4 参議院と政党との関係

(小委員会における議論)

 衆議院は政党を軸に活動しているので、参議院が衆議院に対する独自性を発揮しようとする場合は、政党から距離を置かなければならないのではないか、また、緑風会時代が最も参議院らしさを発揮していたのではないかなどの問題提起がなされ、(1) 政党との関係、(2) 党議拘束、(3) 政権から距離を置く必要性について、活発な議論が交わされた。

 必ずしも政党政治の枠にとらわれないことに参議院の意味がある、政党の中での意思決定の在り方は極めて重要で、衆参にまたがる党議拘束が参議院の独自性を阻害し、また立法過程最大の問題となっている、党議拘束については、特に参議院で再考の余地がある等の意見が出されたほか、脱政党化のためには、参議院では公的助成は一定の比率で議員個人も対象としたり、候補者段階から公的助成を行う等の方法が考えられるなどの指摘があった。これに対して、選挙、特に再選されるためには政党の力が必要であり緑風会の再来は難しいとの指摘、また、衆参の定数の較差により党派内の決定において参議院が従属となる現状をどうするかの議論が必要との指摘もあった。

 さらに、参議院は政権から距離を置くべきとの点ではほぼ一致したものの、閣僚等を参議院から出すことを自粛するかについては議論があった。

(調査会における議論)

 それぞれの論点につき、参議院と衆議院では政党との関係に差異があることを是認する意見、議院内閣制における政党の性格から党議拘束の緩和に疑問を呈する意見、また首相指名・閣僚就任等は議院内閣制を採用する以上衆参同じ位置付けであるべきなどの意見が出されたが、それぞれ消極的に解する意見も出され、見解が分かれた。

(1) 政党との関係

  • 解散のある衆議院はより直接民意を反映し、参議院は長期的視点から様々な民意を間接的に反映するため、衆議院は政権選択選挙のような形、参議院は代表を選出する選挙の形を憲法は想定しており、その結果、衆議院では政党の存在が不可欠である一方、参議院では政党との関係において壁がある、
  • 政党には近時、行政監視の実効性を上げるという役割が生じているが、第二院としては官僚的になってきている政党との距離感をうまく測りながら役目を果たすべき、
  • 参議院議員は、党派的観点を薄くして実証データに基づく具体的発言を重ねることが第二院に対する期待にこたえる道である、
  • 参議院の在り方や制度を変えても、政党・党議拘束・選挙・大臣指名それぞれの在り方を政党として整理しないと、衆参の役割分担はできない、
(2) 党議拘束
  • 党議拘束は各政党の問題とは思うが、議院内閣制の下で党議拘束を外すことは制度的に整合性があるのか疑問、
  • 首相の指名権や閣僚を出すかなども含めて政権から距離を置く具体的な検討は重要であり、それが党議拘束の緩和につながるのではないか、
(3) 政権から距離を置く必要性
  • 党の憲法調査会中間報告(平成16年)は、参議院議員の大臣指名の廃止などを検討課題としている(民主党)、
  • 首相の資格要件は衆議院議員に限るべきとの意見があるが、インド、フランス、ドイツ、戦前の日本などを見ても、上院議員が著名な首相となっている。首相の資質のある者は参議院にもいるので、資格要件は参議院を含めた国会議員にすべき、
  • 首相の指名権は、内閣が国会に対して責任を負うことの一つの表れであり、議院内閣制である以上、衆参両院とも有するという現行の規定を維持すべき。国務大臣への参議院議員就任もこれまでどおり維持すべき、
  • 決算の院・財政チェックの院としての機能強化を図るには、執行の一翼を担いながらチェック機能を果たせるかを考慮すべきで、参議院議員の国務大臣就任、首相指名権との関係も論点となる、
  • 首相の指名権や閣僚を出すか出さないかなども含めて政権から距離を置く具体的な検討は重要であり、それが党議拘束の緩和につながるのではないか、

などの意見が出された。

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