[二院制と参議院の在り方]


 二院制と参議院の在り方については、「第2部 調査経過の概要」で述べたとおり、主として、平成16年2月に本調査会に設置された「二院制と参議院の在り方に関する小委員会」における調査が中心となった。参議院を守るための議論と受け止められないよう、最初に二院制ありきということではなく国民にとって一院制と二院制のどちらが望ましいかという立場から、良識の府として議論することが大事であるとの意見を踏まえ、熱心な議論が行われた。同小委員会は、平成17年3月9日に、小委員会調査報告書(本報告書の巻末収録)を多数で議決し(日本共産党は反対)、調査会に提出した。

 同報告書は、小委員会で共通認識が得られたものとして、(1) 二院制の堅持、(2) 両院の違いの明確化のための、参議院改革の必要性及び選挙制度設計の重要性、(3) 参議院議員の直接選挙制の維持、(4) 参議院が自らの特性をいかして衆議院とは異なる役割を果たすべきこと(長期的・基本的な政策課題への取り組み、決算審査及び行政監視・政策評価の充実など)、(5) 現行憲法の衆議院の優越規定はおおむね妥当であり、両院不一致の場合の再議決要件の緩和には慎重であるべきこと、をあげた。

 また、今後積極的に検討すべき問題として、(1) 参議院と政党との関係(党議拘束の緩和、参議院から閣僚を出すことを含む)、(2) 参議院の構成・選挙制度、(3) 会期制、(4) 予算、特定の条約・法案等の参議院における審議の簡略化、(5) 参議院が独自性を発揮すべき具体的分野等にかかわり、会計検査院の位置付け、同意人事案件、司法府との関係、国と地方の調整、憲法解釈機能・違憲審査的機能、をあげた。

 本調査会では、2回の中間報告を含めた小委員会からの報告に加え、「国民主権と国の機構」における参考人質疑、二院制をテーマとした公聴会における質疑等を踏まえて、第161回国会及び第162回国会に意見交換を行った。小委員会報告書で示された共通認識は本調査会で確認され、おおむね妥当であるとのとらえかたが大勢であったが、新たに

  • どの政党でも政策立案活動の主翼は参議院議員が担っているのは事実、
  • 行政監視委員会における縦割り所管を超えた行政監視、苦情請願制度等の活用に期待する、

などの意見が出された。

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