3 現行憲法の果たしてきた役割

 現行憲法は基本的に優れた憲法であり、戦後日本の平和と安定、経済発展に大きく寄与してきたと高く評価する意見が共通であり、

  • 現行憲法は優れた憲法であり、戦後日本の平和と安定、発展に大きく寄与してきたと評価している(公明党)、
  • 第二次世界大戦の多大な犠牲と反省の下に生まれた憲法は、戦後の日本社会に平和と民主主義の重要性を根付かせる上で大きな力となった(社会民主党)、
  • 戦後60年近く戦争に巻き込まれなかったのは、9条、前文、さらに財政規定に至るまで平和の精神に貫かれた憲法による、

などの意見が出された。なお、現在における諸問題の原因は憲法にあるとして、

  • 将来に対して懸念する現象が社会のいろいろな面で現れているが、より根源的には意識、精神構造、人生観そのものが少し緩んでいるんではないかと思われ、その一つの大きな原因は、この日本の制度の根幹を形作っている憲法そのものにあるのではないかと考える、

との意見も出された。

 その上で、これからの国のかたち、在り方をめぐっては、様々な考えが示された。

  • 党の論点整理(平成16年)は、現憲法制定時に連合軍の占領下で置き去りにされた日本の歴史、伝統、文化に根差した国柄とも言うべき固有の価値や、日本人が元来有してきた道徳心など、健全な常識に基づいたものでなければならず、日本国、日本人のアイデンティティーを憲法の中に見いだすことができるものでなければならないとしている(自由民主党)、
  • 党の憲法調査会報告(平成14年)は、日本を人権保障を促進する能動的な国として自らを位置付け、率先して基本的人権の確立に取り組むことを強く希求するとし、特に、先進国と途上国との間に存在する人権格差を是正するあらゆる努力に主導的な役割を果たし、世界に誇ることのできる国づくりを目指すとしている(民主党)、
  • 21世紀に目指すべきこの国のかたちは、自国の利益にのみとらわれる視野の狭い一国平和主義や一国国益主義の道であってはならず、積極的平和主義、すなわち国際貢献国家であり、平和人道国家を目指すべき(公明党)、
  • 国民の幸せや国の平和と独立を守りながら、地球の平和をつくるための貢献をしていくことが日本の国の在り方、
  • アジアとの新しい21世紀の共同体構想の不可欠の前提が歴史の総括、
  • 生命の尊厳という理念に根差した人間の尊厳を実現できる社会、国家であるべき。そのためには、平和、自由、民主、人権の尊重が必要であり、具体的な政策面では、人間の安全保障という表現もできる、

などの意見が出された。

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