5 参議院の構成の在り方・選挙制度

 多様な民意を反映させるため、参議院の議員構成をどのようにして衆議院とどのような違いを出すかは、二院制にとって根幹となる問題であり、そのためには選挙制度の設計が極めて重要であるという認識で一致した。

 [構成]

 参議院の構成の在り方については、

  • 二院制の中で参議院の定数についてどの程度の規模が適正なのかしっかり議論すべき、
  • 6年という長い任期、定数、3年ごとの半数改選、被選挙権30歳は引き続き大事にし、独自の役割を果たしやすい工夫を引き続き行うべき、
  • 選挙を行う以上政党の支配力が強まるのは当然であり、それを弱めるには、再選禁止規定を置き、任期を長くするのが一つの方法、

などの意見が表明された。

 [選挙制度]

(1)  直接公選制の維持

 直接公選制の維持は、両院の一翼を担う一院という立場から譲れない点であることは一致した意見であった。

  • 国民の直接選挙によらない参議院議員は、行政府へのチェック権限も強力に行使できなくなる、
  • 推薦制などではチェック機能が発揮できないので、直接選挙によって選ばれた議員で構成されるべき、
  • 今日の日本では誰が有識者かは選びにくく、やはり選挙で選ぶべき、

などの意見が出され、参議院も国民の直接選挙で選任されるべきで、任命制・推薦制はもちろん、間接選挙制も好ましくないというのはほぼ異論のないところであった。

(2)  選出の在り方

 衆議院と異なる選挙制度にすること、そのためには政党の側面よりも個人の側面をより重視すべきことが意見の多数を占めた。

  • 投票する国民にとって、簡潔明瞭な制度であればあるほどベター、
  • 参議院が衆議院をチェックする、衆参が互いの欠陥を補うという立場なら、似通ってきた衆参の選挙制度を変えていくべき、
  • 同じような選挙で選ばれた二院制は混乱のもとになる、
  • 衆参の在り方と選挙制度が連動して決められてこなかったことを反省すべき、
  • 参議院のカーボンコピー化の原因は政党政治にあり、衆議院と異なる機能を確保するには脱政党化した選挙制度の確立が必要、
  • 直近の参議院選挙で二大政党制が進んだが、複雑で国民も多様な生き方をする中で政党のみを二つに絞ることを誘導する選挙制度が適切か疑問であり、参議院こそ多様な民意を保障する選挙制度が望ましい、
  • 参議院の選挙制度の大原則は、政党ではなく人を選べる選挙制度であるべきで、また、NGOの人たちが出てこられるような制度を採り入れるべきではないか、
  • 選挙制度を自分たちだけで決めると大政党に有利になるのは当たり前であり、第三者機関を設置して意見を出してもらうべき、
  • 参議院選挙は時期が決まっており争点選挙や業績選挙になるという特徴があり、選挙制度は参議院の独自性を発揮する一番明らかな方法ではないか、

などの意見が出された。

(3)  選挙方法

 具体的な選挙制度については、意見は分かれた。

  • 参議院の独自性は選挙に現れており、(1) 選挙時期が決まっているので、国民意思の発現が時の首相の思うままにはならない、(2) 小選挙区の支持しか得ない衆議院と異なり、県又は全国の支持がある点が特徴、

との評価がなされ、

  • 日本全体のことを考えた民意を集約する上で、ある程度の広さの選挙区が必要、
  • 参議院の選挙制度としては、比例代表が一番優れているのではないか、
  • 次の世代の利益はだれも代表していないが、比例代表なら世代別クオータも導入可能ではないか、
  • 比例代表は政党色が強くなり、参議院としての独立感に対しても障害になってくるのではないか、
  • 投票率を上げるため、3年毎の改選について、比例区と選挙区の比重を同じにし、比例区だけの選挙と選挙区だけの選挙を交互に行うのも一考、
  • 人物本位の選挙という観点から、ブロック別の大選挙区も一案、
  • 国家と個人の間にある中間集団が入るような制度設計は重要、

などの意見が出された。

(4)  一票の較差問題

 一票の較差問題については、

  • 参議院の投票価値の較差是正は喫緊の課題、
  • 国土の均衡ある発展は極めて重要な政策課題であるが、国民の生命や財産の確保のような重要テーマで地域により意思のウェートに差が生じるのは問題、
  • 両院制の在り方から見て、議員定数不均衡の問題より両院が類似した選挙方法になる方が問題で、直接選挙制を前提とする場合でも、平等選挙制は必ずしも要求されない、

などの意見が出された。

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