第162回国会 参議院憲法調査会二院制と参議院の在り方に関する小委員会 第1号


平成十七年二月四日(金曜日)
   午後一時一分開会
    ─────────────
   小委員氏名
    小委員長        舛添 要一君
                愛知 治郎君
                荒井 正吾君
                武見 敬三君
                藤野 公孝君
                森元 恒雄君
                山下 英利君
                郡司  彰君
                鈴木  寛君
                富岡由紀夫君
                松井 孝治君
                若林 秀樹君
                山下 栄一君
                吉川 春子君
                田  英夫君
    ─────────────
   小委員の異動
 二月四日
    辞任         補欠選任
     山下 栄一君     山本  保君
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  出席者は左のとおり。
    小委員長        舛添 要一君
    小委員
                愛知 治郎君
                荒井 正吾君
                藤野 公孝君
                森元 恒雄君
                山下 英利君
                郡司  彰君
                鈴木  寛君
                富岡由紀夫君
                松井 孝治君
                若林 秀樹君
                山本  保君
                吉川 春子君
                田  英夫君
    憲法調査会会長     関谷 勝嗣君
    憲法調査会会長代理   簗瀬  進君
   事務局側
       憲法調査会事務
       局長       桐山 正敏君
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  本日の会議に付した案件
○二院制と参議院の在り方に関する件
    ─────────────
○小委員長(舛添要一君) ただいまから憲法調査会二院制と参議院の在り方に関する小委員会を開会いたします。
  二院制と参議院の在り方に関する件を議題といたします。
 本日は、これまでの調査を踏まえ、二時間十五分程度、小委員相互間の意見交換を行います。
 まず初めに、各会派を一巡して、それぞれ十五分程度で御意見をお述べいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、御意見のある方は順次発言願います。
 荒井正吾君。
○荒井正吾君 恐縮ですが、自民党の荒井正吾でございます。
 小委員会のための発言をさせていただきますが、よろしければ、時間の節約もありまして、お手元配付の論点メモを参考にしながらお聞き願いたいと思います。
 この論点メモは発言メモのレジュメでございますが、四角に囲んであるのが発言メモの内容でございます。項目を太字で分けておりますのは、論点として私が思っている論点ということでございます。それと、この発言メモの論点整理では、憲法上の論点と憲法事項以外の論点というふうに分けて、議論しやすいようにちょっと工夫をいたしました。
 時間の節約もありますので、始めさせていただきます。
 憲法上の論点の一が、一院制か二院制か。現行憲法四十二条でございますが、二院制堅持が望ましいと考えます。ただ、参議院ではないと思いますが、衆議院を中心に一院制を主張する者がございます。
 両院の機能でございますが、まず、予算、法律の議決、条約の承認でございますが、両院の議決をもって国会の意思決定とするというふうなことを望ましいと考えます。議員立法重視の見地から、閣法の提出権を認めないとする意見がございます。これは内閣の関係の条文になろうかと思います。
 内閣総理大臣の指名ということでございますが、内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決で指名をするというのが望ましいと考えます。一方、衆議院議員の中から衆議院の議決で指名するという主張をする者もございます。
 この括弧の中の更に丸括弧は、参考の情報というふうにお取りください。
 国会同意人事でございますが、重要な公務員等の任命については参議院の同意を要するものとすると。これは米印が付けておりますが、これは新規の提案と。現行憲法上ございません。両院の同意が必要とする者がございますが、憲法上の同意か法上の同意かというようなこともございます。
 司法との関係でございますが、裁判官の任命、訴訟、弾劾でございますが、裁判官の訴訟、弾劾は両議院の議員で行う。これは現行六十四条の線でございますが、一方、訴追は衆議院、弾劾は、(発言する者あり)訴追ですね、字が間違っています。前の方も間違っていましたですね。失礼しました。一部ワープロミスがございます。弾劾は参議院議員が行うと主張する者もございます。また、重要な裁判官の任命又は任命の同意は国会が行うものとするかどうかの論点はあると思います。現行は内閣総理大臣が行うということになっております。
 それから、行政監視という面、ポイントでございますが、国会の基本権能でありまして、両議院の国政調査権及び決算審査権によりこれが現在維持されておりますが、これを堅持する必要があると考えます。
 決算に関する、これ、決議というのは議決でございますが、ワープロミス。その決算に関する議決のうち、まあ決議でも同じような意味になるかもしれませんが、将来の予算に関するものについては何らかの方法で将来の予算を拘束すべきというふうに考えますが、拘束する方法としては、院の議決でございますので、院の次の予算編成の内容を拘束するようなことがあろうかと思いますが、そのためにはまだ決算案が議案として、報告じゃなしに議案として提案されないと採決の意味が、議決の意味がないというようなこともありますので、これも米印で新規の提案でございますが、論点として挙げさせてもらっております。
 それから、括弧の中は、憲法事項以外のものになろうと思いますが、参議院の行政監視機能の向上のため、決算審査、憲法解釈、請願審査等の充実を図るべきとの意見はあると思いますし、賛成いたします。
 それから、会計検査院の組織でございますが、会計検査院は国会又は参議院に帰属するというのが望ましいと私は考えます。これも新規の提案でございますが、憲法上規定するということになります。
 以上が憲法の項目の立法、予算等にかかわるものでございますが、次は両院の調整、二院制でございますので、両院の調整あるいは先議という事項がございます。
 予算については、現行六十条第二項で、予算の先議と参議院の否決の場合の再議決要件が書いてございます。この中身は、現行のままという提案でございます。提案というか考え方でございます。
 参議院否決の場合の両院協議会の機能については、三十日要件がございますので、疑念を呈する者があると、参考の情報でございますが。条約、次のcに関係しますが、条約についても両院協議会が規定されておりますが、実効性がないんじゃないかという意見がございます。
 法律については、再議決要件は現行の三分の二の賛成が望ましいと考えます、五十九条二項でございますが。逆に、単純過半数でよいとする意見もございます。また、両院協議会の活用を主張する意見もございます。
 次は、条約についてでございますが、条約の承認権の中で衆議院の優先性がうたわれておりますが、これは、条約の、括弧の中でございますが、条約の承認は長期的視野、参議院の承認を優先すべきという意見ありますし、気持ちはそちらの方が大分強いんですけれども、むしろ現行の案を取りあえず入れております。
 それから、内閣総理大臣の指名についての両院の調整でございますが、国会の議決で選ぶということでございますと、意思決定が二院で人事を決めるということでございますので、十日間の猶予期間が現行憲法上でございますが、これについてどうするかというのは、ちょっと今のところ私自身の意見はございませんが、慎重な検討を要する項目であろうかと思っております。
 条約、法律の先議権でございますが、先議権は、憲法上書いてございませんが、条約、法律につきましては、予算だけでございますが、参議院の審議の独自性発揮の観点から、長期的視野で検討すべきもの、慎重な検討を要するもの、一定の範囲については参議院の先議とするという考え方もあろうかと思っております。そのようなことを述べております。
 次は、選挙の項目でございますが、直接選挙か間接選挙かということでございますが、現在は公選制は維持されておりますが、直接公選制を維持すべきじゃないかという意見でございます。参議院は間接選挙とすべきという意見も一方あるところでございます。
 任期については、現行の四年、衆議院四年、参議院六年でいいと考えております。
 解散の有無は、衆議院解散あり、参議院解散なしで、現行でいいんじゃないかと考えております。
 以上が、憲法事項にかかわる論点として自分でそのように認識したものを挙げたものでございます。
 憲法事項以外の論点でございますが、一、参議院における審議の活発化、効率化、独自性の重視というふうな一まとめの意見でございます。
 参議院の独自性重視の見地から、決算審査、長期的・基本的課題の審議及び行政監視、政策評価の充実が喫緊の課題だというふうに思われます。具体的な内容についてはちょっと時間の制約上、今回は省かせていただきます。
 それから、参議院議員による議員立法を活発化するために、院の手続の簡略化などを含めて実効的な手続を確立する必要があるんじゃないかというふうに思います。
 また、参議院の独自分野における審議の充実、まあ長期的視野のもの、基本的なものというようなことでございますが、その審議をするにはやはり時間が掛かりますので、参議院は衆議院に比べて人数も少のうございますので、リソースをうまく、時間、人材の配分を合理的にする必要があるんじゃないかと思います。したがいまして、ある重要法案に審議を集中するためには、一方、ある範囲の法律、条約、例えば、括弧の中は一つの案でございますが、衆議院を全会一致又は圧倒的多数で通過したものなどについては審査を簡略することなども検討すべきじゃないかと考えます。
 それから次は、国会同意人事でございますが、一定の範囲のものについては、参議院の承認ということになれば憲法事項になるかもしれませんが、現行でも参議院においてヒアリングなどを実施するということもあろうかと考えます。
 それから、政党との関係ですが、これは憲法事項でも法律事項でもないわけでございますが、実態上、参議院の行動を最大制約しているのが政党との関係であろうかと思います。
 二つの面から、一つは、発議いたしますが、一つは参議院の議決に対する党議拘束の在り方でございますが、これは、今のところ答えがございません。難しい課題でありますが、慎重かつ発展的な検討が必要としか書いてございません。これは大変難しい問題であろうかというふうには認識しております。
 それから次は、議員立法に対して、参議院の議員立法に対して、やはり我が党でも党内手続がやはりなかなか大変でございます。これは党の問題でございますが、党の中での手続の簡略化、あるいは特別の手続の確立を含めて積極的な検討が、これは党の、政党の話ではございますが、ちょっと実態的に大変関係いたしますので、この参議院の在り方の中で挙げさせてもらっております。
 次は、両院協議会でございますが、憲法事項以外で、運用上あるいは法律上の課題として余り活用されていないわけでございますが、両院の、二院制の堅持ということになれば、両院の意思が一致しない場合の調整を効率的に行うための仕組みは当然要るわけでございますが、現行にあります両院協議会の実効的活用方法を検討する必要があると思いますが、これは前項の政党との関係とも関係いたしますので、なかなかある面、難しい問題かというふうにも考えます。
 それから、選挙制度につきましては、次回のテーマでございますが、項目だけ挙げております。定数とか、地方区、比例区の在り方、これは地方区、比例区の配分の話だとか、地方区の一人制、二人制というようなことが内容になると思います。それから、一票の格差の問題、地方区の偶数配分の問題などがあろうかと思います。
 以上が、現在考えております意見も含めて、項目的に整理した方が議論が便利かと思いまして、レジュメを出させていただきまして説明をさせていただきました。御批判を含めて、いろんな意見をまたいただければ幸いだと考えております。
 以上でございます。
○小委員長(舛添要一君) 松井孝治君。
○松井孝治君 民主党・新緑風会の松井孝治でございます。
 私は、レジュメは用意してこなかったんですが、今日の議題になっている事項を中心に、今、荒井委員の方からは政党との関係あるいは選挙制度もあったわけですが、その辺りは中心は次回に譲って、意見を申し述べたいと思います。
 まず最初の参議院、一院制か二院制か、あるいは参議院が必要かという議論は、もうこの小委員会あるいは憲法調査会でも議論が相当重なっておりますが、私どもとしても参議院は必要であるという見解でございます。ただ、参議院の改革は必要であるというのは、これも各会派が意見は同じだと思いますが、改革は必要である。
 具体的に、一院制、二院制の長所・短所、是非ということになりますと、やはり今非常に政策決定にスピードが求められている、あるいはダイナミズムが求められているのは事実だと思います。したがって、現状のような参議院というのは、政策決定のスピードにおいても、あるいはダイナミズムにおいても、必ずしもそれは社会のニーズに適応していないということは我々が意識しなければいけない。したがって、参議院の在り方を考えていくときに、同じように法律あるいは条約、予算、同じように衆議院と議論していたのであれば、これは参議院に対する国民的な批判を免れないであろうというふうに考えます。
 しからばどうすべきかという意味においては、やはり衆議院と役割分担をして、むしろ重畳的、重複的に議論をするというよりは、視点を変えて議論をするということが必要なんではないかと思います。
 これは小委員会でも、あるいは調査会本体でも議論になっていますが、衆議院が、例えば法律案の多くは内閣で決定されているわけでありますが、既存法律の一部を改正する法律というのが出てまいります。あるいは、予算でいえば、今年の予算はどういう費目をどれだけ増やしたかと、あるいは減らしたかということがマスコミの注目も浴び、また、衆議院での予算審議の中核になっているわけでありますね。それを、全く同じことを参議院がやっている限りにおいては、衆議院の論点の繰り返し、あるいはその落ち穂拾いという役割に甘んぜざるを得ない要素が多々あります。それでも、議論が不要かといえば、私は必ずしもそうではないと思いますけれども、必要な議論もあろうかと思いますが、そういう要素が非常に、ある意味ではリダンダンシーという要素が強いと思います。
 そうではなくて、私ども参議院が議論をするとすれば、その一部改正の法律の改正部分を議論するのではなくて、その法律の根っこは本当に必要なのか、あるいは時代の要請を体しているのかというような根本からの議論が必要になろうと思いますし、むしろ予算よりはチェックの院としての、決算でその予算の結果がどう現実に効果を及ぼしているのかということを議論すべきだということも、これは各会派においても比較的共通認識がある部分ではないかと思います。
 要するに、衆議院と参議院がある種の分担関係といいましょうか、チェックの視点を変えるという参議院にしなければいけない。これは、したがってその両院の調整機能にも及ぶわけでありますが、両院の調整機能をどうすべきか。例えば、先ほど荒井委員の方からあった三分の二要件というものを半分にすべきかどうかということについて、まだ我が党において完全に意思決定を見ておりませんけれども、場合によっては分担をし、例えば予算を中心とした衆議院がある、そのときに、予算は衆議院の優越が非常に明確になっている分野でありますが、それに対して、むしろ参議院は決算を中心に、決算の拘束力を強めるという形で参議院の議論あるいは機能を強化すべきである。同じように、予算も法律も、そこの部分の権限は握ったまま決算を強めるというよりは、むしろ役割分担をきっちり議論をすべきではないかというふうに考えております。
 そういう視点において、衆議院というのはどうしても執行の院であろうと思います。我が党は、特に政府、与党というのを一体化すべきだというふうに考えておりますから、そういう意味では、衆議院自身は執行の院である、参議院はそれに対して一定の距離を置いて、チェックの院としての機能を果たすべきではないか。
 自民党においても途中段階でそういう議論があったようでありますが、したがって首班指名であるとか、あるいは、そういうチェックの院である参議院が執行の院である衆議院と同じように執行機関である行政に対して閣僚を出すという形でのコミットメントを続けて、果たして利益相反が起こらないかということは慎重に議論をすべきではないか。具体的にいえば、首班指名、総理大臣の指名あるいは閣僚を送ること、あるいは問責決議の扱い、ここの辺りについては検討を更に進めなければいけないのではないかと考えております。
 具体的に参議院が担うべき分野としてもう一度申し上げれば、私は、決算あるいは行政評価、あるいは地域間の財政調整、そして中長期的な政策課題で、これは必ずしも政党の対立的な関係において処理するのが適切ではないような中長期的な政策課題。例えば、年金問題のように、政権交代が今後常態化するようなことがあって、そのたんびに年金制度をいじくっていたのでは、これは年金制度は安定が欠けるわけでありまして、そういうものについては参議院が議論において、より優先して議論を行うような、これは憲法上の規定で設けるというよりは、あるいは衆議院、参議院の話合いの中で会派を超えてそういう分担関係を作り上げることが必要かもしれませんが、そういった中長期的課題というのも必要であろうと思います。
 もう一つ、執行の院である衆議院に対するチェックの院としての参議院という色彩を強化すべきだとした場合に大事な点は、政策のリソースをどうするかということであろうと思います。
 執行の院である衆議院が中心となって作る内閣には、中央官僚組織という大きな政策スタッフ集団が存在するわけであります。今のところ、参議院にももちろん調査室であるとか、あるいは法制局であるとか、そういう政策スタッフは存在しているわけでありますが、やはりチェックの院としての参議院が独自性を発揮するために政策スタッフあるいは先ほど申し上げた政策評価、行政評価を行うスタッフというものをもっと増員をしなければ、これはとてもじゃありませんが、執行の院である衆議院に対し、ある意味では対等以上のチェックの役割を果たすということにはなりません。
 したがって、今も、これは荒井委員も私も決算委員会のメンバーあるいは理事でございますが、決算委員会においても議論をしていますけれども、そういうチェックの院としての決算の機能を強化するために、一々説明は、結局のところ内閣に所属する行政各部から説明を聞きながらチェックをするという状況に今あるわけであります。こういう状況ではなくて、これは会計検査院というものをどう位置付けるかということに関連するわけでありますが、例えば会計検査院的機能というものを参議院に取り込むべきではないか、あるいは広く国会に取り込んで、それは主として参議院がそういう組織を活用すべきではないかという議論もあろうと思います。
 また、民主党は、政権公約の中で行政評価院を作るべきではないかという議論をいたしております。これは、会計検査院との関係においてはその会計検査院的リソースを活用するべきだというのが私の個人的考え方でありますが、単に会計経理上の問題をチェックするにとどまらず、その制度あるいは政策の有効性について根っこから、霞が関の論理で説明を受けるということではなくて、その霞が関とある意味では独立したような政策集団を持って、政策制度のそもそもの必要性、有効性、時代適応性をチェックできるようなスタッフを持たないで参議院が形の上でだけ決算の審議時間を増やしても、それは本当の意味でのチェックの院としての権威あるいは議論の深みに欠けるのではないでしょうか。
 その意味で、私は、ある意味では霞が関の一部の機能あるいはリソース、総務省の中には行政評価局、昔の行政監察局ですが、そういう部局もあるわけであります。そして、会計検査院というのは約千人のスタッフを抱える組織であります。そういう人員、リソースを生かして、今の時代の必要性という意味においては、霞が関の人員を相当程度国会に移して、人員というのはそのままの人が移ってくるかどうかは別でありますが、言ってみれば、その公務員の部局を大きくするというのはなかなか今の財政の下では難しいわけでありますから、その定員をむしろ国会に移して、そこが例えば政策評価院とか行政評価院というような形で今の会計検査のみならず政策の根っこから必要性を問い掛ける。会計検査院というのは会計財政上のチェックしかできません。しかもそれは手続上の不当事項中心のチェックであります。それをもっと広めて、財政に関係ないいろんな諸規制の有効性、規制改革のようなことも含めて、そもそもの制度設計からチェックをし、場合によっては対案まで出していけるような政策スタッフ集団を作るべきではないかと思います。その意味では、会計検査院機能を含めた、参議院が従来の行政回りの機能というものを自らのスタッフとして有効活用すべきではないかと思っております。
 もう一つ重要な機能というのは、これも執行権との独立性が必要なものとして、国会同意人事というものがあろうと思います。
 先ほど荒井委員の方から面接という言葉がありましたが、私はこれを更に進めて、米国の上院などでよく行われているように、非常に重要な内閣人事については国会においてきちんと公聴会、その人物を政策的な議論も含めて行った上で、国会がその人事について同意するかどうかを、これはまあむしろ参議院が中心になって行うべきではないかと考えております。
 そういう参議院の機能を考えたときに一つ二つ重要な事項は、まず第一に、会期というものをどう考えるかということであります。
 今、会計検査院の機能も参議院で議論をしていますけれども、年次報告的なことしか会計検査院はやっておられませんけれども、逐次的に、それが閉会中であろうといつであろうと、チェックの院という姿勢、機能を果たすためには、むしろその会期というものを今の衆議院と同じ会期で置くというのはやや合理性を欠くのではないかと考えております。
 そして今の、これは選挙制度とも絡むわけでありますが、参議院が、やはり与党も野党とも政党の党議拘束が参議院の意思決定においても色濃く掛かっているということについては、これも憲法事項かどうか分かりませんけれども、党議拘束がやはりより薄くなるような方向での改革が必要なのではないかと考えております。ただ、これについては、次回議論される選挙制度との関係で、本当にその党議拘束、政党の拘束がそんなに弱くできるかどうかということを保障するためにも選挙制度にも工夫が必要ではないかというふうに考えております。
 最後にもう一点だけ追加をするとすれば、参議院の司法的機能、今、司法的機能というものは、いわゆる裁判所だけでいいのかどうかというのをこれは議論をすべきであると思います。行政の中にも司法的機能を色濃く持った、例えば公正取引委員会であるとか特許庁なんかも審判機能を持っているわけでありますが、行政全体が、あるいは政治全体が従来の事前調整型から事後チェック型になろうとしている中で、司法との関係をどう考えるかというのは、チェックの院という意味でも参議院にとっては非常に重要なことではないかと思っております。
 その意味において、例えば憲法解釈というのが、従来これは執行の組織である内閣が自ら憲法解釈をして、これは合憲である、どこまでなったら違憲であるという判断をしております。内閣がそういう憲法解釈の権能といいましょうか、憲法解釈を内閣の一部門が独自の判断で行うことは、これは別に私は適切であると思います。ただ、それが憲法解釈のすべてを決めるような現状というのはおかしいんではないか。内閣としての憲法解釈はあろうかもしれませんが、立法府として憲法解釈というのを持つべきである。最終的には、それが本当に違憲であるかどうかというのは、これは司法にゆだねてもいいのではないか。
 そういう意味では、チェックの院として参議院が、今の例えば内閣であるとか、あるいは衆議院において示された憲法解釈というのが本当にいいのかどうかということをチェックする、この機能も非常に重要になってこようと思います。
 これもやはり重要なことは、それだけを行うのに本当にふさわしいスタッフを現行の参議院が持っているかどうかということになると思いますが、それは非常に私は寂しい限りではないか。例えば、憲法解釈をきちんと行えるような中長期的視点に立って、しかもそれが党利党略による憲法解釈ではなくて、ある種の権威、そして中長期的な整合性があるような憲法解釈機能をもし参議院が持つとしたら、それにふさわしい憲法論あるいは行政機能についてのしかるべきスタッフを参議院が持った上で、しかもそれが政党、各会派の利益によって濫用されないような組織を参議院内部にどう作り上げていくかということが必要ではないかと考えます。
 以上でございます。
○小委員長(舛添要一君) 山本保君。
○山本保君 お許しを得ましたので発言させていただきます。
 私どものこれまでの今回まとめを拝見しまして、私の党からも山下栄一議員始め、私も含めましていろいろ今まで申し上げておりますので、それについてはここではもう繰り返さないことにしたいと思いまして、私の方からは、ちょっと今まで自分でも言わなかったことについて四点ほど具体的に申し上げたいと思います。
 といいますのは、やはりこれは、最初に荒井先生からもお話ありましたように、私どもとしては参議院というのが当然必要であり、そのためには独自性をきちんと発揮していくべきだということを考えるわけです。つまり、やはり独自性が発揮されていないというふうに、衆議院のコピーであると、このように思われているということがあるわけでして、そこを一遍には無理かもしれませんが、次々と機動的、柔軟にといいますか、課題について対応していく姿勢というのをもっと見せるべきではないかと思うわけです。
 それでまず、四点申し上げるんですが、最初に第一でございます。
 これは、やはり今の委員会構成というのが、政府また国の大きな基本政策を作っていくのに適合していないんではないかという気がするわけです。
 以前、実は省庁再編の前に参議院は独自に委員会の構成を直したことがありましたけれども、今考えてみますと、今は逆に省庁再編に後を合わせて追っ掛けているような状況じゃないかというような気もするわけですね。
 で、その中で一つ申し上げたいのは、これはこの前の小泉総理でしたか竹中大臣でしたかが言われたと思うんですが、まあ正月ですから施政方針演説があり、そして予算が出るわけですけれども、今の内閣といいますか、この数年間、この予算やまた国の基本政策というものについての政策・立法過程というのをきちんとオープンにしているんだと、まあいろいろ御批判はあるかもしれませんが、こういうふうに私も思っております。ところが、それに対して、国会、国民の代表である私どもがきちんとそれをフォローする若しくはチェックする体制ができているだろうかと。これは与党としてというふうに言わずにですね、国会議員として申し上げているわけでございます。
 で、正に以前は、正に正月の施政方針演説と、そして大蔵省から、旧大蔵省から予算が出されると、これ、ここにおいて初めて国民の代表の前に突然そのすべてが出されるわけでして、それからチェックをすると、こういう形だったわけですが、今や、例えば財政については経済財政諮問会議でもう前年の四月、五月からその大きな方針が出され、そしてまた改革と、構造改革と経済財政の中期展望ですか、こういう形でも、それも一般の方にオープンにした形で議論されております。ところが、それに対して国会が、その内閣が決め、意見を集め、そして発表している、それによって省庁が動いている、こういう状況に対して私どもははっきり言ってほとんど口が出せない体制になっていないかと思うわけです。
 ですから、まずこの、まあ基本政策委員会というのができましたけれども、名前は基本政策委員会ですが、正にあれは、まあ批判はやめますが、そういう機能を果たしているとは思えないと思うわけです。
 ですから、ここはまず財政また国の基本政策に対応して、これは衆議院がというには、まず参議院がどんどん進めていくという意味で申し上げているわけで、参議院でしかしちゃいけないとかそういう意味ではありませんけれども、ただ参議院が、これまでの議論にありましたように衆議院よりはいろんな議員の力量とか資格ですとか、そういうものについても高いということも客観的に評価されております。また、長期的な期間があってそこで審議ができるということも、これももう共通の了解事項だと思いますので、まず私は具体的な一つの提案として、この辺について院としてきちんと対応し、そして国の基本的な方向について国民の意見がきちんと、政府と両方で進めていけるような体制を取るべきではないかということが第一点です。
 それから第二点は、これもまあ具体的過ぎて笑われるかもしれませんが、例えば参議院で、本会議で携帯電話がいまだに禁止されておりますよね。携帯電話というのは、御存じのように、総理また総務省も言っていますが、u―Japanとかユビキタス社会と、こう言っているときも、日本が世界に冠たるモバイルの一番使いやすいものなんですね、これを本会議も使わない、それから委員会でもコンピューターもない、こういう状況。これが正にそのユビキタス社会を今、政府が推進していると、私も実は担当政務官でありましていろんなところでしゃべっているんですが、言いながら、国会に何があるのかと、全くないわけでございます。
 ペーパーレスで、もっとこういう状況をきちんと作っていくというのは、これはもう大学とかいろんな会社では今当然のことですのに、相変わらず印刷をしなければ動議が出ないとか、それから、こんなので、まあはっきり申し上げてほとんど中身読まないような予算書から法案から、いや、それは自分の興味あるところはそれは読むんですが、そんな全部読むはずがない。それからもっと言えば、私も役人でしたから自分で作っているときにはそれはもう必死になってやりますけれども、ここでチェックというのはそういう意味じゃないんだろうと思うんですね、ことについても全くの無駄、時間と紙の無駄もあるし、中身が使われていない。
 もっと言えば、予算委員会などでパネルがこう、紙芝居ですね、やりますね、各党。あれなんかも全くナンセンスだと思いますが、この時代にあんなことをやって一体あれだけの、ただ出すだけの資料で議論が深まるものでしょうか。こんなのはもう当然コンピューターで必要な資料が全員にすぐ出るようにすべきだと思います。
 つまり、参議院が本当にその専門性を生かして、そしてチェック機能、今おっしゃったとおりでありまして、今までおっしゃられたとおりでありまして、そのためのいわゆるインフラ整備を大至急すべきではないかと思うわけです。
 私、ちょっと最初に戻って言いますと、ここでは憲法をどう変えるべきとかそういう議論は私は言うならばちょっとそこに置いておいて、まず今の体制でも大至急できることをやりながら国民にその成果を見ていただく、若しくはそれをお示しするということを申し上げているわけです。
 二番目がそういうことでございまして、コンピューター、お金が掛かるとはいえ、本会議場と各委員会室でいいわけですから、ここに大至急整備をして、そして必要な、まあ私も実はコンピューターはそんな得意ではありません、全然できませんで、私よりまたできない先生もおられると思うんですね。そういう場合には委員部がおるわけですから、きちんきちんと必要なものを出されればよろしいわけですから、これはそんなにその操作がどうとかいうことは問題にならないんじゃないかなという気がいたします。
 それから三番目は、これは先ほど荒井先生からも、また今お話ありました同意人事のことでございます。
 私も大賛成なんですが、ただ、なかなか実際には、今の審議会等以外に役人、さっき主要閣僚とか又は政府のお役人というようなことが出たと思うんですが、なかなか実際は難しいところあると思いますが、私、前から、これは前にも申し上げたような気もするんですが、是非これはやるべきではないかと思っておりますのは、いわゆる大使の任命でございます。
 これは、外務関係、国際関係が強い先生方ですと私よりよほどお分かりだと思うんです。以前、外務省の不祥事などがあったときにそんな気がいたしました。各国大使館など行きましても、天皇陛下のお写真とかそういうものがありますし、また入口には菊の紋章があるわけであります、当然、国旗もあるわけですけれども。そして、しかし、その全権大使などの任命については、これは外務省から次官経験者などのOBなどが中心になって推して、天皇陛下のところへ持っていくと。私は、これは戦前の体制と全然変わっていないんじゃないかと思うんですね。まあ外務省の人が駄目だという意味ではありませんが、あの形式だけ取っておれば、国民の代表として、国家の、国家国民の代表として各国に行っているというスタイルになっていないんじゃないかという気が前からしております。
 ですから、ここはもちろん天皇陛下の任命される、これはもう国事行為です。これ当然でございますが、その前にまず参議院、国会で、特にできれば参議院できちんと国民の代表として、言うならば、指名なりその下作業をさせていただくと。こういう形を取る、取れば、少しは外務省の形というのも変わるんじゃないかなということを以前考えておりましたので、今これは急遽考えたんですが、人事ということが出ましたので、これも申し上げたいと思います。
 それからもう一つ、最後ですけれども、これはよく参議院の独自性というときに調査会がございます。これは前にも小委員会で申し上げたんですが、このまとめ見ましたら書いてありませんので、抜けてしまったのかなと思ってもう一度申し上げることなんですが、調査会というところが三年間という長い時間で、スパンできちんと調査をやる。非常にいい制度ですし、これが参議院の衆議院にない独自性であるということは私も全くそう思うんですが、しかし逆の見方といいますか、私も先回、法務委員長をさせていただいたんですが、実は委員長をやりまして委員会を動かしますと、もう法律を通すことだけで精一杯でして、本来、委員会、委員長又は理事、そしてその委員会というのの仕事というのは、正にその分野において、国のチェックだけではなく、何か独自の方向性を探ったり、いろんな意見集約をして国民の皆様に示していくというような仕事があったんじゃないだろうか。それができないからといって調査会を作ってしまったということは、調査会だけやっておればよろしいということになってしまって、委員会は単なる下請になっていないだろうかという、これはもう先輩諸氏が作られたことに異を呈するわけではないんですけれども、述べるわけじゃないんですけれども、しかしここはもう一度改めて考えてみてもいいのではないかと。
 そうなりますと、先ほどもお話もあったと思いますが、正にそのために、参議院で審議する法案のやっぱりセレクトというのは、これはもうやむを得ないだろうなと。ただ単に、全会一致であったからもう同じことを繰り返さない、そういう意味ではなくて、実はもっとポジティブに参議院の委員会というものが、その分野においての国の方針について政府とは異なるかもしれないし、又はそれを補完したり、もっと優れたものというようなものを出していく仕事が本来の国会の委員会、まあアメリカ上院なら特にそうだと思うんですが、長い時間でやっている専門性の高い参議院の仕事ではないかということを考えまして、それができるような体制にしていくべきではないかと。ですから、調査会制度についてはもう一度考え直してもいいのではないかなと。言うならば、もっと委員会を小分けにして、その委員会一つ一つの作業量を減らすようなこともあってもいいかもしれないなというような気もするわけです。
 以上、ちょっと具体的な話になりましたけれども、四点ほど、これまで議論に参加させていただいて気が付きましたことを述べさせていただきました。ありがとうございます。
○小委員長(舛添要一君) 吉川春子君。
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
 私は、日本国憲法の二院制は維持発展させなければならないと考えています。
 最近、一院制にすべしとか、参議院の権限をもっと弱めるべしという憲法改正論が出されていますので、これについてまず意見を述べます。
 まず、一院制についてです。
 小泉総理は、昨年一月、一院制導入の検討を自民党憲法調査会に指示したと報道で見ました。そして、二〇〇四年の三月八日の決算委員会では、一院制を検討してもいいのではないか、これは参議院を廃止せよということではありません、参議院も衆議院も廃止して、新国民会議みたいなものも憲法改正の議論の中ですればいいとおっしゃっています。また、最近いただいた鳩山由紀夫衆議院議員の憲法改正試案中間報告、これなんですけれども、平成の憲法改正というのは二院制を一院制に再編し、併せて、国会議員の少数派の発言権を強化する制度を創設するというようなお考えを発表されています。これは議連ですが、衆参両院を統合して一院制を創る会というのも衆議院議員を中心にして発足をしていると報道で見ました。
 当委員会で度々飛び交った言葉、二院制は何の役に立つのか。もしそれが第一院に一致するなら無用であり、それに反対するなら有害だと。これはフランス革命当時のリーダー、シェイエスのものとされ、一院制論者が好んで引用しております。
 十九世紀から二十世紀に活躍したイギリスの政治学者、閣僚をも務めたブライスは、「近代民主政治」という著書の中でシェイエスを痛烈に批判しています。彼は、二院制について、アメリカ諸州最初の憲法の起草された際には英国の二院制になぞって第二院が設けられたと。この先例は、旧世界の諸国にとどまらず、西半球の諸国に至るまで、近代において多少は民主的な政治組織を持った諸国の大半の模倣するところとなったと述べています。
 続いて、フランスでも、あたかもカリフ・オーマルがアレキサンドリアの図書館の破壊を許可する際に、もしこれらの書籍がコーランと一致しているなら不必要だし、もし相違しているなら失われるべきものであると言ったと伝えられるジレンマを思わせる第二院は何の役に立つか。それは、もし代議院、第一院と一致すればぜい物、不要なものだし、一致しなければ邪魔者だと反論したと言われるシェイエスの言葉にもかかわらず、一八三〇年にも、一八七五年にも二院が設けられたと指摘しています。
 その上で、しばしば見られることであるが、これらのジレンマは他の可能性を除去することによって成立するものである。第二院は、他の一院との、賛成あるいは反対以外の仕事をなし得るかもしれない。そして、その目的において一致した場合、それに到達するほかのより良き手段を示し得るかもしれない。カリフの言は、コーランが回教徒が知らんとする一切を包括する百科事典たるときにおいて初めて妥当なものである、このように言っているわけですが、高見勝利北海道大学教授の言をおかりすれば、このオール・オア・ナッシングの論理は他のすべての可能性を排除することによって成り立つものであるとし、本文の論理も、また第二院は第一院に対し賛成又は反対以外の仕事をなし得るかもしれない、また目的を共有する場合であっても、その目的に到達するほかのより良き手段を示し得るかもしれないが、そうした可能性をすべて締め出した上での論理であると言っています。こういう考え方に私は到底同調できません。
 よく引用される「註解日本国憲法」、コンメンタールも同じ論を展開しています、反論をですね。思うに、選挙によって国民の意思を常に完全に反映させることができるならば、第二院、上院は全く無用であろう。しかし、そのような完全無欠の代表制度を実現することは不可能若しくは著しく困難である。そしてさらに、二院制の一般的な長所として、一院制議会は多数横暴の弊に陥り、真の国民の意思と乖離しやすい、両院制は審議の慎重を保障することができる、数を代表する下院とは異なる選出方法によって上院に国民の理を代表させることが必要であるとの三つを挙げるとともに、それぞれ国民主権主義の上に立つ民主政治の理念と背馳しないかどうかについて検討しています。その立場から、国民世論の喚起に果たす二院制度の役割を指摘しています。
 さらに、私は、一院制を強調する人々は議会制民主主義の歴史の中で二院制の実績を積んできた点を評価していないのだと思います。ブライスが指摘していますように、参議院は、衆議院との賛成あるいは反対以外の仕事を行ってきましたし、結論が一致した場合も法案の施行についての留意点を政府に豊かに示してきたと思います。閣法であれ議員立法であれ、二つの院での審議記録は法施行に際して人権保障のための有効な手引となるものと思います。
 また、国民世論の喚起に果たす二院制の役割について度々私は実感してきました。前にも申し上げたと思いますが、参議院は消費税廃止法、被爆者援護法等、衆議院では否決した法案を可決して世論にこたえました。国会で衆参両院で審議する中で世論が醸成していった例として、八九年の消費税導入、九三年の自衛隊海外派遣のPKO法、九五年のいわゆる政治改革での小選挙区制導入、まあこれは否決したわけですけれども、思い出します。これらは提出当初から重大法案でしたけれども、参議院での審議段階で世論の関心は一層高まって、牛歩による何夜を掛けてもの徹夜とか、小選挙区制は参議院では否決しました。賛否は両方あると思うんですけれども、恐らく一院のみであったら、こうした世論の成熟は経験せずに終わったと思います。
 世界の現状を見ると、サミット参加国、主要八か国、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、ロシア、日本は、類型や内容に差はあるものの、すべて二院制を採用しています。
 二院制を採用する国の最近の推移を見ると、九五年は五十三か国、二九・四%、二〇〇三年は六十八か国、三七%へと増大する傾向を示しています。世界の流れから見ても、日本が二院制をなくす理由は全くないと考えます。
 第二に、一院制とは言わないまでも、参議院の権限を弱めるという提案についても私は同調できません。参議院議員の直接選挙制をやめて推薦制などにするという意見です。
 これは、昨年の自民党の憲法改正大綱たたき台におきましても、参議院は各州ごとに選挙された議員及び法律の定めるところにより選出、推薦された議員で組織するなどとなっています。また、世界平和研究所、これですが、が出した憲法改正試案では、選挙に関する事項の五十四条で、ただし衆議院議員は国民が直接選挙しなければならないと規定して、参議院議員は選挙によらなくてもよいかのような表現になっています。
 大日本国憲法では、「貴族院ハ貴族院令ノ定ムル所ニ依リ皇族華族及勅任セラレタル議員ヲ以テ組織ス」と、直接選挙によらない議員で構成されていました。仮に、首相、参議院議長、最高裁判所経験者を推薦で参議院議員とするようなことが行われるとすれば、これは新たに国民との距離を置いた特権階級を作る貴族院の復活ではないでしょうか。
 また、主権在民の歴史六十年分の経過に伴って、国民の直接選挙によらない参議院議員は行政府へのチェック権限も強力には行使できなくなるのではないでしょうか。いずれにしても、時代錯誤の主張と言わざるを得ません。
 さらに、参議院の権能を制限あるいは弱体化しようとする、現行参議院の役割を大幅に見直し、例えば大臣指名の廃止、衆議院における予算審議と参議院の決算審議の役割分担を検討するという内容についてです。また、衆議院の優越規定の一層の強化に伴う参議院の権能を弱める主張もあります。例えば、法律については衆議院の再議決の要件を三分の二から過半数にするとともに、みなし否決の要件とされる期間も現行の六十日から三十日にしています。また、予算、条約承認についての両院の議決が一致しないときの両院協議会の開催について、現行の必要的から任意的に変えるなどとしています。
 私は、今の憲法の統治機構に関するものに限っても規定を変える必要はないというふうに考えています。しかし同時に、参議院が二院制の有効性を更に発揮させるための改革は非常に必要だと思います。岩井奉信参考人は、一院制議論というよりも二院制をどう生かすかという議論の方が生産的だと述べましたように、参議院改革の方向性が必要です。
 で、私が現在の一院制論にくみしないのは、一院では立法府としての国会の任務である行政府に対するチェック、多様な民意の反映という二つの権能を十分に果たせないからです。
 私たちは、多様な民意を反映させるために二院制を維持しようと考えています。その参議院で、議員の発言等に高いハードルを設けていることは好ましくありません。参議院改革の方向として、参議院を言論の府にふさわしく多様な国民世論の反映と充実した審議の場にすることが重要です。衆議院にはない参議院のルール、すなわち議員数が十人未満の会派の発言機会が著しく制限されていることや、あるいは立法府としての議員の立法権を高いハードルを設けて立法提案を行いにくくしていること等を改めて、少数会派、無所属の議員の発言権も十分に保障するなど、二院制の存在意義を高める改革に参議院自ら取り組むべきことを最後に申し上げまして、発言といたします。
○小委員長(舛添要一君) 田英夫君。
○田英夫君 私は、この二院制なるがゆえに結果が良かったという例を一つ二つ挙げることによって、まず二院制の維持を主張したいと思いますが。
 一つは、今、吉川さんも挙げられましたが、十年ほど前、十年前ですね、阪神・淡路大震災がありました。それで、その結果で災害被災者救援法を作ったわけですけれども、実は政府は、現在もそうですけれども、天災による災害はそれぞれ個人が復旧すべきである、立ち上がるべきだという、政府から公的資金を支給するということはしないという原則を持っておられたんですが、あの大被害、大災害の中で、被害者の皆さんからも、何とか立ち上がり資金でもいいから公的資金を出してほしいという要望が種々ありました。
 そういう中で、話し合っている中で、参議院で超党派でそれにこたえようという動きが出たときに、政府は依然として、当時の国土庁ですけども、公的資金を出すことはできないという原則を守り通していた。そのときに、たまたま衆議院の自民党、当時の幹事長野中広務さんとお会いすることができて、参議院で今議員立法を始めようとしているけれども、自民党の協力、与党の協力がないと成立しないという状況を話しましたところが、参議院でやってくださいという話になって、結局、参議院自民党が加わって積極的に動いてくださった中でこの法律はできたんですね。
 もちろん、金額はそんな状況の中ですから当初の我々の希望をはるかに下回りましたけれども、小さく産んで大きく育てればいいじゃないかという合い言葉で、結局三百万、百万が三百万に今現在はなっておりますね。それが三宅島の皆さんにも、それから新潟の地震の被害者の皆さんにも皆役立っていると思います。これは衆議院ではできなかった。まあ衆議院が政府と近いからということではないでしょうが、結果はそうでした。
 それから、これは何年前か忘れましたけれども、細川内閣のときに出てきた衆議院の小選挙区制の審議、これも吉川さん言われましたが、結果は参議院で否決しました。私が言うのはおかしいんですが、当時の社会党から十七人が反対をしたわけですね。それで、細川内閣ですから与党だったんですが、結果は参議院で否決と。で、両院協議会へ送られている中で、結果は非常に、私は反対した方ですから今でも怒っているんですけれども、制度のとおり両院協議会、それで衆議院で三分の二という、そういうことであれば成立するはずなんですが、総理大臣と自民党総裁だのが話し合うという形の中で可決されてしまって現在に至っていると。したがって、ルールどおりいってないんですね。そういうこともありました。
 きちんとやはり二院制を守って、衆参の意見が異なったときには両院協議会で話して、で、最後は衆議院で三分の二なら可決できるという、そういう制度をきちんとやるべきだと思いますが、それはそれとして。
 あと、参議院の本当に今後そういう二院制を守る上で改革していくべき、まあ私の希望ですが、一つは、先ほど山本さんからは否定的な発言がありましたが、私は調査会というのを参議院の一つの大きな特徴にしてもっと大きく育てるべきだと思っています。今三つ、ずっとありますが、国際問題調査会だけは最初からずっと引き続きあります。あとの二つは変わっておりますが、何というか活用が十分でないということは私もそう思います。で、六年の任期があって三年をワンクールにして勉強していくと、非常にこれは有効なものにできると思いますね。
 で、もう一つは、三年掛かってみんなで作り上げた結論を、つまり報告書になるわけですが、議長に報告してそれでまあ言いっ放しになっているわけですね。これを行政府に対してきちんと提起して、それで一定の期間の後にその行政府から参議院に結果、その後の取扱いなどを報告させるという、きちんとした、後の始末をきちんとする制度を強化すれば、もっと有効だと思います。
 私の、当面、国際問題調査会はずっと引き続きやった方がいいと思いますが、例えば長期間勉強するという意味でいうと、例えばエネルギー問題、原子力発電も含めて、私は実は産業・資源エネルギー調査会というのがあったときに一期だけ会長をやりましたけれども、エネルギー問題を取り上げたんですが、結局、結論を本当に詰めない状態で終わってしまいました。もっとエネルギー問題は長期的な視野で考えなければなりませんから、エネルギー調査会。
 あるいは、今、教育問題いろいろ議論があります。関係者も非常に多いですし、熱心な方多いんですが、この教育問題というのも長い、衆議院ではなくて参議院のこの長いスパンで議論できる問題ではないかなと思います。
 それから、年金の問題なんかも、応急手当てじゃなくて本当に長い目で見て作っていかなければいけない、作り直さなければいけませんから、この年金問題も年金調査会というような形で勉強してみたらどうかなと。そして、それを行政府にきちんと渡して、その対応を報告させるということにしたらいいと思っています。
 それから、党議拘束の問題も、私は緑風会が存在したときにちょうど新聞記者で取材していまして担当したことあるものですから非常に関心が深いんですが、あのような形の参議院ができないかなと今でも思いますが、これはいろいろ難しい問題が絡んでくると思います。それはこの程度にとどめておきたいと思います。
 それから、常任委員会、参議院の常任委員会の在り方というのも研究する必要があるんじゃないでしょうか。私は外務委員会に二十数年ずっといたことがあります。結果としては、いやでも応でも専門家的になりますから、私なりにそれはとても良かったと思ってはいるんですが、なるべくなら委員を一つの委員会に固定して対応をするというやり方、それはそれぞれの党の考え方があるからなかなか難しい点もあるかなと思いますけれども、そういう研究を進めてもっと改善を、参議院の改善を進めることが二院制を強化する意味で大事じゃないかなと思っています。
 終わります。
○小委員長(舛添要一君) 以上で各会派一巡いたしましたので、これより自由に意見交換を行います。
 小委員の一回の発言時間は五分程度でお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 愛知治郎君。
○愛知治郎君 自民党の愛知治郎でございます。
 いろいろな議論ありましたし、非常に有意義な御意見多々あったと思いますけれども、一点についてだけ私自身お話をさせていただきたいというふうに思います。
 というのは、この二院制の堅持ですね、二院制についていろんな御意見出たと思うんですが、まだはっきりしないところがある。何のために必要なのか、これだけはちょっと、論点やはり最終的には整理をして、どのような点で必要なのかという論理をはっきりさせるべきだというふうに思います。
 どうしても議論が現状追認的な議論、まあこの憲法、現行憲法上どうあるべきかというような議論になりがちなんですが、私自身はもう大胆に憲法そのものを考え直して議論をすべきじゃないかというふうに思っております。
 その中で、そもそも何のためということなんですが、一院ではまあこれは不可能であろうと、一院では実現できないものをやるからこそ二院の意義が一番あるというふうに考えております。
 簡単に整理したんですが、物すごい一杯論点はあるんですけれども、ちょっと四つぐらいに絞ってお話をさせていただきたいと思います。
 まず、慎重審議、審議を慎重にやりましょうということに関して言えば、やはりこれは二院でなくちゃできないのかなといったら、一院でもやっぱりできるんじゃないかというふうなところはあると思います。やり方次第によっては有意義かと思うんですけれども、少し論理としては弱いかなというふうに思います。
 次に、長期的な課題、やはり参議院だからできるという話がありますけれども、これに関しては異論がなくて、任期の問題、選挙制度の問題からするとやはり参議院という役割は大きいなというふうに思います。
 ただ、ここについて非常に疑問を持っていることがありまして、先ほど調査会という話ありましたけれども、これ国会法五十四条の二、「参議院は、国政の基本的事項に関し、長期的かつ総合的な調査を行うため、調査会を設けることができる。」という国会法の規定があるんですけれども、私自身はここ、参議院になってからなんですが、やはりこれこそ、まあ国会法という立法の中ではありますけれども、憲法が予定している参議院の役割の一番大きな役割の一つだと思うんですが、この調査会というものが。国会法にも参議院という限定的な形で書かれておるんですが、どうやら衆議院も同じようなことをやっているのじゃないかと。役割分担、明確になっていない。これは参議院の役割だというふうに決められて、法律上ではありますけれども、やりましょうということを衆議院で同じようにやるということからしても、ちょっと二院制の意義が薄らいできてしまっている要因の一つではないか。これをちょっともう一回議論をするべきじゃないかというふうに思いますし、こちら側から衆議院の在り方というものを提案しても、お話ししてもいいんじゃないかというふうに思います。
 また、違うことなんですが、やはり選挙の選出方法の点についてお話ありましたけれども、いろんな意見を、一院ではできない多様な意見を反映するというのはやはり合理的な根拠は十分あるというふうに思います。
 もう一つ、補完的役割についてお話ししたいんですが、これに関しても、一院でやはり検討して可能な役割ということであれば、わざわざ二院制にする必要はない。ここを明確に一つ一つ、一院ではできない、二院だからこそできるという論理をもう少し積み立てていかなければならないというふうに思います。
 また、審議の在り方についてはいろいろ私も提案等ございますが、時間の関係上、今は差し控えさせていただきたいというふうに思います。
 以上です。
○小委員長(舛添要一君) 富岡由紀夫君。
○富岡由紀夫君 私、幾つか私なりの考えを述べさせていただきたいと思います。
 今までずっと審議してきて、やっぱり二院制というのは、やっぱりその機能というのはチェックするためというのが一番大きなところだというふうに思っているんですけれども、そのチェック機能をどうやって果たせるかというやり方なんですけれども、私は二通りあるかと思うんですね。やっぱり一つは制度的にチェックできる体制を憲法なりでちゃんと改めて形式要件をまずそろえるということと、もう一つは運用の中でやり方があろうかというふうに思っております。
 特に思っているのは、法律のところは参議院で否決した場合は衆議院に戻って三分の二以上の議決がないと承認されないというのがあるんですけれども、これをもっと参議院の中で拡大すべきではないかと私は思っております。
 例えば、内閣総理大臣とか予算は時間の制約があろうかと思うんで、今のままでも仕方ないかもしれないんですけれども、例えば条約なんかについては、これはやっぱり慎重を期す必要があると思うんで、条約も法律と同じようにもう一回衆議院に戻した場合は三分の二以上必要じゃないかというようなぐらいにしてもいいんじゃないかと私は思っております。
 それと、やっぱりそういった、何というんですか、法律的な形式的な面と、チェック機能を高めるために必要なのは、もう一つはやっぱり運用の中でどうしても党議拘束という問題が出てくると思うんですね。やっぱり幾ら衆議院と参議院で違う役割を果たすんだといっても、この法律は我が党は賛成だから絶対に賛成だといったら、なかなかその機能が果たせなくなってしまうと思うんですね。ですから、これはいろいろ問題があるかもしれませんけれども、やっぱり本当の参議院の機能を果たすためには、もう党議拘束を参議院については掛けないというぐらい大きな提案をしてみるのも一つのやり方じゃないかと私は思っております。
 いろんな中で、その中で余りにも党の方針と違うことをやってれば党の中で罰せられるかもしれませんけれども、それはもう覚悟の上で、ある程度もう任せるというぐらいの自由度というか、参議院の役割を、私は自由度を高める必要があるんじゃないかと思っております。
 で、いろんな、何というんですか、一つ一つの法案について参議院の方は一人一人が、一応党の中ではいろんな方針はもちろん出すんですけれども、それにのっとって同意する人はそれでもういいんですけれども、どうしてもこれは譲れないというのがあれば、そこは参議院についてはもう党派を超えて各党ともそれを認めるようにすべきだというぐらいな指標を出して、そういうふうにやらない限り、なかなかチェック機能を果たそう、果たそうといっても結局は党議拘束に縛られて、結局は衆議院と同じ、何というんですか、結果になってしまうということに、なるようになってしまうんで、そこは大胆かつそういう思い切ったやり方も一つの提案として考えてみてもいいんじゃないかと私は思っております。
 以上です。
○小委員長(舛添要一君) 森元君。
○森元恒雄君 私は、一院制を取る意見はちょっと別として、二院制が必要だという前提で議論をするにしても、荒井先生の方からのペーパーにもありますように、いろんな項目についてまだ意見が分かれるところがありますよね。それはなぜ分かれるのかなと私なりに思いますと、やっぱり参議院の独自性というとらえ方じゃないかなと思うんですね。やっぱり国会の中での衆参二院制ということは国会の大きな枠組みの中での衆参という位置付けをどう考えるかということであるはずですから、国会というのはどういうものかという根本のところが、衆議院であっても参議院であっても基本的なところは外すわけにいかない。そういうことで考えると、やっぱり国権の最高機関である国会の中の衆議院であり参議院である。やっぱりそういうことを考えますと、直接選挙制というものは、これはやっぱりそういう意味からも捨てられない一つのファクターじゃないかなと思います。
 それからもう一つは、総理の指名権、あるいは閣僚を出す出さないという議論がありますけれども、これもこの議院内閣制という統治構造を取る限りにおいては、これまた衆議院だけではなくて、参議院も同じ位置付けでないとおかしいんじゃないかと。要するに、衆議院は議院内閣制だけど参議院は大統領制だと、議会から見てですよ、というような位置付けになるような参議院というのはおかしいんじゃないかというふうに私は考えます。
 そういう意味で、要するに、その独自性という言葉を使うとそのとらえ方が少し幅が出過ぎるんで、先ほどのお話の中にありましたように、やっぱり役割分担という考え方をもっと出した方が、要するに両方が対等の、同列の立場であるけれども、機能を、役割を分かち合っているんだと、両々相まって国会としての求められている機能を最大限に果たしていくんだと、そのためにはどういうふうに分担し合うのがいいのかという視点が大事ではないかなというふうに思います。
 あと細かな点について三つほど申し上げたいと思いますが、松井先生の方から先ほどありましたように、この参議院がこのチェックの面で機能を果たすというためには、やっぱり事務局、スタッフを充実しないといかぬと、私も全くそのとおりだと思うんですね。我々議員だけで事細かい点まで一つの案件掛かり切って調査するとかあるいは検討するということは物理的、時間的に不可能ですから、やっぱりスタッフ、事務局というものをどう強化していくかということを真剣に考えないといけない。まあ、会計検査院あるいは行政評価局も、当然その一環としての位置付けをどうするかと考えるべきじゃないかと思います。
 それからもう一点は、これ、前にも申し上げたと思うんですけれども、やっぱり審議を参議院として特に腰を据えて実のあるものにするという意味で私は申し上げたいのは、やっぱり定足数、審議の際の定足数はやっぱり外すべきではないかと。これは、今ITがそれこそ進んで、国民が直接この国会の審議を目の当たりにするということが可能になっているわけですから、やっぱり定足数が必ずしもなくても国会としての、国民代表機関としての機能は十分に果たし得るんではないか。時間を掛けてむしろその審議をするということの方が、求められている機能を実質的に果たし得るんではないかと。
 それからもう一つは、どういう案件について役割分担するかという点については、やっぱり、衆議院で三分の二の多数決で成立したものについては参議院は思い切ってやっぱり審議を縮小すると。それは要するに、こっちが否決したって再度向こうが可決すれば通ってしまうわけですから。そういうことをする中で、やっぱり力を入れるべきところに重点的に力を入れて審議をするということもあっていいんではないかなと、そんなふうに思います。
 以上です。
○小委員長(舛添要一君) 吉川君。
○吉川春子君 ありがとうございます。
 ちょっと質問をしたいんですけれども、荒井正吾先生と松井孝治先生が二院制堅持という立場から、しかし参議院はこうあるべきというふうに幾つかおっしゃったんですが、私の関心事は、その中でやっぱり憲法を変えなければできないものが幾つかあるように思うんですね。だから、二院制堅持といえども、参議院の規定を変えるんだということになるとちょっと同床異夢で、最後はちょっと結論が分かれちゃうんですけれども。
 そこをお伺いしたいんですけれども、自民党でいうと、会計検査院は国会の、参議院に帰属、国会又は参議院に帰属するというのは、これ今、会計検査院は独立の院とされて、行政府ですから、これは改憲の必要があるのかなとか、条約についてもそうですね。そういうような問題について、それぞれお二人がおっしゃったことで、憲法の規定を変えていかなきゃならないものというのをちょっと議事録上明確にしておいていただきたいなと思うんですけれども。
○小委員長(舛添要一君) 荒井正吾君。
○荒井正吾君 そういう質問のためにも論点メモで憲法上の論点と。これは、憲法事項ですので、ここで新しい、現行制度、現行憲法と違う意見が出れば変えなきゃいけないと認識しているという意味でございます。現行、米印の付けたのは、現行憲法上ないので新規で憲法挿入せないかぬと、その他のものは、現行憲法と違うものであれば改正せないかぬという意味でございます。
 具体的なのは省きますが、ちょっと、この発言の機会にちょっとこのメモをひとつ、大変マイナーでございますが修正というか追加したいところがございますが、一ページ目の立法及び条約の承認の四角の中の括弧でございますが、立法権は国の唯一の決定機関は国会ということに現行憲法なっていますが、国民投票制が導入された場合はそれが国会の意思決定に代置されるということがございますので、また国民投票制が提案されている向きもございますので、そのコメントをちょっとこの括弧の中に入れさせていただきたいと思います。
○小委員長(舛添要一君) 松井孝治君。
○松井孝治君 まず最初に、補足的な見解を述べることから始めたいと思うんですけれども、一つは、先ほどの私の発言の中で参議院の審議の在り方について発言をしておりませんでしたが、私は、参議院がチェックの院としての機能を果たすためには、例えば議論ももっと、法律の改正部分だけではなくて逐条的な審議をやるとか、あるいは、この小委員会もそうだと思いますが、今度決算委員会で、これはなかなか参議院、例えば二月でいうと閣僚が取れないわけですね、衆議院で予算を議論している。そういうときに、でも、じゃ参議院が何もしないでいるのがいいのかというとそうではないので、これは荒井委員と協議をして、理事会で協議をして、委員間の議論もする、これもそうですけれども。それから、閣僚がいなくても、政府の参考人と参考人を呼んできて、外部の参考人から今の政府の制度についての専門的な意見をもらって、それを政府の意見も聴きながら委員が、国会議員がそれを議論をしていくと、例えば三者協議ですね。
 こういうことをむしろ、だれが法律を通す、与党は法律を通す、野党は反対するということではなくて、例えばODAの問題、あるいはそもそもの決算制度の問題について、今の例えばODAについていろいろ見識を持っておられる方を交えて議論をするというようなことを実験的にこれは決算委員会でやろうというふうにしているんですが、こういう議論の仕方をやはりチェックの院としては、これは憲法事項でも何でもないと思いますけれども、対応をしていかなければいけないのではないかと思うんです。
 同時に、例えば、これ憲法調査会ですが、例えば憲法調査会を発展的に更に変えた組織で、憲法学者も呼んでくる、あるいは場合によっては裁判所のOBの方も呼んできて、例えばこういう解釈について憲法上問題があるのかないのかということを見識を深めるような議論をするなんということは大いにやるべきなんですね。これは決して今の憲法上、今の憲法ではそういう議論が許されないかというと、そういうわけではない。だけれども、そのチェックの院としての参議院がそれなりに、例えば内閣あるいは衆議院の議論で通ったけれども、本当にそれでいいのかどうかという議論を党派を超えて行うということはやはりやるべきではないかというふうに思っております。
 それから、先ほど山本委員のおっしゃった同意人事で大使を是非同意人事の対象にすべきだというのは、私も本当に全く賛成であります。大使であるとか日銀の総裁であるとか、いわゆる内閣の同意人事すべてをやるというのはこれは時間的にも難しいかもしれませんけれども、やっぱりそれは見識を問われる公職というのは多数あるわけで、そういうものについて、単に役所の人が根回しで来て各会派回って、今度同意人事で何とかしてくださいといって議論を党内でしているだけではなくて、それはちゃんと国会で議事録に残すような形で、その方がその国の大使、要するに我が国の、日本政府の顔なわけですから、あるいは中央銀行の総裁であるにふさわしいのかということをきちんと国会の議論として行う。だから、そのための公聴会というのは一定の公職については私は大いにやるべきであって、そういうことはむしろ衆議院よりも参議院の方がふさわしいと私は考えているということを申し述べたいと思います。
 それから、そういうことをやるときに、正に今のこの憲法上は常会は年に一回召集するという規定があると思いますけれども、それだけのことですから憲法を改正せずともできるのかもしれませんけれども、参議院の会期というのを、今の一般の国会の会期と同じようにしておいて、閉会中ってやっぱり身動き、それは閉会中審査もできますけれども、身動きが取りにくい。いろいろチェックをするときに、おかしなことというのは別に国会の会期中に起こるわけではないので、例えば同意人事にしても、あるいはそういう中長期的な課題について適宜外部の専門家も呼んできて委員間が議論をするというようなことをするとしたらば、これはやはり参議院の会期というのは私はもう通年であってもいいんじゃないか、衆議院と参議院の会期が全く同じである必要はないと考えております。
 その上で、例えば、私が申し上げたことについて先ほど吉川委員の方から御質問をいただきましたけれども、例えば会計検査院というのは今の憲法上、財政の条項に規定があるわけですね。会計検査院法第一条において、内閣とは独立の云々という規定があって、会計検査院の位置付けを会計検査院法一条でしているわけです。
 それで、これについて一般的な憲法解釈でいえば、恐らく立法と行政とは独立した立場に置かれているという解釈はあるでしょうけれども、例えばこれは会計検査院法、会計検査院を国会帰属とするということが憲法改正を当然のように必要とするかどうかについては、私は議論があると思います。憲法改正が必要とする議論もあれば、いやいや、これは今だってその帰属は内閣とは独立するということを会計検査院法に位置付けているんだから、同じように会計検査院法に何らかの国会に対する報告義務をもっと強くすることによって国会帰属という色彩を強くするということは十分にできると思いますので、まあそこは、そういうことも含めて議論をするべきだと思います。
 ですから、私は、あくまでも現行憲法の中でできること、あるいは憲法改正が必要なこと、それも含めて、この調査会というのは是非大いに議論をし、最終的にはこの調査会の任期の後にどういう形で国会として憲法についての提言をするのかしないのかということを議論すべきだと思っておりますので、今余り何かについて、これ憲法改正がどうしても必要かどうかという判断をここで合意を取らなければいけないのかどうかというのはちょっと別問題ではないか。むしろそれよりも、参議院の機能、衆議院との関係で、二院制をどういう形で持つことが適切かということを議論し、その結果、憲法改正が必要であれば私はすればいいと思うし、それはまた別の議論ではないかなと思っております。
 以上です。
○小委員長(舛添要一君) 山下英利君。
○山下英利君 ありがとうございます。
 私もまず、私自身が二院制堅持という考え方に基づいて考えているわけであります。というのは、逆を言いますと、一院制の場合に本当に、いわゆるブレーキを掛ける、そういった機能が持てるんだろうかというところが非常に不安があるというところが正直なところだと思います。そして、正にその憲法で言っている中で、やはり両院の議決があって初めて国会の意思決定というところで国会の意思決定というものに対して非常にしっかりとしたものが出せると、そこがまず原点にあります。
 したがって、今、衆参両院定数があるわけで、参議院は数も少ないと。そういった中で、いかに運営をどうするかという側面と、やはり憲法上でうたう側面とは違ってくるんだろうなと。憲法上でうたうところは、やはり国会の立法府としての、やはり最高意思決定機関であるということを明確にすることが必要ですし、その中において二院制の下に参議院がいかにブレーキを掛けられる機能を持てるのかと。私はブレーキ、ブレーキといって響きが何か後退するようなそういうイメージではなくて、やはり一歩下がってしっかりと議論を尽くすということが大変重要なことだと思っておりますので、参議院にその機能をしっかりと持たせてもらうということが私は必要であると思いますし、だから、憲法の改正上これが必要かどうかというところは十分に議論しなきゃいけませんけれども、やはり参議院の決算における立場ですね、これがやはり予算にきちっと影響をもたらせられる、言ってみれば、参議院の決算があって初めて予算が作れるというふうな形に、これは法律上も規定を設けられればと、そういうふうに思っております。
 予算と決算が全くばらばらという状態で本当に国の予算がしっかりと作られているのかという、こういった大変な御議論の中でようやく参議院の決算が動いてきたわけですから、その参議院、じゃ決算をやってそういう指摘しましたと、これが、じゃ具体的にどういうふうに予算に反映されるんですかといったときに、法律上やはりそこを縛る必要があるのかどうかというところは非常に議論をしていただきたいし、私はそこまでやっぱり参議院は踏み込みたいというふうな考え方でおります。
 以上です。
○小委員長(舛添要一君) 愛知治郎君。
○愛知治郎君 私、さっき二院制の、一院制か二院制についてお話があったんです。考え方は二院制の方が私はよいというのは明確に言っておきたいと、私の意見として言っておきたいというふうに思います。
 しかしながら、今いろんな議論ありましたけど、制度的、何で制度があるかといえば、その制度に基づいてある程度の強制力、しっかりとしたルールを作るということでもありますんで、いろんな議論、先ほど私自身、調査会の話をしましたが、趣旨としてみれば、憲法上の制度、つまりその任期の問題ですね、参議院は長期的な課題に取り組むということを前提にしたものを法律に落として制度として作ったけれども、実際の運用のところでちょっと衆議院でも同様なことをしているとか、活用の仕方、幾らでも変えられるような活用の仕方になっている、そういう制度になっているというのは一番の問題じゃないか。仮に、仮に、憲法上、参議院にのみそういった趣旨の調査会が置けるという形になっていれば、同様なことは衆議院でできないわけで、仮にの話ですけれども。
 もう一つ、森元委員からありましたけれども、定足数の話とかですね、これは、委員会が最初スタートするときには定足数は認めなくちゃいけないけれども、その後というのは常にいなくちゃいけないという話ではないんですよね。そこの運用というか制度をどう使うかというそもそもの趣旨の部分と実際に運用されている、使われている部分、しっかりと明確にしなくちゃいけないし、それが守られてない、そもそもの趣旨が守られてない部分をしっかりと制度として再構築していく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 以前、私自身も極論を申し上げたんですけれども、田先生がおっしゃっている緑風会の精神、これはこうあるべきだというのは分かるんですけれども、実際にそれを実現させていくためにはやはり制度的な、制度的な何というんですかね、保障というか強制力というのを伴わなくてはいけない。それで、あくまでも極論ですけれども、憲法上、政党の位置付けを明確にして、ただし、参議院はそういった政党色を排除するための制度的な担保が必要なんではないか、そういうことも一つ考えなければいけないんではないかというお話をさせていただいたんですが、いずれにせよ、憲法の中でその制度をしっかり守らせるために、守らせるためにというか、あるべき姿だけではなくて、憲法の中にその制度をしっかりと構築していく必要性はあるんではないかというふうに思います。
 以上です。
○小委員長(舛添要一君) 他に御発言はございませんか。
 簗瀬会長代理。
○会長代理(簗瀬進君) お許しをいただきましてありがとうございます。
 会長代理なんで本当は発言しない方がいいのかもしれませんけれども、若干、今までになかった観点から、私も、二院制は堅持したいといいますか、二院制であるべきだと、むしろ積極的にこういうふうに申し上げたいと思います。
 私は、両院の違い、いろいろあるんですけれども、一つの大きなものは、解散がある院と、それから解散のない、任期というようなものを持っている院と、これは非常に大きな意味を持っているんではないかなと、このように思っております。
 解散というのは、正に時の内閣といいますか、権力が議会を解散をし、そして民意を問うと。すなわち、解散の時期をいつにするのかということについては政治的な権力を持っているところが決定をすることができる、動かすことができる、そういう民意を問う時点の決定でございます。ところが任期は違います。任期が六年という形になりますと、時の権力がどう思おうと、その任期が来たときには選挙をやらなければならない。すなわち、民意を問う義務が当然に生じてくるというのがこの任期という意味でございます。
 しかも、我が憲法というようなものは、この任期を六年ということの半数改選という形で、六年ごとという形じゃなくて、三年ごとに権力側としても民意を問わなければならないと。こういうふうな民意を問う機会をある意味で強制をしているのがこの任期なんですね。私は、正にこれが民主主義の大変な英知の表れなんではないのかなと、こう思っております。
 やはり国民の意見が分裂をし、対立をしたときには、やっぱり院を解散をして、そしてその時点時点での国民の意思を明確に把握をしなければならない。そういう政治的な考慮も必要でありましょう。しかし、それと同時に、権力は自分の都合が悪くなりますと選挙はしたくありませんから、別の時期にずらしたいと。しかし、任期を持っていると、それをある意味でずらすことはまかりならぬというようなことがこの任期なんですね。
 私は、正にそういう意味で、任期を持っている参議院、三年ごとの改選という、そういう三年ごとに必ず国民の意思を問うのが強制をされる、そういう院と、もう一つ、時々の政治的な状況の中で解散をして、その時点時点での民意を確認をする、そういう機能を持った衆議院と、正にこの二つの性格の違う院を持っているというようなことが非常に重要な意味を持っているんではないのかなと思っております。
 何を言わんとしているかといいますと、先ほど山下さんのお話にもありましたけれども、ブレーキを掛ける、じゃ何にブレーキを掛けるんだろうか。私は、やっぱり人類の長い歴史の中から、民意も暴走することがあります。何かの突発的な、例えば大虐殺等があったりして民意が急激に振れることもある。しかし、そういう民意であっても時間がたてばまた冷静に戻ることもある。そういう中で、縦軸の沸騰した民意と、それから横軸の時間系列の中で、一つ一つの民意というようなものをチェックをしていくというようなものをやっぱり併せ持った制度を作っていくというようなことが今までの人類の歴史の中から生み出された英知なんではないのかなと思うんですね。そういう意味で、民意の暴走、それと同時に時の民意の代表だった権力も暴走することも当然あるわけで、そういう部分をチェックをする機能をしっかりと持った制度としてこの日本国憲法の両院制が作られたんではないのかなと、こういうふうに考えなければならないと思っております。
 でありますから、またその中から参議院の直接選挙を否定するということは、ある意味で民意を任期の中でしっかり問わなければならないということを非常にモデラートにしてしまうことになるわけでございますから、これも実はおかしな話だと思うんですね。
 こういうふうな観点から、やはり二院制、しかも国民の意思を問う機会を三年ごとにしているという、この一つの大変妙味のある制度というようなものは私は維持した方がいいんではないのかなと、こういうふうに考えます。
○小委員長(舛添要一君) 関谷会長。
○会長(関谷勝嗣君) 前回の小委員会のときと同じような流れになりまして、簗瀬先生がお話ししたのでつい、じゃ私にもという委員長からの指名でございます。私はちょっと、この五分以内というのはちょっと過ぎるかもしれませんけれども、総括的というと恐縮ですが、二、三述べさせていただきたいと思うんですが。
 小泉総理が、今、吉川先生がおっしゃられましたが、小泉さんなどは一院制だというような意味で発言しておるとおっしゃいましたが、私もそういうふうに取りますけれども、小泉さんが一院制の方向でというふうに言ったその理由は、私は大きく二つあると思うんです。
 一つは、例えば予算委員会とかにおいても、衆議院で質問されたようなことがまた参議院で同じようなことを何度となく質疑をされると。それで、どういいましょうか、同じようなことを聞かれて、そんな意味がないじゃないかということで彼は思ったことと、そして先ほど松井先生がおっしゃりましたのは、もう一つは、やっぱり審議のスピード感がない、ダイナミズムがないというお話もございましたが、そのスピードを得るためにはこの二院制であるとダブルでそれだけ時間が掛かるというような、そういう考え方で小泉さんは、そうです、一院制がいいんじゃないかというような意味で、そういう検討をしてほしいというふうに言われたんだろうと思うんです。
 ですから、そういうようなことに対して打ち返していくためには、やはり衆議院で賛成された案件、法律案が参議院で否決をされたということになれば、もうそれでもう駄目になるぐらいの思い切った両院の関係にしないと、先ほど田先生がおっしゃられた小選挙区制の法律案も、あの当初、私、衆議院にいたんですけれども、私はあの小選挙区制、今でも反対です。今でも反対なんですが、その参議院で反対をしてくれるからというのが向こうで私たちの耳に入っておりました。ですから、それで私は安心しておったんです。そして、確かに参議院で否決してくれました。ああ、良かったなと私、感謝しました。そうしたら、夜のうちに細川さんと河野さんが何か話合いであれ決まったでしょう。ですから、私、あれは法律的に正しいんかなと思っておりますが、あんなことはできないんじゃないですか。あれ、法律でできるんですか。できないでしょう。私はおかしいと思っておるんです。
 ですから、これはやっぱり参議院で否決されたら、今もおっしゃいましたように、三分の二以上の賛成で、今の両院協議会に返ってきて三分の二以上あればまた成立するというんですから、もしその制度がなくならない限りにおいては、それをいかに参議院で反対したってあのような結果になってしまうわけですから、もう参議院で否決された場合には駄目、逆に言えばもう一つ、衆議院で三分の二以上の賛成があればもう参議院に送ってこなくてもいいぐらいの、もうドラスチックなというか、ある意味においてはちょっとむちゃなという言葉が出るかもしれませんが、それぐらいの違いというものを出してこなければ。
 ですから、衆議院の、まあどういいましょうか、決定権が十あったとして、そしてその同じような案件に対して参議院が賛成するとその決定権が八というような力のバランスにあるならば、もうそんな八なんか要りません。もう参議院は全然そのことに関知しなくてもいいというような、両院がもう全く違った権限を持ったものに私はやっぱりしていかなければならないんではないかなと思っております。
 それと、これも田先生がおっしゃられましたけれども、私も衆議院に二十四年いまして、今こちらで、参議院でお世話になっておりますけれども、こちらへ来まして、ああ、これが参議院だなと思いましたのは調査会です。私、こちらへお世話になって最初に就けていただいたのが国際問題調査会の会長でございました。それを結局三年半ばかり務めさせていただいたんですが、これは本当にいい制度です。衆議院にもありません。これは全くいい。僕は本当に、国会議員になって、これぞおれの役職だと思ったことがございます。
 それで、あの国際問題調査会の中でも、あれ、先生も、田先生も委員でいらっしゃったんですけれども、国連の通常総会には各国の議員が、一月でございますか、総会のときに国連に出席をして、国の代表の、例えば総理が行かれたらその方に対する、どういいましょうか、バックアップをするというか、そういうようなことをやる。だから、そういうことをやるべきだという国会報告を出したんです。出したけれども、もう出しただけで、その結果が返ってきていないんです。ですから、田先生おっしゃったように、やっぱりもう責任持って政府がそういうことに対してはその後どういうふうにそれに対処したという、それだけのまだ、強い権限を与えるものにすれば、なおこの調査会というのは良くなっていくんではないかと。
 これは、今もこの国会法を見ますと数は三つに制限されておりますけれども、本当に必要な場合だったら、そのときだけでもいいからもう一つ増やして四つにすることであったっていいと思います。基本は三つですよと、しかし緊急の場合は、例えば年金のことはどうしてもやらなければならないというときはもう一つ増やしましょうとか、そういうようなこと。そういうようなことをやれば、私は、もう世間がもう二院制じゃなければならないということは今以上に大きな世論が起こってくるんではないかなと、そんなことを思っております。
 ですから、今回、私、そういうようなことで今憲法調査会もさせていただいておりますけれども、そういうことにとっても私は本当に感謝をいたしております。しかし、小選挙区制が通らなければこちらに来させてもらっていなかったから、その結果だけはよかったのかなと、そんなことを思っております。本当に皆さん、ありがとうございます。
○小委員長(舛添要一君) 他に発言はございませんでしょうか。よろしゅうございますか。では、他に御発言もないようですから、本日の意見交換はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十四分散会

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