4 「国民主権と国の機構」に関する調査

 憲法の実質的な調査は、「国民主権と国の機構」から開始された。このテーマは、国民主権の原理とこれを具体化する政治諸制度、すなわち統治機構を調査対象とした。国民主権は、明治憲法から現行憲法へ移行する際の最も重要なパラダイムであり、それに従って、統治機構も民主主義、基本的人権の保障に寄与するための制度として再構築されたことは周知のとおりである。

 憲法調査会においては、国民主権の原理とこれを具体化する統治機構について、何が問題であるかをまず知る必要があるとの観点から、第151回国会から第154回国会にかけて、学識経験者や政府関係機関から意見を聴取し、国民主権、立法、行政、司法、地方自治における問題の所在を調査し、平成14年4月10日に委員相互間の意見交換を行った。

 なお、平成14年2月20日には、「国会の在り方と二院制」及び「地方自治と地方分権の在り方」をテーマにして、中央公聴会を開催した(詳細は別項参照)。

 その後、第161回国会及び第162回国会において、さらに議論を深めるべきテーマとして「地方自治・住民投票制」「財政」「司法、特に憲法裁判・憲法裁判所(憲法の公権解釈の所在を含む)」「統治システムとその相互関係」を設定し、補充的な調査を行った。

学識経験者等からの意見聴取(第151回国会~第154回国会、第161回国会)

 憲法学者をはじめとする学識経験者等を招致し、意見を聴取し、質疑を行った。

 平成13年3月7日には小林節氏(慶應義塾大学法学部教授・弁護士)及び飯尾潤氏(政策研究大学院大学教授)を、3月14日には中村睦男氏(北海道大学大学院法学研究科教授)及び成田憲彦氏(駿河大学法学部教授・法学部長)を、4月4日には比較文化論の渡部昇一氏(上智大学名誉教授)及び江橋崇氏(法政大学法学部教授)を、4月18日には哲学者の長谷川三千子氏(埼玉大学教養学部教授)及び憲法学者の小澤隆一氏(静岡大学人文学部教授)を、5月9日には地方分権推進委員会委員長を務めた諸井虔氏(太平洋セメント株式会社相談役)及び前田英昭氏(駒澤大学法学部教授)を、5月23日には浦田賢治氏(早稲田大学法学部教授)及び政治学者の曽根泰教氏(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)を、平成14年2月27日には司法制度改革審議会会長を務めた佐藤幸治氏(近畿大学法学部教授)をそれぞれ招き、「国民主権と国の機構」について意見を聴取し、質疑を行った。

 さらに、平成16年11月24日、「司法、特に憲法裁判・憲法裁判所(憲法の公権解釈の所在を含む)」について、渋谷秀樹氏(立教大学大学院法務研究科教授)及び永田秀樹氏(関西学院大学大学院司法研究科教授)を招き、意見を聴取し、質疑を行った。

内閣法制局からの説明聴取(第151回国会)

 平成13年6月6日、国民主権と国の統治機構に関しこれまでに国会で議論となった主要な論点に対する政府見解、内閣法制局の組織概要等について、内閣法制局第一部長阪田雅裕氏から説明を聴取した後、同氏及び内閣法制局第一部憲法資料調査室長横畠裕介氏に質疑を行った。

最高裁判所事務総局からの説明聴取(第153回国会)

 平成13年11月21日、我が国の司法の実情、国民主権と国の機構等に関する最高裁判所の判決、違憲審査制度の運用状況、裁判所の機構等について、最高裁判所事務総局総務局長中山隆夫氏から説明を聴取した後、同氏及び最高裁判所事務総局行政局第二課長増田稔氏に質疑を行った。

委員間の自由討議(第154回国会、第161回国会、第162回国会)

<第151回国会から第154回国会における調査の総括(第154回国会)>

 平成14年4月10日、1年余にわたり調査してきた「国民主権と国の機構」に関する意見等、憲法をめぐる諸問題について、今までの調査を踏まえて、総括的な議論を行った。

 国会関係では、二院制、衆参の関係等、内閣関係では、首相の権限強化、首相公選制等、司法関係では、憲法解釈の在り方、憲法裁判所等、地方自治関係では、国と地方の役割分担、地方財源、道州制等に関する意見が出された。

<「地方自治・住民投票制」に関する意見交換(第161回国会)>

 さらに議論を深めるべきテーマの一つとして、平成16年10月27日に委員間の意見交換が行われ、地方自治の本旨、国と地方の関係、権限配分、補完性の原理、地方財政・財政調整の在り方、憲法第95条、道州制、住民投票制への評価等について様々な意見が出された。

<「財政」に関する意見交換(第161回国会)>

 さらに議論を深めるべきテーマの一つとして、平成16年10月27日に委員間の意見交換が行われ、憲法の財政規定の在り方、財政規律、国会の予算修正権、決算の位置付けと参議院の取組、私学助成、会計検査院等について様々な意見が出された。

<「司法、特に憲法裁判・憲法裁判所(憲法の公権解釈の所在を含む)」に関する意見交換(第161回国会)>

 さらに議論を深めるべきテーマの一つとして、平成16年11月24日に委員間の意見交換が行われ、最高裁判所の組織・構成の在り方、違憲審査制度の在り方、憲法裁判所、公権解釈の所在、国会の憲法判断の在り方等について様々な意見が出された。

<「統治システムとその相互関係」に関する意見交換(第162回国会)>

 さらに議論を深めるべきテーマの一つとして、平成17年2月9日に委員間の意見交換が行われ、内閣、国会、裁判所それぞれの在り方、相互関係の問題等について様々な意見が出された。

ページトップへ