二院制と参議院の在り方 参考人名
公述人名
回次 -

1 一院制・二院制の長所・短所及び是非

二院制
  • マッカーサーは貴族院があまりにも民主主義的でなかったので、一院制を主張したのではないか。二院制は日本との交渉の対象になる点としてマッカーサーも理解し、譲歩されたもの
リチャード・A・プール 147 7 - 17
  • 松本烝治は二院制採用の趣旨を、「世界多数国ノ例ニ倣フ」、貴族院の伝統を墨守するという理由からではなく、「不当ナル多数圧制」の「抑止」と「行過ギタル偏倚」の「制止」にあるとした
高見勝利 159 i - 3
  • 松本烝治が二院制採用の背景として、「左右何レニ向テモ過激ニ偏頗」する国民性と「軽シク時ノ勢力ニ阿附スル事大性雷同性」を指摘している点も留意しておきたい
高見勝利 159 i - 3
<意義・役割・是非>
  • 同じ内容を、違った角度から出てきた民意でもう一度考えてみることが二院制の価値
小林 節 151 3 3 - - 7 8
  • 同じ問題を二度考えるのではなく、違う問題をそれぞれ重点を置いて考えることが二院制の意味
飯尾 潤 151 3 - 8
  • 参議院が異なる角度から多様な民意を反映し、審議を慎重に行い、衆議院に対する抑制と均衡の機能を果たす点に、二院制の存在意義がある
中村睦男 151 4 - 2
  • 代表を通じた国民による政治監視・統制のルートが複数あることはよい
小澤隆一 151 6 - 9
  • 国民意思を形成する場合、国民の多面性・多元性を反映し、二院により国民意思・利益を統合・形成するのがふさわしい
隅野隆徳* 154 I - 6
  • 一院制から二院制への移行は、独裁政治から民主政治への移行、社会主義からの転換、連邦制を導入した新国家設立の場合などに見られる
高見勝利 159 i - 5
  • 90年代半ば以降、一院制から二院制への動きが少し出ている。一院だけで代表できる民意以外に何らかの形で民意を吸収し、立法等に反映させていくという考え方があるのではないか
高見勝利 159 i - 8
  • 先進国で大国はすべて二院制であり、存在意義は多くの国々で認められている。一時期の一院制への移行は比較的小国の場合で、むしろロシアなど一院制から二院制への移行もある
岩井奉信 159 ii - 2
  • 日本は有権者が1億245万人を超え、どのような選挙制度を取るにしても多様な意思を一院で集約できるか相当疑問であり、両院制を維持することが妥当
大石 眞 159 ii - 3
  • 二院制には意義があり、政権争い以外の政治を処理する機関が存在することは奥行きのある政治をもたらす
飯尾 潤 159 iii - 9
<特徴・問題点>
  • 現憲法は部分的に衆議院優越規定はあるが、基本的には両院平等
中村睦男 151 4 - 11
  • 日本は両院がほぼ対照型で、参議院の役割が極めて強い
曽根泰教 151 8 - 8
  • 二院制は、衆参不一致による国家運営の停滞という欠陥を内蔵する
早川忠孝* 154 I - 3
  • 現在の二院制は参議院が強すぎる点が問題。参議院も選挙で選ばれると両院のバランスが難しくなる
早川忠孝* 154 I - 6
<今後の在り方>
  • 衆参独自の存在意義を国民に認めてもらうことが重要であり、両者の代表・機能の在り方が異なっていることを明らかにすると同時に、立法部としての一体性・立法をしていくことの有効性を担保していくというバランスを保つことが重要
岩井奉信 159 ii - 2
  • 両院制の在り方、会期制度などマクロ的問題は、各院が独自に検討するのではなく、合同審査会のような場で議論し、各院独自の機能・意義を発揮できる体制を全体としてつくり上げていくことが重要
大石 眞 159 ii - 15
  • 二院制の意義を評価する者ほど政治的有効性感覚や民主主義に対する満足度が高く、投票に行く割合も高いことが実証されており、二院制の意義を有権者により感じさせることが間接代議制を機能させるかぎと言える
小林良彰 161 i - 2
一院制
  • 二院制では第一院で傷付いた少数派の権利・利益が第二院で治癒・修復されうるが、一院制ではその可能性はないので、一院制の場合、少数派の意見表明・審議権の確保が論点になる
高見勝利 159 i - 2
  • 一院制に移行した北欧のある国では、少数派が最終議決までの一定期間の据置きを議長に求める権限や法案を国民投票に付すよう要求する権限などが憲法で保障されている
高見勝利 159 i - 2
  • 多数派主導の一院制議会の立法に対する憲法的統制の手段として、一定数の議員が法律の憲法適合性審査機関への申し立てを行い疑義に決着を付ける制度の採否も、一つの論点になる
高見勝利 159 i - 2
  • 一院制では解散権行使の濫用が問題となる。日本では首相の自由な解散権行使が事実上容認されており、解散の趣旨・目的から、国民の判断を仰ぐ一定の合理性があるものを憲法で限定列挙して濫用を防ぐ方策を講じるべきかも、一つの論点になり得る
高見勝利 159 i - 2
  • 一院制に移行するとした場合、96条の憲法改正案の発議要件中「各議院の総議員の」3分の2以上の賛成とある部分の改正を伴うため、憲法改正規定の改正の可否との関係についても詰めるべき
高見勝利 159 i - 2
  • スウェーデンでは長年の慣行(両院合同会議)から一院制に移行した
高見勝利 159 i - 6
  • 二院制から一院制へは、一種のねじれ現象が生じたときに思い切って移行する場合がある
高見勝利 159 i - 6
  • ノルウェーは一本の選挙で選ばれた人の4分の1を上院に互選し、残りが下院に残る。院は二つに分けているが、実際には両院にまたがった常任委員会が活動の中心であり、基本的には一院制である
高見勝利 159 i - 7
  • ノルウェーの例は、一院制中心の北欧諸国の流れからきている感じがする。二部会制には、立法府を分かつことで強力な立法権にブレーキをかけ、少しでも審議を慎重にさせる動機が読み取れる
高見勝利 159 i - 7
  • 一院制議論というよりも二院制をどういかすかという議論の方が生産的である
岩井奉信 159 ii - 2
  • 参議院が強くなり自民党体制の一角が崩れ、強さが政策運営の邪魔になってきたことから、一院制の議論と弱い参議院という議論が出てきた
蒲島郁夫 159 ii - 5
  • 北欧は一院制であるが、小政党の代表がいたり女性が多いのは、完全な比例代表制によることが大きい。また、どの国も人口が300万程度であり、国民と国会議員の距離が日本とは異なる
大山礼子 159 iii - 14
  • 一院制では、議会を構成する多数政党がそのまま内閣を構成するため、結果として立法府に対する行政府の権限強化につながる
小林良彰 161 i - 1
  • 一院制ではドラスチックな変化が行き過ぎることがあり、政治的安定性が失われることも起こりうる
小林良彰 161 i - 1
  • 一院制論者には地方議会の一院制を理由とする者がいるが、地方自治体は、直接公選の首長と地方議会の二元代表制を根幹とする
小林良彰 161 i - 1
  • 今後、行政権が内閣ではなく、首相に帰属すれば、より国民主権に近付き、国民のコントロールの利いた行政権ができる。その際は二院制が必要か、行政権との相対関係で考える必要がある
五十嵐敬喜* 162 I - 12
  • 憲法裁判所や道州制が導入された場合、すべて議会で二重チェックの必要があるかという問題もあり、他の権力との相関関係の中で、あるべき姿を模索すべき
五十嵐敬喜* 162 I - 12

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