改正、最高法規 参考人名
公述人名
回次 -

1 改正手続と国民投票法制

憲法改正要件・憲法改正手続
  • 憲法改正条項だけを変える国民議会を設置してもよいのではないか
渡部昇一 151 5 - 9
  • 現憲法を改正した上であるならば、改正の問題を専門とする憲法議会の設置は可能
江橋 崇 151 5 - 9
  • 憲法改正の手続や発議につき、事前にルールを確認することが必要
前田英昭 151 7 - 5
  • 現憲法は憲法改正手続条項に大きな問題がある
早川忠孝* 154 I - 10
  • 改正手続は確かに二院制にしたために非常に厳しくなったが、当時の想定問答集では、それぐらいのハードルを越えなければ改正してはいけないという趣旨の答弁準備がされていたようである
高見勝利 159 i - 9
  • 憲法改正権を制度化された憲法制定権と理解する場合、改正権の担い手である国民が受け身の立場に置かれているという問題がある。改正案審議の段階においても国民の考えが適切に反映されるよう、諮問的国民投票の導入の可否を含め、何らかの工夫を検討する必要がある
土井真一 159 7 - 7
  • ある問題について国会で憲法改正を検討してよいか、又は一定の方向で検討してよいかというようなことを事前に諮問的に国民投票にかけることも考えられるのではないか
土井真一 159 7 - 11
<発議要件>
  • 憲法制定権論を認めない立場からも、認める立場からも、「3分の2」条項を「2分の1」条項に変更することはできない
浦田賢治 151 8 - 2
  • 憲法改正発議の要件として、総議員の3分の2以上の賛成とあるが、国民投票にかけるのであれば必ずしも3分の2を要求する必要はなく、過半数や5分の3でもよいのではないか
竹花光範 159 7 - 5
  • 憲法改正発議の要件として、総議員の3分の2以上の賛成とあるが、総議員とは何かが明確でない。法定議員数と解釈すべきと考える
竹花光範 159 7 - 5
  • 改正要件が厳しいため、国際情勢などの変動に対応して柔軟に憲法を改正することが妨げられている。多数決を原則とする民主主義の在り方からも、総議員の3分の2という要件は望ましくない
高見康裕* 162 I - 19
<国民投票の必要性>
  • 国民投票を廃止して国会の議決のみで憲法改正を可能とするよう96条を変えることは、国民代表による国民の制憲権の簒奪。国民が自らの手に留保した権限を国民の代表が簒奪することはできない
浦部法穂 159 7 - 3
  • 憲法改正について必ず国民投票にかけるという制度は世界的にも稀有。フランスやイタリアのように任意的・選択的な国民投票制にすることも考えられる
竹花光範 159 7 - 4
  • 国民的合意は必要であるから、国民投票は維持すべき
高見康裕* 162 I - 19
<改正原案の提出者>
  • 議員が提案する場合も、通常の議員立法の手続ではなく、相当数の賛成者を必要とする等事前のルール確認が重要
前田英昭 151 7 - 5
  • 96条では国会が発議をすることになっており、提案権は国会にあるという原則を重視したい
浦田賢治 151 8 - 11
  • 内閣としても原案を国会に示すことは可能
内閣法制局 151 9 - 5
  • 内閣に発案権を認めても、国会が自由に修正・否決できるのであれば問題はないと考える
竹花光範 159 7 - 5
  • 議員発案の場合に何人の賛成者が必要か、国会法を改正して明記しておく必要がある
竹花光範 159 7 - 5
  • ある争点について、正規の憲法改正手続を経て平和裏に解決するか、血を流すことになるかは各国の歴史にかかわる問題であり、それを諮るタイミングが重要であるが故に、国権の最高機関が発議権を有している
土井真一 159 7 - 15
  • 議員にのみ発議権を認めると、現在の議員に不利となるような場合には国民の求める改正ができないという問題がある。ただし、国民発案を広く一般に認めると、様々な案が出されるなど難しい問題を生ずる
土井真一 159 7 - 17
<現行憲法の廃棄>
  • 同一性、継続性を損なうような憲法の変更は、既存の憲法の廃棄と新憲法の制定とみなすべきであるが、現憲法には廃棄の手続を定めた規定はない。改正手続を便宜上援用しても直ちに不当とは言えないが、それをもって新憲法の正当性の根拠とすることはできない
浦部法穂 159 7 - 2
  • 現憲法の廃棄と新憲法の制定は、憲法制定権力の保持者たる国民のみがなし得ることであり、例えば、投票権者総数の過半数の賛成を必要とするなど国民の大多数が賛成していることが明確に確認できるような手続を踏むべき
浦部法穂 159 7 - 2
  • 現憲法の廃棄と新憲法の制定を行う場合、そのことを積極的に支持する国民が少なくとも過半数は必要であり、投票権者総数の過半数の賛成を必要とすると考える
浦部法穂 159 7 - 2
改正方式
  • 修正条項を付加する増補方式(アメンドメント方式)に注目すべき
江橋 崇 151 5 - 5
  • (1) 憲法は通常の法令の場合と成文法主義の具体化の仕方に違いがあっても差し支えないこと、(2) 憲法制定時の精神を後代に残すのに役立つことから、修正条項を付加する増補方式がふさわしい
浦田賢治 151 8 - 2
  • 日本は大陸法系の国であり、憲法改正の方式は、米国のような増補方式ではなく、書き改め方式で行うべき
竹花光範 159 7 - 3
  • 「この憲法と一体を成すものとして」とは、憲法と同じ国の最高法規としての形式的効力を有するものとしてと解すればよく、この文言があるから増補方式が可能ということにはならない
竹花光範 159 7 - 3
国民投票法制
  • 改正権限が96条にある以上、それを発動できる手続を用意しておくべきであり、憲法改正手続が整備されていないのは、国会の怠慢
小林 節 151 3 - 12
  • 憲法改正手続法が欠けているのは、改正手続問題が政治的問題と絡んだ形でしか議論できなかったため
小澤隆一 151 6 - 13
  • 憲法改正を直ちにするのであれば、手続が整備されていないという事実はあるが、政府側としては、憲法改正を現実の課題として取り上げる内閣がなかったため、整備の動機がなかった
内閣法制局 151 9 - 11
  • 憲法改正手続法がないことが憲法違反との学説がある一方、手続法がつくられることが憲法改正の露払いになるという形で政治的に反対する憲法学説も有力
戸波江二 155 3 - 10
  • 憲法改正手続法制を早急に整備し、憲法秩序を整合性あるものにしてほしい
林 明夫* 156 I - 5
  • 憲法改正手続法の審議と手続法を実施するための体制を整備する必要がある
森本 敏 159 2 - 6
  • 国民投票法は必要になったときにつくればよく、今まで必要がなかったためにつくられなかっただけと認識している
浦部法穂 159 7 - 14
  • 憲法制定から半世紀以上が経過したにもかかわらず、国民投票法は制定されていない。立法不作為とは言わないまでも、憲法改正の発議機関であり、唯一の立法機関である国会は、怠慢のそしりを免れない
竹花光範 159 7 - 5
<投票に付する単位>
  • 複数の条項が改正の対象とされる場合、国会の発議及び国民投票のいずれにおいても、各条項ごとに賛否を問うことが必要。一括して賛否を問うことは、憲法が予定していない憲法全体の変更につながる
浦部法穂 159 7 - 3
  • 国民投票を行う場合、関連する条項であればまとめて行うことも考えられるが、基本的に一つのイシューごとに賛否を問うことが当然と考える
浦部法穂 159 7 - 13
  • 国民投票を行う場合、一括して賛否を問うか個別的に問うかは、発議機関たる国会が決定すべき
竹花光範 159 7 - 13
  • 個別のアイテムごとに国民の賛否をきちんと確認できるような投票法を確保してほしい。国民にジレンマを与えるような国民投票法案にはしないでほしい
澤藤統一郎* 162 I - 12
<過半数の賛成>
  • 憲法改正(憲法の同一性・継続性が認められる場合)の国民投票においては、有効投票の過半数の賛成があればよい。現憲法の廃棄と新憲法の制定とみなされる場合(同一性・継続性が認められない場合)は、最低限、投票権者総数の過半数の賛成を要すると考える
浦部法穂 159 7 - 8
  • 憲法改正の国民投票で必要とされる過半数とは、総有効投票数の過半数と考える
竹花光範 159 7 - 8
<投票率>
  • 国民投票法制定に際しては、国民投票成立の要件としてどの程度の投票率が必要かを明記してほしい。総投票権者の過半数の投票で成立するとするのが望ましい
竹花光範 159 7 - 8
硬性憲法
  • 硬性憲法というプラクティスは、主権者である国民が犯し得る誤りを極力回避し、国民自らが賢明な判断を下すことができるよう適切な統治機構を定め、自らを権力の抑制と均衡のシステムの中に構造化していこうとする努力
土井真一 159 7 - 6
  • 硬性憲法という主権者の自己拘束は、自らが賢明に行為するための合理的な制約であり、時代の変化に伴い、拘束の合理性それ自体が適切に批判的に検討される必要がある。この道が確保されている限り、幾世代にも渡り、主権者たる国民が賢明に自己決定することが担保される
土井真一 159 7 - 6
憲法改正論議
  • 憲法改正の議論は、50年以上にわたる憲法運用の蓄積を踏まえ、改善を図るものでなければならない
中村睦男 151 4 - 1
  • 憲法の素晴らしい理念と現実をマッチさせるための改正論議であればよいが、今出て来ている改正議論はどのような理念によるのか不明確であり、心配である
柳 時悦* 154 II - 8
  • 憲法改正には基本的に反対の立場である。憲法改正問題は、それ自体として政治問題化している日本の状況が問題であり、根本的な対立を除去してから憲法改正に進むべきではないか
戸波江二 155 3 - 2
  • 日本国憲法は、資本主義の憲法であるが、社会主義にシンパシーをもっているグループが護憲を唱えたとのねじれがある。ただ改憲論に対抗する形での護憲論は、必ずしも体制選択と結びつく形で提起されたものではない
戸波江二 155 3
3
-
-
2
5
  • 日本人は規範形成能力に欠け、憲法を改正したとしても、改正直後から欠陥が明らかになり、無理な解釈をしなければならない事態の発生が予想される。むしろ、現憲法の運用を維持した方が国民のアイデンティティーを確保する上でも適当ではないか
平松 毅 156 2 - 2
  • 本来であれば、日本の独立が回復されたサンフランシスコ平和条約の時点において憲法改正を考えなければならなかった
佐々淳行 156 9 - 2
  • 憲法改正の理由として占領下に押し付けられたからとの議論は、後ろ向きの議論であり、そのような議論で憲法が改正されたならば、その憲法の下で生きていく若い人たちにアピールする力は非常に弱いのではないか
村田晃嗣 156 9 - 11
  • 憲法は戦後日本の民主主義の発展に大いに寄与してきたし、国民の多くは憲法を受け入れてきたが、国際環境と国内環境の変化により部分的に必ずしも有効に機能しなくなっているところがあり、それについて前向きに改憲を考えるというのが自分のスタンスである
村田晃嗣 156 9 - 12
  • 憲法を材料として政界再編すべきとの議論は極めて危険。憲法は国家の基本法、根本法であり、少なくとも1世代、25年間はもつように、長期的な視点で慎重な国民的討議を行う必要がある
大沼保昭 159 3 - 3
  • 現憲法は制定から2世代以上の時間を経過し、9条に限らず、現実とのずれを多くの点で生じており、改正を真剣に考えて実現すべき時期に来ている
大沼保昭 159 3 - 3
  • 現在の国民自体が幾世代もの国民の作為不作為の産物であり、憲法改正を考えるに当たっては、我々が前の世代から受け取っている恩恵と戦争責任等の負債について考える必要がある
大沼保昭 159 3 - 4
  • 一つの世代を25年とするなら、憲法は、一つの世代ごとに小規模の改正を行い、それにより現実に適合させていくことが重要
大沼保昭 159 3 - 5
  • 本来であれば、国民がシニシズムを持つ前の90年代からもう少ししっかりと改憲の議論を行っておくべきであった
大沼保昭 159 3 - 9
  • 明治憲法や昭和憲法制定時の大激動から見ると、今は微々たる修正でよいが、将来的には、間接民主主義を前提とした統治機構や国家との関係で考えられた人権を全部更新するための全面改正が必要になろう
五十嵐敬喜* 162 I - 11

ページトップへ