憲法を調査する国の機関としては、かつて、内閣に「憲法調査会」が設けられたことがあります(憲法調査会法(昭和31年法律第140号)に基づく)。同調査会は、昭和32年以来、7年にわたって調査審議を行い、昭和39年に内閣及び国会に報告書を提出しています。なお、この憲法調査会は昭和40年6月に廃止されております。
一方、国会において、憲法は本会議、常任委員会、特別委員会、参議院の調査会等の場で個別的、具体的に議論されてきましたが、憲法制定後50年余を経、憲法について広範かつ総合的に調査する機関を国会に置く必要性が議論されるようになりました。このような状況の下、第145回国会において国会法が改正され、両院に憲法調査会が設置されました。その経過は次のとおりです。
平成11年3月2日
自民・民主・公明・自由・改革の各幹事長から衆議院に議案提出権を有しない憲法調査会を設置するよう、今国会中をめどに結論を出すべく協議願いたいとの要請が行われる。
3月から7月
衆議院議会制度協議会(衆議院議長の私的諮問機関)、衆議院議院運営委員会国会法改正等に関する小委員会で協議。
7月6日
衆議院に憲法調査会を設置することを内容とする「国会法の一部を改正する法律案」及び「衆議院憲法調査会規程案」を小委員会の起草案とすることを協議決定。
同日
衆議院議院運営委員会で両案を議院運営委員会提出の法律案及び規程案とすることを決定。
同日
両案を衆議院本会議において可決。国会法改正案は参議院に送付。
7月13日
国会法改正案が参議院議院運営委員会に付託。
26日
提出者(衆議院議院運営委員長)に対する質疑(憲法調査会の権限、憲法調査会と憲法の最高法規性との整合性等)の後、参議院にも憲法調査会を設置する旨の修正議決が行われ、同時に「参議院憲法調査会規程案」を決定。
同日
両案を参議院本会議において可決。修正を加えた国会法改正案を衆議院に回付。
29日
衆議院本会議で回付された国会法改正案に同意、成立。
平成12年1月20日
第147回国会(常会)召集。両院に憲法調査会設置。
日本国憲法について広範かつ総合的な調査を行い、調査を終えたときは、調査の経過及び結果を記載した報告書を作成し、これを議長に提出することになっています。また、調査の経過を記載した中間報告書を作成・提出できることになっています。
調査会は45人の委員で組織され、委員は、各会派の所属議員数の比率により、各会派に割り当てて選任されます。
会長は、憲法調査会を代表し、委員の互選により選任されます。また、調査会には9人の幹事を置き、会長は、幹事会を開会して、調査会の運営に関する協議を行います。
憲法調査会は、会期中であると閉会中であるとを問わず、いつでもこれを開会することができることになっています。
会議は公開としますが、決議によりこれを非公開とすることができることになっています。
その他、憲法調査会は、小委員会の設置、委員派遣、国務大臣等の出席及び説明要求、公聴会の開会等を行うことができることになっています。なお、
の3点について議院運営委員会理事会で申合せ(平成11年7月23日「憲法調査会設置に関する申し合わせ」)がなされています。
国会法第102条の6 日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行うため、各議院に憲法調査会を設ける。
国会法第102条の7 前条に定めるもののほか、憲法調査会に関する事項は、各議院の議決によりこれを定める。
*第167回国会の召集日(平成19年8月7日)から、憲法調査会に代えて憲法審査会を設置する旨の改正国会法が施行されており、上記条文は憲法調査会当時の規定となります。