[国会]

1 統治システム及びその相互関係

 立法府、行政府、司法府それぞれの三権の在り方について、これまでに増して、それぞれ説明責任や相互チェックを充実させていかなければならないという状況を踏まえ、議論が行われた。

三権分立

 三権分立の重要性・必要性はこれからも変わらないというのが、共通した認識であった。

  • 三権分立は、日本の統治システムを機能させるために不可欠。行政と立法のチェック・アンド・バランスはかなりうまくいっているが、司法と行政、司法と立法の関係はそうは思えない、
  • 権力分立は、自由を守るために不可欠の手段である、
  • 三権分立は、三権の抑制、均衡により権力の濫用を防ぎ、立憲主義と法の支配の目的を達成しようとするもの、

などの意見が出された。

 また、三権分立の制度・運用について、

  • 党の憲法調査会中間報告(平成16年)は、三権分立が行政優位型になっていることから、権力分立に関する明示的な規定をしっかりとつくるべきとしている(民主党)、
  • 行政の肥大化現象の中で三権分立が採りにくい現状になっていることを前提として、三権分立をどのような形で現代的に整えていくのかという大きな問題がある、
  • 議員立法を増加させることにより行政優位の流れを変え、行政国家現象に対して、国会による行政コントロールを強化することが権力分立の一つの大きなポイント、
  • 三権分立は抑制と協調の微妙なバランスの上に成立するが、日本では、特に司法と立法の関係が若干協調の方に振れているのではないか、

などの意見が出された。

統治システム

 これからの統治システムの在り方については、権力者たちがみずからの権力濫用を防止するために自己に課す立憲主義的な構造が求められるとの考えが国際的にも強くなっている。このような我が国のガバナンスの在り方等について、また、その担い手として、特に注目されるNPO・NGOとの関係について、議論された。

  • 党の論点整理(平成16年)は、国会及び内閣の政治部門について、政治主導の政策決定システムをより強化し、時代の変化に即応してスピーディーに政治判断を実行に移せるシステムとすることについては共通の認識が得られたとしている(自由民主党)、
  • 世界経済グローバル化が進んだ今日、統治構造の在り方を考える上で、中央政府と地方政府、NPO・NGO等の関係に加え、国際社会の中で国連や国連以外の地域的な協力の枠組みにどの程度信頼を寄せるかについて議論することが必要ではないか、
  • 憲法を考え直すときには、地方自治体、公益法人など公共セクターに参画する多様な主体との関係を憲法に位置付けるべき、
  • NGO・NPOは、国民の声を反映させるという点で注目すべき。カナダや北欧諸国のように、徹底した情報公開の下で市民が情報を入手し、NGOを通じて意見を発信する、政府も議会制民主主義を補完する回路としてNGOを奨励するといった方向で、推進していきたい、
  • ソフトパワー、ヒューマンパワー、情報力にウエートを置いた国づくり、社会づくりという観点からは、従来のヒエラルキー型組織(株式会社、業界団体、官庁)ではなく、コミュニティー、ネットワークやそれを支援するための組織(学校、保育所、医療機関、社会福祉施設、NPO、NGO)が憲法上もより重要な位置付けをされるべき、

などの意見が出された。

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