内閣 参考人名
公述人名
回次 -

2 内閣の在り方・機能強化と政治のリーダーシップ

内閣の権限
  • 73条1号の「国務を総理する」に力点を置いて内閣が行政権のみならず、高度の統治作用として総合戦略・総合調整作用を持つとする議論は、問題である
隅野隆徳* 154 I - 11
内閣の連帯責任
  • 閣議が全会一致でないと内閣が連帯していないとして政局問題になるため、省庁間調整ができていない問題は閣議にかけない運用となり、行政主導・分担管理・省庁間調整の形で国が運営されてきた
諸井 虔 151 7 - 2
  • 国務大臣の立場で内閣の一体性を損なうような言動をとる場合は、閣内不統一の問題を生ずる
内閣法制局 151 9 - 6
  • 閣議の全会一致とは、内閣として決定されればそれに従うという意味での賛成を含むものであり、慣行としてなされているもの
内閣法制局 151 9 - 8
  • 内閣の連帯責任は、合議体ということに由来。反対した人が責任を負わないのでは合議体として機能しないとの判断による
内閣法制局 151 9 - 10
内閣機能強化
  • 内閣機能の強化は今時の課題であり、ドイツも英国も内閣府ないし首相府が強化される形で推移しているが、日本の場合、首相府はそれほど強くはなく、まだまだと考えられている
岩井奉信 159 ii - 14
分担管理原則
  • 分担管理原則(内閣法3条)のため、首相の権限が制限され、世界の標準からする議院内閣制となっていない
飯尾 潤 151 3 - 3
  • 分担管理原則を弱め、各主任の大臣が首相の下に立つことを明確化すべき。解釈変更で皆が納得できればそれでもよいし、納得できないとすれば憲法を改正して明確化してもよい
飯尾 潤 151 3 3 - - 5 12
  • 憲法で国民主権をうたい、国会が国民代表として最高の地位を賦与されても、現実には行政主導、中央省庁の分担管理、省庁間調整により国が運営され、国民の行政依存意識がこれを支えてきた
諸井 虔 151 7 - 1
  • 今日の世界的大競争時代には、従来の行政主導、分担管理、省庁間調整では対応できず、内政・外交を国民主権、国会主導、政治主導で動かす形に早く切り替えなくてはならない
諸井 虔 151 7 - 2
首相の地位・権限
  • 内閣の最終的決定権は首相にあるというのが憲法の内閣の首長という考え方であり、その方が機動的な内閣の運営ができる
成田憲彦 151 4 - 9
  • 首相は、行政各部に対して、閣議決定した方針に基づいて行う指揮監督権の行使以外にも、指導や助言の形で指示することは可能
内閣法制局 151 9 9 - - 6 8
  • ハンセン病熊本地裁判決に対して控訴しない旨を決定したとの首相の発言は、国を代表して訴訟を行う法務大臣が控訴の判断を行うプロセスで、首相もそう判断したということを言ったと推察する
内閣法制局 151 9 - 8
<指揮・監督権>
  • 首相は、内閣を代表して行政各部を指揮監督する(72条)構造になっており、大統領制とは異なり、内閣の意思を離れて行政各部を指揮できるということにはならない
内閣法制局 151 9 - 4
  • 行政権を、内閣ではなく、首相にし、責任を強くすることでリーダーシップを発揮しやすいような形にすべき
永久寿夫* 162 I - 20
首相公選制
<議論発生の背景>
  • 国民が主権者でありながら参加意識を持たなくなってしまうことへの突破口として首相公選制が主張されている
小林 節 151 3 - 2
  • 議院内閣制ではリーダーシップが弱いとして首相公選制が出ているが、これは議院内閣制への誤解があるのではないか
飯尾 潤 151 3 - 3
  • 首相公選制については、理論的には国民主権・民主主義の拡充を図るものとして主張され、機能的には首相のリーダーシップ強化と政権安定が期待されている
中村睦男 151 4 - 2
  • 地域の代表の選択が同時に各政党のマニフェストの選択であり、政権政党の選択になり、その党首を首相に選ぶ形が衆議院選挙の本来の在り方であろうが、そのような形になっていないのではないか
永久寿夫* 162 I - 20
  • 政党内人事で任期等により党首が途中交代する場合、前党首に反対の意見の党首が現れる可能性もあるのが現状。意見や政策が異なる首相が現れた場合、前回選挙の意義、民意の反映に疑問がわく
永久寿夫* 162 I - 20
  • 与党議員が閣僚も含め首相の政策に反対し、首相が影響を受けてしまう可能性がある現状は有権者にとって違和感がある
永久寿夫* 162 I - 20
<公選制導入における論点>
  • 67条・6条1項の改正は当然だが、行政権の主体を内閣と首相のどちらにするのか、リコール制を設けるのか、首相が欠けた場合の措置をどうするかといった法的論点がある
内閣法制局 151 9 - 6
  • 首相公選制は、情報宣伝等により国民を操作するという危険性を持つ
隅野隆徳* 154 I - 11
(象徴天皇制との関係)
  • 象徴天皇制との衝突は起き得るが、行政執行者たる首相と象徴としての大統領のような仕切りが日本でもできれば、矛盾回避は可能
小林 節 151 3 - 6
  • 公選された首相は天皇による任命式に臨むのか、臨むのなら主権者が選んだ首相を天皇がどういう資格で任命するのか等、象徴天皇制との整合性においても問題がある
成田憲彦 151 4 - 4
  • 解決できないわけではないかもしれないが、天皇制との関係という問題もある
諸井 虔 151 7 - 8
  • 首相公選制と元首との関係は切り離して考えるべき
前田英昭 151 7 - 8
(議院内閣制との関係)
  • 首相は公選だが、それに対して議会が不信任で動きを止めるという組み合わせもあり得ると思う
小林 節 151 3 - 7
  • 議院内閣制との併存はフランスの半大統領制(大統領は直接国民が選出、別に内閣が議会の信任を得て日常業務を執行)が唯一の方法であり、それ以外はうまくいかないのではないか
飯尾 潤 151 3 - 8
  • 議院内閣制との併存は、大統領的な首相が国民に信を得ている状態と両院が首相・内閣に責任を問う関係が生じることから、制度設計として不安定
小澤隆一 151 6 - 8
  • 内閣のメンバーと国会議員の兼務は禁止し、入閣する大臣を首相を雇主とする専門家スタッフで構成する米国型にすべき
永久寿夫* 162 I - 20
(国会との関係)
  • 議会の選挙と大統領の選挙の結果が同じとは限らず、両者の矛盾が起こる
飯尾 潤 151 3 - 4
  • 現職に対して対立候補を出せる政党がないと、都道府県知事で起きているように総与党化となり、国会での論戦も余りなくなり、国民に分かりにくい政治となる可能性がある
飯尾 潤 151 3 - 6
  • 国会の国民の代表機関としての性格を弱めることになる
中村睦男 151 4 - 2
  • 議会と首相の意思が食い違ったときにどう解決するか。解散・不信任など早く結論を出すということが必要ではないか
諸井 虔 151 7 - 3
  • 衆院選は政権選択でなくなり、その役割が明らかに変化し、また、政党・議会と内閣の関連性が薄まり、政党政治・議会が弱まる
曽根泰教 151 8 - 4
  • 国会解散・内閣不信任決議が可能か、その条件は何かなど制度を新しくつくりかえる発想になる
曽根泰教 151 8 - 9
  • 不信任決議をできることにするか、国会を解散できることができるのかといった問題がある
内閣法制局 151 9 - 6
  • 首相が国民と近い存在になるという意味で、41条が国権の最高機関と呼ぶような意味においては首相の地位が相対的に高くなると考えてよい
内閣法制局 151 9 - 10
  • 国民が直接選んだ者を議会が不信任としてよいか、不信任決議があったときに国会を解散することが許されるかという問題がある
早川忠孝* 154 I - 13
  • 議会と首相が対立した場合、(1) 議会が不信任案を提出し、可決された場合、首相は辞任し、同時に国会も解散する、(2) 首相が国会を解散し、同時に首相も辞任する、として有権者に問う方式が良い
永久寿夫* 162 I - 20
<公選制導入の是非>
  • 首相への民意・権力の集中が目的なら、強化された議院内閣制の方がむしろ妥当
飯尾 潤 151 3 - 4
  • 政治が国民を代表していないというフラストレーションが起こる制度は考え直してみる意味があり、国民の責任において一度やってみたらよく、間違ったらやめればよい
小林 節 151 3 3 - - 6 11
  • 議院内閣制を本来の趣旨に従って十分機能させることが現在の日本にとって最も重要な課題
中村睦男 151 4 - 2
  • 首相公選制は大統領制なのか議院内閣制なのか等いろいろ問題を抱えており、議院内閣制の強化が基本と考える 
成田憲彦 151 4 - 4
  • 最終的には、どちらがより迅速・正確に国民の意思を表すかという点で考えるべき問題
諸井 虔 151 7 - 8
  • 日本の場合、多元化した国民の利益・意思を議会でまとめ、離合集散を経て一人の首相を選び内閣を組織する方が賢明
隅野隆徳* 154 I - 13
  • 外交・防衛等を抱える国政の場では、国民の多様な意見を適切に反映できるシステムが望ましく、議院内閣制を基本にした形の新しいシステムづくりを考えていった方がよい
早川忠孝* 154 I - 13
  • 英国のように総選挙の際に首相を選ぶ形であれば、憲法改正をしなくても可能
前田英昭 151 7 - 8
  • 一つの解決策は予備選挙あるいは党首公選制の導入。これにより、党も強くなり、議院内閣制のシステム自体もいかし、実体的には国民の選択肢を増やすことになる
曽根泰教 151 8
8
8
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4
5
8
  • 大統領制も改めて考えるべき。ただし、行政権限が国民に近くなると暴走の可能性があるため、憲法裁判所の設置など裁判所の機能強化も考えるべき
五十嵐敬喜* 162 I - 2
  • 首相公選でなければならないというわけではないが、議員の互選では、議員の利害関係に左右されるのは当然であり、これを排除することが必要。首相のリーダーシップを確立し、民意を反映させるためには、首相を公選し、首相と対立しない内閣をつくる必要がある
永久寿夫* 162 I
I
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首相が欠けたとき
  • 緊急事態の際の政府の意思決定の迅速性、正当性を確保するため、首相の職務権限の代行順位をより明確に法定することが必要
村田晃嗣 156 9 - 7
官僚制・行政(官僚)統制
  • 日本の行政の最大の問題は、政策の企画立案と執行が近い場所にあること。政策の企画立案に関しては、政治的コントロールが強まるような方策を導入すべき
飯尾 潤 151 3 - 10
  • 官僚主導を克服するのは、背後に官僚がサポート役としてつく内閣主導ではなく、首相主導である
成田憲彦 151 4 - 5
  • 憲法上「内閣」とあるにもかかわらず、施政方針演説等で「政府」の語が用いられるのは、官僚を組み込んで考えないと実際の政治運営ができないことによる
成田憲彦 151 4 - 8
  • 官僚主導克服の基本は議員の自覚の問題であり、制度的には欧米と違っているわけではない
成田憲彦 151 4 - 8
  • 官僚主導を断ち切るのは政権交代
成田憲彦 151 4 - 9
  • 今日の世界的大競争時代には、従来の行政主導、分担管理、省庁間調整では対応できず、内政・外交を国民主権、国会主導、政治主導で動かす形に早く切り替えないといけない
諸井 虔 151 7 - 2
  • 政治家と官僚は敵対関係のように理解されていることが多いが、政治家が官僚を使いこなすということが政党政治の重要な点
曽根泰教 151 8 - 6
  • 中央省庁再編は、国民・国会と内閣との一体化を図り、その内閣が行政各部の専門性・企画力をいかしつつ、それをコントロールするという構図
佐藤幸治 154 2 - 4
  • 官僚支配への対抗には、従来のような三権分立の枠組みでは必ずしも十分でなく、最も有効な対抗軸は国民主権であり、これに抵触するような憲法の規定は訂正すべき
五十嵐敬喜* 162 I - 8
行政委員会
  • 行政委員会は、公平・中立性を要する事務であること、内閣が人事及び財務に関する権限を有し、一定のコントロールが可能であることを前提として、65条に反しないと理解してきた
内閣法制局 151 9 - 4
公務員
<公務員の人権の制限>
  • 公務員の身分を理由に選挙権の前提となる被選挙権を一律に奪うことはドイツでは憲法違反と考えられており、日本でも同様であると考えられる
平松 毅 156 2 - 2
<公務員制度改革>
  • 公務員制度改革が進められていることを歓迎する。能力主義・実績主義も大胆に導入し、全体の奉仕者としてふさわしい公務員を育ててほしい
日本経団連
矢野弘典
156 1 - 10
  • 公務員の在るべき姿として現状でよいとは思っておらず、連合としても、天下りの禁止、キャリア制度の廃止など民主的で透明な公務員制度の提案をしている
連合
草野忠義
156 1 - 13

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