第212回国会(臨時会)

令和5年12月6日(水)第2回

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日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(憲法に対する考え方について)
【主な発言項目】
山本 順三 君(自民)
  • 憲法審査会として、これまで表明された各会派の意見等を集約し、今後の議論の方向性を見出し、論点を絞った形で議論を進め、成果をまとめ上げていくべきとの見解
  • 合区問題等について、憲法審査会において議論を深めていくことが重要だが、参議院改革協議会の選挙制度専門委員会において現在議論されていることから、まずはその議論の進展を見てはどうかとの見解
  • 二院制の下、参議院に与えられた緊急集会とこれを含む緊急事態対応について、議論を深め、統一の見解を求めていくべきとの見解
辻元 清美 君(立憲)
  • 2021年の国民投票法改正時の附則4条は、法改正なくして改憲発議はできないとの趣旨であることの確認と、憲法審査会で生成AIによるフェイクなど偽情報の問題について議論を深めるべきとの提起
  • 国民投票が偽情報でねじ曲げられるような状況は、改憲への立場に関係なく放置できない問題であり、広報協議会の在り方について議論が求められているとの見解
  • 政治の信頼なくして憲法論議は成り立たず、政治の信頼を取り戻すことが憲法論議の土台になるとの見解
塩田 博昭 君(公明)
  • 緊急集会について、帝国議会において金森大臣は、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するために政府の一存で行う処置を極力防止しようとするものであると答弁しており、緊急集会は権力分立と国民主権を保つために設けられた制度であるとの見解
  • 権力分立と国民主権の観点から、緊急集会と議員任期の延長のいずれが優れているとは言い切れず、それぞれの優れた点や問題点を細やかに洗い出す必要があり、緊急集会の権限、その活動期限、議員任期の延長等について更なる議論がなされることを希望するとの見解
  • 公明党が提唱する全国を11のブロック単位とする個人名投票による大選挙区制によって、憲法が求める投票価値の平等を更に追求しながら、参議院選挙区の持つ独自の地域代表的な性格と両立、調和させることを通じて、参議院全体として全国民の代表としての性格を保つことが可能となるとの見解
猪瀬 直樹 君(維新)
  • 自衛隊は、昭和25年に警察予備隊として発足してから、実に70年以上も憲法上の位置付けが曖昧なまま今日に至っており、この曖昧さが我が国の国際貢献を妨げ、防衛産業の発展を阻害する結果を招いてきたとの見解
  • 防衛装備移転三原則の運用指針見直しが与党実務者協議において議論されているが、なかなか議論が進まず、憲法の平和主義の狭隘な解釈に縛られているとの見解
  • 我が国が国際法上の常識が通用する普通の国になるためにも、9条への自衛隊明記を始めとした憲法に実態を織り込むことの必要性
礒崎 哲史 君(民主)
  • デジタル時代においても個人の自律的な意思決定を保障し、民主主義の基礎を守っていくため、データ基本権などの議論を深めていくことが必要との見解
  • いかなる緊急事態においても国会機能を維持し、権力を統制、分立することが重要であり、衆議院議員の任期延長や、緊急事態の状況下における内閣の権限行使に当たっての国会承認が必要との見解
  • 憲法審査会におけるこれまでの議論を取りまとめる必要性
山添 拓 君(共産)
  • 岸田首相が所信表明演説で、条文案の具体化にまで言及して改憲議論の加速を求めたことは、憲法尊重擁護義務を踏みにじるものであり許されないとの見解
  • 安全保障といえば軍事的抑止力という呪縛から抜け出し、憲法9条を生かした外交で、平和への展望を開くべきとの指摘
  • 戸籍上の性別変更に当たっての手術要件や、生活保護費の基準引下げをめぐる判決を踏まえ、憲法が保障する自由と権利を充実したものとするために、政治は自らの姿勢を改めるべきとの指摘
大島 九州男 君(れ新)
  • 国民が求め続けているのは、憲法改正ではなく、憲法が保障する生存権や幸福追求権を脅かしている物価高への対策や少子化対策であるとの見解
  • 我が会派は集団的自衛権は憲法上認められないとの立場であり、憲法を飛び越えた立法は許されず、集団的自衛権行使を盛り込んだ一連の法改正は白紙撤回すべきとの見解
  • 生存権や幸福追求権といった憲法に規定された基本的人権が憲法の趣旨のとおり保障されているか、憲法違反が生じていないかを調査することこそが憲法審査会の役割であり、国民は憲法改正を求めていないとの見解
片山 さつき 君(自民)
  • これまで議論を深めてきた成果を生かす観点から、緊急集会を含む緊急事態対応について、明確になった論点ごとに各会派から条文案を含む具体的な考えを提示し、それを基に議論を進めていくことで、国民に憲法の条文案を示すという憲法審査会の責務を果たすべきとの見解
  • 緊急集会を含む緊急事態対応についての具体的かつ前向きな議論を進めず、前回までの整理で一旦止めるということであれば、憲法への自衛隊の明記について取り上げ、各会派が条文案を含む考えを示した上で、具体的かつ緻密な議論を通じて成果を得て、それを国民に示して判断を仰ぐべきとの見解
福島 みずほ 君(立憲)
  • 唯一の立法機関である国会しか立法はできず、内閣が法律と同じ効力を持つ政令を作り、基本的人権を制限できるとすれば、まさに立憲主義の否定であるとの見解
  • 議員任期の延長は、国会議員居座り改憲であり、国民が選挙で政治を変えたいと思っても選挙をさせないため危険であり、民主主義の否定であるとの見解
  • 安保関連法は違憲の法律であり、9条を論ずるのは安保関連法を廃止してからであるとの見解
松下 新平 君(自民)
  • 合区問題の抜本的解決には自民党の示した条文イメージによる改憲が必要だが、まずは、参議院改革協議会の議論の進展を見守りたいとの見解
  • 憲法に自衛隊が明確に位置付けられていないために、万が一のときに迅速に対応できないのではないかという不安から、国民の間に憲法改正が必要との意識が高まりつつあるのではないかとの指摘
浅田 均 君(維新)
  • 立憲主義による国家を存続させ、国家の役割を国家国民の生命、財産を守ることとするならば、生成AIの時代に対応できる憲法を持つ国家にしておく必要があるとの見解
衛藤 晟一 君(自民)
  • 国民の命と生活を守るという責務を国会が果たすためにも、緊急事態条項の発議は必要不可欠であり、特に、緊急時にも国会機能を維持するための国会議員の任期延長については早急に憲法改正原案を詰める作業に入るべきであり、国家国民を守るため命懸けで崇高な任務に当たっている自衛官に対して報いるためにも、自衛隊の存在を憲法に明記すべきとの見解
  • 憲法改正原案を具体的に詰めるために憲法審査会の下に憲法改正原案作業チームを設け、そこで緊急事態条項、自衛隊明記に関する詰めた議論を行い、その結果を憲法審査会に報告することの要請
熊谷 裕人 君(立憲)
  • 衆議院議員の任期延長は、選挙を経ておらず民主的正統性に疑義があり、そのための憲法改正は必要ではなく、緊急集会を活用すべきとの見解
  • 緊急集会は、国民の選挙権を保障し、内閣や衆議院議員の立場においても一刻も早い選挙の実施を必然とする点、緊急事態から平時への復元力が担保される点、緊急集会の措置は衆議院の同意を要する臨時のものとされる点など、緊急事態における権力の簒奪と濫用を防ぐ仕組みとなっているとの見解
  • 緊急集会について、参議院が内閣に対し新案件の追加を促し、必要に応じ内閣に説明責任を果たさせるため等の国会法の改正を行うべきとの見解
山谷 えり子 君(自民)
  • 国の根幹に関わる問題については憲法の議論が必要であり、特に、国民の権利、義務の関わる危機管理に関しては、法律の背景への理解、いざというとき、何がどこまでできるのかという問題意識の共有化が必要との見解
  • 憲法改正の機は熟しつつあり、世論が変わり、憲法審査会において論点の絞り込みなどの前進がある中、特に喫緊の課題として、自衛隊の明記と緊急事態条項の創設の条文案具体化を進めるべきとの要請
小沢 雅仁 君(立憲)
  • 緊急集会は、一日も早い総選挙の実施を必須としつつ、その間に緊急性を要する立法等を行う必要がある場合に限り70日を超えても開催できると当然に解すべきとの見解
  • 緊急集会の立法事実や根本趣旨に一言の言及もないまま70日間限定説を繰り返すのは、緊急集会を恣意的に曲解するもので、濫用排除の制度を破壊して濫用可能な憲法改正を行おうとするものと断ぜざるを得ず、議員任期延長改憲には明確に反対するとの見解
丸川 珠代 君(自民)
  • 憲法が採用する二院制国会は衆参両院がそろって活動することが原則であり、緊急集会は、参議院の極めて重要な役割ではあるが、二院制の例外として位置付けられているものと考えられ、衆議院議員の不在が長引くことを憲法は想定しておらず、緊急集会では新たな総理の指名に対応し切れない事態となりかねないとの見解
  • 緊急集会の議論と併せて、衆議院、さらには国会議員の長期にわたる不存在や召集不可能時への対応、そして他国の憲法にあるような緊急政令等の制度、これらに係る憲法改正の議論を整理された論点ごとに具体的に条文化を目指して進めるべきとの見解
打越 さく良 君(立憲)
  • 歴代自民党総理・総裁の中でも代表的な護憲派である宮澤喜一氏の憲法9条そのものを変える必要はない、憲法改正を数の力で争う場合に生じる国内の分裂を考えただけでもそれだけの労に値しないことは明らかだとの見識を共有すべきとの見解
  • 現行安保法制は、歴代自民党政権が作ってきた集団的自衛権は行使しないという解釈を勝手に変えたものであり、現憲法下における安保法制の在り方こそ憲法審査会で議論すべきとの見解
窪田 哲也 君(公明)
  • 国民の政治不信が高まっているところ、権力創出機能を持つ衆議院とは一線を画する参議院にこそ政治への信頼を取り戻す可能性が秘められているとの見解
  • 憲法上、衆議院に支持される内閣を監視、統制し得るのは参議院であり、その改革に当たっては党派性を可能な限り抑制することが肝要であるが、個人名投票による11ブロックの大選挙区制の導入が、党派性の抑制に貢献し得るとの見解
高木 真理 君(立憲)
  • 子どもの権利条約が掲げる一人一人の子どもの尊厳の保持において国際的に劣後し、現行憲法26条の理念すらも実現できていない中、教育の無償化にかこつけた憲法改正はあり得ず、まずは早急に教育予算を増やし、子どもたちや保護者に手を差し伸べるべきとの見解
  • 改憲による緊急政令を求める会派にあっては、緊急集会と現行の災害対策基本法などの緊急政令の仕組みで何が足りないと具体的に考えているのかを、自民党会派にあっては、2022年、21年当時、衆参の野党会派による召集要求に応えなかった憲法53条の臨時国会召集義務違反に係る説明資料を、いずれも憲法審査会に提示・提出することの要請
山田 宏 君(自民)
  • 自衛隊に他国の軍隊では当たり前の名誉と待遇が認められてこなかったのは、国家が憲法上自衛隊を通常の軍隊として認めてこなかったからであり、自衛隊が任務を完遂するために憲法に明記することが必要であるとの見解
  • 憲法審査会で9条の改正について議論することは、我が国周辺の安全保障環境がますます厳しさを増す中、多くの心ある国民の大きな要請であり、速やかに議題として取り上げるよう強く要望するとの見解
小西 洋之 君(立憲)
  • 緊急集会を、70日に限定する説、平時の制度であるとする説は、緊急集会の立法事実、根本趣旨に反するものであり、これらの説を取る会派はその理由を憲法審査会に提出すべきとの要請
  • 憲法に国防規定がないのではなく、憲法は前文及び9条によって政治家が二度と戦争の過ちを犯してはいけないことを定めているとの見解
青山 繁晴 君(自民)
  • 憲法96条は、改憲へのハードルが高い条項であると同時に、高いハードルを越えるほどの必然性があれば改憲を国民に問うべきという条項でもあり、憲法9条の改正の必然性が高まっていることから、国民が改憲への賛否を示す権利を行使すべき時期に来ているとの問題提起
  • 拉致問題において北朝鮮が国の責任を認めた理由は、憲法9条によって交戦権を認められていない日本は、相手が国であれば何もできないためであるとの指摘
石川 大我 君(立憲)
  • 10月25日の最高裁判所大法廷における性同一性障害特例法の違憲決定を受け、速やかな法改正が望まれるが、決定から約1か月半、具体的な動きは見えず、政府の姿勢は後ろ向きと言わざるを得ないとの見解
  • トランスジェンダーの人たちの受けている差別や偏見、苦労に心を寄せることが今求められており、国民の人権を擁護するため、確定した違憲判決、決定についても憲法審査会で議論することの要請
松川 るい 君(自民)
  • 全ての論点について最初から取り上げることは作業的にも大変なので、まず9条又は緊急事態などワンアジェンダを取り上げて、各党代表による起草グループで具体的な案文又は要素案を作って作業すること、その前提として、次回の憲法審査会では、各党が具体案を提出し、その案に基づいて議論することの提案
  • 99条の憲法擁護義務を憲法改正してはいけないという根拠とする意見があるが、これは全くの誤りであり、憲法自身が96条に改正条項を規定しており、時代の要請に応じて改正されることを予定していることは明らかであるとの見解
大島 九州男 君(れ新)
  • 憲法審査会における議員1人あたりの意見交換の時間が短いとの指摘
  • 憲法審査会を、議員間でいろんな意見を闘わせキャッチボールをし、その議論を国民に広く示し、国民が判断をする場にすべきとの要請
加藤 明良 君(自民)
  • 合区制度に対する全国の反対の声や、人口格差の広がりによる更なる合区の増加と、地域格差、経済格差のますますの拡大への懸念を解消するためには、憲法上、都道府県を参議院の選挙区とし定数を明記する必要があるとの見解
  • 自衛隊の憲法への明記、緊急集会又は緊急事態条項、教育格差問題なども含めた憲法上の問題点を精査することが憲法審査会の役割であり、期間を定め、それぞれのテーマについて問題の取りまとめを行い、時代の流れに沿った憲法改正により、豊かで平和で安心、安全な日本の将来となるよう議論を進めていくべきとの指摘
福島 みずほ 君(立憲)
  • 戦後日本は専守防衛、非核三原則、海外に武器を売らない、集団的自衛権の行使はしないなど、まさに9条にのっとって平和国家をつくってきており、9条の意義は大変大きいとの見解
  • 国会議員は憲法尊重擁護義務があり、憲法を守っていないのに憲法改正を言うのはおかしく、憲法を守る努力をして初めて語ることがあるとの見解
衛藤 晟一 君(自民)
  • 平和安全法制は自国が本当に危険な状態になったときにのみ集団的自衛権を行使できるようにしたものであり、集団的自衛権を全面的に求めるものではないとの見解
古庄 玄知 君(自民)
  • これまでの裁判所は司法消極主義に立ち憲法判断を回避する傾向にあったが、最近は司法積極主義に立ち憲法判断をする傾向にあるように思われ、今後裁判所が自衛隊等について憲法違反の判断をする可能性があるため、そうなる前に、早急に憲法改正をし、実態と憲法が合致するようにすべきとの見解
小西 洋之 君(立憲)
  • 日本は災害大国でもあり、衆議院がいないときに立法機能を確保する緊急集会は、憲法制定過程で日本側の提案において設けられた世界に冠たる緊急事態条項であるとの見解
  • 憲法前文は憲法の全ての条文の解釈の指針、憲法を定めた目的規定、動機そのものであるため、その趣旨や、政府のこれまでの憲法解釈や外務省などの運用について、憲法審査会で議論をすることを求めるとの要請
小林 一大 君(自民)
  • 緊急集会に加えて憲法に緊急事態条項を整備し、二院制国会を機能させるための議員任期延長など国会機能維持のための措置を講じておくことは急務であり、立憲主義の観点からも極めて重要であるとの見解
  • 究極の事態において内閣が一時的に国会機能を代行する緊急政令や緊急財産処分の制度も必要であり、政府の暴走や濫用を防ぐため、例えば、憲法裁判所の設置や最高裁に勧告権限を付与するような裁判所の関与を求める考え方などを含めて、我が国の司法制度の在り方とともに議論を深めていくことも大切だとの見解
熊谷 裕人 君(立憲)
  • 緊急集会の権能について、国に緊急の必要があるときに国会の機能を一時的に代行するものとして、内閣が示した案件に関連する範囲内で法律、予算など広く国会の権限に属するものに及ぶが、案件の性質から見て憲法改正の発議や内閣不信任決議案は緊急集会の権能の外にあると解すべきとの見解
  • 憲法審査会における参考人の発言のとおり、甚大な国家緊急事態により総理及び多数の国務大臣を欠き、選挙の実施を延期せざるを得ない非常事態で緊急の必要性がある場合、緊急集会での内閣総理大臣の指名は理論上あり得るとの見解
青山 繁晴 君(自民)
  • 大島委員から問題提起があったように委員間の意見交換が大切であるとの見解
  • 憲法9条は拉致事件の発生及び拉致被害者を取り戻せないことに関係があるのかについて意見交換するべきとの要請

※上記発言項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。発言の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。

令和5年11月15日(水)第1回

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日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(憲法に対する考え方について
(特に、参議院議員の選挙区の合区問題を中心として))
【川崎参議院法制局長の説明骨子】
  • 参議院選挙における投票価値の平等をめぐる最高裁の判断の変遷、令和5年10月18日最高裁判決のポイント等
【主な発言項目】
片山 さつき 君(自民)
  • 本審査会では、合区対象4県から知事、副知事を参考人として招致し、合区の弊害等について意見聴取を行っており、また、全国知事会からも合区解消を求める決議について会長に申入れがあったが、本審査会委員も、合区の弊害等を繰り返し指摘していたことの指摘
  • 今回の判決において、最高裁が合区制度の弊害について前回の判決と比べて深く考慮し言及した背景としての事情、意図、状況の変化
  • 投票価値の平等は極めて大切であるが、合区問題も民主主義の根幹に関わる重要な問題であるところ、自民党では、合区問題の抜本的な解消のため、憲法改正の条文イメージを示しており、本審査会においても合区解消に向けて議論を積み重ねていくべきとの指摘
辻元 清美 君(立憲)
  • 歴代の最高裁判決が示すように、二院制の下、衆議院とは異なる参議院の独自機能や役割を位置付けて選挙制度に反映させることは、国会の合理的な裁量権の行使として許されるものと解し、これを踏まえた根源的な議論が必要であるとの問題提起
  • 参議院改革協議会選挙制度専門委員会で二院制における参議院の在り方などの議論が行われているが、その内容も踏まえつつ、本審査会でも参議院の選挙制度の議論を深めたいとの見解
  • 現行憲法は、国会は全国民を代表する議員でこれを組織するとされており、合区問題を議論するに当たっては、参議院の在り方や当該地域を含む地方の声だけでなく、都市部も含めて全国民的議論が必要であるとの見解
西田 実仁 君(公明)
  • 我が党では、合区によって特定の県のみが県単位の議員を選出できないことから、当該住民による不満が噴出していることは理解しており、是正は必要との立場であるが、投票価値の平等という憲法価値と相矛盾する制度改正は行うべきではなく、一貫して投票価値の平等と地域代表的性格の調和を図るため、全国を11のブロック単位とする個人名投票による大選挙区制を提唱しているとの見解
  • 合区は本当に我が国の民主主義の根幹を揺るがすことになるのかとの疑問
  • 今回の最高裁判決において、都道府県より広域の選挙区を設ける方策について慎重に検討すべき課題があるとの認識が示された趣旨
片山 大介 君(維新)
  • 参議院の選挙制度について、都道府県の選挙区からブロック制への移行や自治体の首長と参議院議員の兼職禁止規定の廃止などを検討していくべきとの見解
  • 最高裁判決が示した立法府に対する較差を是正するための一定の期間の猶予とは、次回の参議院選挙までであると解するとの見解
  • 憲法審査会において改憲の発議に向けた結論を出すべき時期を見据えたスケジュールを策定し、建設的な議論をしていくことが必要であるとの見解
大塚 耕平 君(民主)
  • 憲法に定める法の下の平等は、国民は自らが居住する都道府県代表を最低一人は参議院に選出できることであるため、合区はやめるべきとの見解
  • 法の下の平等が人口割りの単純平等であるとは憲法にも法律にも明記がないとの指摘
  • 憲法上の三権分立は相互牽制にこそ意味があり、立法府の意思、行政府の責任に及ぶ問題を、司法府が明文上の法的根拠がない判断基準をもって是非を示すことは、立法裁量権、行政裁量権の侵害という面もあり、立法府は自ら運営ルールを確立することが肝要との指摘
山添 拓 君(共産)
  • 最高裁判決は、現行選挙制度の仕組みの抜本的な見直しも含め、較差の更なる是正等を求めており、国会はこの観点で司法に応えるべきとの見解
  • 我が党は、多様な民意の正確な反映という点で、参議院選挙については比例代表を基本とする全国10ブロック、非拘束名簿方式の選挙制度を提案しており、一票の較差の是正という点でもこの方向で踏み出すべきとの見解
  • 選挙制度の見直しは憲法審査会の任務ではなく、参議院改革協議会選挙制度専門委員会でこそ速やかに具体的に検討すべきとの指摘
山本 太郎 君(れ新)
  • 最高裁が違憲かどうか問題にしているのは、公職選挙法上の定数配分規定の平等原則違反であり、合区問題はそもそも憲法問題ではないので、合区制度の妥当性、改正、廃止などを検討するのであれば、舞台は参議院改革協議会であるとの指摘
  • 日本の人口100万人当たりの国会議員の数は5.6人とOECD38か国中36位であり、先進国の中では非常に少ないため、もっと増やしてしかるべきとの見解
  • 本来憲法審査会で扱われる案件は合区についてではなく、政権与党にありながら、この国に生きる人々を30年もの間痛め付ける国家運営を行ってきたことへの違憲性のチェックこそが最優先課題であるとの見解
松下 新平 君(自民)
  • 現行憲法の自主的改正は結党以来の党是であり、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原理はしっかり堅持し、憲法改正への取組みを更に強化していくとの見解
  • 都道府県単位で国会議員を選出することが重要であり、抜本的な合区解消のための憲法改正を実現すべく、今後一層取組を活発にしていきたいとの見解
小西 洋之 君(立憲)
  • 合区の解決には、最高裁判決が説くところの、参議院の独自の機能・役割である緊急集会こそが不可欠な憲法上の根拠であり、緊急集会制度の曲解を論拠とする国会議員の任期延長改憲には明確に反対するとの見解
  • 合区廃止の要件である緊急集会制度の機能強化の議論を更に深めることの提案
浅尾 慶一郎 君(自民)
  • 最高裁判決は合区問題についても触れており、立法府においてしっかりと合区問題について議論を深めていくことが重要との見解
  • 最終的には憲法において広域自治体、基礎自治体という形で都道府県、市町村を定義した上で、合区を解消していくことが一番望ましい形になるとの見解
柴田 巧 君(維新)
  • 合区や一票の較差については、本来、参議院改革協議会選挙制度専門委員会で議論すべきものであり、憲法審査会では各党が改正条文案を提出し、それを基に改憲項目を絞り込む議論と作業こそ進めるべきであり、参議院の選挙制度について憲法審査会で議論するのならば、選挙制度の前提となる国家の基本構造、すなわち国の形についてまず議論すべきとの見解
  • 一票の較差問題を解決することは極めて重要であり、現状では合区はその解決策として合理的と考えるが、抜本的な解決策にはなり得ず、例えば定数を削減した上で選挙区を全国11ブロックにするなど、選挙制度の抜本的な見直しが必要との見解
伊藤 孝江 君(公明)
  • 一票の較差の更なる解消と参議院選挙区の持つ地域代表的な性格を両立させ、各地域の民意を反映することができる新たな仕組みとして、全国を11の選挙区とする個人名投票による大ブロック制を導入すべきとの見解
  • 最高裁判決でも、較差の更なる是正等の方策について具体的に検討することが求められており、参院選のたびに選挙制度に関して訴訟を提起される現状を変えていかなければならないとの見解
打越 さく良 君(立憲)
  • 伊達議長の下に設けられた参議院改革協議会選挙制度専門委員会における議論において、定数6増と比例区に特定枠を設ける選挙制度改革が突如として提案され、法改正に至ったことの妥当性
  • 合区を解消しようとするならば、特定枠の廃止が先決であるとの指摘
青山 繁晴 君(自民)
  • 参議院議員の定数を47都道府県掛ける3人の141人プラス比例代表の100人で合計241人とすることを、憲法14条、法の下の平等の例外規定として書き込むことについて主権者に問うことを希望するとの見解
  • 憲法改正の最終的な選択は主権者に預けられており、代理人である国会議員だけでいつまでも議論するのではなく、今後、憲法改正原案の提出要件に関する国会法の規定についても議論を希望するとの見解
石川 大我 君(立憲)
  • 投票価値の平等という人権を、地方の声を国政に反映させるという主張で押し潰すことは、憲法の基本原理である基本的人権の尊重との関係で深刻な憲法上の問題があるとの見解
  • 先月には、性同一性障害特例法について最高裁が憲法13条を理由に違憲の判断をしており、こうした違憲の判断について議論することは、憲法審査会の法的任務に合致するので、本審査会で積極的に取り上げることを希望するとの見解
加藤 明良 君(自民)
  • 法の下の平等として、一票の較差だけでなく、都市と地方の地域格差や経済格差についても議論すべきとの見解
  • 均衡の取れた日本の発展には長い任期で議論が深められる参議院の存在が必要であり、合区を解消し参議院の独自性を生かすため都道府県を選挙区とする選挙制度を確立するための憲法改正の議論をすべきとの見解
臼井 正一 君(自民)
  • 最高裁の参議院に対する地域性、すなわち都道府県を重視する姿勢に対し、政治が答えを出さなければならないとの認識
  • 合区を解消し、憲法に参議院議員の都道府県ごとの選出を明記すべきであり、本審査会における議論を一段前に進めたいとの見解

※上記発言項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。発言の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。

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