる憲法上の権利として認めており、判例も一般的には不法行為の保護対象としてこの権利やその利益を承認している
田島泰彦 155 4 - 5
  • プライバシーの権利は人間の尊厳や自立に不可欠であり、高度情報化社会の到来を考えるとその強化・拡充が求められ、今日では単にひとりで放っておいてもらう権利として消極的に考えるのでなく、自己情報のコントロール権として積極的に構成する考え方が有力になりつつある
田島泰彦 155 4 - 5
  • プライバシーの権利が市民が知ってしかるべき公共的情報を隠ぺいする口実になったり、表現・メディアを規制する手段として利用されては大変。表現の自由など、他の憲法上の人権と慎重に調整し、きめ細かい対応を探る必要がある
田島泰彦 155 4 - 5
  • プライバシーの権利や個人情報保護制度については、官に対しては自己情報のコントロール権を徹底させ、厳格に規制し、民間に対しては緩やかに、とりわけ表現・メディアに対しては表現の自由の観点から法規制は謙抑するなどの配慮が必要
田島泰彦 155 4 - 5
  • 知る権利やプライバシーの権利などの新しい人権については、内容・範囲・機能など検討すべき点が多く、性急に憲法に書き込むことは弊害も懸念される。議論や実務が成熟した段階で初めて憲法改正の具体的議論の条件が整うのであり、今すぐ改憲に取り組むのは時期尚早
田島泰彦 155 4 - 5
  • プライバシーの範囲は、(1) 公共的な地位や権力の行使等に預かる度合いが強いほど社会が正当に知るべき事柄は増えるので、どういう人なのか、(2) 事柄が公務にかかわるのか、という二つの座標軸を組み合わせて考えていくことが必要
田島泰彦 155 4 - 7
  • 米国などでは、大統領などの地位の人は、全人格的判断が必要として、通常ならプライバシーとして保護される男女関係の問題も報道対象になると理解されているようだが、基本的に妥当である
田島泰彦 155 4 - 7
  • 名誉毀損やプライバシー侵害に対する損害賠償額の妥当性については検討すべき問題があるが、額の問題だけが独り歩きするのは危険であり、表現の自由の範囲、他の救済手段との関連等も視野に入れて議論すべき
田島泰彦 155 4 - 11
  • 最高裁はプライバシーに関して、事案ごとに検討する態度をとってきたが、みだりに指紋押捺を強制されない自由を認めた平成7年の判決の中でプライバシーの語に言及し、平成15年の江沢民講演会名簿提出事件判決の中で、氏名・住所・電話番号などの個人識別情報もプライバシーに係る情報として法的保護の対象となることを正面から認めて注目された
赤坂正浩 161 4 - 13
  • 今日の学説は、個人情報に対する技術的手段の飛躍的発展を背景に、プライバシー権の観念を私生活の秘密の保護から拡張し、個人が自分についての情報の流れをチェックできる自己情報コントロール権と理解している
赤坂正浩 161 4 - 14
  • 学説は、自己情報コントロール権を認めつつも、個人が政府機関や団体に対して自分の情報の開示・訂正・削除を求めるには、憲法上の権利だけでは不十分で、具体的な法令の整備が必要と考えてきた
赤坂正浩 161 4 - 14
  • プライバシー権や環境権を憲法に追加することは、理念を明確化し、幸福追求権規定の過重な負担を解消するという点で意義がないわけではないが、個別法の発展状況を見ると、どうしてもというほどの緊急性や不可欠性を持つとは言えない
赤坂正浩 161 4 - 15
  • プライバシー権や環境権は13条でカバーされている問題であり、権利を実現しつつ他の利益との調整を図っていくのは、正に立法府の賢明な判断にかかっている
赤坂正浩 161 4 - 18
<個人情報保護>
  • 個人情報保護法案には、収集制限に関する明確な規定がない、行政機関等による目的外利用を広く認めている、安全確保義務違反に対する罰則がない等、個人情報保護の観点から重大な問題があり、抜本的な見直しが必要
日弁連
村越 進
154 9 - 4
  • 自己情報コントロール権は言葉が独り歩きしており、社会生活の中で自己情報をすべてコントロールできるわけではなく、ある程度の情報が社会的に利用される場合に、どういう合理的、安全なシステムであればよいのかという問題
濱田純一 155 4 - 15
  • セキュリティとして、だれがいつ個人情報を引き出したのか記録に残るシステムや不当な行為に対する懲戒等の処分など制度的手当をしておくべき
濱田純一 155 4 - 15
  • プライバシーの権利や個人情報保護制度については、官に対しては自己情報のコントロール権を徹底させ、厳格に規制し、民間に対しては緩やかに、とりわけ表現・メディアに対しては表現の自由の観点から法規制は謙抑するなどの配慮が必要
田島泰彦 155 4 - 5
  • 機微な情報や莫大な情報を持つのは国や自治体であり、個人情報保護規制は、民間より行政機関に対して厳しく行うべき
田島泰彦 155 4 - 9
  • 最高裁は、平成15年の江沢民講演会名簿提出事件判決の中で、氏名・住所・電話番号などの個人識別情報もプライバシーに係る情報として法的保護の対象となることを正面から認めて注目された
赤坂正浩 161 4 - 14
<個人情報保護法>
  • 個人情報保護法案のような報道機関に対する一定の制約について、直ちに憲法違反になるとは考えておらず、憲法政策上の適不適の問題である
濱田純一 155 4 - 2
  • 個人情報保護法案(当初案)の五つの基本原則がメディアに適用されると、政治・行政の不正に対する取材・報道の現場が委縮し、裁判に訴えられる口実を与えるとの危惧が指摘されてきた
田島泰彦 155 4 - 3
  • 個人情報保護法案の大臣による改善・中止命令や罰則を伴う義務規定については、報道機関が報道目的で扱う個人情報は適用除外とされているが、文学作品やワイドショーなどが広く規制されうる、主務大臣が報道目的か否かを認定する構造でよいのか等様々な批判が提起されてきた
田島泰彦 155 4 - 3
  • 平成15年に、民間事業者も対象とする個人情報保護法や、行政機関個人情報保護法、独立行政法人個人情報保護法が制定され、自己情報コントロール権を実質化する全国的レベルの法制度がようやく整えられた
赤坂正浩 161 4 - 14
<住民基本台帳ネットワーク>
  • 基本的に情報は漏えいのおそれがあるということであれば、過度に個人情報を集中しないことが最大の対策であり、何から何まで集中して一元管理をするという方向自体が非常にリスクが大きい
日弁連
村越 進
154 9 - 15
  • 行政の効率化などのために何らかの形でネットワークを組むのはやむを得ないが、セキュリティの仕組み、データ管理の仕組みなどについては、もっと議論を詰めるべき
濱田純一 155 4 - 12
  • (1) 自己情報コントロール権の保障の点から、個人の選択の自由が制度的に確保される、(2) 憲法の地方自治を前提とするなら各自治体に加入・離脱の選択権が保障される、最低限この二つの仕組みが整備されない以上、違憲の疑いが強い
田島泰彦 155 4 4 - - 12 15
  • 国民全員に番号を振り、コンピューターで一元管理されると、その番号を媒介に納税者番号として利用されるなど生活が丸裸にされる危険性があり、恐ろしさを感じる
田島泰彦 155 4 - 15

ページトップへ