3 文明論・歴史論的な観点等からの調査

 発足後の1年間は、国民各界各層からの意見聴取を中心に調査を進めた。特に憲法の前提となる「国のかたち」については、文明論・歴史論的な観点も踏まえ、有識者等から意見を聴取した。そのほか、未来を担う学生、憲法制定過程に携わった元GHQ職員からも意見聴取を行った。

・国民各界各層等からの意見聴取(第147回国会~第150回国会)

学識経験者等からの意見聴取(第147回、第150回)

 文明論・歴史論等も含めた広い視野から21世紀に向けた「この国のかたち」をテーマに、学識経験者、言論界、碩学等から意見を聴取した。

 平成12年3月22日には西尾幹二氏(電気通信大学教授)及び正村公宏氏(専修大学経済学部教授)、5月17日には石毛直道氏(国立民俗学博物館館長) 及び暉峻淑子氏(埼玉大学名誉教授)、11月15日には西部邁氏(評論家・秀明大学教授)及び佐高信氏(評論家)、11月27日には加藤周一氏(元上智大 学教授)及び内田健三氏(評論家)を、それぞれ招き、意見を聴取し、質疑を行った。

学生とともに語る憲法調査会

 国民各界各層からの意見聴取として、平成12年4月5日に「学生とともに語る憲法調査会」を開催した。将来の日本を担う若い世代の代表として公募した学生20名(男性14名、女性6名)から意見を聴取し、質疑を行った。

 学生からは、憲法の在り方、平和主義、新しい人権等に関する意見が述べられ、委員からの学生への質問では、憲法を今の若者がどのように受け止めているか、21世紀の国のかたちについてどのように考えるかなどが問われた。

元連合国最高司令官総司令部民政局スタッフ(「GHQの生き証人」)からの意見聴取

 平成12年5月2日、憲法制定過程を検証する観点から、実際にGHQ民政局において総司令部案の起草に携わった元GHQ民政局員2名をアメリカ合衆国から招き、意見を聴取し、質疑を行った。

 参議院においても憲法制定過程の調査を重視すべきとの認識があったところ、調査会委員から、特に総司令部案(マッカーサー草案)の起草に携わった民政局のスタッフが存命の間に憲法調査会に招き、その発言を会議録に残したい旨の要望が出された。これを受けて幹事会及び運営検討委員会(幹事会の下で調査会の調査内容と日程等につき協議を行う機関。平成12年2月9日の幹事会決定により設置された)では、このような催しが大きな意義を有することを考慮し、憲法調査会発足後初めての憲法記念日を迎えるに当たりその前日の5月2日に、存命の生き証人を憲法調査会に招致して、日本国憲法の制定過程等について意見を聴くこととした。調整の結果、調査会には依頼に応じた民政局調査専門官ベアテ・シロタ・ゴードン氏(人権関係担当)、同海軍少尉リチャード・A・プール氏(天皇、条約関係担当)、同陸軍中尉ミルトン・J・エスマン氏(行政権担当)の3名を招聘したが、エスマン氏は来日直前に急病により欠席となったため、ゴードン氏及びプール氏の二人が出席し、エスマン氏については発言原稿が代読されることになった(意見の概要は第3部[総論]1憲法制定過程とその問題点末尾参照)。

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