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比較憲法的にみて、前文を有する憲法の例は多い。それらの型は、内容、形式、効力などの点において、分類することができる。内容的には、憲法制定の由来を記したもの、憲法制定の趣旨や目的をうたったもの、憲法の理想や基本原則を宣言するものなどがあり、形式的には、憲法典における位置付けや文章の長短などで分かれ、効力的には、その法的性質などをめぐって、様々な前文の型が存在する。
日本国憲法前文の場合、憲法の基本原理や理想の宣言を行い、また、憲法典の一部を構成するとともに、法規範性を持つという点に特色がある。
すなわち、国民主権、代表民主制、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調主義といった憲法全体のエッセンスを凝縮し、これらの理念を発信する意義と役割が前文に託されている。言い換えれば、国家像並びに国家と国民との関係を国民に分かりやすく説明し、世界に対してもそのメッセージを発信する意義と役割を有している。
このような憲法前文の意義と役割については、評価する意見が出されたが、さらに前文に付け加えるべきものとして、
などの意見が出された。
また、憲法典本文との関係につき、前文を議論のスタートにしたいとの意見が出る一方、本文の内容と前文とはそれなりの整合性が取られているのであって前文だけを切り離して議論はできないとの意見も出た。
具体的には、
などの意見に対し、
などの意見が出された。