第2部 経過の概要(審議経過)

1 概観

 本憲法調査会においては、平成12年1月に始まる最初の1年間は、憲法制定経緯の検証、学生等国民各界各層の意見聴取のほか、主に憲法の前提となる「国のかたち」について、文明論・歴史論的な観点も踏まえ、有識者等から意見を聴取し議論を行った。

 翌平成13年からは、憲法各分野別の調査に入ることとした。調査の大枠として、「総論」、「国民主権と国の機構」、「基本的人権」、「平和主義と安全保障」の四つのテーマを設定し、これらの主要な論点を調査し議論することが調査会幹事会で合意された。

 「国民主権と国の機構」、「基本的人権」、「平和主義と安全保障」の各テーマは、言うまでもなく、日本国憲法の三大原則である、(1) 国民主権、(2) 基本的人権の尊重、(3) 平和主義のそれぞれに沿って、その主要論点を概観することを意識したものである。なお、「国民主権と国の機構」では国の統治機構と地方自治を含んでおり、また、ここでの「総論」は、講学上の憲法総論ではなく、三大原則に直接該当しない残りの憲法各分野を想定したものであった。

 各分野別の調査に当たっては、「国民主権と国の機構」から調査を始め(平成13年3月~14年4月)、約1年をかけて学識経験者や政府関係機関から意見を聴き、議論を行った。続いて、「基本的人権」に入り(14年4月~15年4月)、学識経験者に加え、人権諸団体・関係者からも意見を聴き、議論を行った。引き続き、「平和主義と安全保障」(15年5月~16年4月)に移り、学識経験者からの意見聴取のみならず、各回ごとの委員間による意見交換を加え、議論の充実を期した。その後、「総論」に関する調査を行い(16年4月~5月)、当初に設定した憲法各分野別の四つの大枠テーマによる調査を終えた。これにより、5年目前半で、憲法全体を概観する一通りの調査が終了した。

 5年目後半となる平成16年秋からは、憲法全般にわたる補充調査を行い(16年10月~17年2月)、3回にわたる締めくくり自由討議(平成17年2月~4月)をもって、調査を終了した。

 なお、参議院憲法調査会では、憲法全体の調査については小委員会による分割方式ではなく本調査会で行うことを基本としているが、二院制と参議院の在り方に関する問題については、参議院が特に責任を持って行うべきテーマであることから、柔軟かつ機動的に調査できる小委員会方式を採って調査を行うこととした。平成16年2月に、「二院制と参議院の在り方に関する小委員会」が設置され、学識経験者からの意見聴取や委員間の意見交換など、7回にわたる調査の後、平成17年3月、小委員会調査報告書を本調査会会長に提出して、調査審議を終えた。

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