３　両院間の調整－意思不一致の場合等の調整の在り方

• 対等な両院制を採用した場合には、(1) 両院不一致の場合の調整、(2) 一院のみが内閣不信任決議をした場合の内閣総辞職の問題や(3) 他院の立場の問題、(4) 内閣が解散権を行使した場合の他院の解散の問題、(5) 同時解散の問題、(6) 一院のみの解散の場合の議員の任期等、衆参両院と内閣との三者関係において解決しなければならない問題が続出する

• 両院制の在り方、会期制度などマクロ的問題は、各院が独自に検討するのではなく、合同審査会のような場で議論し、各院独自の機能・意義を発揮できる体制を全体としてつくり上げていくことが重要

• 憲法上両院の権能には差があるにもかかわらず、衆議院における法律案の再議決要件として、３分の２以上の多数を要求することは、実は両院の権能の均等化を招来している

• 議院内閣制の本来の趣旨を機能させるため、参院選の結果が政権交代に結び付かないように、参議院が首相指名を行わないことや、衆議院における法律案の再議決要件を過半数にすることも一案

• 衆議院における法律案の再議決要件は、事実上、参議院の拒否権が認められたような格好で、両院の意見が一致しない間は決まらない点で疑問。国民意思を迅速に反映して決定する方法の検討が必要

• 衆議院で３分の２を必要とする現行の要件は、衆議院の過度の優越を抑え、慎重審議と国民意思の公正な反映を保障するものと考える

• 参議院の権限の強さは構成員の民主的正当性の強度に対応。再議決要件を緩和し参議院の権限を削減するなら、その程度に応じ参議院議員の選出方法見直し、任期延長も検討する必要が生じる

• 憲法は参議院に非常に強い立法権を与えているが、３分の２の要件ではなく、停止的な拒否権あるいは遅延権の形で衆議院が自分の意思で可決して通していく仕組みが考えられる

• 法案を両院で完全に通さなければならないとすると、緑風会のようにはいかない。多少法案の面で衆議院優越を認めていけば、党議拘束のない自由闊達な議論が進み、緑風会的なものが復活するのではないか

• 再議決については、本当に必要な場合はありうるという意味で今の憲法でよいのではないか

• 衆議院の再議決要件改正の議論に行く前に、まず両院協議会の使い方を考えてはどうか

• 議院内閣制の本来の趣旨を機能させるため、参院選の結果が政権交代に結び付かないように、参議院が首相指名を行わないことや、衆議院における法律案の再議決要件を過半数にすることも一案

• 両院協議会は今のような形では実質協議にならないから、持ち方に工夫の余地がある

• 両院協議会は、衆参それぞれ案を可決した側から委員を選ぶため、成案を得ることが難しく、機能していないのは残念

• 両院の性格が異なるのであれば、衆議院の議決を優先する発想に立ち、両院協議会の参議院側委員は議席比例で選んではどうか。ただし、与党も含めて衆議院に対抗する必要がある場合は、選び方を変え、一致協力して対抗するという運用も一案ではないか

• 衆議院の再議決要件改正の議論に行く前に、まず両院協議会の使い方を考えてはどうか

• 両院の意見が分かれているのに３分の２の賛成を得ることは難しく、両院協議会が機能しなくなることにつながるので、両院協議会の議決要件を３分の２より引き下げる必要がある

• 両院協議会の議決要件を３分の２から変え、両院協議会を活性化させることが両院平等の原則に立ち返り参議院のチェック機能をいかすことになる