平和主義と安全保障 参考人名
公述人名
回次 -

6 国際貢献(PKOなどの国際平和活動、ODAなどの国際協力)

PKOなどの国際平和活動
  • 「いづれの国家も、自国のことのみに専念してはならない」とは、国際平和と秩序の恩恵を大きく受けている日本が、国連の平和維持及び平和強制活動に応分の金銭的・物質的、さらに、軍隊を含む人的貢献をすることを義務付けられていることを意味する
ミルトン・J・エスマン 147 7 - 7
  • 当時の同僚は皆悲惨な戦争を経験し、国際協力を通じて戦争をなくすことを望んでおり、彼らが国連の平和維持及び平和強制活動への日本の参加を禁止又は制限するような条項を憲法に入れようとしたとは考えられない
ミルトン・J・エスマン 147 7 - 7
  • 当時民生局にいた人たちは、新しい国連について楽観的希望を持ち、国際協力の必要性を強く感じていた。彼らは、日本が国際社会に復帰したら、国連が主宰する国際平和と秩序の維持のための活動に主導的役割を果たして参画することを希望していた
ミルトン・J・エスマン 147 7 - 7
  • 国際機関が決定し、人権など普遍的価値の擁護を目的とする場合には介入を認めようとの議論があるが、安保理でさえ公平とは言えず、国際貢献のための軍事力の使用は勇み足と考える
加藤周一 150 2 - 13
  • (1) 国際平和の希求、(2) 国連憲章に基づく国際社会における戦争違法化の確認、(3) 国際紛争を解決する手段として、武力による威嚇又は武力の行使の否認、(4) 自衛のための組織保持の明記、(5) 自衛のための組織におけるシビリアン・コントロールの貫徹、(6) 自衛のための組織の国際平和維持活動への参加と国際法規の遵守について、憲法に入れるべき
西 修 156 6 - 3
  • 前文により日本が負う国際平和への責務が専守防衛の域を越える場合は、国連決議と国際法に基づき判断し、国際的な正統性と合法性を満たすことが不可欠の条件
坂本義和 156 7 - 2
  • 平和構築と人道支援という普遍的な価値実現のイニシアチブを取ることを通じて日本の国際的なプレゼンスを高め、アイデンティティーを確立していくことが憲法の精神をいかす道である
坂本義和 156 7 - 3
  • 集団的自衛権容認か、多国間の国連的な国際機構への協力か、国際という言葉が意味するものがはっきりすれば、日本の国際的な安全保障における関与を具体的条文に盛り込むことに異論はない
坂本義和 156 7 - 9
  • 国際平和協力懇談会(官房長官の私的懇談会、明石康座長)の2002年12月の提言では、コンセンサスとして、日本はもっと積極的に平和協力のために活動すること、国際的に活躍する人材の育成を組織的に行うべきことを強調した
明石 康 156 7 - 4
  • 国際平和協力懇談会(官房長官の私的懇談会、明石康座長)の2002年12月の提言では、PKO参加五原則の柔軟な見地からの見直し、国連決議があること及び後方支援にとどめることを条件として多国籍軍への参加を考えることをコンセンサスとしてまとめた
明石 康 156 7 - 4
  • 日本のPKOは10年を経て着実に成長したが、ドイツには水をあけられた。近隣諸国との信頼醸成をしつつ、国連の活動範囲に対応して活動範囲を広げる必要がある
明石 康 156 7 - 11
  • 日本は侵略やジェノサイドに対する国際的対処に我が事として参画することが重要であり、事の重大性、正統性、可罰性の明瞭さ・重大さを判断し、場合によっては直接軍事行動にも参加し得るようにすべき
五百旗頭真 156 7 - 6
  • 日本が防衛力に基づく国際貢献をフルに活用するような外交を展開できれば、戦争を根絶できないまでも、国家の安定を維持し、世界の平和のために貢献できる余地がある
森本 敏 159 2 - 17
  • 武力行使を伴うPKFを含め日本が国連の平和活動に参加することは、正しく、望ましい国際貢献であり、合憲と考える
功刀達朗 159 3 3 - - 6 8
  • 多国籍軍参加は、国連の明確な要請と加盟国の要請がある場合には、違憲にならないと考える
功刀達朗 159 3 - 8
  • 国連の平和活動への参加は、安保理の決定と国連の指揮の下で行われるものであり、日本の国権の延長として考えるのは誤り。自衛隊及び隊員の行動は、国権の発動としての交戦権にかかわる問題ではない
功刀達朗 159 3 - 8
  • 憲法成立時、武力による国際貢献という考えはなかったと思われるが、法としての憲法は、時代とともに、殊に、国際環境の変化に対応して運営していくことが基本的な態度として重要
功刀達朗 159 3 - 12
  • 国際協力は任意か責務かと問われれば、責務と考える。必ずしも非軍事の貢献に限る必要はなく、能力に従って応分の貢献を行うことは、国際社会の一員として必要なことである
功刀達朗 159 3 - 16
  • 国際軍事活動のモデルについて、(1) これを得意とする英国、(2) 発言の割に最近は余り活動していないフランス、(3) 小規模だが強い介入をする介入軍のようなものをつくろうとしているドイツがあり、日本はドイツのような形をどの程度考えているのかが一つのポイントになる
猪口 孝 159 4 - 3
  • 国連平和維持・構築活動や安保理決議に基づく国際平和活動を国連憲章に基づいて推進することは9条2項違反となるので、憲法を改正すべきであり、国連憲章に基づいて憲法改正を考えることが、現代のグローバル社会において重要である
廣野良吉 159 4 - 8
  • 自衛隊が国際平和活動に積極的に協力することを憲法に盛り込むべき。これにより、武器使用基準の緩和が憲法上疑義のない形で実現可能になり、さらに、世界の平和と繁栄のために主要国としての責任を果たす決意を内外に強く示すことができる
高見康裕* 162 I - 19
  • 国際協力に関する条項を憲法に設けることにより、国際平和活動への自衛隊の協力が日本の軍国主義復活につながるとの近隣諸国の誤解に基づく懸念・批判に対して説明責任を果たせるようになる
高見康裕* 162 I - 19
<活動主体>
  • 国際貢献の場合、他の足手まといになったり、他の援助を仰ぐようでは駄目であり、自己完結型の防衛組織が必要
西 修 156 6 - 19
  • 日本が負う国際的責務には国連の狭義・広義の平和維持活動への国際基準の武装部隊参加を含むが、戦闘目的とは異なる任務と技能を持つ、民生の復興に適した別組織の充実が必要
坂本義和 156 7 - 3
  • 人間の安全保障の実現のための人道支援は、開発、人権、環境を含む平和の構築に不可欠であるが、国連の平和維持活動のための別組織はこうした広義の平和に寄与する組織でもある
坂本義和 156 7 - 3
  • 自衛隊は戦闘集団でなくてはならず、PKOなどでしている仕事は本質的に目的が異なるから、国際貢献のためには別組織が必要
坂本義和 156 7 - 11
  • 国が主体となった普遍的な価値実現のための組織づくり、人材と資金の供与を本気で考えないと、日本の存在感がどんどん減る
坂本義和 156 7 - 17
  • 国際平和協力懇談会(官房長官の私的懇談会、明石康座長)の2002年12月の提言では、自衛隊の問題みならず、文民警察官によるより活発な活動のため、警察として別組織をつくることを提言した
明石 康 156 7 - 11
  • イラクに対しては、ペシャワール会がパキスタンで展開しているような民衆の手による井戸掘り、国境なき医師団による医療等平和な形で行われるべき。カンボジアや東チモールにしても土木工事を自衛隊が行っているが、自衛隊でなければできないわけではない
尾形 憲* 156 I - 28
  • 国連平和維持活動待機軍については、ドイツのように連邦軍の中で役割をある程度区切っていくのも一つの方法であるし、自衛隊と別組織にするという案もあるが、それほど大きな規模を考えているわけではないので、現行のままでミッションを新たなものとしてしっかりとつくっていくことが重要。ただ、国連決議に従って活動するという形が正当化しやすい
猪口 孝 159 4 - 10
  • テロ、民族紛争、宗教紛争などがある中で、国連を通じた危機管理部隊や国内的な危機管理部隊は必要であり、自衛隊の一部機能もそこに含まれるべきと考えるが、9条とは議論を分けた方が良い
五十嵐敬喜* 162 I - 14
<イラクへの復興支援>
  • 米国による武力行使は正当化されるものではなく、米国のイラク占領軍のコアの部分に自衛隊が関与し、そこで武器使用が束ねて行われれば、武力行使の事態になると考える
水島朝穂 156 9 - 17
  • 支援のために自衛隊等を派遣すること自体は、イラク再建には不可欠で、日本が最も貢献すべき活動の一つといってよいが、米国が国連憲章に基づかずにイラクに武力攻撃をしたことの違法性の問題は、きちんと国際的に処理していくべき
本間 浩 159 2 - 12
  • イラクへの自衛隊派遣については、自衛隊が米国の軍政に協力しているのか国連の人道・復興援助として活動しているのか明確でなく、事態の発展次第では憲法違反につながると考える
功刀達朗 159 3 - 6
  • 日本ができるのは、外交努力に加えてサマワで実績を上げることであり、対米説得、対ヨーロッパ説得、また、イラクに対して助けに来ているというメッセージを発していくしかない
猪口 孝 159 4 - 16
  • 軍を中心とした占領体制こそが現在の復興を阻害している側面があり、文民の部分での国際貢献に力を入れるべきではないか
酒井啓子 159 4 - 4
  • イラクは、石油を正当な形で売り、その収入により正当な形で先進国から良いものを輸入し、国内の高度成長に役立てていくという民間中心の対等な関係を望んでおり、日本に期待するイメージは、70、80年代の民間主導の建設プロジェクトの実行ではないか
酒井啓子 159 4 4 - - 5 15
  • 自衛隊がイラクの戦後復興に果たせる役割はそれほど大きくなく、むしろ別の形での貢献の方が効果的であり、その意味では、対イラク貢献に関して憲法を取り立てて変えなければいけないという必要性は今のところ感じない
酒井啓子 159 4 - 10
  • 中東については、これまで日本が中東地域において築いてきた信頼、米国とは違う形で役割を果たしてきた歴史的な蓄積をいかした形で、今後も良好な関係を維持していくという道が一番コストも低く、かつ安定的な政策を展開していくことができる
酒井啓子 159 4 - 13
ODAなどの国際協力
  • NGOは人間の安全保障の実現のための人道支援で政府と異なる大きな役割を果たすが、日本のNGOは欧米に比べ財政的基盤が弱く国際的支援能力の点で劣るため、自律性を損なわない方式で政府支援による基金を創設すべき
坂本義和 156 7 - 3
  • 国連平和維持活動のための別組織とNGOとの役割分担と協力の体制を強めることを、国民的プロジェクトとして実行すべき
坂本義和 156 7 - 3
  • 国際的責務を果たす別組織は民政、広義の人道支援を担当する組織として充実していく必要があるが、例えばJICAや海外青年協力隊などを再構成して国民的プロジェクトとして充実することは十分可能
坂本義和 156 7 - 11
  • 若い優れた人たちが青年協力隊などで活躍しており、このような人材を長期的観点から育成すべき。外務省から青年協力隊に、NGOから国連にというように多彩な経験を経て伸びていくようでないと、欧米のプロのNGOに対抗できない
明石 康 156 7 - 11
  • 日本は、海外経済支援を行う主要国の中で、ただ一つ、民主化推進に自主的な役割を果たしていない国であるとの海外の報告書があるが、日本なりに民主化支援をしており、これをもっと前面に出すとともに、世界の国々が共有できる民主主義のような概念をもっと強調するようなODAの在り方を考えていくべき
廣野良吉 159 4 - 17
  • 青年海外協力隊(JOCV)は日本のODAの中で最も高く評価されており、日本が国際貢献できるすばらしい点として、今後も大いに活動してほしい
廣野良吉 159 4 - 19

ページトップへ