天皇 参考人名
公述人名
回次 -

2 国事行為とその範囲

天皇の行為
  • 実在の人間を象徴としたために、かつての君主である天皇を君主に類似して扱うことは、国民主権に反する。天皇は国事行為のみをなし得るのであり、それ以外は私的行為である。天皇の行為の二分説、三分説、五分説は現実の運用の追随にすぎない
笹川紀勝 159 8 - 5
  • 権利保障の例外規定としての世襲や特別待遇の中身を安易に正当化したり、政治的な利用はできない。例えば、平成の天皇の憲法擁護の誓いの声明や皇室外交には問題がある
笹川紀勝 159 8 - 5
  • 天皇の行為は、国事行為に限らず、ほとんどが象徴であることと無関係ではあり得ず、さらに天皇の様々な行為を通して象徴制度とは何かが明らかになる面もあると考える
園部逸夫 159 8 - 5
  • 天皇の行為を、象徴との関係という観点から、国事行為、公人行為、社会的行為、皇室行為、私的単独行為の五つに分けて考えている。社会的行為、皇室行為、私的単独行為は、私人としての行為を分類したもの
園部逸夫 159 8 - 5
国事行為
  • 国事行為とは、天皇が象徴たる地位に基づき国家機関として行う憲法が定めた行為であると解しており、国家的意義を有する行為であると同時に、象徴の中立性が守られるべく、内容に天皇が責任を負わない行為でなければならない
園部逸夫 159 8 - 6
  • 憲法は、象徴制度に期待される意義を実現するために国事行為を定め、同時に、そのような行為が象徴にふさわしく維持できるよう、内閣が責任を負う行為として位置付けている
園部逸夫 159 8 - 6
  • 天皇の象徴たる地位は、日本の歴史を背景とした地位であり、国事行為のうち、伝統の尊重になじむ行為については、伝統への配慮を行うことが適当。ただ、伝統との関係で、象徴と政教分離原則との関係については十分な考察が必要であり、伝統の内容については丁寧な議論を行わなければならない
園部逸夫 159 8 - 6
  • 国事行為は、儀礼的な行為であるから実質的な意味を持たないというのは正しくない。儀礼や形式は、社会秩序の維持や構築、属する国家、社会の歴史の確認に大きな意義を持ち、だからこそ、儀礼や形式的行為についてもその運用には十分な配慮と細心の注意が必要になる
園部逸夫 159 8 - 6
  • 憲法が定めている国事行為は、象徴制の維持には必要な行為であるが、これで十分とは言えないのではないか。直ちに追加すべき行為があるとは考えていないが、天皇の行為における儀式の重要性から、その内容を充実できないかと考えている
園部逸夫 159 8 - 6
  • 国事行為たる儀式のほかに、例えば国賓関係の諸儀式や国家的な意味を有する行幸を国事行為として位置付けることは可能か、手続面からの問題も含め考えてみる価値はある
園部逸夫 159 8 - 6
  • 国民との接点となる儀礼的行為を国事行為とできないか。もちろん安易に行うべきことではなく、様々な角度から慎重に検討すべきであるが、国事行為の充実という方向は、これからの象徴天皇制度と国事行為の関係を考える上で大切なことではないか
園部逸夫 159 8 - 6
  • 国事行為が象徴として重要な行為であるならば、もう少し外に見える、国民との接触のある分野での活動を国事行為として定めるという改正もあってよいのではないか
園部逸夫 159 8 - 8
国事行為以外の公的行為
  • 象徴としての公的行為を解釈上認めるのは問題
中村睦男 151 4 4 - - 2 10
  • 天皇は、憲法の定める国事行為のみを行うと定められているにもかかわらず、現実の必要性から、国会開会式のお言葉、国体や植樹祭などへの出席など国事行為以外の行為を天皇の公人的行為として行っている
平松 毅 156 2 - 2
祭祀等の儀式
  • 天皇制を残すと憲法制定で決断した以上、神道儀式に違憲性はない
小林 節 151 3 - 12
  • 日本の古代法の憲法ともいうべき律令の儀制令の中に祭祀が規定されており、祭りを中心とした様々な皇室の伝統文化あるいは儀式が政治的権威、精神的権威の源になっている
阪本是丸 159 8 - 2
  • 天皇の祭祀については旧憲法にも規定はなく、皇室典範や皇室祭祀令に書かれていた。これを美濃部達吉は憲法上の不文の大権と言っていたが、憲法そのものには文化的・精神的あるいは祭りに関することは書かないという知恵があった
阪本是丸 159 8 - 2
  • 神道指令により、皇室祭祀も皇室の家長たる天皇の私事となったとされるが、公私二者択一で論じてはならず、皇室祭祀を国家や国民がどのように位置付けるかは、憲法条文とかかわりはないが、象徴たる天皇の行為を考える上で看過できない問題
阪本是丸 159 8 - 3
  • 国及び国民統合の象徴としての行為の一つである皇室祭祀に代表される儀式の制度的・法的位置付けはどうあるべきか、皇室典範等の皇室関係法の見直しも含めて、天皇条項は総合的かつ慎重に調査してほしい
阪本是丸 159 8 - 3
  • 皇室の祭祀をいわゆる宗教あるいは神道とは考えていない。宗教としての神道は存在するが、皇室においてはあくまで皇室祭祀として行われ、しかも内廷費で賄われており、私事ではない
阪本是丸 159 8 - 9
  • 歌会始や講書始等は皇室令等によって明治2年以降に始まっているが、これは既に平安時代あるいは孝明天皇の時代からあったものを改めて制度化したもの
阪本是丸 159 8 - 10
  • 天皇が国家、国民の幸福を祈ることの重要性を主張する意見もある。祈りが個人の信条、信仰なら問題ないが、象徴天皇の性格とかかわって論じられるのであれば、国民は自らの権利に基づいて存在するのであり、国民により制限されている国家機関の担い手により支えられているわけではないことを考えると、問題
笹川紀勝 159 8 - 4
  • (天皇に係る伝統文化が)全く個人的なレベルにとどまる伝統文化であれば問題ないが、国の在り方、あるいは国民にかかわりを持つ形のものになれば、国民主権の観点から、再検討の必要がある
笹川紀勝 159 8 - 10
  • 国が宗教的行為をすることは考えらず、天皇の祭祀は私的な行為と解釈する。最高裁長官や両院議長等が参列するとしても、例えば神道の祭事に信者でなくとも縁故者が参列することがあり、そのような形でないと説明がつかない
園部逸夫 159 8 - 9

ページトップへ