9 中央公聴会

 参議院憲法調査会では、国民とともに論議していくことを基本方針としており、国民が共通して関心を持ち、21世紀における我が国の在り方に重要なかかわりを持つテーマについては、積極的に公聴会を開催して国民の意見を聴くこととした。

 公聴会の開催については、地方ごとに行うことも検討されたが、本調査会で行っている憲法三大原則に沿った大枠の調査テーマごとに、全国から完全公募方式で、公述人希望者を公募し、提出された意見を基に、幹事会が公述人を選定して、国民からの意見を聴取する、中央公聴会方式を採ることが決められた。第1回の公聴会は平成14年2月20日に行われ、平成17年2月21日の最終回まで、計4回の公聴会を行った。

 公募に際しては、10代から70代まで、幅広い層からの応募があった。公聴会においては、学者、学生、弁護士、弁理士、歯科医師、ジャーナリスト、地方議会議員、自営業者、在日外国人、主婦、障害者団体代表等、様々な立場の公述人から憲法に関する多様な意見が述べられ、活発な質疑が行われた(公述人一覧は本報告書末尾収録の「審議経過」参照)。

「国民主権と国の機構」に関する公聴会(第154回国会、平成14年2月20日)

 数多い重要な論点の中から、特に本調査会において関心の高い「国会の在り方と二院制」及び「地方自治と地方分権の在り方」をテーマに、公聴会を開催した。「国会の在り方と二院制」について、3名の公述人から、参議院の任務、選挙制度の在り方等について意見が述べられ、質疑を行った。また「地方自治と地方分権の在り方」については、4名の公述人から、市町村合併政策、国と地方の分担の在り方、広域連合制度等に関する意見が述べられ、質疑を行った。

「基本的人権」に関する公聴会(第154回国会、平成14年5月15日)

 国民の生活に密接な関係を持つことから、調査会において本格的論議に入る前に、国民の関心や考えを聴くことが適切と考え、「私たちにとっての人権」をテーマとして公聴会を開催した。在日外国人、障害者団体代表などの8名の公述人から、外国人・障害者・女性・子供の人権保障の在り方、健康保険制度等に関する意見が述べられ、質疑を行った。

「平和主義と安全保障」に関する公聴会(第156回国会、平成15年6月4日)

 平和主義は日本国憲法の基本原理となっていること、同時に、近時の国際環境の変化も大きく、国民の安全保障問題に対する関心も深まっていることから、特定の問題に絞ることなく、広く国民の関心や考えを聴くことが適切と考え、「平和主義と安全保障」をそのまま公聴会のテーマとして、公聴会を開催した。

 8名の公述人からは、国際連合、個別的自衛権と集団的自衛権、核廃絶、安全保障、平和的生存権、国家緊急権、第9条の改正等に関する意見が述べられ、質疑が行われた。

「今後の日本と憲法について」に関する公聴会(第162回国会、平成17年2月21日)

 そして、5年間にわたる憲法調査会の調査を締めくくるに当たって、「今後の日本と憲法について」をテーマに、憲法のこれからの在り方を私たちはどのように考えるべきか、また憲法をいかすためには何が必要かを聴くため、公聴会を開催した。

 8名の公述人からは、統治機構の在り方、憲法教育、平和主義、知的財産権、家族条項の在り方、地域主権、財政規律、参議院の在り方等、多岐にわたる論点について意見が述べられ、質疑が行われた。

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