基本的人権 参考人名
公述人名
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10 人身の自由と刑事手続上の人権

人身の自由
  • 日本は自由を束縛する在り方について、オール・オア・ナッシングになり過ぎているのではないか。諸外国では、拘禁レベルから居所指定レベルまで、様々に自由の拘束の仕方がある
アムネスティ
和田光弘
156 1 - 16
デュープロセス・刑事手続上の人権
  • 裁判の傾向を見ると、捜査当局の真実発見の法の価値を優先し、刑事手続上、憲法・法律で保障されている権利の保護に配慮が欠けるような判断が目立つ場面がある
戸松秀典 154 5 - 13
  • 見込み捜査が冤罪の最大の原因であるため、早い段階で弁護人が付いて援助するとともに、取調べ状況を録画して裁判に出す等により捜査段階の透明化を進めることが重要
日弁連
岡部保男
154 9 - 12
  • 日本の刑事裁判は、捜査段階における自白調書をオーソライズするための手続と化しているとともに、自白しなければ保釈されない現状が自白の強要につながっており、改善すべき点は多々ある
日弁連
岡部保男
154 9 - 14
  • 被疑者段階での権利保障については、公設弁護人制度の新設、取調べなどのビデオなどによる可視化や規制、代用監獄の廃止などを具体的にどうするかが問われている
アムネスティ
和田光弘
156 1 - 7
  • 33条は令状主義を定め、その例外を現行犯逮捕の場合に限定しているにもかかわらず、現実の必要性に基づき、令状によらない緊急逮捕を認めているのは憲法条文と異なった運用の例
平松 毅 156 2 - 2
  • 31条の適正手続条項は、沿革に照らし手続内容の適正をも要求するものと解され、32条以下の刑事人権に関する個別規定を総括すると同時に、規定にない刑事人権を補充的に保障する役割を果たす
三井 誠 156 3 - 4
  • 憲法の刑事人権規定は、全条文数の1割、人権規定の3分の1に及び、比較法的にも詳細であるが、大方は戦前の人権侵害多発の実態に対する反省の表れとして積極的に受け止めた
三井 誠 156 3 - 4
  • 憲法は刑事人権に関する最低限の保障であるから、これを超えてどこまで保障を広げるかは刑事訴訟法に任されていたと言ってよく、身柄不拘束の被疑者に対する弁護人選任権の付与などは憲法の保障をより広げたものと理解されている
三井 誠 156 3 - 4
  • 緊急逮捕の規定、検察官面前調書に関する伝聞例外規定、無罪判決等に対する検察官上訴の規定、接見指定の規定などは、憲法の要請を刑事訴訟法が満たしていないとの指摘があるが、判例はいずれも違憲ではないとしている
三井 誠 156 3 - 4
  • 起訴前国選弁護制度について、憲法に定められているにもかかわらず刑事訴訟法に定められていないとの指摘があるが、判例や実務では違憲と解されておらず、運用違憲等の問題は生じるかもしれないが、制度自体を違憲と解するのは難しい面もある
三井 誠 156 3 - 5
  • 立案者が想定していた刑事司法像は、(1) 被疑者取調べを中心としない捜査、(2) 証拠を十分に固めた起訴は困難になるとの見込み、(3) 公判中心主義、伝聞法則の徹底、証人尋問手続の活用、裁判の迅速化、(4) 有罪率の低下、(5) 保釈による被告人の身柄不拘束のままの審理、(6) 起訴前段階の弁護の充実であった
三井 誠 156 3 - 5
  • 現実の刑事司法の実態は、(1) 捜査の中心は被疑者取調べ、(2) 徹底した証拠固めを経た公訴提起、(3) 書面審理中心の公判、平均1.1か月の開廷間隔、(4) 無罪率は0.09%、(5) 保釈率は約26%、(6) 起訴前段階の弁護人選任率は2割程度という状況
三井 誠 156 3 - 5
  • 司法制度改革審議会の提案する刑事司法は、(1) 不適正な取調べ防止、新たな時代に対応しうる捜査、(2) 検察官の資質向上、検察審査会の一定の議決への法的拘束力の付与、(3) 事前の争点整理の充実、連日的開廷による迅速化、争いのある事件についての直接主義・口頭主義の実質化、(4) 裁判員制度の導入、(5) 被疑者・被告人の公的弁護制度の整備を内容とする
三井 誠 156 3 - 5
  • 現在の司法制度の問題点は、(1) 刑事司法の民主化・国民の司法への主体的参加、(2) 弁護の充実化、(3) めり張りのある刑事裁判の実現、(4) 捜査段階の適正化の4点であり、司法制度改革審議会の提案は、これらにかなり対応したもの
三井 誠 156 3 - 5
  • 31条以下の刑事人権規定については、起訴前国公選弁護制度、起訴前保釈制度、検察官上訴の禁止などを憲法上明確にせよとの意見が見られる一方、憲法制定時に問題視された社会状況とは異なるので、他の国と同様、規定をスリム化せよとの意見もある
三井 誠 156 3 - 5
  • 憲法の刑事人権規定には整備を望みたい箇所もあるが、当面はこのまま維持されてよいし維持されるべきと考える。あとは運用をどのように考えていくかが中心課題となるのではないか
三井 誠 156 3 - 5
  • 保釈については、否認事件ではなかなか認められないとの指摘があるが、保釈率が若干低下傾向にあることは否定できない
三井 誠 156 3 - 7
  • 勾留理由開示については、現実には請求例が余り多くなく、被疑者・被告人、弁護人がもう少し理由開示を積極的に活用することが重要
三井 誠 156 3 - 7
  • 刑事手続の立案者の提案は米国司法型、現実の司法は精密司法型、司法制度審議会の提案は刑事司法の民主化であるが、当事者主義化を強化する側面があることは否定できない
三井 誠 156 3 - 9
  • 憲法制定時とは社会状態が変化したが、たかが五十数年であり、刑事人権が完全に定着したわけでもないので、いずれスリム化が望ましい状況になるかもしれないが、現段階ではこのまま維持するのが妥当
三井 誠 156 3 - 11
  • 司法制度改革審議会の提案では、取調べについては記録等をできるだけ綿密に取る旨ことが記されているが、それだけでは必ずしも十分ではなく、最低録音、録画の手法が採られるべき
三井 誠 156 3 - 12
  • 捜査段階における弁護士立会いについては、弁護士の数との対応があり、弁護士会がどの程度対応できるかという問題との絡みがある
三井 誠 156 3 - 12
  • 韓国では密室での取調べが警察段階では行えず、10名、20名程度の広い部屋で取調べが行われるようになっている
三井 誠 156 3 - 12
  • 立案者の想定とは異なり、身柄拘束をしたまま裁判が続き、判決が言い渡されるケースが依然多く、もう少し保釈の活用は図られてしかるべき
三井 誠 156 3 - 15
  • 接見は、現在、取調べ中でも認められるのが一般的運用であり、問題となるのは、例外的に接見指定がなされるケースであるが、場合によっては行き過ぎと思われるケースもある
三井 誠 156 3 - 15
  • 無罪率が0.09%と低い理由は、日本では自白事件が多いこと、訴追段階で証拠固めが厳格になされること、起訴猶予制度があることが理由と思われるが、捜査段階の行過ぎにより、無罪となるべきものが有罪になっているという事例もないわけではないであろう
三井 誠 156 3 - 15
<違法収集証拠>
  • 違法収集証拠の証拠能力は適正手続違反、司法の廉潔性違反、違法捜査抑制の観点から排除されるが、具体的事例が出ることにより、判決が違法な捜査を規制する役割を示すことが可能になるので、最高裁は勇断を持ってほしい
三井 誠 156 3 - 8
  • 違法収集証拠の証拠能力の問題は、実体的真実主義対適正手続ということで、刑事手続における最も根幹的な問題を提起している
三井 誠 156 3 - 9
<二重の危険(検察官上訴の禁止)>
  • 39条は、英米法に言う二重の危険の禁止を定めているが、最高裁は、ここに言う危険とは検察官による上訴を含まないと解し、この条文は事実上棚上げされている
平松 毅 156 2 - 2
  • 一審無罪の場合に上訴できないというのは、英米等陪審制の下で採られているシステムであるが、その背景には、民衆の代表により下された無罪判決を、職業裁判官だけで構成される上訴審において覆すのは妥当でないとの考え方があるようである
常本照樹 156 3 - 13
  • 検察官上訴の禁止は、裁判員制度導入の際に問題が表面化すると思われる。上訴可能にすべきとの意見もあるようだが、その場合、控訴審に裁判員を入れる必要があるかとの議論が生ずるであろう
常本照樹 156 3 - 13
  • 現在の訴訟法の下で検察官上訴が違憲とまでは考えないが、政策的に、刑訴法上、検察官上訴の禁止を規定することは、憲法に違反するわけではなく、可能ではある
三井 誠 156 3 - 14
<死刑>
  • アムネスティは、1977年から国家の死刑も人道に反するとして死刑廃止のための活動に力を入れ、日本はターゲットになり続けている
アムネスティ
和田光弘
156 1 - 6
  • 2002年、アムネスティは、国際的に、日本の死刑執行は恣意的に、秘密裏に行われており、国会での議論や一般の目を避けるため国会閉会中などを選んで執行されていると考えると発表している。また、欧州評議会は議長声明で強い怒りを覚えると述べている
アムネスティ
和田光弘
156 1 - 7
  • 1998年の規約人権委員会の勧告では、死刑についても様々な勧告をしており、今後この問題についてどう扱うかは政治の意思の問題と言える
アムネスティ
和田光弘
156 1 - 7
  • 死刑は廃止すべきと思っており、民主主義の要素をより強固なものとする改正は無限界との立場からすると、そのような改正はあり得る
上田勝美 156 6 - 12
冤罪・再審
  • 吉田石松再審事件は冤罪の被害が深刻であり、5回の再審請求後ようやく再審が認められたが、84歳になっており、無罪判決が出て9か月後に亡くなった
日弁連
岡部保男
154 9 - 2
  • 免田栄再審事件では、昭和58年の無罪判決までの35年間、牢獄で死刑の恐怖の中で過ごさねばならなかった。その後、日弁連は、免田さんの年金受給資格をめぐり人権救済の勧告をしたが、未解決であり、誤判による犠牲が年金でも続いている
日弁連
岡部保男
154 9 - 2
  • 昭和50年の白鳥事件最高裁決定以降、再審事件が大きく前進し、12件の再審開始決定、無罪を得ることができた
日弁連
岡部保男
154 9 - 2
  • 日弁連は、再審事件での成果を踏まえて刑事弁護センターを創設し、誤判原因を究明する中で、捜査段階、被疑者段階の弁護が重要であるとの観点から、当番弁護士センターを設置して被疑者弁護に取り組んできた
日弁連
岡部保男
154 9 - 2
受刑者等の人権
  • 刑務所の受刑囚等が当局に申出後3か月たたないと医療の受診ができないという状態が全国各地にある
日弁連
岡部保男
154 9 - 3
  • 革手錠、拘束用のベルト、また割れズボン、保護房などは、国際的に日本の拷問非人道処遇セットとしてやゆされ、規約人権委員会の懸念をどう思っているのかといぶかしがられている
アムネスティ
和田光弘
156 1 - 7
  • 拷問禁止条約の選択議定書は国際機関による刑事施設への立入検査を認めるものであり、日本は、このような制度を受け入れることにより人権侵害をなくしていく努力が必要
申 惠ボン 156 2 - 14
  • 名古屋刑務所のホース殺人事件との関連で、監獄法については、明治41年の制定・施行と非常に古く、受刑者の人権尊重のような基本規定や不服申立制度の整備等の全面改正が早急に必要ではないか
三井 誠 156 3 - 10
  • 監獄法が違憲か否かは断言できないが、受刑者の人権規定、不服申立ての方法、情願等の規定が整備されるべきであるにもかかわらず、代用監獄問題等により、改正が実現しなかった。現段階では、よほど法整備をきちんとし、それにのっとって法務省が動かなければ問題は解決しない
三井 誠 156 3 - 14

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