基本的人権 参考人名
公述人名
回次 -

5 法の下の平等(マイノリティや外国人など)

マイノリティの人権
  • 女性や子供、障害者等弱い立場にある人の人権が守られる社会こそ、すべての人々の人権が守られる社会である
杉井靜子* 154 II - 1
  • 人権が問題となるのは自らの立場や権利を議会制民主主義の中で実現できない社会的弱者・マイノリティーであり、司法は、一人に対する人権侵害でも救済し、そのためには法律の違憲判断も辞さない姿勢こそ必要
日弁連
村越 進
154 9 - 5
<アイヌ民族>
  • 二風谷ダム事件に関する札幌地裁判決は、アイヌ民族の文化享有権を認めたが、この判決は政治部門のサポートを得られているとは言えず、その背景には、アイヌ問題はしょせんローカルイシューとする国民の、そして直接にはマスメディアの無関心がある
常本照樹 156 3 - 2
  • アイヌの居住地は広大であったが、豊富な資源、土地、伝統文化、精神文化も奪われ、今やアイヌ民族は心や誇りも失い掛けており、これらを食い止めなければならない
ウタリ協会
秋辺得平
156 4 - 1
  • アイヌ語の地名は北海道、東北はもちろん関東にまで及び、アイヌが広い地域に先住していたことの証拠であり、中国の歴史書にはアイヌが登場し、日本列島の6割以上にアイヌ民族の先祖が住んでいたことが判明している
ウタリ協会
秋辺得平
156 4 - 2
  • 日本の歴史はアイヌ民族とのかかわりを抜きには語れないが、公教育ではきちんとした歴史教育はなされず、北方領土に関する日本政府資料でもアイヌは出てこず、歴史は見事に隠ぺいされている
ウタリ協会
秋辺得平
156 4 - 2
  • かつて国連総会で述べたアイヌ民族の自決権の要求は、国民的統一と日本の領土の保全を脅かすものではなく、独立は求めない中での民族的自決を基本とした高度な自治を求めるもの
ウタリ協会
秋辺得平
156 4 - 3
  • 人種差別撤廃条約に関する政府の認識は極めてあいまいで誤りが多く、単一民族幻想からの脱却を求めたいが、政府はアイヌ問題は北海道のローカルのこととして人口調査さえも行ったことはない
ウタリ協会
秋辺得平
156 4 - 3
  • 日本政府は、帝国主義時代であった戦前に国際条約、北海道旧土人保護法でアイヌの存在を認め、最近では二風谷ダム判決により司法がアイヌを先住民族として認知したが、公教育におけるアイヌ民族に関する教育機会はほとんどないと言ってよい
ウタリ協会
秋辺得平
156 4 - 3
  • 日本は今こそアイヌを含む内なる国際化が急務であり、文化に偏ったアイヌ文化振興法を改正し、当たり前の権利であるアイヌの自決権を含むアイヌ民族の人権に関する法律の整備が必要
ウタリ協会
秋辺得平
156 4 - 3
  • アイヌ民族から法治国家日本の真の民主憲法はどうあるべきか問い掛けたい。アイヌ民族が民族として生きる法律の整備をアイヌという当事者を加えて審議する場を設けることを強く希望する
ウタリ協会
秋辺得平
156 4 - 3
  • ニュージーランドのマオリ族のように、アイヌ民族も議員の特定枠を持つことを要求したが、憲法に抵触するおそれがあるとの考え方により否定された。国民としてともに生きていく素地をつくるためにも法整備を願いたい
ウタリ協会
秋辺得平
156 4 - 9
  • アイヌ民族自身がアイヌのことについて学ぶ制度は教育制度としては存在せず、教育基本法等の改正により可能であるならば求めたい
ウタリ協会
秋辺得平
156 4 - 9
  • 憲法も法律も、戸籍制度も名字を付けることも、アイヌにとってはすべて押し付けであった
ウタリ協会
秋辺得平
156 4 - 13
  • 国際化の中で憲法は、アイヌ、在日の外国人等を含めて「日本に居住する人々」という概念をきちんと持つべきである
ウタリ協会
秋辺得平
156 4 - 13
  • アイヌ民族差別では、結婚差別、就職差別、教育現場における差別が問題となっている
ウタリ協会
秋辺得平
156 4 - 16
外国人の人権
  • 外国人に対する人権保障は、現在の重要な課題で、人権保障の内容ごとに対応しなければならない
戸松秀典 154 5 - 3
  • 憲法の人権規定には、外国人でもだれでも区別なしに保障しているものとそうでないものとの両方の規定がある
初宿正典 154 6 - 3
  • 入国を許可した外国人の居住権を奪うことがあるとすれば、参政権とは別の次元の問題として、その在り方を考えるべき
初宿正典 154 6 - 8
  • 個別の権利規定には、当然にあるいは政策的に外国人に認めるべきものと認める必要のないものとがある
初宿正典 154 6 - 9
  • 国際人権規約加入、難民条約批准により、多くの差別が改善されたのは事実であるが、改善が国際的要因によることは残念であるし、また、現在もなお差別が行われている状況がある
柳 時悦* 154 II - 4
  • 政治主導で積極的に在日韓国・朝鮮人、外国人を日本社会に受け入れ、人権を守り、住民として認知する政策を整備してもらいたい
柳 時悦* 154 II - 5
  • マッカーサー草案で触れられていた外国人の人権を保障するとのくだりを再度振り返り、それをいかすような形で再考してほしい
徐 龍達* 154 II - 18
  • いろいろな行政差別の中にあった国籍条項を撤廃し、また地方参政権を認めるような措置を希望する
徐 龍達* 154 II - 18
  • 戦争責任、補償の問題に国籍条項を付け、大日本帝国のために働いた人を差別すべきではない
徐 龍達* 154 II - 26
  • 国際的に見て人権を尊重する国と言えるようになるには、国民というより人を大切にすべき
福島依りん* 154 II - 19
  • 外国人労働者政策については、外国人労働者の就労の自由の観点から根本的に見直すとともに、日本人との待遇上の平等を見直す必要がある
西谷 敏 155 3 - 9
  • 通常の基本的人権は外国人にも適用。国政に関する権利は、国籍で区別するのでなく、生活の条件や国に対する寄与の状況等により機能的に考えるべきもの
濱田純一 155 4 - 9
  • 建前は外国人の人権尊重という方向にあるが、外国人差別があるのが実態であり、外国人の人権保障は重要な課題
田島泰彦 155 4 - 9
  • 外国人にも憲法上の権利は保障されるとの原則はあるが、最高裁判例により、保障は外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎない、社会保障等については立法裁量によるとされ、保障は不確実なものとされてきた
東澤 靖 156 4 4 - - 7 8
  • 外国人労働者問題を経験する中で、行政実務では、在留資格にかかわらない労災の適用、家族関係や子供の保護の観点からの在留許可など外国人の権利が在留資格に優先することもあるとの運用ができていった
東澤 靖 156 4 4 - - 7 8
  • 人権規約や子どもの権利条約など国際人権条約は、実務で外国人の権利が認められていく過程で大きな役割を果たし、その活用によって憲法を補完していくことができる
東澤 靖 156 4 - 8
  • 外国人の権利、特に最近問題化している人種差別に対応するには、憲法・条約のみならず、国・地方公共団体の積極的措置が必要
東澤 靖 156 4 - 8
  • 外国人の入国が国家の自由裁量なので、入ってしまった外国人の権利問題も同様との議論をしがちであったが、これを区別することにより、適切な入国管理をしつつ外国人の権利も最低限のものは確保するという扱いが可能になるのではないか
東澤 靖 156 4 - 10
  • 日本語が十分でない外国人の子供の教育を受ける権利については、子供が一番教育を受けやすい学校施設にアクセスする権利を保障していく必要があるが、現憲法下でもそのような権利は認められていくのではないか
東澤 靖 156 4 - 12
  • 憲法上、国籍にかかわりなく子供には教育を受ける権利があり親には教育を受けさせる義務があることは導き出せるが、親が知らなかったり、外国人登録がされないため実施されていないという問題点はある。ただし、これは26条の趣旨を親に理解させるよう自治体などが努力することにより解決していける
東澤 靖 156 4 - 12
  • 在日外国人のための人権オンブズパーソンは可能性を秘めた制度。在日外国人には独特の悩みがあり、監督官庁が分かれている中で、横断的に問題点を探り指導していけるシステムは有効であり、早期救済という意味では機能し得る制度
東澤 靖 156 4 - 12
  • 人種差別撤廃条約批准に当たり国内法を変える必要はないとされたが、国内で人種差別問題を扱うシステムが存在していないため、裁判という手段に訴えざるを得ない。国民啓発及び実際の救済の意味でも、人種差別禁止法のような法律が必要
東澤 靖 156 4 - 14
  • 日本は、人権条約機関から、外国人について、合理的な差別の概念の下に不明確な差別が行われている点、自国語で教育を受ける権利・民族学校で教育を受ける権利において差別されている点が問題とされている
東澤 靖 156 4 - 15
  • 今後、憲法・条約の下でどのような権利を外国人に最低限保障すべきかを考える上で、移民労働者権利条約は、多数のカタログと具体的な権利を定めているという点で参考になる
東澤 靖 156 4 - 16
<国民概念・国籍>
  • 日本国籍を持つ日本人と外国籍を持つ定住外国人の両者をもって日本国民とするという国民概念を拡大する考え方になれば、真の国際国家に近づく
徐 龍達* 154 II II - - 18 29
  • 国際人権規約の中で触れられている内外人平等の考え方は一般化しており、世界的な人権の潮流からしても、日本国民というわい小化された解釈そのものを広げるべき
徐 龍達* 154 II - 18
  • 外国人を国民概念に含めるには、憲法改正も法律改正も必要なく、通達により解釈を変更すればよい
徐 龍達* 154 II - 27
  • 長く日本で暮らし、在日外国人は、納税等義務に関しては国民に含まれるが、権利に関しては含まれないという御都合主義が差別的状況としてあるという経験をしてきた
徐 龍達* 154 II - 28
<外国人参政権・公務就任権>
  • 外国人の問題はそれぞれの地方により解決すべき問題であり、少なくとも地方政治では定住外国人に参政権を付与してはどうか
石毛直道 147 8 - 9
  • 参政権は、その国の歴史に対して敬意を払い、国籍を得ることを納得できる人に対して与えられるべき
西部 邁 150 1 - 8
  • 永住外国人に対する地方参政権の付与については、基本的に賛成
佐高 信 150 1 - 17
  • 在日韓国・朝鮮人の人から選挙権を奪っている状態が憲法違反ではないか
江橋 崇 151 5 - 9
  • 真の地方自治を考えた場合、主体は住民であり、一日も早く外国人の地方参政権を認めるべき
松井圭三* 154 I I - - 20 28
  • 国会議員については外国人に選挙権を与えられないが、地方議会議員については立法政策の問題とする最高裁の判断は妥当であり、あとは国会における政策決定の問題
戸松秀典 154 5 - 6
  • 選挙権のような参政権については、外国人に認めなければ憲法違反との議論は難しい
初宿正典 154 6 - 8
  • 公の意思形成に参画し、あるいは公権力の行使に関するものは外国人には認められないとする「当然の法理」が在日外国人の差別を正当化し、システム化してきた
柳 時悦* 154 II - 4
  • 地方参政権の獲得、公務員就任権の国籍条項・当然の法理の撤廃がなされれば、意識上の差別についても効果的な影響が出ると確信する
柳 時悦* 154 II - 4
  • 地方参政権の獲得は、マイノリティーに対しても人権を尊重し、生活者としての住民・市民を尊重し、互いに異なる者同士が互いを必要とする共生社会を築き上げることにつながる
柳 時悦* 154 II - 5
  • 国籍要件緩和という案があるが、自分たちは外国籍者として日本に住み、人権を尊重され、人間として生きていくことを求めている。相異なる人たちが共生するための解決法を見出すことに意義がある
柳 時悦* 154 II - 11
  • 外国人の地方参政権に反対する理由として相互主義が言われることがあるが、在日韓国・朝鮮人については、歴史的経緯があり、相互主義は反対理由としてふさわしくない
柳 時悦* 154 II - 11
  • 外国人参政権と納税義務との関係が問題にされるが、納税している人が基本的人権が守られ、納税していない人が守られないということではないので、納税義務とは関係ない
柳 時悦* 154 II - 15
  • いろいろな行政差別の中にあった国籍条項を撤廃し、また地方参政権を認めるような措置を希望する
徐 龍達* 154 II - 18
  • 地方参政権について、地方自治体の50%以上、人口比で見れば75%以上が賛同しており、もう少し積極的に進めてほしい
徐 龍達* 154 II - 23
  • 国政にかかわる部分は要求しないのが自分たちの基本姿勢であるが、生活問題、環境問題、教育等地方行政にかかわりを持つ限りにおいて、被選挙権も含めた参政権を獲得したい
徐 龍達* 154 II - 25
  • 地方参政権を獲得するメリットは、選挙を通じて、よそ者に対する心の壁が低くなり、地域社会の住民として隣近所わだかまりなく付き合えるということ
徐 龍達* 154 II - 27
  • 参政権について、まずは地域社会の一員という最低限のところから認めてほしいということで、地方自治に関してのみ主張している。国政問題については、外国人住民は求めない方がベターと考える
徐 龍達* 154 II - 27
  • 参政権は国家の存在を前提として初めて成立する権利であり、地方参政権であっても外国人に付与できないのは当然
百地 章 154 7 - 5
  • 永住権と国籍取得とは法的概念が違い、効果も違う。米国も永住権取得は比較的容易であるが、参政権取得には市民権(国籍)取得が必要で、その際、従来の帰属国への忠誠放棄と米国への忠誠宣誓をさせる。永住権を持つから参政権を認めるという国は例がないのではないか
百地 章 154 7 - 12
  • 東京都が在日外国人の管理職試験を拒否したことについて、東京高裁は、職業選択の自由の侵害に当たるとして違憲、違法とした
戸波江二 155 3 - 9
  • 国政に関する権利は、国籍で区別するのでなく、生活の条件や国に対する寄与の状況等により機能的に考えるべきもの
濱田純一 155 4 - 9

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