二院制と参議院の在り方 参考人名
公述人名
回次 -

5 参議院の構成の在り方・選挙制度

選挙制度
<小選挙区制>
  • 単純小選挙区制は、米英のように多数意見と少数意見が別々の地域に住み分けている社会では民主主義に妥当する場合もあるが、日本のように分散している社会では、少数意見が反映されにくくなる
小林良彰 161 i i - - 2 5
  • 衆議院が小選挙区制を中心とした多数代表の思想に基づいているため、参議院も同様の選挙制度を採用すると、政策のダブルチェック等二院制の意義を損なうことにもなりかねない
小林良彰 161 i - 2
<比例代表制>
  • 参議院では政党の規制がない方が好ましく、現在の非拘束名簿式比例代表制が良い
中村睦男 151 4 - 7
  • 非拘束名簿式の国では8~9割が政党投票であり、日本の国情も考慮すべき。ただし、少し経験を重ね、問題があれば変えるという対応が必要
成田憲彦 151 4 - 7
  • 比例代表制の改善を図ることが重要。無党派の利益を限定している点は問題であり、無所属で個人立候補をすることが論理的に不可能というわけではないと考える。拘束式か非拘束式かは政党の発展度と結び付く
隅野隆徳* 154 I - 8
  • 現行の比例代表制度では、政党に所属しないと立候補が不可能となり、出したいと思う人を立候補させることができない
本田年子* 154 I - 5
  • 参議院を比例代表のみとする場合、個人・個性が選べるような仕組みということであれば賛成
高見勝利 159 i - 7
  • 参議院が独自性を持てるよう改革しても、比例代表制など衆議院が後まねし、同じシステムだから変えるべきと言われても、困るのではないか
蒲島郁夫 159 ii - 6
  • (比例代表制で世代別クオータという提案に対して)面白い議論だが、参議院は個人をベースにすべきと考えるので、比例代表型は問題。その点、衆議院の比例代表で各党が考えることは可能
岩井奉信 159 ii - 11
  • 衆議院との違い、投票価値の平等を考えると比例区中心の制度がよい。その場合、大政党に有利な方向にならないよう地域ブロックではなく全国的な比例区がよく、政党が立派な人を擁立する形がよい
蒲島郁夫 159 ii - 17
  • 参議院にふさわしい議員を選出するために、拘束名簿式と非拘束名簿式のどちらがよいとも言えない
飯尾 潤 159 iii - 11
  • 衆議院が小選挙区に向かうなら、参議院は違う方向、すなわち全国規模かなるべく大きな選挙区単位の比例代表制、それも拘束名簿式が一案。なお、政党でないグループの名簿や一人の名簿も認める
大山礼子 159 iii - 5
  • 非拘束名簿式は、結局、選挙に強い者すなわち衆議院と同じような者が当選する制度。拘束名簿式なら、政党が責任を持って見識ある者を上位に入れたり、男女交互名簿にする等の配慮が可能
大山礼子 159 iii - 12
  • 比例代表制は、各党に対する得票率と議席率がほぼ一致するという利点を持つが、拘束名簿式は、参議院が政党化して衆議院との違いが出にくくなるという問題点がある
小林良彰 161 i - 2
  • 非拘束名簿式は、人も選べるという利点を持つが、同士討ちからサービス合戦が生じる可能性もあり、政治資金に関する厳しい規定が必要になる
小林良彰 161 i - 2
  • 以下のような定数自動決定式比例代表制を提案する(1) 総定数252、3年ごとに半数改選、(2) 選挙区は都道府県(地域の広い北海道や人口の多い東京都などは分割も考えうる)、(3) 政党は選挙区ごとに順位を定めず名簿を作成、(4) 個人名又は政党名で投票、(5) 候補者・政党への投票を政党別に集計、(6) ドント式で各党に議席配分、(7) 各党配分議席を各党の各選挙区の得票に応じて最大剰余式で配分(ドント式では定数較差1対2を超える場合があるため)、ただし、どの政党からも議席配分のない選挙区には最大剰余の最も多い政党に一議席を与え、その政党は全国配分議席から一議席を引く、(8) 各党の各選挙区配分議席をその選挙区のその政党の個人票の多い順に与える。なお、一人一党でもよい
小林良彰 161 i i - - 3 8
  • 定数自動決定式比例代表制の長所は、(1) 民意が反映される、(2) 定数不均衡がなく、人口ではなく投票数に応じた定数となる、(3) 恣意性が入らない、(4) 投票のインセンティブがある、(5) 現実的にも実現可能、(6) 政治家の顔を選ぶことができる、ただ、欠点は同選挙区内の異なる政党の候補者間では得票順と当落の逆転が生じうる点
小林良彰 161 i - 3
  • 参議院は、比例代表の形で有権者全体の意見分布を反映させる制度が本来的なチェック・アンド・バランスと民意反映を両立させる
小林良彰 161 i - 5
<小選挙区制と比例代表制の組合せ>
  • 小選挙区比例代表併用制は、同士討ちなしに政党だけでなく人も選べるという利点を持つ。超過議席がなければ政党に対する得票率と議席率の一致という比例代表制の利点も持つが、超過議席があれば、比例代表制より民意がずれる可能性がある
小林良彰 161 i - 2
  • 小選挙区比例代表並立制は、小選挙区制と比例代表制の双方の特徴を受け入れようとの思想に基づくが、その性格は、小選挙区制と比例代表制の定数の比率によって異なる
小林良彰 161 i - 2
  • 並立制を採用するとしても、本来、両院が相互補完的関係を持つため、両院全体で並立制になるべきと思うが、現状では衆参各々が並立制を採用しており、両院の構成が類似する可能性がある
小林良彰 161 i - 2
<地域代表制>
  • 地方公共団体の地域代表的性格のものにすることは、参議院の独自性と地方自治の強化に寄与
中村睦男 151 4 - 2
  • 将来的には参議院に地方公共団体代表の性格を持たせることで独自性を発揮すべき
中村睦男 151 4 - 7
  • 地域代表だけを強調すると、国民全体の観点での判断・対応がおろそかになり、近代国家の在るべき姿から離れる
隅野隆徳* 154 I - 12
  • 明治維新以降、単一の民族・文化・歴史の下に国家が形成されてきたので、地域代表制は困難。道州制についても、知事・地方議会代表者の大半が東京周辺の大学卒業者という現状では、中央政府からの独立はあり得ない。地域代表的性格の人を一部に取り入れる折衷的な案が望ましい(各都道府県の行政の長の代表者や議会の代表者のうちの一定数を参議院議員とする等)
早川忠孝* 154 I - 12
  • 参議院には地域代表しかいないということになると、余りにも機能が弱い
早川忠孝* 154 I - 14
  • 最高裁は定数不均衡訴訟における一連の判決で、現行の都道府県単位の参議院選挙区選挙は地域代表的要素を有するとするが、憲法に根拠を有するかについては裁判官の中でも意見が分かれている
高見勝利 159 i - 4
  • 都道府県代表制が憲法で直接保障されたものではないとする見解は、憲法起草過程で「地域」という文言が削減された結果、参議院が地域代表としての役割・性格を持つとしても単なる法律上の考慮事項にとどまるものになったと解する
高見勝利 159 i - 4
  • 憲法上で参議院を地方を代表する議院と位置付けると、憲法の平面で地域代表的構成と投票価値の平等の調整が求められ、その限りで投票価値の平等の要請は一定の譲歩を余儀なくされる
高見勝利 159 i - 4
  • 参議院は個人中心とすべきであり、その場合、旧全国区のようなものも考えられるが、地域代表の院という形で各県2名で選挙ごとに1名の総勢94名という非常に小さな院を提案する
岩井奉信 159 ii - 2
  • 地域代表の院を提案するのは、大都市部の代表が増え、農村部の代表が減ることへの危惧感、地方分権の展開、定数是正問題からの脱却が理由
岩井奉信 159 ii - 2
  • 個人の識見をいかせる代表を出すには、昔の全国区のように全国的に優れた人材を集めるか、ドイツの参議院のように地方の識見を集めるか、二つのうちの展開型であろう
岩井奉信 159 ii - 16
  • 地方分権がしっかりした形で出てきた場合には、その理念にのっとった地域代表院はあり得るが、組織の問題は、権限や衆議院に対するカウンターパワーとしての像を考えながら議論すべき
大石 眞 159 ii - 16
  • (郷土代表として一都道府県2名、計100名程度という案について、)小選挙区的な多数代表につながりかねず、原理的に難しい
飯尾 潤 159 iii - 16
  • 地域代表として人口比例を外してしまうと、民主的正当性の観点から衆議院に劣るということになる
大山礼子 159 iii - 14
  • (郷土代表として一都道府県2名、計100名程度という案について、)議席を相当減らせば、議員の権威が上がり、それなりの人が出るかもしれないが、半数改選では小選挙区制と同じになり、難しいのではないか
大山礼子 159 iii - 16
  • (郷土代表として一都道府県2名、計100名人程度という案について、)大都市周辺は勤務先と居住区が別で、わが郷土とはいかず、実感と制度との間に乖離が出るのではないか
金指正雄 159 iii - 16
  • 各都道府県一名選出とすると、知事と同じ選挙区サイズ・選出方法となり、知事から参議院議員への転出、又はその逆が増え、全国知事会と構成の類似性が生じるのではないか
小林良彰 161 i - 3
  • 各都道府県一名選出で選ばれた参議院は、国民代表から離れる分だけ国民との距離が開き、アドバイザリーグループのような存在になってしまい、両院平等の原則が崩れるおそれがある
小林良彰 161 i - 3
<職能代表制>
  • 多様な職能の分類が困難なため、職能代表院化は困難
小林 節 151 3 - 11
  • 職能代表的なものは変動する社会では困難な問題をはらむ
飯尾 潤 151 3 - 11
  • 日本は職能的な素地がなく、二院制で職能代表的機能を果たすのは不可能との議論が過去にあった
早川忠孝* 154 I I - - 3 9
参議院の定数較差
  • 参議院選挙区の定数較差を県代表的性格を理由に正当化することは、全国民代表性に反し不適当
小澤隆一 151 6 - 4
  • 最高裁判決は、参議院選挙区の定数不均衡について、地域代表的性格を人口比例原則に対して強調する側面があり、それに国会自身が依拠するとすれば、一層問題である
隅野隆徳* 154 I - 2
  • 参議院の議員定数が長年不均衡状態で放置されていることは、参政権にかかわる重大な問題
本田年子* 154 I - 5
  • 参議院の定数不均衡について、偶数配分にも問題があると思われるが、偶数配分は憲法に定められているものではなく、改善できるのではないか
本田年子* 154 I - 8
  • 両院の選挙法が類似していることが憲法の予定する両院制の趣旨を損なわないかという点は、参議院について議員定数不均衡よりもはるかに深刻な問題である
大石 眞 159 ii - 4
  • 参議院は有権者に選択の場を与えているから、選挙制度は公平にやらねばならず、定数是正は自らやらねばならぬ問題である
蒲島郁夫 159 ii - 7
  • 憲法が国会議員を国民代表と規定している点からすると、選挙区代表が地方代表という位置付けはなく、一人一票の原則が優先する
飯尾 潤 159 iii - 14
  • 参議院の定数較差(1対5程度を前提)は是正すべき
飯尾 潤 159 iii - 14
  • 参議院の定数較差(1対5程度を前提)は是正すべき
大山礼子 159 iii - 14
  • 参議院の定数較差(1対5程度を前提)は許容範囲を超えている
金指正雄 159 iii - 14
  • 憲法が国民代表とする以上、地方代表制を理由に一票等価値性の原則を損なうことには限度がある
小林良彰 161 i - 3
  • 重要なのは一人の等価値ではなく一票の等価値であり、投票率が高い選挙区ほど多くの議員が割り当てられる制度を提案する
小林良彰 161 i - 6
  • 参議院で5倍程度の較差が存在することは、民主主義の観点から望ましくなく、是正されるべき。純粋に人口比例で配分されるべき
高見康裕* 162 I - 24
[参議院議員定数配分規定訴訟判決]
  • 参議院議員定数配分規定訴訟の最高裁判決について説明
 較差6.59倍は違憲(平成8年判決)(ただし、合理的期間内に是正 されなかったとは言えず、規定は合憲) 最高裁判所 153 3 - 2
 較差5.85倍は合憲(昭和63年判決) 最高裁判所 153 3 - 11
 較差4.98倍は合憲(平成12年判決) 最高裁判所 153 3 - 6
  • 最高裁は定数不均衡訴訟における一連の判決で、現行の都道府県単位の参議院選挙区選挙は地域代表的要素を有するとするが、憲法に根拠を有するかについては裁判官の中でも意見が分かれている
高見勝利 159 i - 4
[参議院議員定数配分規定訴訟平成16年1月14日判決]
  • 今回の判決では、11人の裁判官が都道府県を唯一の単位とする選挙制度の見直しを示唆している
高見勝利 159 i - 4
  • 今回の判決では、多数意見9人中4人の裁判官が、立法府の広い裁量権自体は認めるものの、立法府には制度の趣旨に従ってその制度を実現することが憲法上義務付けられており、もし何もしないのであれば、違憲と判断するとの態度を示した点に特徴がある
高見勝利 159 i - 10
  • 判決では、参議院はどうあるべきか、どういった形で定数問題、選挙制度を考えるべきかは、立法府が考える問題であり、司法部は立ち入る権限もないし立ち入るべきでないと判断している
高見勝利 159 i - 10

ページトップへ