第4部 まとめ

III 主な論点のうち意見が分かれた主要なもの

 自民、民主、公明の3党の間においても意見が一致しなかったもののうち、主要なものを掲げた。本文では、細線のアンダーラインを付している。

(1) 前文の理念・内容 (※ 前文)
 憲法前文に書かれるべき理念・内容については、現行の三原則のほか、歴史、伝統、文化などが出されたが、見解は分かれた。
(2) 元首 (※ 第1条関係)
 天皇をいわゆる元首と解すべきか、またその旨を憲法に明記すべきであるか否かについては、意見が分かれている。
(3) 第9条第2項の改正の要否 (※ 第9条第2項関係)
 戦力及び交戦権の否認を定める第2項改正の要否については意見が分かれた。
(4) 集団的自衛権を認めることの是非 (※ 第9条関係)
 集団的自衛権を認めるかどうかについては、(1) 認める、(2) 認めない、(3) 制限的に認める、と立場が分かれた。さらに、認めるとする立場であっても、憲法で明記すべきか、憲法解釈により可能であるかについては、意見の対立があった。
(5) 自衛隊の憲法上の明記 (※ 第9条関係)
 憲法に明文で書くか、書くとすればどのような書き方になるかは意見が分かれた。
(6) 国際貢献の憲法上の明記 (※ 前文、第2章関係)
 国際貢献について憲法上明記するか否かについては、意見が分かれた。さらに、PKOや国連の決定に裏打ちされた多国籍軍などにも積極的に参加するかどうか、軍事面についても貢献を行うかどうかについては、これを積極的に推進すべきとする意見と、非軍事力による国際貢献に限るべきとの意見とに分かれた。
(7) 緊急・非常事態法制 (※ 第2章、5章関係)
 日本国憲法には、緊急事態あるいは非常事態を想定し対処する規定が設けられていないが、新たに憲法上明記するか否かについては意見が分かれた。
(8) 人権と公共の福祉との関係 (※ 第12条関係)
 これをどのような方向で実現していくか、また義務規定を重視するか否かという点で見解が分かれた。
(9) 権利と義務 (※ 第3章関係)
 自由と同時に責任を、権利と同時に義務を課すのは成熟したデモクラシー国家のあるべき姿との考えから、義務や責任についてもっと憲法に書くべきとの意見、近代憲法が国家権力を制限して国民の権利を保障するために制定されたという歴史にかんがみれば、義務や責任を憲法で強調する必要はないとの意見が出された。
(10) 外国人の参政権 (※ 第15条関係)
 外国人に地方参政権を与えるべきか否かについては、国民主権や地方自治の意義をどのように理解するかと関連し、意見が分かれた。
(11) 表現の自由 (※ 第21条関係)
 メディアやIT技術の発達に即した規制の在り方については、意見が分かれた。
(12) 政教分離 (※ 第20条関係)
 国家と宗教との分離の度合いをいかに解するか、日本の歴史や伝統、文化との関係から、意見が分かれている。
(13) 内閣の在り方・機能強化 (※ 第5章関係)
 内閣の在り方については、内閣を強化すべきという意見、逆に国会を強化すべきであるという意見などが出された。
(14) 首相公選制 (※ 第67条関係)
 首相公選制の導入の是非については、意見が分かれた。
(15) 憲法裁判所制度 (※ 第6章関係)
 憲法裁判所制度の導入の是非については、意見が分かれた。
(16) 私学助成の憲法上の明記 (※ 第89条関係)
 現行の憲法の規定のままでよいのかという点では見解が分かれた。
(17) 会計検査院 (※ 第90条関係)
 会計検査院を国会あるいは参議院に附属させるか否かについては、意見が分かれた。
(18) 住民投票制 (※ 第93条関係)
 住民投票制を法定化するか否かについては意見が分かれた。
(19) 道州制 (※ 第92条、94条関係)
 道州制を導入するか否かについて、意見が分かれた。
(20) 改正要件 (※ 第96条関係)
 現在の改正要件については、変更を求める意見と、慎重な意見があり、見解が分かれた。

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