２　国会の地位、権能

• 国会議員は選挙区や支持母体の代表ではなく全国民の代表であることは近代市民革命以来の揺るぎない原則

• 政治資金の規制は議員が全国民代表の性格から遊離しないための工夫である

• 全国民代表性は今日では多様な意見を持つ全国民にふさわしい議会、議員活動という意味

• 国民が選挙を通じ代表者の「責任を問う」ことは間接民主主義の非常に重要な道具であり、もう少しこれを使いこなすとともに、具体的な政治システムの設計でも考慮すべき

• 有権者と議員の関係で常に議員が賢明とは限らない可能性があり、技術の発達が議場という閉鎖空間を必要としなくなった現在、議会の存立の根底的、本質的な根拠は薄れている

• 国権の最高機関性とは、国会議員が主権者たる国民に直接選ばれているということに意味があり、法的に何がということはないというのが普通の理解

• 主権者国民と国民代表府たる議会の関係について憲法を改正すべきとの具体的な問題提起は今日まで特にない

• 日本では民意を政策に反映する回路を構築できなかった

• 民意反映の方法として選挙の際の政策提示が重要

• 民意が反映されず政党色の強い国会となっていることは問題

• 国民の様々な意見について、専門的に考えるべき問題、世論に従って解決すべき問題、議員の良心に従って解決すべき問題というように、問題ごとに最も適切な解決方法を見出す能力が政治的な成熟度により達成できる

• 国会職員の質量を充実させ、立法府の機能強化が必要

• 野党に対する政策支援能力をいかに強化するかが課題

• 国会は行政監視より、アイデア・方針の提示が基本

• 国会活性化には、議員が本来持つ法案提出権を行使して成果を得ること、国政調査にかかわる法律を強化して国政に関する監視を強化することが考えられる

• 立法のための両院の調査立案機能の一層の強化が必要

• 国会に憲法の実現状況を監視する機関が設置されても、法の支配である以上、司法権が事後にチェックする仕組みは残しておく必要がある

• オレンジ共済事件のように、刑事事件で有罪となり国民大多数が辞職を望む議員が任期を全うするのは問題。国民の意思により議員の職責の遂行をチェックするシステムが必要

• 合理化・経費節減を図る国会改革が必要とされており、議員・秘書に対する処遇の在り方の見直しが必要

• 国会は立法を通じて憲法の第一次的な解釈権を行使すべき

• 実質的に法律的役割を持つ行政計画に国会が関与しないのは問題

• 国民の権利・自由にかかわる領域（自衛隊法103条等）が委任立法にゆだねられていることは問題

• 民事再生法等に見られるスピードの早い立法作業は評価できる

• 議員立法は増加傾向にあり、議員補佐機構も充実してきている

• 議員や野党の立法活動を促す方法として本会議で議員立法の趣旨説明・質疑を行う特別の時間を設けてはどうか

• 法律運用の場からの提言に基づく内閣による法案提出はあってしかるべき。ただ、十分スタッフを確保し総合的に調整を果たした上で議員立法ということはあり得る

• 内閣提出の法律が多いことは有権者からは疑問

• 72条に言う内閣の議案提出権に関しては、予算と条約については規定がある一方、法案を内閣が提出できるとの規定がないのに、内閣が法案を提出することは当然の慣行とされている

• 内閣提出法案が多くても、修正権の効果的行使により立法機関としての役割を果たすことが可能

• 国会決議について、政府としては決議の趣旨を尊重して行政遂行する責務を有するが、法的拘束力には否定的たらざるを得ない

• 附帯決議に対し大臣が委員会の場で尊重を表明した以上、誠実に履行する責任があり、国会の行政監督の一環として委員会等が政府にその対応状況の報告を要求することも可能

• 法的効果を求めるならば附帯決議でなく法律で対応すべき

• 両院による内閣の行政コントロールの手段としては、国政調査権・質問権・問責決議等が想定できる

• 国会は、憲法により、立法・予算議決権、国務大臣の出席・答弁要求権、内閣の国会に対する連帯責任等行政監督権ともいうべき機能を有する。さらに、立法上手当てをすれば、個別具体的行政行為をチェックする権能の発揮も可能

• 国会同意人事、公共用財産の廃止以外に何を個別の国会議決にかからせるかは立法政策の問題

• 質問権は、利害関係者に専らかかわる方法でなく、全国民の代表にふさわしい形での行使が必要

• 国会への請願は請願法に基づく請願でなく国会法に基づく請願としてなされていると理解

• 国会で採択され内閣に送付された請願は請願法５条の趣旨に沿い官公署で受理し誠実に処理する、その中身を検討し、いかなる措置をとれるか、とるべきかを検討する責任を負う

• 議院の国政調査権は、行政監督権や立法権等国会のあらゆる権能を行使するための手段

• 国政調査権に基づく要請により、国家公務員が職務上の秘密を開披するか否かは、守秘義務によって守られるべき公益と国政調査権行使によって得られるべき公益とを事案ごとに比較衡量して決定すべきもので、その判断は各行政担当部局が行うべき