1 一院制・二院制の長所・短所及び是非

(小委員会における議論)

 一院制を支持する意見は効率的な意思決定や円滑な政権交代、また両院の役割・機能分担や調整の困難さ等の点を挙げる。これに対して、二院制を支持する意見の多くは慎重審議や多様な民意の反映等の点を理由とする。一院制及び二院制それぞれの長所・短所は、いわば表裏の関係にあり、両者の長所短所についても様々な意見が出されたが、その結果、1億人以上の人口を有する我が国では多様な民意を反映させるためにも二院制は不可欠である等の意見が出され、会派を超えて二院制を堅持することで一致した。ただ、迅速な政策判断が求められる現代にあっては、効率的な意思決定と円滑な政権交代を可能にすることは、二院制を採用する場合でも忘れてはならないとの指摘もなされた。

 なお、現状の参議院が様々な課題を抱えることも事実であり、参議院の改革が今後も必要であることは各会派とも認識が一致した。この点に関し、両院の権能、選出方法、役割が似ていることが二院制の意義が薄れがちになる背景であり、それをそのまま維持すべきではなく、両院の違いを明確にすることが国民に理解を得る上でも重要との意見が出された。

 改革の方向としては、抑制均衡・良識・再考の府としての役割をはっきりさせるべき、などの意見が出された。

(調査会における議論)

 二院制の堅持、改革の必要性等の基本的な認識では小委員会と一致し

  • 両院の権能、選出方法、役割が似通っていることが二院制の意義が薄れがちと言われる背景であり、参議院の独自性、特に良識の府、再考の府としての役割を明確にし、調査会で確認し、国民にアピールしていくことが重要である、
  • 議院内閣制の下で一院制を採用すると、行政府に対するチェックが弱まり、肥大化する行政権力、官僚制の弊害がひどくなるという懸念がある、
  • 国会には(1) スピード感のある民意の集約・合意の形成と(2) 多様な民意の反映が求められるが、一院制では両者の充足は不可能であり、二院制 により二つの機能を分担し、補完しあうことが必要、

などの意見が出された。

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