6 「平和主義と安全保障」に関する調査

 平成15年5月からは、日本国憲法をめぐる最大の焦点となっている「平和主義と安全保障」のテーマの調査に入ることとなった。まずその総論として、「憲法前文と第9条」について2回調査を行い、その後、各論的事項について調査を進めることにした。

 各論の進め方については、議論の焦点を絞るとともに効率的に審議を行うため、各論テーマを設定することとし、(1) 憲法と自衛権、自衛隊、(2) 憲法と集団安全保障、集団的自衛権、日米安保、(3)憲法と国際法、国際連合、(4) 憲法と国際平和活動、国際協力、(5) 憲法と緊急・非常事態法制、の五つが設けられた。「平和主義と安全保障」をめぐる諸問題を、グローバルな視点から現在の我が国が直面する安全保障問題とも絡ませて調査しようとする試みであった。

 また、このテーマに入ってからは、参考人質疑に引き続いて各回とも委員相互間の自由討議を行うこととし、活発な議論が行われた。

学識経験者等からの意見聴取(第156回国会~第159回国会、第161回国会)

 憲法学者をはじめとする学識経験者等を招致し、意見を聴取し、質疑を行った。

 「憲法前文と第9条」に関し、平成15年5月7日に西修氏(駒澤大学法学部教授)、憲法学者の上田勝美氏(龍谷大学名誉教授)及び憲法問題に詳しい渡辺治氏(一橋大学大学院社会学研究科教授)から、5月14日に国際政治学者の坂本義和氏(東京大学名誉教授)、明石康氏(元国連事務次長)及び政治史研究者である五百旗頭真氏(神戸大学大学院法学研究科教授)から、それぞれ意見を聴取し、質疑を行った。

 「憲法と自衛権、自衛隊」について、7月9日に植村秀樹氏(流通経済大学法学部教授)、志方俊之氏(帝京大学法学部教授)及び渡辺昭夫氏(財団法人平和・安全保障研究所理事長)から、それぞれ意見を聴取し、質疑を行った。

 「憲法と緊急・非常事態法制」について、7月16日に、佐々淳行氏(元内閣安全保障室長)、水島朝穂氏(早稲田大学法学部教授)及び村田晃嗣氏(同志社大学法学部助教授)から、それぞれ意見を聴取し、質疑を行った。

 「憲法と集団安全保障、集団的自衛権、日米安保」について、平成16年2月18日に、坂元一哉氏(大阪大学大学院法学研究科教授)、佐瀬昌盛氏(拓殖大学海外事情研究所所長)及び防衛問題に詳しい田岡俊次氏(朝日新聞記者・AERAスタッフライター)から、2月25日に、豊下楢彦氏(関西学院大学法学部教授)、国際法学者の本間浩氏(法政大学人間環境学部教授)及び安全保障政策を専門とする森本敏氏(拓殖大学国際開発学部教授)から、それぞれ意見を聴取し、質疑を行った。

 「憲法と国際法、国際連合」について、3月3日に、浅田正彦氏(京都大学大学院法学研究科教授)、国際法学者の大沼保昭氏(東京大学大学院教授)及び功刀達朗氏(国際基督教大学大学院教授)から、それぞれ意見を聴取し、質疑を行った。

 「憲法と国際平和活動、国際協力」について、3月17日に、国際政治学者の猪口孝氏(東京大学東洋文化研究所教授)、イラクを中心として、中東の現代政治に詳しい酒井啓子氏(独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センター参事)及び廣野良吉氏(成蹊大学名誉教授・NPO法人平和構築・民主化支援委員会理事長)から、それぞれ意見を聴取し、質疑を行った。

 さらに議論を深めるべきものとして「憲法前文と第9条(国際平和活動、国際協力等を含む)」について、平成16年11月10日に、西岡朗氏(元防衛研究所研究部長・元ボン大学客員教授)から特にシビリアン・コントロールを中心に意見を聴取し、質疑を行った。

委員相互間の意見交換(第156回国会~第159回国会、第161回国会)

 各調査会では、参考人質疑に引き続き、委員相互間の意見交換が行われた。前文の平和主義の解釈、第9条の評価、自衛権の行使の在り方、自衛隊の海外派遣、緊急・非常事態法制の在り方、集団安全保障、集団的自衛権、日米安保、憲法と国際法、国際連合、国際平和活動、国際協力等について、それぞれ活発な議論が交わされた。

 第159回国会の平成16年4月7日には、「平和主義と安全保障」について、これまでの調査を踏まえて、締めくくりの自由討議を行った。第9条の在り方、集団的自衛権、国際貢献等について意見が相次ぎ、また、人間の安全保障、国連安全保障理事会常任理事国入り、不戦国家宣言等への言及もあった。

 さらに、第161回国会の平成16年11月10日に、さらに議論を深めるべきものとして「憲法前文と第9条(国際平和活動、国際協力等を含む)」を取り上げ、意見交換を行った。

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