２　住民自治・基礎的自治体の強化、住民投票制

• 首長と議会は車の両輪であって地方議会の活性化は不可欠

• 地方分権を考えるのであれば、地方自治法で議員定数の上限を規定すべきではない

• 地方分権を行うには条例が必要であるが、地方議会の力を低くして優れた条例はつくれない。議員定数の削減を良しとする流れが強まっているが、地方自治体の立法能力が失われることになるのではないかと危惧する

• 住民の多数を占めるサラリーマンが地方議会の議員候補になることは事実上不可能。公民権行使の保障、供託金の減額・貸与、だれでも利用できる選挙事務所等多くの課題がある

• 機関委任事務が法定受託事務と自治事務に変わり、原則的にすべてに条例制定権が及ぶようになったことを受けて、議会提案の政策条例を行うなど議会がその権能をいかしていこうという方向にある

• 首長の直接選挙は国における議院内閣制と矛盾は生じない

• なぜ首長を議会が選挙するような形としなかったのかは疑問。どちらが良いかはわからないが、議論がなされてもよいのではないか

• 多選を重ね、かつ高齢の首長となると問題があるとの意識は地方分権推進委員会の委員の中にもあったが、最終的には住民が決めるべきものということになった

• 保育、教育、介護、ごみ処理など今後重要視される問題は、地域の実情に即して地域の意見に対応して処理していくべきものであり、法律より条例で決めることに適した部分がある

• 地方自治法は具体的かつ限定的に刑罰を定めることを条例に委任したものにすぎず、売春勧誘行為等について罰則を定めた条例は、31条に定める手続によって刑罰を科すものということができ違憲ではない（条例罰則規定事件）

• 自治体自身が憲章をつくり、それを基に地方自治を展開していくのが基本の姿ではないか

• 全国の自治体で基本条例により自らの法体系をつくるという動きがあるが、それを憲章と名付けることも含め、現憲法の範囲内でこたえることができると考える

• 地域性が重視される時代には、自治体の設計も、例えば、東京と沖縄が同じ必要はなく、議院内閣制や、議会を置かない政府等、新たに多様な自治体の設計図を描くことが許されるべき

• 政令指定都市は名実ともに県から独立してはどうか。それが都道府県レベルの再編につながるのではないか

• 教育や地域の安心・安全などのためには、「地域力」がキーワードになると考える。ある程度大きな自治体をつくりつつ、その中で地域のコミュニティーをいかに残していくかが重要となる

• 地方公務員改革として、職員の任期制、民間からの大幅な採用増、職員に対しての住民による信任投票を検討すべき

• 今後の地方自治体においては、司法的な権能を持つ部門を何らかの形で設ける必要がある

• 大都市については、行政区に選挙による議会をつくり、住民が政治的に参加できる仕組みを明確につくるべき

• 大きな市になると民意がくめないので、もう少し住民のチェック機能や提案機能を考えていくべきではないか

• 市町村が独自に紛争解決機関までつくることは三権分立から難しいと思われ、簡易裁判所や家庭裁判所の数を増やしたり、効率を図ることの方が重要

• 社会福祉の問題について、国と地方自治体のどちらが実質の主体なのかを国民的に議論すべき

• 住民のニーズの多様化・複雑化を踏まえて地方分権を考えた場合、社会的規制をすべきものとすべきでないものを細かく精査する必要があるのではないか

• 介護保険の中身は、厚生労働省令により実質は中央が握っているが、真に地方分権を進めるのであれば、市町村にすべてを任せるべき

• 裁判はお金も時間も要し、市民としても話を聴いてほしいとの気持ちも強いので、地域にも紛争解決機関をつくるべき

• 地域の紛争解決を司法に任せることは誤りであり、結局、地域の問題は市町村に任せるべき

• 基本的人権としての知る権利に基づいて情報公開条例を策定させ、公共事業を行う企業も説明責任を果たすべき

• 産官学の取組は必ず住民に開かれたものにしてほしい

• 市町村は千程度にと言ってきたが、最近そのような議論が高まっている

• 合併は市町村が自主的に決めるべき問題であるが、市町村の力を強めないと市町村が行政を行っていくことができない。自主的な合併等を通じて力を強めるための環境整備をしていくことが必要

• 地方自治法上は、適正規模規定や廃置分合規定があるにもかかわらず、合併のみをもって規模の適正化を語るのはおかしくはないか

• 市町村段階で賛成・反対論を議論しようとすると、賛成・推進の側に立って国が乗り込んでくる事態となっており、分権改革から見て正しい在り方なのか

• 小規模市町村では、できれば合併したくないが、地方交付税の制度改革などを口にされると反論できないという雰囲気がある

• 農林業は面積を必要とする産業なので、人口密度が低いのは当然であり、小規模市町村を消してしまうような合併を推進すると、農林業地域における地方自治はゼロになるのではないか

• 市町村の適正規模には多様な認識があり、風土、歴史、産業の力等も考慮して考えることが必要

• 小さくてもやっていこうという意思を尊重していくことも地方自治・地方分権の現れではないか

• 補助金等を一つのえさとして、市町村合併を中央主導でやっていくことには疑問を持つ

• 広域連合は、国の権限の受け皿となる言わば国の直轄自治体であり、広域連合に市町村の事務が移されることにより、自治権が少しずつ奪われているという現実がある

• 自治体が20万人から30万人程度の適正なサイズであれば、一般住民にとっては、広域的な行政の必要性はそれほど出てこない

• 住民投票は国民主権を具現化する直接民主制的な意味における民主主義に非常に調和的

• 市町村合併こそ住民投票に最も適した問題ではないか

• 首相公選の前提として、住民投票を増やし、国民の政治参加の雰囲気をつくり上げればよい

• 原子力発電所の立地は、国のエネルギー政策を特定の自治体において実現するという点で特定の法律を特定の自治体に適用するのと同様であり、立地をめぐる住民投票は、95条の特別法についての住民投票に相当する意義を持つと考える

• 市町村合併についても、市町村合併特例法の適用の可否の選択を住民に迫るものであり、住民投票によって行うべき

• 住民投票は、地方議会の無視・軽視になるとの議論があるが、地方議会が制定した条例に基づき行うものであり、地方議会の軽視にはならない

• 地方自治法は、住民自治を直接請求など直接民主主義の規定により保障しようとしており、適切な住民投票の実施は当然考えられるべき

• 市町村合併は、歴史的・文化的・地域的なものがあるので、住民投票が必要

• レファレンダム等は自治体においては是非入れるべき。義務的、拘束的な意味におけるレファレンダムを入れてこそ初めて住民自治が確立する

• 直接民主主義は例外的に法定されている場合にのみ認められるべきであり、混乱に拍車をかける場合もあるので、住民投票は抑制的な運用が望ましい。住民投票に頼ることは議会に信用がないことの裏返しでもあり、根本的な地方議会の自立、自己責任が求められる