１　司法権の意義とその独立

• 司法は、政治部門が多数決原理により国民の意思を国政に反映させようとするのとは異なり、個別事件における法適用を通じて、少数者の権利保護を含む法の支配・法による正義を実現することに本質的役割があると言われる

• 司法は一つの機能であり、具体的な事件、法律争訟を法律を適用して解決するところに本質があると言われる

• 一般的見解では、司法権とは、当事者間の具体的な権利義務の存否に関する紛争につき、法解釈を適用して解決する国家作用

• 法の支配を保障するために裁判所が存在する

• 憲法は、対等な当事者間の具体的事実に即した対話的討論を通じて法形成をすることを法秩序の重要な要素と見る法の支配の観念を基礎として、司法権について規定する

• 法が現実生活の中で持つ意味・問題を、当事者が公開・対話的な裁判の場で対等に争い、人権を保障する憲法に照らして、第三者である裁判所が判断するのが法原理のフォーラム

• 裁判所は、行政、立法に対するチェック機能を担い、国民の権利・自由の保障を最終的に担保する役割を期待されている

• 裁判には、問題の所在などを明らかにし、社会、議会を動かすフォーラムとしての機能が見られる。ただし、それを受けて法律を制定し、権利を実現するのは、立法府の仕事

• 一審判決は、(1) 実際に裁判の影響を受ける国民の大半の運命を決する、(2) 最高裁判決を生み出すに当たり、一審の優れた法判断が与える影響がしばしば見られる、という点で重要な意味がある

• ９条は現実に合わせ全面的に改正し、文民優位の原則、軍の統帥・編成、非常事態の宣言、軍法会議、国会との関係を正面から規定し、国家の超法規的軍事行動や旧軍の過ちの繰り返しが防止できるようにすべき

• 軍隊を持てば軍法が必要となり、軍事裁判所も必要である

• 法の支配、法による正義の実現という司法の本質的な役割のため、憲法は司法権の独立の確保に特段の配慮をしている

• 個々の裁判が法以外のいかなる勢力や権力からも拘束されないための制度的裏付けとして、憲法上保障されている

• 80条は下級裁判所裁判官の報酬は在任中減額できないと定めているが、今回減額されたのは、条文とは異なった運用の例

• 当事者の意思いかんにかかわらず、終局的に事実を確定して権利義務の存否を判断する裁判は、公開の法廷における対審及び判決によらなければならないというのが82条の趣旨（強制調停違憲決定）