[今後の課題]

 憲法調査会が報告書をとりまとめた後の憲法調査の在り方など、今後の課題について、国民の間の理解・議論を深めるべきなど、様々な角度から問題提起がなされ、

  • 憲法改正の必要性については、依然として国民間で理解されてはおらず、憲法改正論議が政党主導あるいは政治主導で国民不在に陥らないよう細心 の注意が必要である、
  • (1) 法の支配の確立、(2) 国際環境の重大な変化、(3) 我が国民主主義の原点の再構築、(4) 無謀な戦争をしたという原点から、憲法改正の必 要性を整理すべき、
  • 国の根幹の法である憲法という性格上、その取扱いには国民大多数の理解を得る必要があり、そのためには超党派的な幅広い合意形成を目指すべきで、国家の基 本、根幹の問題で、国論を分裂させるような事態は避けるべき、
  • 憲法論議において、国民の理解と支持をいかに得ていくかが非常に重要であるので、人間の尊厳や人々の連帯・共生など新しい社会創造に向けたアクティビ ティーを新憲法制定の議論とともに起こしていくというメッセージを発信していく必要がある、
  • 憲法を議論する際、日本の在り方についてのベースとして、(1) 安心して暮らせる社会、(2) 平和主義の実現、(3) 夢と希望を持 てる社会の実現を置き、国民の間で十分議論をすべき、

などの意見が出された。

 また、報告書を提出した後の憲法調査会の在り方、憲法調査機関の必要性と関連し、憲法調査会において憲法改正手続についての議論を続けるべきとの意見が出される一方、憲法調査会は存続すべきでないとの意見も出され、

憲法調査会において議論を続けるべきとの意見
  • 憲法改正手続、国民投票制度については早急に整備すべき。そのため、本憲法調査会において引き続き調査検討ができるようにするか、本調査会又 はこれを継承する本院の機関において調査検討、立案、審議、議決ができるようにするか、措置する必要がある、
  • 実体法と手続法は密接不可分であり、また、国民が積極的に憲法改正手続に参加するためにも手続法は大変重要な意味を持つので、憲法調査会の重要な調査内容 として当然含まれるべきであり、今後は丁重な論議を国民を巻き込む形で、この憲法調査会を主な舞台としてやっていくべきと思う、
  • 手続法としての国民投票法を具体的に議論していく段階であり、今回の五年間の調査の区切りを一つの節として、国民投票法が本調査会で議論をされて成案が図 られていくということが望ましい、
  • 憲法議論は、現状では国民の関心は非常に低いと言わざるを得ず、国民的な関心と共通認識をつくるためにも国民に信頼を持たれるような議論をもっともっと続 けていくべきで、新たな枠組みになるかどうか別にして、調査会を継続することを要望する、
憲法調査会は存続すべきでないとの意見
  • 本調査会を憲法改正、特に9条改正の足掛かりにすることは許されないと考えており、報告書を議長に提出して役割を終えれば、静かに幕を下ろす べき(日本共産党)、
  • 最終報告の後は、本調査会は解散し、憲法理念の実現を目指す国民の様々な論議と実践の場に国会議員も参加をしていくべき(社会民主党)、

などの意見が出された。

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