2 調査審議の進め方をめぐる議論

 本憲法調査会における調査審議の進め方については、調査会発足後の第2回(平成12年2月16日)及び第3回(3月3日)の2回にわたって、委員間の自由討議をとおして議論が行われ、

  • 調査の進め方としては、党利党略にとらわれず広く国民に開かれた議論を行う、そのために調査会の土日開催、インターネットによる意見募集や議事公開が必要、
  • 現行憲法には国の歴史・文化が欠落しており、21世紀のあるべき「国のかたち」を議論してこれからの憲法像を示すべき、
  • 三大基本原則は国民に定着しており堅守すべき、
  • 先駆的意義を持つ現憲法は今こそ真価を発揮すべき、

などの意見が出され、今後の調査テーマとしては、憲法制定過程の検証、憲法と現実との乖離の検証、安全保障・第9条、基本的人権と公共の福祉、環境権・知る権利・プライバシー権等の新しい人権、教育・私学助成、外国人の人権、元首、二院制、首相公選制、地方自治制度等が挙げられた。

 また、調査の進行ペースについては、参議院議員の任期の関係上、選挙が行われる平成13年の常会終了時を目途に中間報告をまとめるべきとの意見と、調査を進めるに当たり拙速は避けるべきとの意見があった。

 なお、憲法改正の議論にまで踏み込むかどうかについては、憲法改正を念頭に議論すべきであり、立法府の調査会である以上、憲法に問題ありとの調査結果が出れば速やかに改憲作業に入るべきとの意見と、調査会は改憲を前提とせず調査に徹するべきとの意見が出された。

 これらの意見を踏まえ、会長は、今後の調査会の運営方針について以下のように述べた。

「次の点を基本方針として議論を進めてまいりたいと存じます。

 第一は、国民とともに論議をする、すなわち国民論憲とし、暮らしの中から国民の意見を酌み取り、その意見を調査に反映させ、適宜議員間の討議を行っていくことであります。

 第二は、過去と現在を踏まえつつ、将来を見通した論議を行っていくということであります。

 そこで、当面の運営としては、これらの基本方針を踏まえ、言論・マスコミ界、地方公共団体の首長、経済界、労働界など、広く国民の各界各層から意見を聞きながら、適宜議員間の討議を行って論点を絞っていくとともに、国民の間に論議を喚起し、認識を深めてもらうようにしていきたいと考えております。」(憲法調査会会議録第3号13頁)

 

 なお、第5回(4月19日)においても、これまでの議論を踏まえての委員間の自由討議が行われ、現行憲法の解釈運用の限界、国家非常事態への対応や広範な世論調査実施を望む等の意見が出された。

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