委員派遣 宮城県(仙台地方公聴会)(平成19年4月24日)

委員派遣実施要領

1.派遣目的
 日本国憲法の改正手続に関する法律案(第164回国会衆第30号、第164回国会衆第31号)の審査に資するため、現地において意見を聴取する。
2.派遣委員
 団長 理事 舛添  要一 (自民)
    同  簗瀬   進 (民主)
    同  広田   一 (民主)
    委員 荻原  健司 (自民)
    同  中島  啓雄 (自民)
    同  山本  順三 (自民)
    同  松岡   徹 (民主)
    同  鰐淵  洋子 (公明)
    同  仁比  聡平 (共産)
    同  長谷川 憲正 (国民)
3.派遣地
 宮城県
4.派遣期間
 平成19年4月24日(火)の1日間
5.公述人
 宮城県議会議長                相沢  光哉
 弁護士                    佐々木 健次
 福島県立医科大学医学部人文社会科学講座教授  藤野 美都子
 社団法人東北経済連合会事務局部長       渡辺  泰宏

派遣報告(平成19年4月25日 簗瀬 進 君(民主))

 第二班につきまして御報告いたします。

 派遣委員は団長の舛添要一理事、広田一理事、荻原健司委員、中島啓雄委員、山本順三委員、松岡徹委員、鰐淵洋子委員、仁比聡平委員、長谷川憲正委員及び私、簗瀬進の十名であり、昨二十四日、仙台市において地方公聴会を開催し、四名の公述人から意見を聴取した後、各委員から質疑が行われました。

 まず、公述の要旨を御報告申し上げます。

 最初に、宮城県議会議長相沢光哉君からは、憲法は自衛隊、地方分権、環境権等に関して改正が必要である、また、国民投票の対象は議会制民主主義との関係等から憲法改正に限るべきである、さらに、最低投票率については、九十六条で明記されておらず、また、ボイコット運動を誘発するおそれもあり、設けるべきではない、公務員は全体の奉仕者であり、公務員と教育者の地位利用を禁止することに賛成であるなどの意見が述べられました。

 次に、弁護士佐々木健次君からは、現行の小選挙区制度では民意が議席数に必ずしも反映されないことから、憲法改正を望む国民の意思を確認するためには、投票権者の三分の二以上の最低投票率を設けることが必要ではないか、また、冷静かつ慎重な国民的議論を行うためには、憲法改正案の周知期間は最低一年、可能であれば二年とすべきではないか、さらに、テレビ、ラジオによる広告は費用がかかること等から一律禁止とし、国民が討議に自由に参加できる公共空間を作るべきではないかなどの意見が述べられました。

 次に、福島県立医科大学医学部人文社会科学講座教授藤野美都子君からは、憲法改正手続法案は手続法とはいえ、国の基本法である憲法の改正手続に関するものであり、慎重に審議される必要がある、また、本法案の周知期間では、憲法改正案の内容を十分に理解する時間を国民に提供できず、反対意見が大きくなることを避けるのが目的であると受け止められる、さらに、ボイコット運動を一つの意思表示と考えることもできることから、最低投票率は設けるべきである、公務員と教育者の地位利用による投票運動の禁止については、再考が必要ではないかなどの意見が述べられました。

 最後に、社団法人東北経済連合会事務局部長渡辺泰宏君からは、憲法改正手続法案は国民の意思を直接問うものであって、その制定は国会の責務である、また、若い世代を含む多くの国民の意見を反映させるため、投票権年齢を十八歳以上とすることに賛成である、国民が憲法改正案に無関心であるはずはなく、最低投票率を設ける必要はないと考える、さらに、憲法改正案に対する理解と啓蒙のためには、情報の十分な提供が必要であるなどの意見が述べられました。

 公述人の意見に対し、各委員からは国民投票の対象、最低投票率を設けることの是非、憲法改正手続法案の制定についての賛否、投票運動を盛り上げるための方策、投票運動の自由と広告放送の制限の関係、投票二週間前の広告放送の禁止と期日前投票の関係、投票権年齢を十八歳以上とすることに伴う民法、公職選挙法等の調整の在り方、予備的国民投票の必要性と課題、参議院における憲法改正手続法案の審議の在り方、憲法を教育する立場と教育の中立性の関係、憲法改正手続法案に不足している点の有無、衆参各議院が異なった議決をした場合の問題など多岐にわたる質疑が行われました。

 会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。

 以上で第二班の御報告を終わります。

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