第189回国会(常会)

平成27年9月7日(月)第4回

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(二院制について)
【発言者】
愛知 治郎 君(自民)、金子 洋一 君(民主)、佐々木 さやか 君(公明)、清水 貴之 君(維新)、仁比 聡平 君(共産)、田中 茂 君(元気)、江口 克彦 君(次代)、渡辺 美知太郎 君(無ク)、福島 みずほ 君(社民)、主濱 了 君(生活)、赤池 誠章 君(自民)、白 眞勲 君(民主)、阿達 雅志 君(自民)、牧山 ひろえ 君(民主)、石田 昌宏 君(自民)、小西 洋之 君(民主)、豊田 俊郎 君(自民)、丸山 和也 君(自民)
【主な発言項目】
  • 二院制を維持した上で、両院の機能のすみ分けを目指すべきとの見解
  • 中長期的視点や多様な観点が期待される参議院においては、地域性や専門性を重視した選出方法に合理性があるとの見解
  • 二院制を堅持した上で、衆参の役割分担を明確にし、選挙制度も再検討すべきとの見解
  • 両院協議会の在り方について議論する必要性といわゆる60日ルールに対する参議院の対応の在り方
  • 参議院における行政監視機能の重要性と予算・決算のサイクルを充実させることの必要性
  • 参議院における投票価値の平等の実現について議論と努力を続けることの必要性
  • 首相公選制を導入し、国の役割を限定して道州制を採用した上で、最終的に一院制の国会を創設すべきとの見解
  • 一院制に至るまでの過渡的措置として、両院の異なる役割を明確にすることにより、統治のチェック機能の有効化が望ましいとの見解
  • 民主主義の根幹は憲法に従って政治を行うことにあるとの見解
  • 衆参で議論を尽くすという二院制の基本原理の重要性
  • 参議院の表決を理由に衆議院を解散することの問題点
  • 参議院の牽制機能が働くための仕組みについて議論することの必要性
  • 二院制を維持した上で、国会の立法機能と政府監視機能の強化を図るべきとの見解
  • 参議院の役割として、一定の案件については参議院の先議あるいは専権事項とすることが考えられるとの見解
  • 二院制のメリットは慎重な審議であることの確認
  • 参議院の有益性を国民に理解してもらうことの必要性
  • 民主主義の強化という観点から二院制を堅持すべきとの見解
  • 参議院は良識の府・再考の府として決算・行政監視機能や中長期的課題に対する提言機能などを担う方向で考えていきたいとの見解
  • 選挙の際の政党化を踏まえ、参議院が良識の府・再考の府として機能していくための議員の選び方を検討することの必要性
  • 二院制について国民の理解を広げるための教育の充実が必要であるとの見解
  • 集団的自衛権に係る憲法解釈の変更は、平成26年の憲法改正手続法改正の際の当審査会の附帯決議を無視し、二院制の役割を無視するものとの見解
  • 参議院には民意統合の役割があり、選挙制度は都道府県代表という点を考えるべきとの見解
  • 参議院では党議拘束を縮小する方向も検討してよいのではないかとの見解
  • 参議院は政治の決定を監視・訂正する機能を担うべきであり、監視の視点からの選挙制度の見直しと訂正の視点からの拒否権についての検討が必要との見解
  • 法の支配や立憲主義を破壊する解釈改憲への対応について、参議院が良識の府として考えるべきとの見解
  • 参議院の独自性を図る観点から、選出において地方枠の確保が重要であるとの見解
  • 良識ある人が参議院議員になるため、選挙区のブロック化・広域化を考えるべきとの見解

平成27年5月27日(水)第3回

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(参議院憲法審査会が取り組むべき課題について)
【発言者】
阿達 雅志 君(自民)、前川 清成 君(民主)、西田 実仁 君(公明)、清水 貴之 君(維新)、仁比 聡平 君(共産)、田中 茂 君(元気)、江口 克彦 君(次代)、水野 賢一 君(無ク)、福島 みずほ 君(社民)、主濱 了 君(生活)、北村 経夫 君(自民)、小西 洋之 君(民主)、石田 昌宏 君(自民)、矢倉 克夫 君(公明)、佐藤 正久 君(自民)、吉良 よし子 君(共産)、豊田 俊郎 君(自民)、藤末 健三 君(民主)
【主な発言項目】
  • 憲法の基本的価値は維持しつつ、民族の誇り、国家の権能の変質及び憲法のダイナミズムの観点から改正が必要であるとの見解
  • 積み重ねられてきた憲法の良識を尊重することにより憲法審査会が未来志向の憲法を構想する場となるべきとの見解
  • 国民主権との関係で、内閣統制のための議会拒否権の問題と官僚機構統制のための委任立法の問題をセットで議論すべきとの見解
  • 統治機構改革により国の形を決める仕組みをリセットすべきとの観点から、国と地方の役割の見直し、首相公選制の導入、財政健全化、憲法改正の発議要件の緩和、自衛権の再定義と憲法裁判所の設置等が必要であるとの見解
  • 解釈・立法改憲による矛盾を明文改憲により打開する条件作りを進めようという企てに国会がくみしてはならず、現在の状況下では憲法審査会は動かすべきではないとの見解
  • 日本人のアイデンティティと日本国憲法における近代憲法の理念を融合させた日本独自の憲法を作るべきとの見解
  • 他国により作られた現行憲法は早急に改めるべきであり、今後の憲法審査会においては改正の具体案を題材として議論を行うべきとの見解
  • 憲法成立過程に過度に立脚するのではなく時代に合わせて憲法を発展させていくとの観点に立つべきであり、二院制・一院制の問題など統治機構の在り方については改革の必要があるとの見解
  • 集団的自衛権容認の憲法適合性について当審査会で議論すべきとの見解
  • 憲法について重大な事態が生じていることを踏まえ、立憲主義、解釈による実質的憲法改正について当審査会で取り上げるべきとの見解
  • 憲法改正の議論について国民の政治参加意識の醸成という観点からの意義と若者の意見に耳を傾けることの重要性
  • 解釈改憲の憲法適合性について当審査会で議論すべきとの見解
  • 国民同士の権利の衝突が問題となりやすい現代社会における憲法の在り方について検討する必要性
  • 参議院がいかにして憲法保障機能も含めた行政監視機能を果たしていくべきかについて議論すべきとの見解
  • 緊急事態及び自衛隊について憲法で規定する必要性
  • 9条の価値を再評価し、核兵器禁止条約へ率先して踏み出すべきとの見解
  • 憲法改正に取り組むには、公開討論会の開催などによる幅広い国民の議論への参加や合意形成が得られやすい部分からの議論の着手などが必要であるとの見解
  • 憲法は権力を縛るものという考え方に対する疑問、9条以外の解釈改憲の問題及び解釈改憲を防ぐための憲法改正の必要性
  • 9条とともに前文についての議論の必要性及び大阪の住民投票の経験を踏まえた憲法改正国民投票についての議論の必要性

平成27年3月4日(水)第2回

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(憲法とは何かについて)
【参考人の意見骨子】
日本大学法学部教授
 百地 章 君
  • 「権力機構としての国家」(実質的には「政府」)と「国民共同体としての国家」(本来の意味の「国家」)を区別して憲法論議をする必要性
  •  
  • 「授権規範としての憲法」と「制限規範としての憲法」のバランスを図る必要性
  •  
  • 立憲主義の立場に立った上で、究極の緊急事態に「不文の憲法」を認める余地
  •  
  • 国会による憲法改正の発議が容易でないことと国民主権・立憲主義との関係

早稲田大学法学学術院教授
 水島 朝穂 君
  • 立憲主義は人類の英知であり、権力抑制が憲法の第一義的役割であるとの見解
  •  
  • 多様な意見の共生が立憲主義の基本という観点から、憲法に歴史・伝統・文化を書き込むことには抑制的であるべきというのが憲法学者の共通の理解であるとの見解
  •  
  • 憲法に国民の義務規定を設けることには抑制的であるべきとの見解
  •  
  • 憲法改正には、高い説明責任、情報の公開と自由な討論、熟慮の期間が必要との見解
【発言者】
佐藤 正久 君(自民)、前川 清成 君(民主)、矢倉 克夫 君(公明)、儀間 光男 君(維新)、吉良 よし子 君 (共産)、田中 茂 君(元気)、江口 克彦 君(次代)、渡辺 美知太郎 君(無ク)、福島 みずほ 君(社民)、主濱 了 君(生活)、愛知 治郎 君(自民)、金子 洋一 君(民主)、阿達 雅志 君(自民)、小西 洋之 君(民主)、丸山 和也 君(自民)、木村 義雄 君(自民)
【主な発言項目】
  • 憲法において権利規定と義務規定のバランスを取る必要性
  • 人権保障と憲法の制限規範性
  • 公共の福祉についての考え方
  • 憲法で欠落した部分を補完するために改憲を前提とした論議をする必要性
  • まず各党の理解の得やすい条項で改憲の前例を作り、その後に9条改正などを目指すという2段階戦略についての見解
  • 日本人が自らのアイデンティティーを自覚できる憲法の必要性
  • 緊急事態に関する事柄を憲法に規定することの当否
  • 今後集団的自衛権の行使についての憲法裁判を求められた場合に統治行為と判断される可能性
  • 愛国心を憲法に規定することや天賦人権説に基づかない憲法改正の妥当性
  • 憲法改正の限界と日本国憲法の改正手続の厳格性に対する見解
  • 憲法12条の規定と憲法尊重擁護義務との関連性
  • 社会権の一つとして雇用の最大化を政府に義務付けるような条項を設けることの当否
  • 憲法に規定すべき事項に関する所感
  • 憲法に日本の歴史・伝統について規定すべきとの見解に対して、国民が共有できる歴史・伝統の内容に関する疑問
  • 憲法機能をいかすための憲法裁判所も含めた司法機能強化の必要性
  • 国家の秘密は保護し個人の秘密はオープンにするという現在の日本の状況と憲法13条との関係

平成27年2月25日(水)第1回

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(海外派遣議員の報告)
【海外派遣議員の報告骨子】

団長
 柳本 卓治 君(自民)

  • ドイツは強い連邦制の国であり、憲法裁判所等我が国と異なる憲法保障の制度が採用されていること、イタリアは憲法改正、特に統治機構改革のさなかにあること、英国は不文憲法の国であるが、近時、実質的意味での憲法が改正されていることが訪問国の選定理由であるとの報告
  • 環境保護規定の運用状況、緊急事態に対する議会統制、財政均衡条項の実効性確保手段、憲法裁判所による抽象的違憲審査の運用状況、議会の行政監督機能、上院改革の経過と展望などが主な調査項目であるとの報告
     

副団長
 金子 洋一 君(民主)

  • ドイツでは、①財政均衡条項は、国民の間に社会保障制度維持に対する危機感があり、下からコンセンサスが形成された、②環境保護規定により、国や立法者にはそれに見合う配慮が求められるが、その遂行の仕方には裁量がある、③緊急事態のうち、外的事態については議会の関与が大きいが、内的事態については関与が弱いことへの批判がある、④憲法裁判所は、法律が違憲の場合でも議会に対して期限を設けて改善を求めるなど妥当な判断のための工夫をしているとの報告
  • イタリアでは、①現在進行中の憲法改正は、対等な二院制の改革と地方制度改革が大きな改正点である、②二院制の改革は、上院議員の定数削減と地方代表色の強化などであるが、下院の審議が難航している、③国民投票制度には、主に憲法改正と法律廃止のためのものがあるが、近時は国民の関心が低いとの報告
  • 英国では、①従来から憲法成文化の主張があるが、実現は困難である、②2013年の王位継承法の改正は、細目についての検討が不十分であるとの意見がある、③行政監督が主に上院の役割とされ、委任立法に対して上院の委員会が精査する仕組みが採用されている、④上院改革は、議会の中で反対があり、国民の関心も低く、頓挫しているとの報告
     

 小坂 憲次 君(自民)

  • ドイツ基本法の財政均衡条項と円滑な財政運営との関係についての疑問
  • イタリアの二院制の在り方及び二院制改革についての所感
  • イギリスの憲法事情及び貴族院改革についての所感
     

 河野 義博 君(公明)

  • ドイツでは国民の議論を把握して憲法を改正しているとの報告
  • イタリアでは決められない政治の影響を受け、経済対策などでも緊急政令が用いられているとの報告
  • 英国上院における政省令の監視による立法統制に対する所感
     

 吉良 よし子 君(共産)

  • 解釈で憲法を変えることについての所感
  • 人権分野では国際社会における到達点を反映した憲法改正が行われている旨の報告
  • イタリアにおける国民投票の最低投票率制度とボイコット運動に関する認識についての報告
     
(ドイツ連邦共和国、イタリア共和国及び英国における憲法事情、
憲法改正の動向及び国民投票制度の制度内容・運用状況等について)
【発言者】
赤池 誠章 君(自民)、藤末 健三 君(民主)、山下 雄平 君(自民)、西田 実仁 君(公明)、阿達 雅志 君(自民)、牧山 ひろえ 君(民主)、福島 みずほ 君(社民)、丸山 和也 君(自民)、仁比 聡平 君(共産)、主濱 了 君(生活)、小西 洋之 君(民主)、金子 洋一 君(民主)、小坂 憲次 君(自民)、河野 義博 君(公明)、吉良 よし子 君(共産)
【主な発言項目】
     
  • 国民投票の投票権年齢が18歳になることや選挙権年齢も18歳引下げに向けて進んでいる状況の中での参政権教育の重要性
  •  
  • ドイツにおける憲法改正の限界、各国における平和条項に対する認識、違憲判断の在り方についての疑問
  •  
  • 英国における貴族院公選制を目指す方向性から見た日本の二院制が合理的であるとの見解
  •  
  • 英国上院の第二次立法審査の仕組みと実情への関心
  •  
  • 現代憲法の内容の多様化に伴う共通事項を読み取ることの困難性に関する所感
  •  
  • ドイツでは憲法改正の限界を定めた永久条項や憲法裁判所の憲法異議の制度が大きな機能を果たしているとの認識
  •  
  • 憲法は国家権力を縛るものであり、愛国心など国民を縛るような規定を憲法に置いている国は限定的であるとの理解
  •  
  • ドイツ、イタリア、英国の違憲審査制の機能の実情と憲法裁判に対する国民の期待
  •  
  • 日本で環境保護規定や緊急事態を憲法改正問題として議論する必要性は存在しない、日本の二院制は良くできているとの所感
  •  
  • 憲法には改正限界があるべきとの見解
  •  
  • 他国の憲法改正の回数より、憲法として変えてはいけない部分に着目すべきとの見解
  •  
  • ドイツでは連邦基本法に明文で改正を否定している部分があるが、日本の憲法でも変えられない部分はあるとの見解
  •  
  • 今回の調査結果を通じた、日本の憲法はバランスが取れている、二院制は独自色のある運営がなされているとの所感
  •  
  • 英国上院の第二次立法審査の仕組みにおける工夫
  •  
  • 各国における立憲主義に対する認識

ページトップへ