3 政党制(政府と政党の二重構造、政党法制など)

 憲法には政党について定める具体的な規定はないが、議院内閣制では有権者と議会を媒介するものとして当然その存在が予定されており、結社の一つとして保障されるとするのが判例である。実際にも、選挙における公認等により、事実上強い影響力を行使している。

与党と政府の関係・二重構造

 議院内閣制では政府と与党が一体のものとして統治することが予定されているが、実際には内閣は省庁連合体であり、別に与党があって事前審査等を行うという、政府と与党の二元体制となっていると言われる。

 特に事前審査制を中心に、

  • 与党の事前審査の問題を再検討し、政府・与党の一体化、一元化を図るための施策が必要、
  • 議院内閣制の下では政府と与党は一体でなければならず、本来、政府案をつくる段階で与党内の議論を終えて、内閣として法案を出すべき。政府に加わっていない与党議員は、政府と切り離された存在として、国会で意見を言うような在り方にすべき、
  • 行政各部と利害を一にする政治グループが事前に合意形成する与党の事前審査制は、65条の趣旨に反する可能性もあるし、国会の審議権を事実上先取りする点で大きな問題がある、

などの意見が出された。

 二重構造を解消するために英国のように基本的には与党の幹部が内閣を構成するシステムを採用してはどうかとも言われるが、これに対しては、

  • 政治の二重構造を変えるために議院内閣制の英国のシステムを横流しするのはどうか。歴史的背景、システムの前提条件を見据えながら、民意を行政に反映させていくという観点から政と官の在るべき姿を検討していくべき、

などの意見が出された。

政党法制

 政党への規制等については、

  • 政党は任意結社であると同時に、一種の国政上の役割・機能を担うという二面性を有するものであり、自由を尊重しつつ適正な助成と規制を図る必要がある、

などの意見が出された。

 政党の地位については、その果たしている役割の重要性にかんがみ、憲法上明記すべきとの意見が出されている。
  • 党の新憲法起草小委員会の検討(平成17年)においては、政党について憲法に位置付けるべきとの意見があったとしている(自由民主党)、
  • 党の憲法調査会中間報告(平成16年)は、政党に憲法上の地位を与えるべきとしている(民主党)、
  • 政党の存在を認めるものは法律しかなく、政党の憲法上の位置づけについても議論していくべき、

などの意見が出された。

 具体的には政党法の制定、議事法令への政党の規定など、政党法制を整備すべきとして、

  • 政党が既に大きな重要な位置を占めていることにかんがみ、憲法上きちっとした地位を与え、公の党としての財政や活動報告の公開義務付けなど、政党法の制定について議論すべき、
  • 政党は、選挙関連法では法的な位置付けを得たが、議事法令にはいまだに院と議員しかない。議事堂外の活動を議事堂内に取り込み、政策形成過程でフォーマルに位置付けるよう、憲法附属法としての議事法についての研究が必要ではないか、

などの意見が出された。

 政党法等の在り方については、

  • 政党法については、細かいことまでの法制化は活力を喪失させるが、腐敗に対する責任追及のための法制度は必要。なお、政党法の議論の際には、ドイツ・ボン基本法21条のような闘う民主制も視野に含めておくべき、

などの意見があった。

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