司法 参考人名
公述人名
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2 法の支配と司法の民主化

司法の民主化
  • 司法は、多数決民主主義に支配されないという意味で非民主的機関であることに意味がある。司法の民主化や開かれた司法は、司法の独立を脅かすおそれもあり、微妙なバランスの問題
小林 節 151 3 - 2
  • 国民主権の観点から司法権の正統性を担保するため、内閣による裁判官の任命、最高裁裁判官の国民審査、国会による弾劾裁判の制度などを設けている
内閣法制局 151 9 - 7
  • 立法は、弾劾裁判という形で司法に対するチェックを行う
最高裁判所 153 3 - 1
  • 行政は、最高裁長官については指名、最高裁判事については任命、下級裁判所判事については最高裁の作成した名簿の中からの任命という形で司法に対するチェックを行う
最高裁判所 153 3 - 1
  • 下級裁判所裁判官に任期制を設けた趣旨は、主権者である国民から遊離しないため
佐藤幸治 154 2 - 7
  • 国民主権の下での司法であり、裁判官は国民から裁判権を信託されているとの意識をより強く持つべき
佐藤幸治 154 2 - 7
  • 司法制度改革審議会意見書は、裁判官指名のための名簿を最高裁が作成する過程に国民が参加する諮問機関のようなものの設置を言っているが、これは、司法権の独立侵害ではなく、司法権の正当性強化のため
佐藤幸治 154 2 - 7
最高裁判所裁判官の国民審査
  • バツ印をつけて罷免を可とする投票数が多数にならなければならない制度で運用しているため、直接民主制的制度としての実効性は乏しい
中村睦男 151 4 - 3
  • 裁判官を罷免すべきか否かを決定する趣旨の制度であり、白票を積極的に罷免する意思を有するものではない者の数に入れる現行法の規定は合憲(最高裁判所裁判官国民審査事件判決)
最高裁判所 153 3 - 2
  • 現行制度は、現実的な運用としては使い勝手が悪く、改善すべき
早川忠孝* 154 I - 10
司法制度改革
<司法制度改革の重要性・方策>
  • 過度の事前規制・調整型社会から事後監視・救済型社会への転換を可能とするための社会的インフラの中核にあるのが司法・法曹
佐藤幸治 154 2 - 4
  • 政治改革・行政改革により政治の役割が大きくなると、政治をチェックする仕組みとしての司法の役割が重要になる
佐藤幸治 154 2 - 4
  • 司法制度改革審議会意見書は、司法制度改革の方策として、(1) 国民の期待に応える司法制度の構築(制度的基盤の整備)(2) 司法制度を支える司法の在り方(人的基盤の拡充)(3) 国民的基盤の確立(国民の司法参加)を掲げている
佐藤幸治 154 2 - 4
  • 司法制度改革は、自律的な個人を基礎にし、より自由で公正な社会、透明な社会をつくるという点で、行政改革など一連の制度改革と一貫しており、諸改革の最後のかなめとなる
佐藤幸治 154 2 - 11
  • 司法改革の基本的考え方は国民を統治の主体にすることであるが、実際の社会に存在する統治の主体たり得ない人への目配りが必要。人権委員会等の機関は目配りを考慮した組織であるべき
常本照樹 156 3 - 6
<行政訴訟制度の改革>
  • 行政裁判を改革して、市民がどんどん行政を相手に裁判を起こせるようなシステムにすべき
中村睦男 151 4 - 9
  • 行政事件訴訟法の改正と同時に、一審については行政裁判所をつくるという方法もある
中村睦男 151 4 - 9
  • 司法権にどの範囲で行政権の判断を覆す権限を与えるかという三権相互の関係等国の制度の根幹にかかわる問題
最高裁判所 153 3 - 8
  • 英米法的な法の支配に転換し、司法権に行政事件の裁判も入るとしながら、行政訴訟制度の実態は、戦前の考え方を相当引きずった制度であった
佐藤幸治 154 2 - 14
  • 現行の行政訴訟制度は、(1) 行政が公益の実現者であることを余りにも強調しすぎる、(2) 司法権はもう一つ信頼し切れない、という考え方から出来ている
佐藤幸治 154 2 - 14
  • 現行の行政訴訟制度は、(1) 首相の異議、行政の第一次的判断権の強調など近代法治国家原理の例外が多過ぎる、(2) 行政計画に対する審査に慎重過ぎるなど現代型訴訟に対応しきれていない
佐藤幸治 154 2 - 14
  • 行政訴訟は、要件が厳しく、間口が狭いため、やっても無駄という状況にあるが、司法改革の中で改めていくべき
日弁連
村越 進
154 9 - 8
  • 現在は話を聴く耳を持つところがなく、中立的な行政裁判所ないし憲法裁判所をつくってほしい
山本節子* 154 I
I
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<刑事裁判制度の改革>
  • 被疑者弁護制度の導入、連日的開廷、裁判員制度の導入など全体的な仕組みの中で、従来とは異なる直接主義、口頭主義的な裁判を行うための詰めた議論を期待する
佐藤幸治 154 2 - 13
  • 司法制度改革審議会の提案する刑事司法は、(1) 不適正な取調べ防止、新たな時代に対応しうる捜査、(2) 検察官の資質向上、検察審査会の一定の議決への法的拘束力の付与、(3) 事前の争点整理の充実、連日的開廷による迅速化、争いのある事件についての直接主義・口頭主義の実質化、(4) 裁判員制度の導入、(5) 被疑者・被告人の公的弁護制度の整備を内容とする
三井 誠 156 3 - 5
  • 現在の司法制度の問題点は、(1) 刑事司法の民主化・国民の司法への主体的参加、(2) 弁護の充実化、(3) めり張りのある刑事裁判の実現、(4) 捜査段階の適正化の4点であり、司法制度改革審議会の提案は、これらにかなり対応したもの
三井 誠 156 3 - 5
<裁判の迅速化>
  • 訴訟当事者が多い事件、専門性が求められる事件への対応が今後最大の課題
最高裁判所 153 3
3
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7
9
  • 裁判官を増員し、審理期間を短縮できるようにすることも考えるべき
最高裁判所 153 3 - 9
  • 違憲立法審査がある程度の審理期間を要することは、三審制を採用している以上やむを得ないが、憲法論が争点となっている訴訟については、審理の充実、迅速化のため更に努力していく
最高裁判所 153 3 - 5
  • 日本の場合、開廷間隔が長いので、その観点からの迅速化を図る必要がある。開廷間隔は、裁判員制度が伴うことにより、迅速化が図れるのではないか
三井 誠 156 3 - 11
  • 迅速化のために形式的に期間を定めると、複雑・大規模な事件では被疑者・被告人の権利とのぶつかり合いが生じる
三井 誠 156 3 - 11
  • 自白事件でも丁寧にやり過ぎているために時間を要している面もあり、めり張りをつければ迅速化が図れるのではないか
三井 誠 156 3 - 11
国民の司法参加
  • 司法と国民の関係をより密接なものにするという観点で、非常に意義があるが、制度の具体的設計では、司法の独立との関係等から、参加の態様、権限等について詰めた検討が必要
内閣法制局 151 9 - 7
<参審制・陪審制・裁判員制>
  • 法曹はプロとして独善化するするおそれがあること、法曹一元も国民からはなれ合いと見られる向きもあることから、これらを解消する一つの有力な方法として、裁判員制度を導入すべき
佐藤幸治 154 2 - 8
  • 司法制度改革審議会意見書は、司法への国民参加について、まず裁判員制度を導入して新しい経験を積みながら、陪審制も含めて将来の課題として考えてよいとのスタンスに立つ
佐藤幸治 154 2 - 11
  • 裁判員制度を導入するなら、証拠開示が一層重要になる
佐藤幸治 154 2 - 13
  • 無罪の場合に検察官に上訴を認めるかという問題は、裁判員制度導入の際に表面化しないか。上訴を認める場合には、控訴審の構成につき裁判員が必要かとの議論も附帯して出るであろう
常本照樹 156 3 - 13
<憲法との関係>
  • 陪審、参審、裁判員制度については、違憲論や答申などに法的拘束力を持たせなければ合憲との主張もあるが、憲法上一向に差し支えないと考える
佐藤幸治 154 2 - 9
  • 裁判を受ける権利(32条)における「裁判所」を構成するのは職業裁判官だけではないと考えており、陪審制や参審制も憲法上可能
佐藤幸治 154 2 - 9
  • 傍証的であるが、37条の「公平な裁判所」の英訳はトライビューナルであり、米国のような陪審員の入った法廷を考えているとも思え、憲法は陪審制や参審制にむしろ積極的とも考えられる
佐藤幸治 154 2 - 9
  • 明治憲法と異なり、32条が保障するのは裁判所の裁判を受ける権利であり、裁判官による裁判を受ける権利ではない。英米のように陪審員も裁判所の不可欠の要素と考えれば、陪審も含めて構成される裁判所における裁判を32条が保障すると解することは可能
常本照樹 156 3 - 3
  • 裁判官の独立は、第一に政治部門からの独立を意味すると解され、陪審による一定の拘束は問題にならず、かえって司法行政権による裁判官へのコントロールを阻害するという意味で実質的独立性を高めるとも言える。そもそも合議制の裁判において、個々の裁判官が完全に独立した判断を貫徹できないのは当然
常本照樹 156 3 - 3
  • 英米型の陪審制は憲法に違反するものではないし、参審制もほぼ同様の理由で合憲性を認めることができる
常本照樹 156 3 - 3
  • 市民が裁判官から独立して判断する陪審制は誤判の確率が高いとの指摘があるが、専門的訓練を受け経験を積んだ裁判官の審理への参加によりその問題が軽減されるとすれば、市民と裁判官が協働する参審型の方が32条の公正な裁判の要請に適合することになる
常本照樹 156 3 - 3
  • 裁判官と市民が対等な立場で裁判に参加し、互いの能力と経験をいかしながら有罪無罪の判定も刑の量定も協力して行い、評議の内容に基づいて裁判官が判決文を書くという裁判員制度は、大筋において憲法に適合した制度ではないか
常本照樹 156 3 - 4
法曹の養成・一元化
<法曹の在り方>
  • 判検交流については、司法制度改革の問題として考えるべき
中村睦男 151 4 - 9
  • 将来的には法曹の数を増やし、法曹一元にし、弁護士から判検事になるのがよい
中村睦男 151 4 - 9
  • 日本の法曹人口が少ない(国際比較)のは、社会の在り方が行政に比重を置く体制であることが背景にある
佐藤幸治 154 2 - 3
  • 司法制度改革の根幹は、質量ともに豊かな人材をいかにして得るかにあり、社会の様々な分野への法曹の進出が、社会における法の支配の徹底に寄与すると考える
佐藤幸治 154 2
2
2
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8
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  • 司法制度改革審議会意見書は、判事補が社会経験のため、弁護士、検察官、行政官等裁判官職以外の法律職、専門職種に長期間携わってもらうことを提言している
佐藤幸治 154 2 - 5
  • 社会の現場にあって、人間の現実の生活に直接触れている弁護士を中心に優れた人が裁判官が選ばれることは好ましい
佐藤幸治 154 2
2
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5
8
  • 現在、弁護士の広報・広告は自由化の方向にあるが、基本的にはユーザーたる国民の立場に立ち、利用しやすい司法・法曹を考え、情報を豊かに流す仕組みを工夫すべき
佐藤幸治 154 2 - 6
  • 判検交流だけではなく、検事から判事へ、判事から検事へ、弁護士から検事へというように相互に交流があってしかるべき
佐藤幸治 154 2 - 14
  • 司法制度改革審議会では、弁護士から良い人が本当に任官してくれるか不安もあり、直ちに判事補制度を廃止することは困難ということになった
佐藤幸治 154 2 - 11
<法曹の養成・法科大学院>
  • 司法試験は、資格試験と言いながら猛烈な競争試験になっており、本来法曹として望ましい人材が敬遠するという傾向も見受けられた
佐藤幸治 154 2 - 6
  • 法曹は社会生活上の医師であり、豊かな人間性を育む必要があり、豊かな教養を身に付けた上で法曹のプロとして教育するという役割を大学が担うべきとして、法科大学院構想に至った
佐藤幸治 154 2 - 6
  • 厚い層を成す法曹の中から、立派な人が裁判官に選ばれることが望ましく、裁判官と弁護士・検察官の資格を分けるべきではない
佐藤幸治 154 2 - 6
  • 裁判官に人権意識を持ってもらうことは重要であり、ロースクールにおいて人権意識を持った法曹の育成に努めていきたい
常本照樹 156 3 - 6
  • 人権問題にかかわった実務家や当事者に授業を担当してもらうことや、インターンシップなどを通じて、人権問題の現場をロースクールの中で学生に体験させることも重要ではないか
常本照樹 156 3 - 13

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