第217回国会(常会)

令和7年6月18日(水)第6回

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日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(憲法に対する考え方について(国民投票法等について))
【主な発言項目】
若林 洋平 君(自民)
  • インターネットの広がりやフェイクニュースなどの課題に対する広報協議会の役割について、衆参それぞれで議論を深め、論点を整理し、規定の整備を検討すべきとの見解
  • 公職選挙法にある投票環境の整備のための規定を国民投票法に早急に反映すべきとの見解
  • 衆議院憲法審査会幹事会で提出された選挙困難事態における国会機能維持条項の骨子案について、参議院の自民会派としては、自民党の憲法改正実現本部で了承された事実はなく、あくまで衆議院側の幹事、オブザーバー5名のものと理解しているとの見解
熊谷 裕人 君(立憲)
  • 衆議院憲法審査会幹事会における4党1会派による骨子案提出は、参議院憲法審査会での真摯な議論の積み重ねを根底から否定し、参議院の存在についても否定することにつながりかねない暴挙であるとの見解
  • 国民投票における放送広告については、勧誘広告は主体を問わず、意見広告は政党等に限り、全運動期間にわたって禁止とし、放送事業者に公平・平等の取扱いの努力義務を課し、インターネット関係では、政党等による有料ネット広告の禁止、ネット広告事業者等による掲載基準策定の努力義務やネットによる勧誘、意見発信の際の表示義務や適正利用の努力義務を課すことが必要との見解
  • 国民投票における資金規制として、収支報告書の提出及び公表の義務、支出額の上限規制、外国勢力からの資金援助の禁止などが必要との見解
谷合 正明 君(公明)
  • 国民投票運動のための広告放送については、現行法以上の規制は広告の出し手である政党側と受け手の放送事業者等のそれぞれの自主規制に委ねられるべきであり、インターネット広告についても同様に、政党側の自主規制と事業者側の自主的な取組を併せて推進し、表現の自由と投票の公平公正のバランスを図っていくべきとの見解
  • 広報協議会がSNSやウェブサイトを通じて積極的に情報発信ができるよう、事務局にAIがデジタル社会に与える影響について造詣の深い専門家を招聘し、さらには、フェイクニュースの予防に有効とされているプレバンキングの手法を使って、広報協議会が情報の空白を埋めるための情報発信を行うことについても検討を進めるべきとの見解
  • フェイクニュース対策には多面的な取組が不可欠であり、外国などからのフェイクニュース拡散による世論操作に対しては、政府の外交及び安全保障上の取組が求められるほか、広報協議会が作成する広報について、SNS事業者や検索事業者等に対し、アルゴリズムから切り離し優先的に表示されるようなシステムの構築及び稼働を要請することも有効な対策となり得るとの見解
浅田 均 君(維新)
  • 我が国の政治、行政は技術的なパラダイムシフトともいえる現実に対して鈍感であり、生成AIによって作り出された生成AIが社会に介入するとき、その責任の所在や取り締まるためのルールが存在しないとの指摘
  • 国民投票においては、プライバシーとセキュリティの確保、アクセスの平等性の担保、そのための法的整備といった形式的な課題への対処のみならず、情報の公平性と信頼性という実質的な部分に踏み込んで議論を進める必要があり、特に、国民投票の論点に関する虚偽事項の公表を規律する条項は必要との見解
  • インターネットやSNSを国民投票の広報活動に利用することは、国民の意識と参加を促進し、民主主義の深化に貢献するとの見解
川合 孝典 君(民主)
  • AIの普及による個人の自律性への影響や、プラットフォーム提供者によるマイクロターゲティング、フィルターバブルによる民主主義への影響を鑑みて、憲法13条が定める個人の尊重を仮想空間へ適用すること、情報自己決定権、内心の思想や良心の形成プロセス自体の自由がゆがめられることがないようにすることの憲法への明記を検討すべきとの見解
  • プラットフォーム提供者に対して、表現や編集の自由などにも十分配慮しつつ、サイバー空間において自律的かつ多様な言論を通じた熟議が可能となるよう必要な措置を講ずる責任や、経済活動の自由などにも配慮しつつ、透明性、公正性を向上させるための一定の責務を課すことを検討すべきとの見解
  • 多様な言論空間の確保や、公正かつ自由な競争秩序を確保する上での国の責務や国会関与の必要性についても、今後検討する必要があるとの見解
仁比 聡平 君(共産)
  • 韓国大統領選挙において偽情報に対するファクトチェックや削除要請が追い付いていなかったこと、メタが投稿のファクトチェックを取りやめたことなど、状況が悪くなり続けている深刻さを深く受け止めるべきとの見解
  • 自己情報コントロール権の保障の明確な位置付けを始め、個人情報保護法制を、企業が個人情報を利用しやすくする方向ではなく、国民の人権を拡充する方向で、強化することが求められているとの見解
  • 個人情報の収集やプロファイリングはプライバシー権、内心の自由、人格権など国民の基本的人権を侵しかねない重大な憲法問題であるという認識の下、憲法的価値の実現について世界の取組に学ぶことが重要との指摘
山本 太郎 君(れ新)
  • 国民投票法には、広告宣伝活動に対する明確な規制がほとんどなく、極めて不備が多いが、そのような欠陥法を求め、推進してきた勢力が日本経済団体連合会であるとの見解
  • 日本民間放送連盟が、表現の自由を持ち出し、放送に求められる公平性の確保を拒否しているのは、国民投票運動による特需を見越して、自らのもうけを優先させたことによるとの見解
  • 日本に海外のような厳格な広告宣伝活動への規制がないことにより、資金力のある陣営が無制限に活動できる無規制の国民投票となるため、国民投票の結果にかかわらず、国民の間の分断が深まる懸念があり、厳格な規制が必要との見解
髙良 鉄美 君(沖縄)
  • 立憲主義構造における最終の憲法保障として主権者国民に国民投票を信託していることからすれば、フェイクニュース問題に注意し、議論することには意味があるとの見解
  • 憲法改正権力を有する国民から具体的要求がないにもかかわらず、憲法99条の憲法尊重擁護義務のある国会議員が独善的な権力行使によって定めたのが国民投票法であり、その制定の必要性、緊急性はないとの見解
  • 国民投票法に最低投票率の規定はなく、有効投票数の過半数で決めるとして低い投票率での改憲が可能になるが、主権者国民の意思の軽視になることから、憲法96条の憲法保障の趣旨を捉えた上で、立憲主義的な解釈や比例原則をも考え、その過半数の同意という単純な文理解釈をすべきではないとの見解
臼井 正一 君(自民)
  • 国民投票法について、憲法改正を決する主権者の意思がゆがめられることがないよう、広報協議会が果たすべき機能をどう規定に反映させていくべきか、各級選挙における実例を分析し、スピード感を持って対応すべきとの見解
  • 今国会の憲法審査会において、緊急集会を始めとする様々なテーマに関して各会派から有意義な発言があり、これらを整理することは今後の議論の土台となるとともに、参議院の機能を高めることにつながるとの見解
松沢 成文 君(維新)
  • 憲法改正の国民投票は、日本国の主権や国民の意見を直接反映する極めて重要なプロセスであるが、外国からの介入のリスクが高く、サイバー攻撃による国民投票インフラのハッキングや選挙関連機関の情報流出、SNSを通じた情報操作と世論誘導、外国勢力からの資金提供による間接的な世論誘導といった危険性があるとの見解
  • 国民投票に外国勢力の干渉が及ばないようにするためには、外国資金規制やプラットフォーム規制の法整備、プラットフォームとの協力、サイバーセキュリティーの強化、国民の情報リテラシー向上を図ることが重要との見解
福島 みずほ 君(立憲)
  • 衆議院憲法審査会5会派による選挙困難事態における国会機能維持条項の骨子案は、参議院の自民党、公明党の発言と異なるものであり、また、選挙権の行使を禁止し民主主義の過程を通して国会、内閣が作られることを阻止するものであり独裁にしかならないとの見解
  • 国民投票法の令和3年改正法附則4条について、1号のみならず2号も十分に検討し、問題が解決しなければ、公平及び公正が担保されず正当性を有しないため、国民投票を行うわけにはいかないとの見解

※上記発言項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。発言の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。

令和7年6月4日(水)第5回

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日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(憲法に対する考え方について(国民投票法等について))
【参考人の意見骨子】
北九州市立大学法学部准教授
山本 健人 君
  • 偽情報等について、様々な対策を多面的同時並行的に実施し、対策の検討に当たっては、想定される対策の効果及び選挙運動の自由・表現の自由に与える影響を考慮する必要性
  • 基本的な偽情報等への対策の方向性は、偽情報等の量又は接触機会を減らすこと、正確な情報やファクトチェック記事の発信によって偽情報等に対抗する言論を増やすこと、情報受領者のメディアリテラシーやICTリテラシーを高めることであるとの見解
  • 選挙に際しては公職選挙法で虚偽事項公表罪が規定されているところ、国民投票法では国民投票の論点に関する虚偽事項の公表を規律する条項が必要ではないかと考えるが、いかなる事項を虚偽事項として絞り込むかは表現の自由との関係で慎重な検討が必要になるとの見解
  • 独立性を損なわせない形での政府によるファクトチェック機関支援は、検閲的なものではなく、公的助成の文脈で理解されるべきであり、許容されるとの見解
日本ファクトチェックセンター編集長
古田 大輔 君
  • 日本ファクトチェックセンターの取組
  • 偽・誤情報に対する対策としてファクトチェックは必要不可欠であるが、これに限らない複合的な対策が必要であるとの見解
  • 公正性に配慮するため新聞・テレビによる報道が減る選挙期間(情報の空白)においてファクトチェックを検索結果上位に表示する必要性
  • 個人の体験・感覚に根ざしたところにナラティブが生まれることによる偽・誤情報の拡散を防ぐには、メディア、ファクトチェック機関、政府への信頼が必要との見解
大阪大学社会技術共創研究センター特任准教授
工藤 郁子 君
  • 情報空間のエコシステムの問題も踏まえた偽・誤情報対策検討の必要性
  • 国民投票運動におけるインターネット広告の、表現の自由に最大限配慮した透明化に向けた見解
  • シャープパワーと呼ばれる外国グループによる介入は国家安全保障上の大きなリスクであり、対策が必要であるとの見解
  • インターネットに関する全般的な問題と国民投票に固有の問題とを区別した議論の必要性
【主な発言項目】
佐藤 正久 君(自民)
  • 切り抜き動画から国民投票、選挙の公正性を守るための方策及び選挙運動と国民投票運動における対応の差異
  • 自由な技術開発と利用は尊重しつつ生成AIによるディープフェイクなどから民主主義の健全性を守るための方策
小沢 雅仁 君(立憲)
  • 国民投票広報協議会とファクトチェックを行う民間団体との連携の在り方
  • 情報インテグリティの重要性及び国民一人一人が持つべき偽情報等に対する知識
  • ディープフェイクに関するAI技術とこれを見抜くAI技術の現状
谷合 正明 君(公明)
  • 偽情報対策における選挙と国民投票での規制の在り方の差異
  • ファクトチェックにおける国民投票広報協議会の役割とその体制に関する見解
片山 大介 君(維新)
  • 偽情報と誤情報への対応の異同
  • 国民投票におけるターゲティング広告の規制の在り方
  • 国内発の偽情報と海外発の偽情報への対応の差異
上田 清司 君(民主)
  • 国民投票法において最も危惧される問題
  • 世の中にあふれる情報を常にチェックしていくのに日本で必要となるファクトチェック団体の規模
  • 公的機関によるファクトチェックについての諸外国の例
仁比 聡平 君(共産)
  • ディープフェイクを含めた膨大な偽情報が拡散される中でのファクトチェック現場の実情及び深刻さについての認識
  • デジタル言論空間においてデータに関する個人の主体性が失われつつある状況を変える必要性に関する見解
  • プロファイリングで他人から自己決定されないための取組とEU・日本における議論の差異
山本 太郎 君(れ新)
  • 国民投票におけるCM規制などが不十分なままで改憲の発議を急ぐ議論が進むことに対する見解
  • メディアに対するスポンサー企業等の影響力
  • フェイクニュース対策と称した国家介入の危険性
髙良 鉄美 君(沖縄)
  • 国民投票との関係におけるデジタル立憲主義の意味
  • ファクトチェック支援に関する国会議員への要望
  • 憲法改正とシャープパワーの問題
山本 啓介 君(自民)
  • 外国勢力の関与が指摘されるAIによる選挙攪乱のような国家安全保障上のリスクを生じかねない事案に対する海外の体制
  • 国民投票や選挙における偽情報等への情報流通プラットフォーム対処法の活用
柴田 巧 君(維新)
  • 国民投票におけるデジタル空間でのプロミネンスについての見解
  • 検索結果にファクトチェック記事を並べることの重要性についての見解
田島 麻衣子 君(立憲)
  • 表現の自由の観点から慎重な検討を必要としつつも国民投票においてアテンションエコノミー等を利用した行為の収益化規制を検討する必要性
  • フェイクニュース対策としてのプラットフォーマーによる収益化停止についての見解

※上記発言項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。発言の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。

令和7年5月21日(水)第4回

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日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(憲法に対する考え方について(憲法と現実のかい離))
【主な発言項目】
中西 祐介 君(自民)
  • ほとんどの会派により合区解消が必要であると認識されている中、最高裁判決の指摘、世論調査、海外事例や緊急時の対応といった観点からも、本年行われる参議院選挙で5度目の合区選挙が行われるのは立法府の不作為というべき事態であり、人口数だけを尺度に地域を代表する参議院議員を減らすということは、立法府がこの国における負の循環を促しているようなものとの見解
  • 憲法学者や地方政治学者、全国知事会の指摘から見ても、憲法における地方自治規定の規律密度の低さと、地方自治体が果たす役割の重大さと大きさという現実は、まさに是正すべき憲法と現実のかい離であるとの見解
  • 参議院改革協議会に対し、令和10年の参議院選挙においては合区の弊害が解消された選挙が実施できるよう不退転の意思と計画性を持った審議を強く要請するとともに、憲法審査会においては、地方自治と選挙制度の現状に鑑み、憲法第8章の地方自治などについて議論を更に深めるべきとの見解
福島 みずほ 君(立憲)
  • 憲法尊重擁護義務を持つ国会議員がなすべきことは、憲法理念が生かされていない現実の中で憲法改正を主張することではなく、現実を憲法に合わせ、憲法が保障する基本的人権が生かされる平和な社会をつくっていくことであり、憲法審査会にもその役割が期待されているとの見解
  • 夫婦同姓の現行制度は憲法13条、14条、24条に反しており、同性婚を認めないことについては五つの高裁で違憲判決が出ているが、夫婦別姓と同性婚を実現できていないことは国会の怠慢であり、国会議員は憲法と現実のかい離を埋める努力をすべきとの見解
  • 生活保護基準の引下げ、訪問介護報酬の減額、高額療養費の自己負担額引上げなどの生存権の侵害、安保関連法や安保三文書の具体化による憲法9条破壊、審議中の学術会議改革法案、内閣が臨時会を召集しなかった過去の事例など、多く存在する憲法と現実のかい離を埋めるべく、法律制定、法改正や政策の転換をすべきとの見解
平木 大作 君(公明)
  • 高裁で5件の違憲判決が出そろった同性婚の問題など、これ以上立法府の不作為によって個人の尊厳に関わる憲法的問題を放置すべきではないとの見解
  • 個人の尊厳に関わる問題については最高裁判決が出るまで放置し、一方で、緊急事態時における任期延長の議論に専心する姿は、国会議員が自分たちの身分保障にきゅうきゅうとしているようにしか見えないことに自覚的であるべきとの見解
  • 憲法9条に自衛隊を明記すべきとする主張については、議論が積み重ねられてきた憲法解釈の安定性を揺るがす危険性があり賛成できないが、我が国最大の実力組織である自衛隊に対する内閣や国会による民主的統制を憲法の統治機構の中に位置付けることについては、検討に値するとの見解
浅田 均 君(維新)
  • 時代の変化がもたらした憲法と現実のかい離は、①国民主権と国民の政治参加、②基本的人権の尊重と社会の不平等、③安全保障環境の変化、④教育の機会平等と教育格差、⑤地方自治と中央集権、統治機構の硬直性、⑥情報技術とプライバシーの保護、⑦グローバル化と国際関係、⑧環境問題と持続可能性の8点であるとの見解
  • 憲法96条の高いハードルにより、時代の変化に応じた柔軟な憲法改正が難しいことも事実だが、国民投票が成立寸前まで来ているのも事実であるとの見解
川合 孝典 君(民主)
  • 憲法制定時には想定されていなかったデジタル化に対応して個人の尊厳を守り続けるための基本理念として、憲法13条に定める個人の尊重をサイバー空間へ拡張する必要があり、その上で各論的な人権保障規定として、14条関係では遺伝的属性による差別の禁止、18条関係では情報自己決定権の保障の追加を検討することなどが挙げられるとの見解
  • プラットフォーム提供者が言論空間のみならず経済活動分野においても甚大な影響力を有している現状に鑑み、憲法21条に熟議可能な言論空間の確保規定を追加することや、プラットフォーム提供者の責務やその環境整備に関する国の責務に関する規定を22条に追加することが検討されるべきであるとの見解
  • デジタル時代の民主主義の在り方として、選挙や国民投票の公正を確保するための規律についても、憲法上明確にしておく必要があるか否かについて検討する必要があるとの見解
仁比 聡平 君(共産)
  • 日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳代表委員が、日本政府が一貫して被爆者への国家補償を拒んでいるとノーベル平和賞授賞式の場で発言されたが、自民党政治が戦争の被害は受忍せよとの誤った立場を改めず、5年間で43兆円もの大軍拡や日米軍事一体化を進めていることは憲法の平和原則を根底から覆す暴挙であるとの見解
  • 日米同盟絶対の戦争する国づくりへの暴走は、米国とともに世界から孤立する道であり、対話と外交の力で戦争の心配のない東アジアをつくり、憲法を生かす国民的な共同が必要との見解
  • 同性婚の実現及び選択的夫婦別姓問題について、党派を超え、根深い家父長制的な固定観念を乗り越えて、誰もがお互いを尊重し合い、ジェンダーに基づく支配や暴力、差別のない社会に変えていくことが必要との見解
山本 太郎 君(れ新)
  • 生活保護受給者、能登半島地震、奥能登豪雨の被災者、就職氷河期世代、奨学金債務のある若者らが苦しんでいるのは、憲法13条、25条が保障する基本的人権が侵害されているためであり、国がこれを長く放置する事例が多すぎ、これらを取り上げ、調査と対策を進めていくための議論が必要との見解
  • 憲法審査会の最優先課題は、現行憲法をほごにし、30年続く悪政とその検証、それを改める具体を政府に突き付けることであるとの見解
髙良 鉄美 君(沖縄)
  • 憲法の最高法規性からすれば、憲法とかい離している現実を問題にし、議論していくのが国会の役割であるとの見解
  • 憲法改正をすることが国会議員の義務であるとの主張は独善的であるとの見解
  • 現実に合わせるように憲法を政策的に変えていくのではなく、現実を憲法に適合するように政策を策定し実施していくのが、法の支配の実現であるとの見解
和田 政宗 君(自民)
  • 繰延投票では、先行する投票結果を受けて繰延投票の結果に影響が出かねず、また、被災地以外の地域での衆議院選挙を受けて特別国会が召集された場合、特に災害対応や復旧復興に全力を注ぐべき重要な局面で被災地の意思が反映されないまま国会において様々なことが決定されることへの懸念があるとの見解
  • 災害時に民主主義の根幹である選挙を守るために、繰延投票などの現行制度について論点を整理しつつ、あらゆる事態を想定して憲法で備えることについて、現行憲法のままで対応可能か、憲法改正が必要かの議論を更に深めるべきとの見解
松沢 成文 君(維新)
  • 参議院議員は6年の任期が保障されており、衆議院議員より中長期的な政策を大局に立って審議し結果を出せるはずが、衆議院憲法審査会の後追いをするだけで憲法改正審議の主導権を全く発揮できない参議院憲法審査会の現状こそが国民の憲法改正に対する期待と現状のかい離ではないかとの見解
  • 現行憲法の最大の問題点は、国の存続のため必須の条件である国家安全保障と国家緊急事態の対応を定めた条文の欠如であり、憲法9条については侵略戦争を否定した上で自衛権を明記し文民統制下に置くと改正し、国家の緊急事態に憲法秩序を守りながら対応できるよう新たな条項を加えるべきとの見解
打越 さく良 君(立憲)
  • 世論調査を見ても改憲に前のめりな姿勢はいさめられており、憲法審査会の第一義的な責務は日本国憲法に違反すると主張されながら改正されずに放置されている法律について調査を行うことであるとの見解
  • 夫婦同氏強制は憲法違反だとする学説が多数とされ、同性婚訴訟では高裁の違憲判断が続き、選択的夫婦別姓や同性婚を認めれば社会の幸福は確実に増えるにもかかわらず、反対する国会議員は憲法尊重擁護義務に背を向けていると言わざるを得ないとの見解

※上記発言項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。発言の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。

令和7年5月7日(水)第3回

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日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(憲法に対する考え方について(災害時等の選挙制度))
【笠置総務省自治行政局選挙部長の説明骨子】
笠置総務省自治行政局選挙部長
  • 国会議員の任期、選挙期日を定める憲法及び公職選挙法の規定の概要
  • 繰延投票の制度趣旨及び国政選挙における実施例
  • 災害時の避難者の投票機会確保のための取組
  • 選挙人名簿と災害対策
【参考人の意見骨子】
一般社団法人選挙制度実務研究会会長
大泉 淳一 君
  • 公職選挙法における天災関係の主な規定
  • 国政選挙における繰延投票の例及び法律により選挙を延期した例
  • 災害に係る近時の公職選挙法改正等
  • 災害と選挙についての留意点
一般社団法人選挙制度実務研究会理事長
総務省管理執行アドバイザー
小島 勇人 君
  • 東日本大震災時、川崎市選管事務局が陸前高田市への選挙支援を行うまでの経過
  • 川崎市選管事務局が行った陸前高田市への選挙執行事務支援の具体例
  • 被災地の選挙執行事務支援に際しての現地との意思疎通、信頼関係の必要性
  • 人材育成、全国の市町村選管の組織とマンパワーの充実、都道府県選管の現場実務に対する理解、政府、都道府県選管、市区町村選管の連携による協力体制の必要性
【主な発言項目】
佐藤 正久 君(自民)
  • 繰延投票の制度趣旨及び繰延可能期間
  • 繰延投票となった対象地域における選挙運動の期間や選挙費用の扱い等について見直す必要性の有無
小西 洋之 君(立憲)
  • 繰延投票の合憲性
  • 災害規模又は繰延期間に基づく繰延投票の法律上の制約の有無
  • 大規模災害発生時、被災していない地域が着実に選挙を終わらせ、そのマンパワーで被災地域への支援を行うことの妥当性
矢倉 克夫 君(公明)
  • 被災地での経験を踏まえた、災害が選挙に与える影響
  • 議員の任期延長と民主主義の正当性との関係
  • 国政選挙と地方選挙の場合の繰延投票の考え方の相違
片山 大介 君(維新)
  • 東日本大震災時の陸前高田市の被害状況
  • 東日本大震災の際には、発災から選挙の実施まで8か月以上を要しており、この間、緊急集会で対応することが国民主権の原理の下で許されるのかとの見解
  • 地方選挙とは異なり、国政選挙は全自治体で一斉に選挙を実施するため、繰延投票によって被災地の投票日をずらしたとしても、その期間が短いほど、被災していない自治体からの選挙管理に精通した人材の支援は難しくなるとの見解
上田 清司 君(民主)
  • 選挙困難事態における選挙期日、議員任期の特例等に関する中谷衆議院議員案について、緊急事態が想定される自然災害のレベル等を議論する必要があるとの見解
  • 国政選挙の適正な実施に関して、選挙の一体性が害されるほどの広範な地域とされる範囲や、70日を超えて困難であることが明らかになると想定できる条件についてしっかりとした検討が必要であるとの見解
  • 大災害時においても選挙人の権利が実行できるものについては、公職選挙法の改正を急ぎ、実行が難しいものについては、憲法改正も視野に、緊急時における選挙期日、議員任期の特例等についても考えるべきとの見解
山添 拓 君(共産)
  • 被災地の選挙執行事務支援における困難、課題
  • 選挙困難事態を理由とした選挙延期についての所見
  • 首相就任から解散、投開票まで戦後最短で行われた令和6年の総選挙で選挙実務に生じた混乱
山本 太郎 君(れ新)
  • 国からの、大規模災害時の選挙に係るマニュアル取りまとめの要請の有無
  • 人的リソース拡大によって被災地の選挙実施が可能になるまでの期間が短縮される可能性
  • 大規模災害に備えた公務員の人員強化の必要性
髙良 鉄美 君(沖縄)
  • 災害時の選挙制度で憲法問題として捉えるべきものの有無及び今後の法改正の課題
  • 災害時の選挙において時間や場所に拘束されず投票するためのIT活用の長所及び短所
水野 素子 君(立憲)
  • 国会議員の任期満了選挙の際、任期満了日以後に選挙期日を設定することの可否
  • 繰延投票の際の繰延期間中における選挙運動の法律による制限の可否
柴田 巧 君(維新)
  • 選挙困難事態においても国会機能を維持するために必要な選挙制度の在り方及び公職選挙法の改正
  • 災害時を含めた選管の危機対応能力向上の方策

※上記発言項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。発言の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。

令和7年4月16日(水)第2回

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日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(憲法に対する考え方について(参議院の緊急集会について))
【主な発言項目】
佐藤 正久 君(自民)
  • 緊急集会の権能の範囲について、衆議院優越といった憲法が採用する統治構造との関係から限界があるとの意見があるが、緊急集会は国会の代行機関であり、その権能は原則として国会の全ての権能に及び、衆議院に先議権がある予算も含めて対応可能であるとの見解
  • 緊急集会を万全に機能させるための課題への対応と、衆議院議員の任期特例等の対処法についても、議論を深めた上で、憲法に緊急事態対応の規定を置くことが必要との見解
  • 緊急集会と任期特例の関係については、すみ分けの考え方からは離れて、任期特例により両院で対応すべき国難と言える具体的な場面を整理するための議論を深めていくべきとの見解
熊谷 裕人 君(立憲)
  • 緊急集会は、大震災等の深刻な国家緊急事態をも想定した憲法制定時の立法事実、戦前の権力暴走の反省に基づく制度趣旨、平時への強力な復元力の仕組みなどを踏まえ、国民主権、国会中心主義、基本的人権の尊重、平和主義という憲法の基本原理に基づき、かつ、これらの諸原理を守り抜くための制度であり、良識の府参議院が世界に誇るべき制度であるとの見解
  • 令和6年6月の参議院改革協議会選挙制度に関する専門委員会報告書において、二院制における参議院の機能、役割として、災害対応について緊急集会の機能の充実強化が明記されており、緊急集会の活用は参議院の在り方論の中核論点と言うべき位置付けであることから、緊急集会70日限定説などに依拠する任期延長改憲の議論は、参議院の自律への不当な干渉であるとの見解
  • 憲法審査会において、緊急集会における法の支配、立憲主義に基づく議論を徹底すること、並びに、参議院改革協議会の議論に憲法論から貢献するためにも、緊急集会の機能強化とその必要な法整備、選挙制度との連携も含めた運用改善等の議論を精力的に行っていくことの提言
佐々木 さやか 君(公明)
  • 参議院議員が全国民の代表であることから、緊急時において、緊急集会の制度により参議院が国会を代行する民主的正統性を有するのであって、参議院の性格を地域代表と考えることは、我が国の二院制の根本に関わることとして注意深く捉え議論する必要があるとの見解
  • 衆議院議員の任期延長論は、憲法に規定の置かれる参議院の緊急集会の意義や役割について議論した上で、丁寧かつ慎重に議論することが必要だが、国民の参政権、選挙権の重要性に鑑みれば、緊急事態においても早急かつ円滑に選挙を実施できるような災害に強い選挙制度の実現が前提であるとの見解
  • 議員任期延長について、諸外国とは制度の違いもあり、単純に比較することはできないこと及び令和5年の土井真一参考人からのレジリエンスの点で問題があるとの指摘について考えることが重要であるとの見解
松沢 成文 君(維新)
  • 緊急集会の開催は、衆議院が解散されてから特別会が開かれるまでの最大70日間であり、大規模災害の発生、感染症のパンデミック、戦争拡大など中長期にわたる国家の緊急事態が発生し、選挙の適正な実施が70日を超えて困難であることが明白な場合は、緊急集会だけでは対処が極めて困難との見解
  • 緊急集会で議員が発議できるのは内閣の示した案件に限られるが、長期にわたる緊急事態の場合、対応すべき課題は複雑多岐にわたり、当初想定した案件のみの議論だけでは対処できなくなることが容易に予想でき、緊急集会が国家の緊急事態において包括的に対応することは想定されておらず不可能との見解
  • いかなる緊急事態にも国家の機能や二院制の大原則を維持し、恣意的な権力の統制を図り、選挙が実施不可能なことによる国会議員の不在を避けるために、緊急事態条項を設ける必要があり、議員任期の延長や緊急政令、緊急財政処分等について日本維新の会と国民民主党と衆議院の有志の会との三会派でまとめた条文案を憲法審査会の審議の俎上にのせてほしいとの要望
川合 孝典 君(民主)
  • 緊急集会は、衆議院が存在しない場合あるいは衆議院が有効に機能しない場合に参議院一院で国会を代行するものであることから、その目的に適合する範囲において、緊急集会の権能に制約はないと見なすのが合理的であるが、緊急集会の正統性担保のため、衆議院発足までの間に有効性を限定することが望ましく、また、衆議院発足後は再審議を義務付けるなどの手続を定めることも必要との見解
  • 緊急事態の発生が解散から選挙の告示日までの間ならば、選挙の中止及び前議員の身分復活、任期延長の可否が問われることになるが、選挙の中止及び前議員の身分復活がなしえない事態が生じた際に、緊急集会が意味を持つことになるとの見解
  • 今後の緊急集会開催の判断を行う上で、緊急集会の二つの先例の開催理由が緊急集会を開催するに足るものであったか検証を行う必要があるとの見解
山添 拓 君(共産)
  • 緊急時においても選挙権という基本権は可能な限り保障されるべきであり、部分的にでも選挙を実施できる限り、順次粛々と選挙を行うべきではあるが、それらは選挙制度の問題であって、憲法審査会で議論すべきテーマではないとの見解
  • 議員任期延長は、衆議院と政権の居座りと、緊急事態の恒久化を招くことになりかねず、通常時の法制度を大きく揺るがすような法律が次々制定されるリスクもあり、民主政治の徹底による権利擁護が図られないばかりか、通常の制度に復帰する担保もないとの見解
  • 緊急時に名を借りた権力の濫用は至る所に実例があり、その教訓が明らかであることを踏まえ、憲法に基づく民主政治を徹底し、権利を擁護する政治こそが国会に求められているとの見解
山本 太郎 君(れ新)
  • 緊急集会は平時の制度であり緊急事態に備える改憲が必要との意見が繰り返し提示され続けているが、緊急事態のための制度であることが本審査会で明確に示されており、考えを改めるべきとの見解
  • 自然災害しか想定されていない現憲法の緊急集会では国民を守る体制として極めて不十分であり、緊急事態条項の制定が早急に求められるとの主張があるが、緊急集会は予測すべからざる緊急の事態に対し暫定の措置をとり得る方途として規定したものであり、自然災害に限定していないとの見解
  • 緊急集会を狙い撃ちした審査や憲法破壊につながる審査を繰り返すことは日本国にとって有害であり、現行憲法が守られているかチェックすることが憲法審査会の第一の役割であることから、それらをしっかり時間を掛け厳しく点検する必要があるとの見解
髙良 鉄美 君(沖縄)
  • 憲法において緊急という文字が使われているのは54条のみであり、この規定からすれば衆議院議員の任期延長の合理性は希薄であるとの見解
  • 参議院の緊急集会は、チェック・アンド・バランスと国会中心主義をうまく組み込み、国民主権と主権者の代表である国会にこだわった規定であり、緊急時に役割を果たすことができる仕組みになっているとの見解
  • 参議院の緊急集会は、立法や予算の審議等に関して基本的に衆議院と同様の性質を有し、解散がないという参議院の存在意義を強く示しているものであり、対する衆議院議員の任期延長は法の支配ではなく人の支配に属するものとする見解
中西 祐介 君(自民)
  • 憲法54条2項「国の緊急の必要があるとき」には、災害時や非常事態も含まれ、緊急集会は平時の制度だから内閣総理大臣の指名や条約の締結の承認、本予算の議決は不可との見解は受け入れられず、また、緊急集会においては予算関連法案も含めて広く発議が可能であり、さらに、衆議院の同意がない場合の失効の範囲は将来に対するもので過去に遡及するものではないとの見解
  • 災害時には被災県選出の国会議員と国との連携調整が重要になるが、合区対象県ではそれが難しく、合区制選挙は緊急事態に対応する緊急集会とも相入れない選挙制度であるとの見解
打越 さく良 君(立憲)
  • 緊急集会は、その制定過程から、連合国軍最高司令官総司令部が想定していなかった制度であり憲法の日本化の象徴と言えるとの見解
  • 長谷部参考人及び土井参考人から、任期延長論と比較衡量して、現行憲法の緊急集会が優れた仕組みであり、新たな制度を追加する必要は見出しにくい旨の見解が示されたことの紹介
藤木 眞也 君(自民)
  • 近年の議論以前に国会において、54条1項と2項、3項が置かれる位置との形式的な関連性と緊急集会の開催期間を結び付ける形で、開催期間を70日以内と限定する議論があったかの確認
  • 自然災害の頻発化、激甚化、あるいは我が国を取り巻く状況が激変する中において、緊急集会についても硬直的に考えず、一つ一つの文言を解釈した上で、それぞれの項の関連性を考えるべきとする見解
浅田 均 君(維新)
  • 緊急集会で対応することが想定されない緊急事態に対応することができるよう、立法機能と行政監視機能等の維持と人権保障の徹底を規定する日本維新の会・国民民主党・衆議院の有志の会との三会派でまとめた緊急事態条項を憲法審査会で審議することの要請
  • 緊急事態に関しては、パリ第一大学ドミニク・ルソー名誉教授が、憲法は市民の自由を保障するものとの観点に立てば、自由が侵害されるあらゆる状況を予想していなければならず、緊急事態の憲法への編入はアプリオリに容認される、なぜなら、憲法に編入する目的は緊急事態での統治が無制約にならないようにすることだからであると述べており、我々が緊急事態条項の憲法編入が必要と考えるゆえんであるとの見解
伊藤 孝江 君(公明)
  • 憲法制定時において衆議院議員の任期満了時を参議院の緊急集会の対象から意図的に外したわけではなく、また、衆議院の不存在という点においては解散の場合との差異はないことから、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合にも緊急集会を開くことができるとの見解
  • 選挙困難事態における国会機能維持について、法律上、繰延べ投票を行う場合の投票期限に定めはなく、また、被災地以外の選出議員も全国民の代表であり、何より被災地の参議院議員は現に存在することから、民主的正統性を確保するには選挙を実施することが肝要であり、緊急集会と繰延べ投票で対応することをまずは基本とすべきとの見解
  • 緊急集会が開催される状況に関して、参議院議員の全部ないし一部が議場に参集することが困難であることを想定して、オンラインによる出席、国会審議や採決に参加できる制度を創設することの検討が必要であり、また、参議院の緊急集会の流れに関連する論点の整理は、まず参議院として行うべきとの見解
小沢 雅仁 君(立憲)
  • 緊急集会は二院制の本旨の外にある例外制度などではなく、二院制を補完しその趣旨を徹底して実行するための制度であるため、衆議院の優越事項を緊急集会の権能を制限する根拠とすることは本末転倒であり、また、全国民を代表する選挙された議員ではない任期延長議員に70日を過ぎた後の国会機能を担わせることは、二院制国会がよって立つ国民代表制の原理に反するとの見解
  • 衆議院憲法審査会で主張されている憲法制定時の二院制と緊急集会の制度設計やその趣旨に反した意見は典型的な切取り解釈であり、二院制の一翼である参議院は、緊急集会の運用を通じて二院制の国会制度の趣旨そのものを徹底して実行するという崇高な使命を負っているとの見解
古庄 玄知 君(自民)
  • 憲法54条2項に「衆議院が解散されたときは」と書かれており、衆議院議員の任期満了あるいは緊急事態が発生したときなどにまで緊急集会を拡張して開催することはできないとの見解
  • 憲法54条2項の「国に緊急の必要があるとき」について、具体的な例を挙げて規定すべきであり、憲法に書くのが難しいのならば下位法で書くべきであるとの見解
  • 国家緊急事態について、憲法54条2項を根拠に対処することはできず、新たに憲法上記載しなければならないとの見解
仁比 聡平 君(共産)
  • 憲法には基本的人権保障と法の支配、国民主権と議会制民主主義が貫かれており、民主政治を徹底させ国民の権利を十分擁護するには、緊急時に政府の一存で行う措置は極力防止しなければならないとの憲法観により、緊急事態条項を廃し、緊急集会を定めているとの見解
  • 自民党の主張する緊急事態条項は、人々の自由と権利を一内閣の政令をもって奪い立憲主義を破壊するものであり、政権の居座りそのものであって、断じて許されないとする見解
田中 昌史 君(自民)
  • 災害の状況によっては、衆議院議員不在時に迅速に必要な案件を審議しなければならず、災害対応に万全を期すことができるよう、参議院の業務継続計画については緊急集会を意識し、また、政府が定めている業務継続計画以上に周到なものを用意しなければならないとの見解
  • 緊急集会という緊急事態機能が物理的に失われることがないよう、オンライン審議を進めるための法制上の検討と院内を含むインターネット環境の整備を進めていかなければならず、課題を明確にして、参議院だからこそのオンライン化を進めていくべきとの見解
小西 洋之 君(立憲)
  • 緊急集会の開催期限についての衆議院法制局の説明及び資料は、連関構造説なる独自説を説明し、長谷部恭男参考人の発言を連関構造説に基づく70日限定説だが緊急事態の法理によって無限定説に立つと位置付けるなど、事実と法理に反しているとの見解
  • 緊急集会をめぐる改憲会派の見解は、衆参で分裂するだけではなく、改憲会派の中でも深刻な分裂、矛盾を来しており、緊急集会についての暴論に依拠する任期延長改憲の即刻の破棄を求めるとの見解

※上記発言項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。発言の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。

令和7年4月2日(水)第1回

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日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(憲法に対する考え方について)
【主な発言項目】
佐藤 正久 君(自民)
  • 日本国憲法における唯一の緊急事態条項である緊急集会の活動期間については、衆議院議員の不在時の任期延長等の措置が整えられたとしても、否決により不在が続く場合に立法府が対応不能とならないよう、70日に活動期間を厳格に限定するものではないとの見解
  • 衆議院議員の任期延長、身分復活の要件となる選挙困難事態は、緊急集会とは切り離して議論すべきであり、長期性要件については6か月、3か月あるいは相当長期にわたるといった考え方、広範性要件については相当の国難事態と捉え得るものなのか、精緻な検討が必要との見解
  • 緊急集会の権限行使の範囲については、原則として国会の権能全てに及び、緊急性の必要があれば、総理の指名、条約の締結の承認、本予算を含め、限定的、制約的に整理する必要はないとの見解
  • 参議院の緊急集会の位置付けや権能、大規模災害等が発生した場合の選挙制度の在り方をテーマとして更に議論を深め、参議院としての考え方をまとめていくべきとの見解
辻元 清美 君(立憲)
  • 戦後80年間の我が国の発展は、平和主義を掲げ、人権法典として優れた憲法に基づくものと言え、改めて、この節目の年に、憲法の意義について議論すべきとの見解
  • 同性婚禁止、性同一性障害の生殖能力に関する規定、選択的夫婦別姓、臨時会の召集義務違反等の憲法問題を、憲法審査会において調査審議することが必要との見解
  • 国民投票については、CM規制、ネット上のフェイク情報への対処、広報協議会の在り方について結論を得ないと実施は困難との見解
  • 緊急集会の機能強化や制度整備、選挙制度との関係などについて議論を更に深めることは有意義だが、緊急集会の在り方は、参議院全体に関わる事項であり、参議院改革協議会等で広範な議論が必要となるため、参議院憲法審査会だけで結論を出すことはできず、参議院を差しおいて衆議院憲法審査会で、その機能等について結論を出すような事項でもないということは、参議院憲法審査会の各党の合意がなされるものとの見解
谷合 正明 君(公明)
  • 緊急事態における国会機能の維持について、参議院の基本的かつ重要な権能である緊急集会をめぐる様々な論点や、参議院BCPといった実務上の論点について憲法審査会として見解・課題を整理する必要があり、また、緊急時の国会議員のオンライン出席についても意見集約を求めたいとの見解
  • 国民投票法を所管する憲法審査会として、フェイクニュース、偽情報にどう対応するか、表現の自由と国民投票の公平公正とのバランスを踏まえた議論を行い、あわせて、国民投票の広報において広報協議会が果たすべき役割についても規程の整備を念頭に議論を行うべきとの見解
  • 憲法の下で政党をどのように位置付けるべきかや政党法の在り方、また、性的マイノリティーや外国人、障害者等の人権課題について憲法審査会でも取り上げ議論をすべきではないかとの見解
片山 大介 君(維新)
  • 参議院憲法審査会の討議は9か月ぶりであり、閉会中も開会でき、また、衆議院憲法審査会では昨年12月に1回、今国会既に2回の開会があるなか、参議院憲法審査会が開会しないのは残念、そろそろ意見集約をし、国民に判断材料を提供すべき、そのためにも定例日外も開会するとともに、NHK中継も求めるとの見解
  • 武力攻撃、内乱・テロ、自然災害、感染症の蔓延、その他これらに匹敵する事態がいつどこで発生するかわからないなか、緊急事態による選挙困難時の議員任期延長条項の必要性について、5党派で必要である旨一致し、3党派で既に条文案を作成しているとの指摘
  • 議員任期延長論においても参議院の緊急集会の重要性は変わらないが、長期にわたる場合を想定していないなどの限界もあり、参議院の憲法審査会でこそ率先して議論されるべきであり意見集約を目指すべきとの見解
川合 孝典 君(民主)
  • AIやネット社会によって、自立した個人の尊厳が脅かされたり、豊かな対話と熟議の確保を前提とした民主主義社会の基礎が揺るがされたりする事態となっているため、憲法の定める基本的人権の保障を、デジタル時代の到来や個人の生き方の変化、多様化に対応させるためのアップデートが必要との見解
  • 地方自治、衆議院解散権、臨時会召集要求、9条に見られるように、日本国憲法は条文の抽象度が高く、その解釈に恣意性が働きすぎるおそれがあるため、体系性を維持しつつも、適切な範囲でこの規律密度を高めることにより三権分立のゆがみを是正し、憲法の規範力とそれに対する国民の信頼を再構築して法の支配を貫徹させることは喫緊の課題との見解
  • 国民民主党は、現行憲法の個人の尊重を核とした人権尊重、国民主権、平和主義の三つの基本原理を堅持することを宣言するとともに、個人の尊厳、地域の尊厳、そして国家の尊厳の具体化を通じて、目指すべきこの国の形を提示する国家目標を掲げて、その実現に向けて努力していく姿勢を明らかにするべきと考えるとの見解
山添 拓 君(共産)
  • 世論調査において石破内閣に取り組んでほしい政策として改憲を挙げたのは3.3%にすぎず、改憲は政治の優先課題ではなく、改憲のために審査会を動かすべきではないとの見解
  • 緊急集会の性格は、一時的、暫定的なものであり、これは、権力の集中と濫用を排除する上で重要であり、また、緊急事態から通常時への復元力が高いとの見解
  • 衆議院議員の任期の延長が必要という議論における選挙の一体性とはいかにも曖昧な概念であり、選挙困難事態という主張は危機をあおれば改憲の突破口となるとの打算にほかならないとの見解
山本 太郎 君(れ新)
  • 現行憲法も守らない者が憲法改正を主張すべきではなく、まずは現行憲法を遵守すべきとの見解
  • 憲法審査会の役割である調査を最優先とし、現行憲法と密接に関連する法制度が憲法の趣旨に沿って運用されているか、憲法の趣旨に即してどのような法改正が必要かを議論し、政府に質すことが憲法審査会の存在意義との見解
  • 憲法審査会において憲法13条や25条に特化したテーマ設定で調査を行うべきとの見解
高良 鉄美 君(沖縄)
  • 法の支配とは専断的な国家権力の支配を法で拘束することであるが、法の支配と法律の支配とは全く異なり、法とは憲法であるから、憲法に適合しているかどうかの問題であるとの見解
  • 国会議員がなぜ国会議員たるものかは、憲法で国会議員と書かれ、そこに地位があるから国会議員なのであり、憲法よりあたかも上にあるかのように憲法改正議論が国会議員の義務だというのは、基本的な視点で間違っているとの見解
  • 規定上憲法が求めているのは、国民の人権保障と暮らしの安定、生存権の問題で、この問題が具体的に出てきて主権者として国民から依頼があった場合に憲法審査会で議論していくのであり、重箱の隅をつつく形であらを探して毎回議論するのは憲法と国会議員、法の支配の在り方として非常に問題があるとの見解
若林 洋平 君(自民)
  • 合区について、参議院改革協議会選挙制度に関する専門委員会の報告書においても、その弊害は各党共通の認識であり、現行合区の不合理は解消すべきとの意見がほとんどであったが、抜本的な解消に向けて憲法審査会においても議論を深めるべきとの見解
  • 全国知事会からも憲法改正による合区解消と地方自治規定の充実を求める声があり、都道府県制度を憲法にどのように位置付けるかという議論を進める必要があるとの見解
福島 みずほ 君(立憲)
  • 参議院の緊急集会を無視あるいは限定し、緊急事態条項、特に国会議員の在任期間の延長を語ることは参議院軽視であり、緊急事態条項、国会議員の任期期間の延長に強く反対するとの見解
  • 憲法審査会の目的の大きな一つである法律や制度が憲法適合性を持っているかどうかの点検と議論こそ必要であり、まず、違憲と言われたことを受け止め、同性婚や性別変更の法律についての憲法適合性について議論することの提案
山本 啓介 君(自民)
  • 自衛隊については、他国の軍隊と遜色ないにもかかわらず、国内において戦力ではないとされ曖昧な存在として扱われているため、憲法に明記し、民主政治の下に明確に位置付けるべきとの見解
柴田 巧 君(維新)
  • 時代と国際情勢の変化に取り残されたままの現行憲法の課題は明確であり、国民の生命、財産、我が国の平和と安定を守るために、憲法改正を遅滞なく実現すべきとの見解
  • 立憲主義、民主主義の根幹には国民主権があり、それを具現化するのが憲法改正の国民投票であることを踏まえ、国民投票の実施に向けて真摯に議論を進めていく必要があるとの見解
平木 大作 君(公明)
  • 議論のゴールを憲法改正だけに限定してしまうのは立法府の使命に照らして間違いであり、憲法審査会における議論を端緒に、いまだ憲法的価値が立法を通じて具体化されていないテーマについて議員立法の活性化につなげる工夫があってもよいとの見解
  • 同性婚を認めない民法などの規定について、日本国憲法の中枢的価値である法の下の平等を定めた憲法14条と、そのことを家庭生活の局面で法律を通じて具体化することを定めた憲法24条2項に違反していると高裁判決全てで判じられた意味は大きく、立法府として直ちに是正に取り組むことの要請
田島 麻衣子 君(立憲)
  • フェイクニュースや偽情報による民意のゆがみが憲法改正国民投票法の結果に影響を与えた場合、取り返しのつかない事態になるため、影響が世界的に深刻化している現状を踏まえた国民投票法の議論が必要とする見解
  • インターネットの適正な利用の確保等、国民投票の公平及び公正を確保するための検討課題を掲げている令和3年国民投票法改正法の附則4条の趣旨について、立憲の発議者からは、この課題の法改正なくして改憲発議ができない旨、与党の発議者からも法改正が必要である旨の答弁があったとの指摘
臼井 正一 君(自民)
  • 非常事態により選挙が行えない状況における時の政権の正統性、参議院議員選挙における合区解消、経済的理由にかかわらず教育を受ける機会の確保を含めた教育の充実について、憲法に規定を設けるべきとの見解
  • 令和3年国民投票法改正の際の附則に示された投票環境整備やインターネット利用の在り方は、検討が必要であるが、この検討条項の下でも憲法改正の発議が可能であり、また、組織的多数人買収以外の買収の禁止、外国勢力による国民投票運動の禁止についての検討も必要であるとの見解
仁比 聡平 君(共産)
  • 同性婚の法制化については、高裁全てが同性婚を認めない民法などを違憲とし、もはや司法の流れは定まったと言え、これ以上の不作為は許されず、今国会の緊急課題であるとの見解
梶原 大介 君(自民)
  • 全国知事会を始め、全国から合区解消を求める声が寄せられていることも踏まえ、投票価値の平等という観点だけで都道府県という民主主義の単位を軽視するような状況が続けば、ますます住民の政治参加意欲を減退させ、民主主義の衰退につながることに留意をした上で議論が重ねられるべきとの見解
  • 憲法26条の理念を更に発展をさせるためにも、憲法改正により、国民の教育を受ける権利を実質化し、国の教育環境整備の責務を憲法に規定して教育立国を宣言する必要があるとの見解
打越 さく良 君(立憲)
  • 憲法審査会は、日本国憲法及び密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行うべき機関であることから、日本国憲法に違反すると主張されながら、改正されず放置されている法律について調査を行うことも責務であるとの見解
  • 民法等において同性婚や選択的夫婦別姓が認められないことが憲法に違反しないかが争われ続けているが、反対の人に強いるものではないことから、導入によって誰も不幸にならず社会全体の幸福の総量は確実に増大するのであり、憲法上疑義のある法律を放置する立法府であってはならないとの見解
小西 洋之 君(立憲)
  • 緊急集会の期間を70日と限定する憲法54条の連関構造説が唱えられているが、立法事実、立法経緯に照らして法令解釈とは言えない暴論であり、54条3項の復元力、レジリエンスとその後の衆議院の厳格な同意制度からは70日限定説を法令解釈と認める余地はないとする見解
  • 緊急集会は、その制定経緯を踏まえれば、二院制を補完するための制度であり、二院制の例外制度ではないとする見解

※上記発言項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。発言の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。

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