１　地方自治の本旨、国と地方の役割

• 憲法は国民主権と同時に地方自治を明確に考慮しているが、現実には行政主導、中央省庁の分担管理、省庁間調整により国が運営され、国民の行政依存意識がこれを支えてきた

• 国の省庁の縄張り意識・縦割り意識が地方自治を進める上での最大のネックとなっている

• 日本国憲法は、最初に地方自治を章として掲げた憲法であり、憲法の地方自治規定の先駆性は明らか

• 地方自治の本旨について明確化し、国と地方の権限の範囲を明らかにすべき

• 地方自治の本旨の規定は、先駆的なものと高く評価できる

• 権限、財源を地方に下ろし、地域住民が主体になって政治を行っていくことが地方自治の本旨

• 地方自治の本旨とは住民主権そのものと考えるが、地方分権の旗の下で中央集権が進み、住民主権が奪われかけていると危惧する

• 政府答弁で地方の行政権は内閣から独立したものと認めた以上、地方自治の本旨を明確化する改定が必要。国は住民の意思を尊重し、地方自治体及び住民の自立と自己責任を原則とすると明記すべき

• 地方自治法は、自治体が自らの責任で自主的に運営するという方向に変わるべき

• 地方自治法は、直接民主主義の制度を持つ点で、ヨーロッパの地方自治制度と比較しても遜色のない優れた住民自治の規定を持つ法制度である

• 機関委任事務制度の全廃とそれに伴う条例制定権の拡大、地方自治の本旨と自治体の自主性への配慮等の原則を明確にうたったことは、改正地方自治法の積極的側面

• 自治事務に対する代執行、法定受託事務に対する関与の規定が事情により自治事務に適用できるなど国による関与の規定には問題がある

• 環境、高齢化など今後の問題には国を挙げて行わなければ解決できないものもあり、国が行うべきものと身近な市町村やある程度権限を持った都道府県・政令指定都市が行うべきものをよく検討すべき

• 外交、防衛、警察、司法制度等国家の存立にかかわることは国の役割であるが、住民福祉の向上等住民に身近な行政は自治体に任せるべき。国と地方自治体の役割分担を憲法に明文化した方がよい

• 中央集権構造の改革から約50年を経て、地方自治体については、内閣の行政権（65条）とは別で、92条以下の地方自治の問題とされるようになった

• 地方の行政は65条に言う「行政」には含まれない

• 自治体に大幅な権限と財源が移譲されるべき

• 地方の行うべきことと国の行うべきことを明確に分け、財源もそれに対応して分けるという形で組み立て直すべき

• 経済の一極集中により地方間に経済力の格差があるが、行政サービスは平均して行わなくてはならず、この格差をどのように埋めるかという問題があり、根本的に直さなければ本当の解決にはならない

• 税財源制度の改正の一刻も早い実現なしに地方分権改革の実質的な展開はできない

• 地方分権改革に伴う事務移譲に見合う財源がないまま地方自治体に事務が移譲されたことが地方財政危機の要因であり、一刻も早い税財源制度の見直しが現場の切実な声

• 補助金などの形で国が財源を出すこれまでの方法を改めない限り、本来の意味の分権は成り立たない

• 税財源の移譲も明確にせずに地方交付税を削減するようなことがあってはならない

• 徴税事務は都道府県や政令指定都市が担当し、国や市町村に分配する方が合理的

• 財源を伴った地方分権を考慮すべき

• 国は、平準化という意味で、地方交付税や補助金により財源の配分をしてほしい

• 地方交付税の包括交付金化には賛成であるが、地方交付税は住民にとって極めて不明瞭であるため、一層の情報公開が必要

• 地方へ課税権を下ろし、国税を減らして地方税を増やしていくという方法が良い

• 地方財源を考えると、現状の源泉徴収制度を廃止して申告制度にし、市町村が徴収してその一部を国に分配するという形にすることにより、実態的に自治権を高めるべき

• 地方自治体の財政は独自の自主財源を基礎に、健全に運営されなければならないというような規定を入れるべき