3 女性天皇など皇位継承の在り方

 皇位継承については、象徴天皇制にかんがみ、国民の支持が得られ、かつ、日本の歴史や伝統に配慮した制度であるべきことが言われている。憲法は皇位を世襲のものと定めるが、皇位継承については、国会の議決する皇室典範によるものとした。同典範では皇統に属する男系の男子が継承すること等が定められている。この点に関し、女性による皇位継承を認めるか、女性天皇の是非について議論がなされ、

  • 党の新憲法起草小委員会の検討(平成17年)においては、女帝問題を含め、皇位継承の資格や継承順位については、皇室典範において規定することが適当であるとしている(自由民主党)、
  • 女性天皇の是非を論ずる際の前提問題として象徴概念の純化を図るべきである、
  • 皇位継承者が男子に限られている皇室典範は改正すべき、
  • 女性天皇賛成が80%という世論調査もあり、そういうものも考えていくべき、
  • 男子誕生のプレッシャーを天皇家に掛けるのは良くない。女性天皇は過去にも存在したし、時間がたってから仕方ないからということではなく、早急に皇室典範を変えるべき、
  • 皇室典範の改正により女性天皇を認めることは可能であり、天皇を男子に限る合理的根拠はなく、女性天皇について内閣が検討することについては賛成である、

など、本憲法調査会では、女性天皇を認めることについて、おおむね共通の認識があった。

 なお、女性天皇の是非の議論は、男女平等など平等原則の適用に加え、人間の尊厳や個人の尊重の問題など基本的人権とも密接な関係を有する。天皇及び皇族の人権について、その地位から一定の制約がなされることは憲法が定める例外であるとされるが、

  • 天皇・ロイヤルファミリーにおいても、特殊性はあっても一人の人間としての人格は基本的に守られるべき、
  • 天皇も国民の一人として人権が尊重されるべきことは当然であるが、象徴としての立場を全うするために様々な人権が制限されており、憲法上、特別の存在であることも否めず、いかに折り合いをつけるかという問題になる。ただし、プライバシーなどについては、国民一人一人も思慮を持って臨むべき、

などの意見が出された。

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